第4章 計画の基本方針 - 八尾市

第Ⅳ章 計画の基本方針
§1. 基本方針
§
(1)一人ひとりが地球にやさしい行動に取り組むまち
現在の私たちの生活は、大量生産・大量消費型の社会の仕組みと、その前提である
資源やエネルギーの大量消費から成り立っています。しかし、そうした生活を続けた
結果、資源の枯渇や地球温暖化による気候変動などが、地球規模の問題として顕在化
してきました。
こうしたことから、この限りある地球を次世代に繋げるために、市民一人ひとりが
地球にやさしい行動に取り組み、環境負荷の低いまちづくりを進めることが重要です。
とりわけ、重要な課題である地球温暖化対策と循環型社会の構築とを進める必要が
あります。
地球温暖化対策については、市民一人ひとりが省エネルギーに配慮した生活や事業
活動を実践することに加え、市民・事業者・八尾市が連携した取り組みやエネルギー
効率の高い建築物や公共交通の利用促進など、低炭素社会の実現に向けた取り組みを
進めます。
循環型社会の構築については、まずは市民一人ひとりや各事業者がごみの削減や資
源の有効利用等の3R(リデュース ・ リユース ・ リサイクル)に努めることが重要で
すが、さらに、市民・事業者・八尾市が連携して、地域が主体となった資源循環への
取り組みを行うこと、また、経済的な動機付けによるごみの発生・排出抑制の実施を
目指し、市民啓発・情報発信など循環型社会の形成を促進する仕組みの導入等を推進
していきます。
〔行政〕
市民のライフスタイルを変革し、環境負荷の少ない事業活動を普及するための情報
提供や意識啓発を進めるとともに、市民や事業者による、省エネルギーやリサイクル
の活動を支援します。
また、八尾市においても率先して、省エネルギーや省資源の行動に取り組みます。
〔市民〕
地球規模の環境問題を解決するためには、市民一人ひとりの責任ある行動が求めら
れていることを認識するとともに、大量消費、大量廃棄のライフスタイルの改善に努
めます。また、ごみの減量化や省エネルギー対策など、市民の日常生活で可能な取り
組みを積極的に実行します。
〔事業者〕
事業活動が地球環境へ与える負荷の大きさを認識し、生産、流通、加工、販売など
あらゆる事業活動の場において、環境への負荷の低減に積極的に取り組みます。
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事業者としての社会的責任を認識し、八尾市や地域が実施する地球温暖化対策や循
環型社会構築の取り組みに積極的に参加します。
(2)市民の健康を守り、すがすがしく暮らせるまち
八尾市は、高度成長期に工場や住宅が急増しました。高度成長は所得、消費面を中
心に市民生活を豊かにした反面、人口の急激な増加に伴う過密化や無秩序な市街地の
拡大を招くとともに、大気の汚染や河川の汚濁等の環境汚染が深刻化してきました。
深刻な環境汚染に対しては、これまでに、「八尾市民の環境を守る基本条例」や「八
尾市公害防止条例」(昭和 55 年(1980 年)施行)を定め、環境改善に取り組んでき
ました。こうした取り組みや、事業者の環境負荷低減の取り組みにより、大気、水質、
騒音等は少しずつ改善していますが、依然として全ての地域で環境基準を達成してお
りません。
まずは、市内の全ての地域で環境基準を達成するよう、これまで取り組んできた環
境測定や、事業所の監視・指導等の取り組みを今後も継続して進めます。
さらに、環境基準を達成するために河川の親水性や生物の多様性の保全に取り組み
ます。
一方、揮発性有機化合物やダイオキシン類等の有害化学物質の排出削減、新たな環
境汚染を未然防止するための体制づくり等についても推進します。
〔行政〕
環境基準の達成に向けた取り組みを進めるとともに、すがすがしい日常生活を送る
ことができるよう、環境の改善に向けた取り組みを進めます。
大気、水質、騒音などの環境汚染に対する継続的な監視等を続けるとともに、汚染
源対策を進めます。また、化学物質等による環境汚染を防ぐため、実態把握や監視体
制の充実を図ります。さらに、下水道を普及促進させ、生活環境等の改善を進めます。
一方、市民生活や事業活動が原因となる環境汚染に関する情報提供や、環境対策へ
の支援等を充実し、市民や事業者の自主的な環境対策を促進します。
〔市民〕
自動車利用の抑制や、生活排水の適切な処理など、日常生活が原因となる環境汚染
の防止に取り組みます。また、八尾市や事業者が実施する生活環境改善の取り組みに
