学力向上を目指す指導と評価 柴田町立東船岡小学校 校 目 山田 幸文 長 次 第一章 基礎・基本の確かな定着を図るための学習指導 … P1 第二章 基礎・基本の確かな定着と指導体制等 … P4 第三章 指導と評価計画の実際 … P7 第四章 特別活動における指導と評価 … P16 第五章 「総合的な学習の時間」における指導と評価 … P24 15年度政府予算案 (文部科学省関係) ★21世紀教育新生プランの着実な推進 ◇学力向上アクションプラン(49億円) *学力向上フロンティアスクール(小・中学校) 846 校→ 1692 校 *学力向上フロンティアハイスクール 0 校→ 200 校 *学習意欲向上のための総合的戦略 ◇情報教育の充実(22億円) *e-教員プロジェクト ◇特別支援教育の充実(67億円) *特別支援教育推進体制モデル事業 ◇産業教育の振興(15億円) *目指せスペシャリスト ◇英語教育の改善(11億円) *英語教員の資質向上のための研修 *スーパー・イングリッシュ・ランゲージハイスクール 16 校→ 50 校 *高校生の留学促進 *英語担当教員の派遣研修 ◇生徒指導の充実(20億円) 100 人→ 300 人 *スクーリング・サポート・ネットワークの整備 ◇信頼される教員の確保(2兆7933億円) *10年経験者研修 *第7次教職員定数改善計画の推進・第3年次 5380 人 ◇子どもたちの安全及び健康に関する 現代的課題への対応(13億円) *シックハウス対策参考資料の作成 *防犯教室(仮称)の推進 *食生活学習教材(小学校低学年用)の作成・配布 ◇家庭教育支援の充実(14億円) *子どもの発達段階に応じた「新家庭教育手帳」の作 成・配布 ★科学技術・理科教育及び科学技術理解増進活動の推進 ◇「科学技術・理科大好きプラン」等の 推進(128億円) *スーパー・サイエンスハイスクール 20 校→ 45 校 *「理科大好きスクール」20 地域× 10 校 第一章 1 基礎・基本の確かな定着を図るための学習指導 新学習指導要領のねらいから 平成14年度からの新学習指導要領が全面実施された。新しい学習指導要領は,完全学校週五 日制の下,各学校が「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し,児童生徒に学習指導要領に示 す基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせることはもとより,自ら課題を見付け,自ら学び, 自ら考え,主体的に判断し,問題を解決するなどの「生きる力」を育成することを基本的なねら いとしている。 このねらいを実現するために,次の5点を挙げている。 ① すべての子どもたちが共通に学ぶ教育内容を厳選し,一人一人の実態に応じたきめ細かな指 導の充実を図る。 ② 選択学習の幅の拡大により,それぞれの個性や能力をより伸ばす充実を図る。 ③ 学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究に主体的・創造的に取り組む態度を育 成することをねらいとした総合的な学習の時間を創設する。 ④ 自ら学び,自ら考える力を育むための問題解決的な学習指導の充実を図る。 ⑤ 善悪の判断や規範意識などをしっかり身に付けさせるとともに,よりよく生きようとする力 を伸ばすための心に響く道徳教育の充実を図る。 2 各教科等における基礎・基本の基本的な考え 教育課程の改訂のねらいについて,教育課程審議会の答申(平成 10 年)は次のように学力の 在り方について記している。 「……これからの学校教育においては,これまでの知識を一方的に教え込むことになりがちであ った教育から,自ら学び自ら考える教育へとその基調の転換を図り,子どもたちの個性を生かし ながら,学び方や問題解決などの能力の育成を重視するとともに,実生活との関連を図った体験 的な学習や問題解決的な学習にじっくりとゆとりをもって取り組むことが重要であると考えた。」 このことから,今までよりもじっくりと学習するという方針で改訂が行われている。したがっ て学習指導要領に示された各教科の目標及び内容が,これまで以上に最低基準ということが明確 になっている。 そのための基礎・基本の確実な定着を図る上で,評価の在り方と表裏一体のものと考えてよい。 一定の学年で習得させるべき内容のすべてが,どの程度,あるいはどれだけ多くの児童生徒に身 に付いた状態であるかということを考える場合,目標に準拠した評価の趣旨を生かして,児童生 徒の学習状況をきめ細かく把握し,指導の改善充実を図ることが大切である。 -1- 3 確かな学力の向上への期待 新学習指導要領は,個に応じた指導の充実に努めることにより,基礎・基本を確実に定着し, それを基に,自ら学び自ら考える力など,21世紀に通用する「生きる力」の育成を目指してい る。 (1)「確かな学力の向上のための2002アピール~学びのすすめ~」の公表 そのような新しい学習指導要領のねらいとする児童生徒の確かな学力向上のために文部科学 省では「学びのすすめ」を公表し,次の5つの方策を示した。 1.きめ細かな指導で,基礎・基本や自ら学び自ら考える力を身に付ける 各 学 校 の 取 組 国 の 施 策 ○ 国の定めている授業時数は標準であり,幅 ○ 20 人程度の少人数授業を可能とする教職 がある。学習指導を充実する観点から,柔軟 員定数改善計画を着実に実施する。 な時間割を組む。 ○ 教職 10 年経過研修制度を創設し,教える ○ 少人数授業や習熟度別指導など個に応じた プロとしての教員の資質向上を図る。 指導を大幅に取り入れる。 ○ 新世代型学習空間など,学習環境の整備 ○ 小学校において,教員の得意分野を生かし を促進する。 た教科担任制を導入する。 ○ 小学校において中高等学校の教員が教え ることを含めた教科担任制を推進する。 2.発展的な学習で,一人一人の個性等に応じて子どもの力をより伸ばす 各 学 校 の 取 組 国 の 施 策 ○ 学習指導要領の内容を十分理解できた場合, ○ 発展的な学習を支援するための教師用指 積極的に発展的な学習に取り組ませる。 導資料を作成し配布する。 ○ 次期教科書検定で,発展的な学習に係る 記述を可能にする。 ○ 教科書会社と協力して,発展的な学習で 用いる教材の開発・作成を進める。 ○ スーパーサイエンスハイスクールやスーパー・イングリッシュ・ランゲ ージ・ハイスクールを創設する。 3.学ぶことの楽しさを体験させ,学習意欲を高める 各 学 校 の 取 組 国 の 施 策 ○ 総合的な学習の時間と教科との関連付けを ○ 総合的な学習の時間における実践事例集 工夫し,学びへの意欲を高める。 を作成する。 ○ 実生活での生きた知識や経験に触れる機会 ○ 科学技術・理科大好きプランを実現する。 を増やすため,積極的に社会人を活用する。 ○ 学校いきいきプランを推進する。 ○ 具体的でわかりやすい目標を立てて,学習 ○ 科学研究費補助金で研究を推進する。 意欲を高めるための取組を工夫する。 4.学びの機会を充実し,学ぶ習慣を身に付ける 各 学 校 の 取 組 国 の 施 策 ○ 放課後の時間などを活用して補充的,主体 ○ 学校いきいきプランを活用する。 的な学習を支援する。 ○ 学校図書館図書資料の計画的な整備を図 ○ 朝の読書,始業前学習を推奨・支援する。 る。 ○ 宿題や課題を適切に与え,家庭学習の充実 ○ 様々な施設等における学習活動など,体 を図る。 験的な学習機会の充実を図る。 5.確かな学力の向上のための特色ある学校づくりを推進する 各 学 校 の 取 組 国 の 施 策 ○ すべての学校で自己点検・自己評価を実施 ○ 学校の自己点検・自己評価を制度化し実 し,教育課程や指導方法の改善の工夫を行う。 施を促進する。 ○ 全国学力調査問題を利用した取組をする。 ○ 学力向上フロンティア事業を推進する。 ○ 教育情報ナショナルセンターの取組にお ける情報の収集を図る。 ○ 具体的指標を導入し,国民にわかりやす く説明する。 -2- (2)本県学校教育の重点 宮城県としても,新学習指導要領の趣旨をしっかり踏まえ,宮城らしい教育の実現に向け て「平成14年度学校教育の方針と重点」を示した。 とりわけ,基礎学力向上の指針として以下のように掲げた。 ① 基礎学力向上を図る学習指導の推進と充実 児童生徒や学校の実態に応じた指導体制や指導方法等の工夫改善に積極的に取り組み,読 み・書き・計算などの基礎・基本の確実な定着と自ら学び自ら考える力の育成を図るととも に,評価観の転換を図り,指導と評価の一体化に努める。 〈実践の指針〉 □ 自ら学ぶ意欲や問題解決能力を高める体験的な学習や問題解決的な学習の充実 □ 少人数指導やTT,習熟度別学習など,個に応じた指導の積極的な推進と充実 □ 生徒の特性等を踏まえた選択教科の開設と補充的・発展的な学習の実施 □ 総合的な学習の時間の創設の趣旨とねらいを踏まえた指導と評価 □ 総合的な学習の時間と教科等との有機的な関連を図った基礎学力の向上 □ 地域社会との交流・連携を深め,自立と社会参加を目指す障害児教育の推進 □ 評価規準の作成と学習目標に準拠した評価 □ 児童生徒の学習状況調査及び学校の教育課程実施状況調査の実施 □ 小学校高学年における教科担任制の創意と工夫による実施 □ 基礎学力の向上を図るための教材・学習資料の作成,開発と研修の充実 ② 宮城県学力向上フロンティア事業 宮城県教育委員会では,学習指導要領のねらいとする基礎・基本の確かな定着を図るため, 指導内容や指導方法,指導体制などの工夫改善を先行的に実践研究する学校を指定し,その 研究の成果を普及することにより,県内全域の小・中学校児童生徒の学力の向上に資するこ とをねらって実践を推進している。また,少人数調査研究委嘱校により具体的な実践も始め た。 平成11年度から平成14年度まで新教育課程研究推進研究指定校の教育課程にかかわる 先導的な実践も成果を上げている。 -3- 第二章 基礎・基本の確かな定着と指導体制等 基礎・基本の確かな定着を図るためには,児童生徒一人一人の特性を十分に理解し, それに応じた指導を行うことが極めて重要となる。 具体的には,個別指導やグループ別指導などの学習形態を工夫したり,理解の状況 に応じた繰り返し指導するなどの指導方法の工夫を行ったりする対応が求められる。 また,ティーム・ティーチング,合同授業,交換授業を行ったりするなど学校が一 体となって指導体制を工夫することが大切である。 1 少人数指導の工夫 (1) 少人数指導は,1学級を2つに分けて指導することではない。ティーム・ティ ーチングの一環として行われるべきであり,あくまでも「個に応じた指導」を目 指すべきである。 (2) ① ② ③ ④ (3) 2 ティーム・ティーチングには4つの場面がある。 複数の教師が一緒に指導計画(指導案)を立てる。 協力して,指導計画の実施に必要な教材・教具を探したり,作成したりする。 協力して指導に当たる。 一緒に評価・反省する。 ※ 少人数指導に当たる教師も他の教師たちとティームを組んで,指導に当た ることになる。 「個に応じた指導」とは,子どもたちのもつ「個人差」を処遇した指導形態で 指導することであり,少人数指導もそうした指導形態の中で行われるべきである。 ① 「習熟度」,「到達度」 「完全習得学習」 (形成的評価から) 「到達度別学習」 (プリテストから) ② 「学習時間」 「自由進度学習」「無学年制学習」 ③ 「興味・関心」 「課題選択学習」「自由研究学習」 習熟度別指導の進め方 (1) 習熟度別指導は,励み学習にみられるように,子ども一人一人の進度に即した 学習を目指すだけではなく,学習における子どもの主体性を目指す方法という位 置付けが重要である。 (2) 習熟度別指導は,できる子・できない子というレッテルを貼ることのないよう に,子どもの弱点克服のための指導であることを強調する配慮と,保護者の理解 が必要である。 (3) 習熟度別指導は,階級意識を促進するのではなく,個別指導を進め,子どもた ちの自信を取り戻すための方策であることを強調する必要がある。 3 発展的な学習の取組 小・中学校では学習内容を厳選し,基礎・基本を確実に習得させるとともに,特に 中・高等学校では,選択学習の幅を拡大し,生徒の特性に応じ発展的な学習を可能と した。 文部科学省においても,平成14年8月に教師用参考資料を刊行した。 それは,個に応じた指導の充実を図るため,理解や習熟の程度に差が生じやすいと 思われる教科における学習を中心に,発展的な学習や補充的な学習を推進する際の指 導上のポイントや指導体制・指導方法の工夫改善,教材や評価の工夫などに関する内 容のものであることから,指導の充実を図る上で積極的に活用することが期待される。 -4- 4 総合的な学習の時間 この時間は,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,問題を解決する力などを身 に付けさせること,また,情報の集め方,調べ方,まとめ方,報告や発表・討論の仕 方などの学び方やものの考え方を身に付けさせることをねらっている。 「総合的な学習の時間」を進める際の視点として,学校としての目標,身に付けた い資質や能力,学年をつなぐ系統性や学年の目標,評価の観点や規準,方法なども明 確にする必要がある。 適切な評価の視点として,次の点が考えられる。 ① 学習目標から評価目標への転換 *「学習目標」·「観点設定」·「観点ごとの評価規準設定」 ② 学習活動の多様性を生かした評価 *個々の学習活動を尊重しながら,概ね共通の観点で評価を行う。 ③ 目標に準拠した評価 *評価の観点は,目標に準拠した評価の性格をもつと同時に,個人内評価の性格 ももつ。 5 評価の充実 平成 12 年 12 月教育課程審議会答申では,基礎・基本を確実に身に付ける指導と評 価の考え方を述べている。今後,目標に準拠した評価いわゆる絶対評価の考えを一層 重視していくべきということを示している。これは基礎・基本を確実に身に付けると いうことを大きなねらいとするときには,位置付けとしての相対評価より,目標に準 拠した絶対評価がより望ましいという考えによるものである。 また,平成 13 年4月には,指導要録の改善の通知が出され,ここでは,各教科の 観点として4観点を挙げているが,これは従来と変わりはない。 絶対評価はある目標に基づいて,目標に照らしながら評価をしていく。 相対評価というのは,集団の中における位置付けとして評価をしていく。 評価には,質的な評価と量的な評価がある。量的な評価は数量で表される評価であ るが,評価というものは全てが数量で表されるわけではなく,意識的なものとして捉 えていく場合がある。