積極的に協力します。
〔事業者〕
環境汚染防止のため、法令による規制基準等を遵守するのはもちろんのこと、可能
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な限り、環境への負荷を小さくする事業活動に積極的に取り組みます。また、環境保
全計画の作成や環境マネジメントシステムの導入による自主管理の推進など、環境へ
の負荷の軽減に積極的に取り組みます。
事業者としての社会的責任を認識し、八尾市や地域への情報提供、八尾市が実施す
る環境対策の取り組みに積極的に協力します。
(3)快適で安らぎのある住みよいまち
八尾市は、高度成長期に人口増により、急激に市街地拡大が進んだため、公園の不
足や住宅地が密集しているなどの課題が生じています。
一方、高度成長を経て経済大国となった現在は、市民の意識として、所得、消費面
における豊かさに加え、日常生活における快適さややすらぎを求めるようになってい
ます。
ここで、八尾市には、江戸時代から続く落ち着きのある良好な景観が保存されてい
る久宝寺寺内町、市民の憩いの場所として親しまれている久宝寺緑地、豊かな自然と
眺望の得られる場所として市民に広く知られている東部山麓地域の水呑地蔵、桜並木
がきれいで春には大勢の人が訪れる玉串川など、快適で安らぎのある場所がいくつも
あります。
こうした地理的、地形的な特長を活かしながら、緑豊かな公園や水とふれあえる河
川等の整備、静かな住宅地や良好な景観の保全、歩きやすい歩道の整備など、快適で
安らぎのある住みよいまちの実現を目指します。
また、市民や事業者の自主的な清掃活動や緑化活動への支援を行うとともに、市民
団体や地域団体に公園や緑地等の管理をお願いするなど、市民や事業者と連携した取
り組みについても、積極的に推進します。
なお、東部山麓地域には生駒断層があり、直下型地震の原因となりうることから、
防災対策を推進し、災害に強いまちづくりを進めます。
〔行政〕
公園や親水空間などの都市基盤の整備、良質な景観の構築や市民の景観意識の高揚、
土地利用の適正化、高齢者・障がい者のための環境整備など、市民が快適で安らぎの
ある生活を送ることができる、住みよいまちづくりを推進します。
また、市民や事業者と連携し、快適で安らぎのある環境づくりの取り組みを進める
とともに、地域の緑化活動や清掃活動など、市民や事業者による自主的な環境改善の
取り組みを支援します。
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〔市民〕
庭やベランダ等の緑化や緑化活動に取り組みます。また、住居周辺の道路や公園の
緑化、道路や排水路の清掃など、地域の緑化・美化運動に積極的に参加します。
また、地域の景観に関心をもち、地域特性に応じた快適なまちづくりに参加します。
〔事業者〕
みどり豊かで、防災面にも配慮した施設環境をめざしてより一層の緑化を図ります。
また、八尾市や地域が実施する周辺地域の緑化活動や清掃活動にも積極的に参加、
協力します。
(4)身近な自然を大切にし、育て、ふれあえるまち
信貴・生駒山系に含まれる高安山を中心とした東部山麓地域には、豊かな自然が残
されているほか、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種となっている貴重なニッ
ポンバラタナゴなどが生息しています。
これらの自然環境や生態系は、保護・保全するだけでなく、八尾市の自然の豊かさ
の象徴として、また、環境教育や散策などで自然に親しみ、ふれあう場所としても活
用できる八尾市の貴重な財産です。
そこで、市民団体や事業者等と連携し、市民参加による東部山麓地域の自然環境と
生態系の保全を進めます。また、環境教育や自然体験の場として、八尾市の自然の豊
かさを誇るシンボルとして八尾市のすばらしさを認識してもらうきっかけとして、ま
た、森林の多面的な効果を活用し、市民一人ひとりが八尾市の自然の豊かさと価値を
認識するだけでなく、大切に思い、自然と共生する社会の実現に向けた取り組みを進
めます。
〔行政〕
定期的に自然環境調査等を行って自然の豊かさを把握するとともに、生物の生育・
生息域の連続性の保全、生態系に配慮した樹林や水辺の保全など、自然環境の保護・
保全に努めます。また、こうした自然に気軽に触れられるような施設の整備や、自然
体験・学習・活動なども推進します。
また、環境教育や自然体験の場として、自然の豊かさを誇るシンボルとして、八尾