質をどう捉えるかを十分考慮して,その子どもの状況を評価し ていくことが大切である。 (1) 基礎・基本の定着を図る評価計画 基礎・基本の定着とは,学習指導要領に示された目標・内容を確実に習得できる ようにすることであるから,そのためには学習指導要領に示す目標に準拠した評価 をすることが必要である。 その際,各教科の単元や一単位時間の授業レベルで,4観点を基本として目標を 分析し,評価規準を設定して指導にあたることが大切である。 -5- 評価の観点 目標に準拠した評価 (いわゆる絶対評価) 評 価 結 果 1.関心・意欲・態度 A.十分満足できる 2.思考・判断 B.おおむね満足できる 3.技能・表現 C.努力を要する 4.知識・理解 評 学 習 指 導 要 領 「おおむね満足 教育の目標として,価値 評価規準 定 が吟味された教育目標や できる」 教育内容(質的拠り所) 状況 評 価 の 観 点 ご と に 分 析 学年の 評 (2) 価 単元の 規 準 評 価 一単位時間の 規 準 評 価 規 準 評価規準 評価規準は,文部科学省の初等中等局長からの通知と併せて,国立教育政策研究 所から公表した参考資料評価規準表がある。 これは,学習指導要領の目標や内容に準拠して作成されており,その意味はおお むね満足できる学習状況である。 すなわち,このおおむね満足できる状況を各教科における,基礎・基本と押さえ ることもできる。 指導計画と同様に評価計画を作成することが大切であるが,問題は,どう実際的 に日常的に,効率的に進めていくか工夫が求められる。 あまり手間がかかりすぎると機能しなくなるので,単元を通じて評価を続けてい けるようにしなければならない。学期,年間を通して継続してやっていかなければ ならない。 このような評価規準を単元の指導計画に位置付け,評価していく。そこでは,適 切な記録をとることによって,あまり手間がかからず,継続的にできるような工夫 をしていくことが大切である。 -6- 第三章 指 導 と 評 価 計 画 の 実 際 1.これからの評価の基本的な考え方 ① 学力については,知識の量のみでとらえるのではなく,学習指導要領に示す基礎的・基 本的な内容を確実に身に付けることはもとより,それにとどまることなく,自ら学び自ら 考える力などの「生きる力」がはぐくまれているかどう かによってとらえる必要がある。 ② これからの評価においては,観点別学習状況の評価を基本とした現行の評価方法を発展 させ,目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)を一層重視するとともに,児童生徒一人 一人のよい点や可能性,進歩の状況などを評価するため,個人内評価を工夫することが重 要である。 ③ 学校の教育活動は,計画,実践,評価という一連の活動が繰り返されながら展開される ものであり,指導と評価の一体化を図るとともに,学習指導の過程における評価の工夫を 進めることが重要である。また,評価が児童生徒の学習の改善に生かされるよう,日常的 に児童生徒や保護者に学習の評価を十分に説明していくことが大切である。 ④ 評価にあたっては,教育活動の特質や評価の目的等に応じ,評価の方法,場面,時期な どを工夫し,児童生徒の成長の状況を総合的に評価することが重要である。 ⑤ 評価活動を充実させるためには,各学校において,評価の方針,方法,体制などについ て,校長のリーダーシップの下,教員間の共通理解を図り,一体となって取り組むことが 不可欠である。また,各教員が,評価について専門的力量を高めるため,自己研鑽に努め たり,校内研究・研修を充実することなどが重要である。 2.「評価規準の作成,評価方法の工夫改善のための参考資料」(小中学校) -評価規準,評価方法等の研究開発(報告)- 平成14年2月 【概 国立教育政策研究所 教育課程研究センター 要】 (1) ① 「内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例」等の設定 各教科については,新学習指導要領に示す領域や内容項目等を「内容のまとまり」とし てこれらごとに「内容のまとまりごとの評価規準」及び「内容のまとまりごとの評価規準 の具体例を設定。 「内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例」は,「おおむね満足できる」と判断 される状況(B)を示すものとして作成。 ② 特別活動については,「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」 の四つの評価の観点ごとに「内容のまとまりごとの評価規準」を設定。 「内容のまとまりごとの評価規準」は,指導要録の改善通知において「十分満足できる」 状況にあると判断される場合には,○印を記入すること」されていることに対応して, 「十 分満足できる」状況を示すものとして作成。 -7- (2) 単元(題材)の評価に関する事例の提示 各学校が単元(題材)レベルの具体的な評価規準を設定したり,評価方法の工夫改善を行 ったりする際の参考に資するため,単元(題材)の評価に関する事例を提示。 【留意した点】 ① 「単元(題材)の評価規準」及び当該単元(題材)の中での具体的な学習活動に即した 評価規準として「学習活動における具体の評価規準」を提示し,それらが,どの「内容の まとまりごとの評価規準」を参考にして設定されたのかが分かるように示したこと。 ② 「指導と評価の計画」の中に,当該単元(題材)において,どのような評価方法を選択 し組み合わせたのかが分かるように示したこと。 ③ 「十分満足できる」状況(A)と「おおむね満足できる」状況(B)を判断する際の参 考に資するため ,「十分満足できる」状況(A)と判断される児童生徒の具体的な状況の 例や十分満足できると判断される際のキーワードやポイントなどを示したこと。 ④ 基礎・基本の確実な定着を図る観点から ,「努力を要する」状況(C)と判断される児 童生徒への指導の手だてや働きかけを示したり ,「努力を要する」状況(C)に至ること のないよう指導上の留意点等を示したりしたこと。 ⑤ 単元(題材)において,観点ごとにどのような総括を行ったのかについて,その考え方 や具体例などを示したこと。 (3) 観点別学習状況の評価の観点ごとの総括 ①【単元(題材)における観点ごとの評価の総括】 具体的な学習活動に即して設定したいくつかの「学習活動における具体の評価規準」ご とに評価を行い,観点ごとにそれらの評価結果を総括する。 総括の方法としては ,「学習活動における具体の評価規準」に照らして行った評価結果 のうち,最も数の多い記号がその単元(題材)における学習状況を最もよく表していると の考えに立っている。例えば,評価結果が「A,A,B」なら「A」と総括される。 「A,A,B,B」のように「A」と「B」が同数の場合については, *「A」,「B」が同数であれば「A」と総括する考え方, *「A」と総括するには「A」が過半数を占める必要があるとする考え方 がある。 なお,このような判断にあたり,評価結果の状況を数値によって表せるようにし,この 数値から総括を行う方法もある。例えば,Aを3,Bを2,Cを1とし,評価結果が「A, A,B」の状況は平均点 2.67,「A,A,B,B」の状況の平均点 2.5 という数値で表さ れる。 また,総括に当たっては,指導のねらいや授業時数,評価方法に応じて,評価規準に重 みを付けるという方法もある。 このほか,教科における学習活動や評価の観点の特性を踏まえ,学習の途中段階におい て行う評価結果や学習の最終段階において行う評価を重視して行う総括もある。 ②【学期末における観点ごとの評価の総括】 ①で総括した単元(題材)における観点ごとの評価結果をもとに行う場合のほか,単元 (題材)ごとの評価結果からではなく単元(題材)の中の「学習活動における具体の評価 規準」に照らして行った評価結果から直接行う場合も考えられる。 上記のいずれの場合とも,学期末における観点別学習状況の評価(「 A,B,C 」)を 導く総括の方法としては,上記①と同様の考え方に立つことになると考えられる。 ③【学年末における観点ごとの評価の総括】 単元(題材)における観点ごとの評価結果をもとに行う場合,単元(題材)の中の「学 習活動における具体の評価規準」に照らして行った評価結果から直接行う場合ほか,各学 -8- 期末における評価結果をもとに行う場合が考えられる。 上記のいずれの場合とも,学年末における観点別学習状況の評価(「 A,B,C 」)を 導く総括の方法としては,上記①と同様の考え方に立つことになると考えられる。 (4) 観点別学習状況の評価の評定への総括 評定が学習指導要領に示す各教科の目標に照らして学習の実現状況を総括的に評価するも のであるのに対し,観点別学習状況の各観点は学習指導要領に示す各教科の目標に照らして 学習の実現状況を分析的に評価するものであること,また,観点別学習状況の各観点は,各 教科の評定を行う場合において基本的な要素となるものであるとの両者の関係を前提とする 場合,同じ文言で示されている観点別学習状況の評価結果を総括していけば,同じ文言で示 されている評定に至ると考えることが自然である。 このような考え方に立てば,観点別学習状況の評価の評定への総括においては,4観点の 重点の置き方にかかわらず, 小学校については,4観点の評価が「A,A,A,A」であれば「3」 「B,B,B,B」であれば「2」 「C,C,C,C」であれば「1」になる 中学校については,4観点の評価が「A,A,A,A」であれば「4」又は「5」 「B,B,B,B」であれば「3」 「C,C,C,C」であれば「2」又は「1」になる 上記の場合を除き,観点ごとの重み付けが異なることがあること,また,同じ「A」 「B 」 「C」という評価結果についても,それぞれの実現状況には幅があることから,各観点ごと のA,B,Cが決まれば評定も必然的に決まるものではないと考えられる。 なお,評定への総括については, *学年末に総括した観点別学習状況の評価結果を総括し,評定とする場合のほか, *学期末における観点別学習状況の評価結果から各学期末の評定を行い,その結果を総括し, 評定とする場合,なども考えられる。 3.各学校における評価規準作成の実際 (1) 各学校における評価規準の作成,評価方法の工夫改善 ①【各学校における評価規準の作成】 自校における指導計画に基づいて,単元(題材)の評価規準,単元(題材)の中での「学 習活動における具体の評価規準」,具体的な評価方法を示すなど,単元(題材)ごとに「指 導と評価の計画」を作成することが大切。このようにして,評価を後の指導に生かすこと が可能。 また,評価活動は,各単元(題材 ),各学期,年間と継続されていくものであることか ら ,「指導と評価の計画」は,各単元(題材 ),各学期,年間にわたって作成されること が必要。 ②【各学校における評価方法の工夫改善】 各教科の学習活動の特質,評価の場面や評価規準等に応じて,ペーパーテスト,ワーク シート,学習カード,観察,作品,ノート,レポートなどの様々な評価方法の中から,そ の場面における学習状況を的確に評価できる方法を選択することが必要。 また,評価が学期末や学年末に偏ることのないよう,評価の時期を工夫したり,学習の 過程における評価を一層重視するなど,評価の場面についても工夫を加えることが大切。 ペーパーテストについては,設問のねらいを明確にし,その結果を学習の実現状況と結 -9- び付けて解釈できるよう,問題内容の更なる工夫改善が求められること。また,「知識・ 理解」に偏ることなく ,「関心・意欲・態度 」「思考・判断 」「技能・表現」など児童生徒 の資質や能力を多面的に把握できるようにすることが大切。 ③【評価の客観性を高めるために】 目標に準拠した評価の下では,評価の信頼性を高めることが一層必要であり,各学校に おいては,評価規準,評価方法について,実践の経験やその成果を踏まえながら,絶えず 見直しを行っていくことが大切。 また,評価の信頼性を高めるためには,評価規準,評価方法の見直しとともに,評価に 関する情報の共有や交換により,評価を行う教員の判断や裁量を共通的なものにしていく こと,評価に関する情報を児童生徒や保護者に対して適切に提供していくことが重要。 (2) 評価の工夫改善に当たっての留意事項 ①【基礎・基本の確実な定着】 各学校においては,学習指導の過程における評価を重視し,「努力を要する」状況とな るおそれのある児童生徒に対し,様々な働きかけや手だてを講じることが必要。さらに, 学習の過程における働きかけは行ったものの,結果として「努力を要する」状況の評価と なった児童生徒に対しては,例えば補充的な指導などの取組も必要。 ②【教師の共通理解と力量の向上】 校長のリーダーシップの下,どのような考え方で評価規準を作成し,どのような評価方 法により評価を行うのか,どのような考え方で評価の総括を行うかなどについて,教員間 で共通理解を図り,評価の信頼性を高めていくことが一層重要。さらに,各学校において は,校内研修等を通じて,教員一人一人の力量を高めていくことが求められる。 ③【保護者や児童生徒への学習の評価についての情報の提供】 通信簿等による児童生徒の学習の評価についての情報の提供はもとより,目標に準拠し た評価とはどういうものか,自校ではどのような評価の規準や方法に基づいて評価を行う のかといった情報についても,保護者や児童生徒に分かりやすく説明していくことが重要。 ④【学校間の連携・協力】 評価規準,評価方法等に関して十分な検討を行うためには,例えば,隣接する学校間や 共通の教科書を使用している地域内の学校間において連携・協力することも必要。 また,こうした取組を市町村教育委員会が積極的に支援することが考えられる。 ⑤【自己点検・自己評価への利用】 自己点検・自己評価の過程において,どのように評価規準を作成し,児童生徒の学習状 況を評価したのか,またその評価結果をどのように指導の工夫改善に生かしたのかという 点が極めて大きな意味を持つ。こうした内容を包む自己点検・自己評価の結果を公開して いくことを通じて,保護者や地域社会からの信頼を得ることもできることを,認識するこ とが必要。 4.評価過程(評価活動)について -「評価規準」作成の具体的手続きを中心に- 教育活動において ,「評価」は児童生徒の学習状況を適切に捉え,児童生徒の知的成長を一層 促すことができるようにするために必要である。当然,そのための指導の工夫改善は不断に行わ れなければならない。 教育活動におけるこの評価の必要性を前提とし,かつ,その評価結果がいろいろな場面で児童 生徒に様々な影響を与えることになることを十分に踏まえ,評価がいつでも適切に行われるよう 意図して,一連の評価過程(評価活動)を念頭に置き,評価規準の作成にあたる必要がある。 - 10 - 評 価 規 準 作 成 の 手 続 き ①学習指導要領及びその「解説」の確認,検討 留 意 す べ き 事 項 ○指導項目(ねらい)の確認,重要内容(文言)の検討 *なぜこの項目にこのような文言が盛り込まれているのか。 ○当該指導項目に関する「解説」の検討 *当該指導項目に関する説明は上記「解説」にどのように述べ られているか。 ②国立教育政策研究所版「参考資料」など参考 ○観点別学習状況評価及びその趣旨の確認 にした「評価規準」の作成 *観点及び趣旨の変更点について,なぜ変更がなされたのか。 ○学年ごと,小単元ごとの評価規準の作成 *小単元の中で,さらに項目ごとに評価規準を作成しておく必 要がないか。 ③作成した評価規準(案)の修正,吟味 ○「十分満足」と判断する視点の設定 *「十分満足」の状況と「おおむね満足」の状況の違いを明示 できるか。 ○観点ごと,領域ごとの整合性 *同一学年内で,作成した「評価規準」が観点ごとに読みとれ るか。 *同一学年内で,「評価規準」の領域ごとの整合性が図られてい るか。 *学年をとおして,観点ごとに,また,領域ごとに整合性が図 られているか。 学年をとおして,領域ごとに評価規準をとおして検討することができるような表,また,4つの 観点ごとに評価規準をとおして検討できるような表を作成 ○主要な系統的関連内容の評価規準の吟味 *主要な系統的関連内容の評価規準に整合性が図られているか。 学年をとおして,系統的関連内容に関する評価規準をとおして検討することができるような表を 作成 ○作成した「評価規準」の妥当性の吟味 *「評価規準の妥当性を吟味する場合,作成者以外の目で検討 する場を設ける。 ④年間指導計画及び「評価規準」に基づく単元 ○「次」(小単元)による学習段階の設定 の評価計画の立案 ○「次」(小単元)ごとの各段階における観点別評価の観 点の検討,位置付け ○「次」(小単元)ごとの各段階における観点別評価の評 価方法の工夫 *何を,どこで,どのように評価するかの確認,「十分満足」の 状況をどのように記録するかなど。 ⑤計画に基づく指導と評価の実践 ○指導計画と評価計画の不整合はないか,実践上の一貫 性が保持されているか *評価すべきことが適切に評価できる指導が行われるか,評価 すべきことが適切に評価できるか,評価したことが適切に記 録できるか。 *評価方法については,特にペーパーテストだけでなく,様々 な方法を工夫するとともに,記述式の設問やその反応に対す る類型等を準備しておく。 通常,評価というとき,上記の各「次」(小単元)後,或いは単元後この段階で行われる活動を想 定していることが多い。しかし,大切なのは上記①~④までのねらいの確認,「評価規準」の適切 な設定,評価方法の工夫を含む行為こそ,信頼に足る評価を保証する重要部分である。 ⑥指導と評価の実践に基づく指導方法の改善 ○評価記録に基づいて指導の在り方を振り返る ○適切な学習活動を展開できるようにするために,指導 や評価に関する結果(情報)を児童生徒と共有する ○遅れがちな児童生徒,進んでいる児童生徒に対する次 時以降の対応策を検討 *習熟の程度に応じた指導,少人数学級指導など,計画的に, 或いは必要に応じ,計画を変更することもあり得る。 ○「個に応じた指導」の実践はどのように図られたか *これまでの指導展開のどこを,どのように改善したか。 ⑦「評価規準」及び評価活動の見直し ○「個に応じた指導」で評価したことが,児童生徒に理 解を深めるために,どのように指導に生かされたか ○同単元の指導でも,学習する児童生徒は当然異なるこ とを踏まえ,「評価規準」について見直す必要がある ○評価過程の全体的な流れについて見直しする必要はな いか - 11 - 小学校算数の例 ステップ1 『量と測定』→5年「平行四辺形と三角形の面積」 (教科の目標) 算数科目標 数量や図形についての算数的活動を通して,基礎的な知識と技能を身に 付け,日常の事象について,見通しをもち筋道を立てて考える能力を育て るとともに,活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進んで生活に 生かそうとする態度を育てる。 評価の観点及びその趣旨 算数への関心・意 数学的な考え方 数量や図形につい 数量や図形につい 欲・態度 ての表現・処理 ての知識・理解 数理的な事象に関 算数的活動を通し 数量や図形につい 数量や図形につい 心をもつとともに て,数学的な考え ての表現や処理に ての豊かな感覚を 活動の楽しさや数 方の基礎を身に付 かかわる技能を身 もち,それらの意 理的な処理のよさ け,見通しをもち に付けている。 味,性質などにつ に気付き,日常の 筋道を立てて考え いて理解してい 事象の考察に進ん る。 る。 で生かそうとす る。 ステップ2 (学年の評価の観点と趣旨) 第5学年目標 (1) 小数及び分数の表し方についての理解を深める。また,小数の乗法及 び除法の意味について理解し,それらの計算の仕方を考え,適切に用い ることができるようにするとともに,分数の加法及び減法の意味につい て理解し,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。 (2) 面積の求め方についての理解を深めるとともに,基本的な平面図形の 面積を求めることができるようにする。 (3) 図形を構成要素及びそれらの位置関係に着目して考察し,基本的な平 面図形についての理解を一層深めることができるようにする。 (4) 百分率や円グラフを用いるなど,統計的に考察することができるよう にするとともに,数量の関係を式で表したり,式をよんだり,その関係 を調べたりすることができるようにする。 第5学年の評価の観点の趣旨 算数への関心・意 数学的な考え方 数量や図形につい 数量や図形につい 欲・態度 ての表現・処理 ての知識・理解 数量や図形の性質 算数的活動を通し 小数や分数の計算 数量や図形につい や関係などに着目 て,数学的な考え が確実にでき,そ ての感覚を豊かに して考察処理した 方の基礎を身に付 れらを用いるとと するとともに,小 り,論理的に考え け,論理的に考え もに,図形の面積 数や分数の計算の たりすることのよ たり,発展的,統 を求めたり,図形 意味,面積の求め さに気付き,進ん 合的に考えたりす の 性 質 を 調 べ た 方,基本的な図形 で活用しようとす る。 り,数量の関係な の意味や性質及び る。 どを表したり調べ 数量の関係の表し たりする。 方や調べ方を理解 している。 - 12 - ステップ3 (学年の内容のまとまりごとの評価規準) 「A 数と計算」の評価基準 算数への関心・意 数学的な考え方 数量や図形につい 数量や図形につい 欲・態度 ての表現・処理 ての知識・理解 《国立教育政策研究所・参考資料・P82参照》 「B 量と測定」の評価規準 算数への関心・意 数学的な考え方 数量や図形につい 数量や図形につい 欲・態度 ての表現・処理 ての知識・理解 三角形,平行四辺 三角形,平行四辺 三角形,平行四辺 面積の大きさにつ 形,円の面積にか 形,円の面積の求 形,円の面積を求 いての感覚を豊か かわる性質や関係 め方を考える算数 めたり,それらを にるとともに,三 などに着目して考 的活動を通して, 用いたりすること 角形,平行四辺形, 察処理したり,論 数学的な考え方の ができる。 