市の自然の価値を認識してもらうきっかけとして、また、森林の多面的な効果を活用
した取り組みを進めます。
〔市民〕
動植物観察会などの自然体験学習に積極的に参加し、自然環境への理解を深めると
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ともに、豊かな自然や身近な生態系などの保護・保全活動にも積極的に参加します。
〔事業者〕
開発にあたっては、自然環境への影響をできる限り抑制し、植物・動物が生育・生
息できる環境の保護・保全に努めます。
八尾市や市民団体等が実施する自然や生態系の保護・保全の取り組みを、積極的に
支援します。
(5)個性豊かな文化とふれあいのあるまち
八尾市は、昔から交通の要衝として、各時代を通じ特色ある文化が育まれ、発展し
ており、市内のいたるところに貴重な文化財や史跡が確認されています。
このような歴史的・文化的遺産は八尾市の貴重な財産であることから、大切に保全
していくとともに、八尾らしい新たな文化の創出や、河内音頭をはじめとした個性豊
かな文化の継承を進めます。
そのため、市民や事業者に対して、八尾市の歴史的・文化的遺産の魅力や価値の情
報発信や、こうした遺産にふれあえる場所の整備、また、市民や事業者による自主的
な文化活動等への支援等を充実させます。
〔行政〕
まちづくりに文化的な視点を加え、うるおいややすらぎのある都市環境を創出する
とともに、八尾市を特徴づける歴史的・文化的遺産を守り、八尾らしい文化を次の世
代へ継承します。またこれらを積極的に発信していきます。
市民や事業者による文化活動や歴史的・文化的遺産の活用・保全等を支援します。
〔市民〕
歴史的なまち並みや文化財の保護・保全に対し、可能な限り積極的に参加します。
また八尾の文化を語り、継承していくよう努めます。
〔事業者〕
歴史的なまち並みや文化財の保護・保全に対し、可能な限り積極的に参加します。
(6)市民・事業者による環境保全活動が活発なまち
八尾市は、府内でも有数の製造業の集積地であり、古くから公害等の環境問題に直
面し、改善を積み重ねてきたという経験を豊富に持っています。府内でも先進的に市
民の力を環境保全に活用する仕組みをつくってきました。また、多くの自治振興委員
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会が組織され、府内でも先駆的に、市民が中心となった河川の環境調査や地域清掃活
動などに取り組んできたなど、地域の結びつきが強いという特長を持っています。
これからも、こうした活動を継続することに加え、環境問題の解決に向けて行動す
る市民をさらに増やしていくことに取り組みます。そのためには、全ての市民が環境
の大切さを理解するとともに、家庭、地域、学校、職場等において、自主的に環境負
荷低減の活動に取り組む人づくりを進める必要があります。
そこで、環境に関する情報提供や、学校、地域での環境教育・学習、また、平成 21
年(2009 年)に新たに稼働した八尾市立リサイクルセンター学習プラザ等を活用した
環境教育・学習を積極的に進めるとともに、市民や事業者が自主的に行う環境保全活
動を支援する制度や仕組みづくり等を推進し、環境の保全と創造に関する意識が高く、
環境保全等の活動を積極的に行う人づくりを進めます。
〔行政〕
子どもから高齢者に至るまで環境に親しみ、考える仕組みづくりを行うため、学校
教育の中で環境問題に積極的に取り込むとともに、地域住民等の自主的な環境学習を
支援します。また、環境に関する各種講座・研修・イベント等を開催し、環境学習の
普及を進めるとともに、環境保全に取り組む指導者の育成や、地域グループの育成を
進めます。
環境保全に取り組む市民団体や事業所の支援や顕彰を行い、環境保全活動の発展を
促します。さらに、市民団体や事業者同士の連携を支援し、環境保全の行動をより効
果的に実施するための協力体制の確立を進めます。
〔市民〕
八尾市や事業者が行う環境教育・学習の取り組みに積極的に参加します。また、自
ら自主的に環境保全活動に取り組んだり、八尾市や事業者と連携した環境保全の活動
に積極的に参加します。
〔事業者〕
八尾市や市民団体等が行う環境教育・学習の取り組みに積極的に協力するとともに、
環境保全活動に積極的に参加・協力します。
また、従業員に対する環境教育を積極的に実施します。
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