円の面積の求め方 理的に考えたりす 基礎を身に付け, を理解している。 る楽しさやよさに 論 理 的 に 考 え た 気付き,進んで活 り,発展的,統合 用しようとする。 的 に 考 え た り す る。 「C 図形」の評価基準 算数への関心・意 数学的な考え方 数量や図形につい 数量や図形につい 欲・態度 ての表現・処理 ての知識・理解 《国立教育政策研究所・参考資料・P85参照》 「D 数量関係」の評価基準 算数への関心・意 数学的な考え方 数量や図形につい 数量や図形につい 欲・態度 ての表現・処理 ての知識・理解 《国立教育政策研究所・参考資料・P86参照》 ※ ここまでは,国立教育政策研究所の参考資料をもとに, 全学年及び全教科の作成が容易にできる。 ※ これ以降からが,自校化の実際となる。 - 13 - ステップ4 (各単元(題材)の内容のまとまりごとの評価規準) ステップ5 (単元の指導計画と評価計画) 第5学年 (11月) 単元名 「平行四辺形と三角形の面積」 (10時間) 実践6 1 単元の目標 平行四辺形,三角形の面積の求め方を理解し,それらの面積を求めることができる。また,それ以外の図形の面積についても, 既習の図形の面積の求め方を基に考え,求めることができる。 2 単元の評価規準 算数への関心・意欲・態度 数学的な考え方 数量や図形についての表現・処理 数量や図形についての知識・理解 ○ 面 積 の 求 め 方 や そ の 考 え 方 を , ○三角形,平行四辺形の面積の求 ○三角形,平行四辺形の面積を公 ○必要な部分の長さを測ることに いろいろな場面で進んで活用し め方を,既習の求積可能な図形 式を用いて求めることができる よって,三角形,平行四辺形の ようとする。 の面積の求め方を基に考えたり ○三角形,平行四辺形の面積公式 面積が計算で求められることを ○既習の求積可能な図形の面積の 公式をつくり出したりする。 を,必要に応じて用いることが 理解している。 求め方 に帰 着さ せて 考えること ○三角形,平行四辺形以外のいろ できる。 ○三角形,平行四辺形について, で,三角形,平行四辺形の面積 いろな図形についても,既習の 底辺をどこにとるかで高さが決 を求めることができることのよ 求積可能な図形の面積の求め方 まることを理解している。 さに気付く。 を基にして考える。 3 指導と評価の計画 具 体 の 評 価 規 準 ( )内は評価方法 十分満足と判断さ 努力を要する状況 時 ねらいと学習活動 ①関心・意欲・態度 ②見方・考え方 ③表現・処理 ④知識・理解 れる状況 (A) (C)への手だて 平行四辺形の面 ☆平行四辺形の面積 ☆平行四辺形の面積 ◎長方形の面積で ◇面積を求めるこ 積の求め方を考え を既習の図形の面 の求め方を既習の 学習した内容を とができる図形 る。 積と関連付けて求 長方形の面積に帰 この欄は虫食い状態であるが, 積極的に生かし を想起させ,平 1 *平行四辺形の面 めようとする. 着させて考える。 いわゆる,その時間のねらいに 関連付けようと 行四辺形との関 積の求め方を既 (調べたり発表した (調べたり発表した 応じた「おおむね満足と判断さ している。 連に着目できる 習の図形の面積 りする様子の観 りする様子の観 れる状況」の4観点の重点化と ◎考え方や方法を ようにする。 の求め方に帰着 察) 察,ノートへの記 おさえる。 分かりやすく筋 して考える。 述の観察) 道を立てて説明 している。 平行四辺形の面 ☆等積変形した長方 ☆平行四辺形の面積 ◎ 考 え 方 や 方 法 を ◇ 等 積 変 形 し た 長 積公式をつくり, 形の縦と横の長さ 公式を理解してい 分かりやすく筋 方形の縦と横が 面積公式の意味を に着目して,平行 る。 道を立てて説明 もとの平行四辺 2 理解している。 四辺形の面積公式 (ノートへの記述の している。 形のどの部分に *平行四辺形の面 を考える。 観察,ペーパーテ ◎ 平 行 四 辺 形 の 底 あたるかに着目 積を求める公式 (学習活動の観察, スト) 辺と高さが分か できるようにす を考える。 ノートへの記述 れば面積が求め る。 の観察) られることを理 解している。 高さが平行四辺 ☆高さが平行四辺形 ☆高さが平行四辺形 ◎ 公 式 を 用 い て , ◇ 平 行 四 辺 形 の 底 形の外にある場合 の外にあっても, の外にあっても, 面積を手際よく 辺がどこで,そ でも,平行四辺形 面積公式を用いて 面積公式を用いる 求めている。 の底辺に対する 3 の面積公式を用い 面積を求めること ことができる理由 ◎ 平 行 四 辺 形 の 底 高さはどこかに ることができるこ ができる。 を理解している。 辺と高さに当た 着目できるよう とを理解する。 (ノートへの記述の (ノートへの記述の る部分を的確に にする。 *高さが平行四辺 観察,ペーパーテ 観察,ペーパーテ 見いだしている。 形の外にある場 スト) スト) 合の面積を求め 方を考える。 - 14 - 平行四辺形の高 さを一定にして, 底辺の長さを変え 4 たときの底辺と面 積の関係を考え る。 *高さが一定の平 行四辺形で,底 辺の長さを1㎝ 2㎝…5㎝と変 化させたときの 面積を考える。 三角形の面積の ☆三角形の面積を既 求め方を考える。 習の図形の面積と *三角形の面積の 関連付けて求めよ 5 求め方を既習の うとする。 図形の面積の求 (調べたり,発表し め方に帰着して たりする様子の観 考える。 察,ノートへの記 述の観察) 三角形の面積公 式をつくり,面積 公式の意味を理解 6 している。 *三角形の面積を 求める公式を考 える。 7 8 9 10 ☆高さが一定の平行 四辺形において, 底辺の長さと面積 とがどのような関 係にあるかを調べ たり考えたりする (学習活動の観察, ノートへの記述の 観察) 教師が用意しておくべき主な 具体的な手だてをできるだけ 記載しておく。 努力を要する児童については 十分な準備が必要である。 文部科学省 「個に応じた指導に関する指 導 資 料 」( 補 充 的 な 学 習 の 展開)の事例なども積極的 に取り入れたい。 ☆三角形の面積の求 め方を既習の図形 の面積に帰着させ て考える。 (調べたり,発表し たりする様子の観 察,ノートへの記 述の観察) ☆倍積変形した平行 四辺形の底辺の長 さと高さに着目し て,三角形の面積 公式を考える。 (学習活動の観察, ノートへの記述の 観察) 高さが三角形の 外にある場合でも 三角形の面積公式 は,適用できるこ とを理解する。 *高さが三角形の 外にある場合の 面積の求め方を 考える。 三角形,平行四 ☆三角形,平行四辺 ☆三角形,平行四辺 辺形の面積の求め 形の求積方法を活 形以外の図形の面 方を生かしていろ 用して問題を解決 積を,三角形,平 いろな図形の面積 しようとする。 行四辺形の面積の の 求 め 方 を 考 え (学習活動の観察, 求め方を基に考え る。 ノートへの記述の る。 *三角形,平行四 観察) (学習活動の観察, 辺形以外の図形 ノートへの記述の ☆高さが三角形の外 にあっても,面積 公式を用いて面積 を求めることがで きる。 (ノートへの記述の 観察,ペーパーテ スト) ◎図,表や言葉を ◇表を作らせ,底 用いて,底辺と 辺の長さが1㎝ 面積の変化の様 のとき面積がい 子を的確にとら くつになるかと え表現している。 い う よ う に 順 序 よく考えられる ようにする。 ◎長方形,平行四 ◇面積を求めるこ 辺形の面積で学 とができる図形 習した内容を積 を想起して,三 極的に生かし関 角形とその図形 連付けようとし との関連に着目 ている。 できるようにす る。 ☆三角形の面積公式 ◎ こ れ ま で の 学 習 ◇ 倍 積 変 形 し た 平 を理解している。 を基にして,新 行四辺形の底辺 (学習活動の観察, しい公式を自ら と高さが,もと ノートへの記述の 工夫しつくりだ の平行四辺形の 観察) している。 どの部分にあた ◎三角形の底辺と るかに着目でき 高さが分かれば るようにする。 面積が求められ ることを理解し ている。 ☆高さが三角形の外 ◎ 公 式 を 用 い て , ◇ 三 角 形 の 底 辺 が にあっても,面積 面積を手際よく どこで,その底 公式を用いること 求めている。 辺に対する高さ ができる理由を理 ◎ 三 角 形 の 底 辺 と がどこかを考え 解している。 高さに当たる部 られるようにす (ノートへの記述の 分を的確に見い る。 観察,ペーパーテ だしている。 スト) ☆三角形,平行四辺 ☆三角形,平行四辺 ◎ こ れ ま で に 学 習 ◇ 三 角 形 , 平 行 四 形の面積公式を活 形の面積公式を理 した内容を積極 辺形の面積を求 用して面積を求め 解している。 的に生かし関連 める方法の意味 ることができる。 (学習活動の観察, 付けようとして を振り返り,意 (学習活動の観察, ノートへの記述の いる。 味理解を深める ノートへの記述の 観察,ペーパーテ ◎ こ れ ま で の 学 習 ようにする。 観察,ペーパーテ スト) を基にして,新 ◇三角形,平行四 スト) しい問題解決の 辺形以外の図形 - 15 - の面積を工夫し て求める。 観察,ペーパーテ スト) 活用と工夫 文部科学省 ★「個に応じた指導に関する指導資料」 (発展的な学習の展開) 事例9:台形やひし形の面積の求め方を 工夫しよう 実践7 (評価の総括と評定) ① 評 価 記 録 簿 へ の 蓄 積 と 単 元 の 評 価 の 決 定 ( 単 元 の 総 括 )) 時 間 1 2 3 4 5 6 観 点 関考表知関考表知関考表知関考表知関考表知関考表知 1 なまえ 32 3 2 32 3 32 2 3 2 ・・ 23 2 2 33 3 33 3 3 3 ・・ 11 2 2 12 2 21 ② 2 2 4 ・・ 22 2 3 22 2 22 2 2 5 ・・ 32 2 3 32 3 ③33 2 3 6 ・・ 23 3 2 32 3 23 3 3 32 ・ ・ 33 2 2 32 3 32 3 7 平 3 評価計画になくても 評価する場合がある ■ 関 3.00 2.33 1.29 2.00 2.75 2.00 考 2.75 2.75 2.00 2.00 2.75 2.75 均 表 2.75 2.25 1.75 2.00 2.25 2.75 知 2.75 2.75 2.25 2.33 2.75 2.75 観点別評価 評定 関 考 表 知 A A A A 3 B A B A 3 C B B B 2 B B B B 2 A A B A 3 B A A A 3 3.00 2.75 2.75 3.00 A A A A ※平均値を四捨五入 して 3点→(A) 2点→(B) 1点→(C) ② 観点別学習状況の評価・評定(各学期から学年末の総括) 学 期 1 学 期 単 元 ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 観 点 関考表知関考表知関考表知関考表知関考表知関考表知 1 なまえ AAAA 2 ・・ BABA 3 ・・ CBBB 32 ・ ・ *一斉 *グループ *T・T *少人数 方法を自ら工夫 して考えている。 ◎いろいろな図形 の面積を求める 過程で,面積公 式を手際よく用 いている。 ◎面積公式を用い るには,何が分 かればよいのか を理解している。 Aを3点 Bを2点 Cを1点 2・3学期 1学期総括 関 考 表 知 評定 AAAA 得点と学期(学年)の観点別評価の相関表 得 点 単元の評価 2.5 以 上 3 以 下 A 1.5 以 上 2.5 未 満 B 1 以 上 1.5 未 満 C ■ - 16 - 得点と学期(学年)の評定の相関表 得 点 単元の評価 2.5 以 上 3 以 下 3 1.5 以 上 2.5 未 満 2 1 以 上 1.5 未 満 1 特 を,面積を求め ることができる 図形に分割する ことができない かどうかに着目 できるようにす る。 記 事 項 特記事項が 単元の評価 に影響する 場合も考え られる。 個人内評 価にも活用 する。 3 と換算し 合計点が 10~12 → 3 7~ 9 →2 4~ 6 →1 学年末 特記事項 関 考 表 知 評定 評定へ総括する際 4観点に重み付けをする 場合,その部分の得点を2 倍して平均するという方法も ある。 ただし,学年末には4観点 が,バランスよく評価で きるように配慮する。 ステップ8 (指導と評価の見直し) 目標に準拠た評価(いわゆる絶対評価)の目指す視点 ◎ 児童生徒一人一人の進歩の状況や教科の目標の実現状況を的確に把握 し,学習指導の改善に生かすため ◎ 学習指導要領に示す内容を確実に習得したかどうかの評価を一層徹底 するため 指導方法の見直し 評価規準・評価方法の見直し 5.評価規準・小項目の各学年関連表(中学校数学科・一部抜粋) A「数と式」領域 解の意味 解き方 利 用 第1学年 一元一次方程式及びその 等式の性質と一元一次 一元一次方程式の利用 解の意味 方程式の解き方 第2学年 連立二元一次方程式とそ 連立二元一次方程式の 連立二元一次方程式の利用 の解の意味 解き方 第3学年 二次方程式とその解の意 二次方程式の解き方 二次方程式の利用 味 第1学年 C「数量関係」領域 関 係 比例,反比例の関係 特 徴 比例,反比例の特徴 第2学年 一次関数の関係 一次関数の特徴 第3学年 関数 y=ax の関係 2 2 関数 y=ax の特徴 利用・活用 比例,反比例の見方や考え 方の活用 一次関数の利用 方程式とグラフ 2 関数 y=ax の利用 関心・意欲・態度 見方や考え方 表現・処理 知識・理解 【比例,反比例の特徴】 ・比例,反比例に関心 ・比例,反比例の特徴を ・比例,反比例の関係を, ・変化や対応の様子, をもち,表,式,グ 表,式,グラフなどを 表,式,グラフなどで グラフの形,y=ax や ラフなどを用いて, 用いて考えることがで 表現したり,その特徴 y=a/x の a の意味な その特徴を調べよう きる。 を読みとったりするこ ど,比例,反比例の とする。 とができる。 特徴を理解している。 ・座標を用いて,平面 上の点が一意的に表 されることを理解し ている。 【一次関数の特徴】 ・一次関数に関心をも ・一次関数の特徴を表, ・一次関数の関係を表, ・変化の様子,グラフ ち,表,式,グラフ 式,グラフなどを用い 式,グラフなどで表現 の形, y=ax+b の a,b などを用いて,その て考察することができ したり,その特徴を読 の意味,変化の割合 特徴を調べようとす る。 みとったりすることが の意味など一次関数 る。 できる。 の特徴を理解してい ・一次関数の変化の割合 る。 を求めることができる 2 【関数y=ax の特徴】 2 2 2 ・関数 y=ax に関心を ・関数 y=ax の特徴を表, ・関数 y=ax の関係を表 ・変化の様子,グラフ 2 もち,表,式,グラ 式,グラフなどを用い 式,グラフなどで表現 の形,y=ax の a の フなどを用いて,そ て考察することができ したり,変化の割合に 意味,変化の割合の 2 の特徴を調べようと る。 着目するなどしてその 意味など,関数 y=ax 2 する。 ・関数 y=ax を「二乗に 特徴を読みとったりす の特徴を理解してい 比例する関数」とみる ることができる。 る。 ことができる。 - 17 - 6.評価の適切な補正 「次」(小単元)ごとの評価から,これを単元の評価への総括の仕方 生徒 次 関・意 見・考 表・処 知・理 1次 B B B B 2次 B B CB CB S1 3次 B C C C 4次 個に応じた指導 単元 B C C C 1次 B BA BA A 2次 B BA A A S2 3次 BA A A A 4次 個に応じた指導 単元 B A A A 1次 BA B BA A 2次 BA B BA B S3 3次 A A B B 4次 個に応じた指導 単元 A B B B 教 師 記 録 例 ・2次〔表・処〕CBは,2次の学習では連立二元一次方 程式を加減法や代入法で解くことができなかったが,4 次の個別指導の結果,計算ができるようになったので評 価の補正を行った。 ・3次〔見・考〕は,求める数量をそのままx,yと置い て式を作ることができないためCである。 ・2次では ,〔見・考〕がBであるように,自分の力では加 減法や代入法を見いだすことはできなかったが,その理 解は正確であり解き方も工夫してあり,能率的に解を出 すことができていることから ,〔表・処〕及び〔知・理〕 はAとした。 ・3次〔関・意〕のAは,第9時の課題解決の場面での机 間指導で「速さ,時間,道のりの関係を使って四つの未 知数を二つの文字で表し,連立二元一次方程式を使って 解こうとしている」状況を見取り評価したものである。 これは ,〔見・考〕にも当然つながって理解を深めている ことから,〔見・考〕の評価もAとした。 7.学習を発展的に展開するための「きっかけ 」(評価に結びつける観点から,中学校数学を例に) 1 □ □ □ □ □ □ □ □ 2 □ □ □ □ 3 □ □ □ □ □ 解決過程,解決結果に,明らかな問題点がある場合 ●つまずきや誤りから生徒が何を根拠にどう考えたのかを知る。 根拠(どうして)や意図(なぜ)の確認 *何を(どこを)もとにしたの? それはなぜ? 表現の確認と変更 *何を用いて表したの? 他の表し方はない? (具体物,図・式・表・グラフ,コンピュータなど) 操作や処理の手順の確認 *どのような順序で考えたの? 相違の確認 *他の人の考えとの違いは? 誤りやつまずきの確認 *困ったところ,足りないところ,分からないところは? 共感的な理解 *他の人は○○さんがどうしてそう考えたのか分かった? 反例の確認 *○○さんの考えが正しいとして同じように考えると… 肯定的な評価 *そのように考えたら確かにそうだ。○○さんの考 えがあったから,△△さんの考えのよさも分かったね。 大筋で妥当な解決が図られた場合 ●解決活動を改めて振り返り,別な解決方法を考える。 解決活動の振り返り *次に同じ問題がでたら簡単にできる? *何が分かったかな。そこから何か言えない? 解決のアイデアの検討 *どうしてそう表したの? 何に着目したの? 解答の妥当性の確認 *その答えで本当にいいの? *別の方法や表し方でも,同じ答えは得られない? 特殊と一般の検討 *その結果,何が分かったの? 一般化できない? *問題を換えても,考え方は変わる?変わらない? *同じように解ける問題を作ってごらん。 *他の場合でも,同じ結論になる? 学習成果をより確かにする場合 ●結果が得られてからの学習を大切にする。 学んだことのよさの確認 *解決できたのは,何を学んでいたからかな? 他の考えとの比較 *友達の考えのよさは何か? 次に使ってみたい考えは? 学習内容の確認 *どこまで分かって,何が分からない? 学習内容の成立範囲の確認 *どんなとき,この答えが成り立たなくなるか? *条件を変えると,結果はどう変わるか? *結論を変えるには,条件をどう変えるか? 技能の習熟 *パッとできないとこまるのは何かな? - 18 - 第四章 特 別 活 動 に お け る 指 導 と 評 価 1.これからの特別活動 (ゴシック体;新) 目標 小 学 校 指導要領 望ましい集団活動を通して, P5 ・心身の調和のとれた発達と個性 の伸長を図る。 ・集団の一員としての自覚を深め 協力してよりよい生活を築こう とする態度を育てる。 ・自主的,実践的な態度を育てる。 《現行どおり》 学級活動 『学級活動においては,学級を単 位として,学級や学校の生活の充 実と向上を図り,健全な生活態度 の育成に資する活動を行うこと』 (2) 希望や目標をもって生きる態度 の育成 前回 ‚ 「不安や悩みの解消」 「意欲的な学習態度の育成」 学校図書館の利用 前回 ‚ 「学校図書館の利用や情報の適切 な活用」 心身ともに 健康で安全な生活態 度の育成 学校給食と 望ましい食習慣の形 成など 活動の形態(現行どおり) (1)話合いの活動 (2)係の活動 (3)集会の活動 【キーワード】 *人間関係づくり *学級づくり *自己表現 *コミュニケーション能力 *ロールプレイング *話合いやディベート *パネルディスカッション *ブレーンストーミング 等 中 学 校 指導要領 望ましい集団活動を通して, P8 ・心身の調和のとれた発達と個性 の伸長を図る。 ・集団や社会の一員としてよりよ P 12 い生活を築こうとする態度を育 てる。 ・自主的,実践的な態度を育てる。 ・人間としての生き方についての 自覚を深め,自己を生かす能力 を養う。 P 22 『学級活動においては,学級を単 P 25 位として,学級や学校の生活への 適応を図るとともに,その充実と 向上,生徒が当面する諸課題への 対応及び健全な生活態度の育成に P 24 資する活動を行うこと』 イ 学級を場として,学級や学校の 生活への適応を図る活動であ る。 ウ 集団や社会の一員として カ 社会性・公民性指導 ガイダンス機能 2 活動内容 ( 1) 学校における多様な集団の生 活の向上など (2)ア 青年期の不安や悩みとその解 決,自己及び他者の個性の理解 P 33 と尊重,社会の一員としての自覚 と責任,男女相互の理解と協力, 望ましい人間関係の確立, ボランティア活動の意義の理解 など イ 心身ともに健康で安全な生活 態度や習慣の形成的な発達への 適応,学校給食と望ましい食習 慣の形成など ( 3) 学ぶことの意義の理解,自主 的な学習態度の形成と学校図書 館の利用,選択教科等の適切な 選択,進路適性の吟味と進路情 報の活用,望ましい職業観・勤 労観の形成,主体的な進路の選 択と将来設計など - 19 - P 27 P 28 P 31 P 33 P 37 P 44 P 48 備 考 小 学 校 指導要領 中 学 校 『児童会活動においては,学校の P 40 『生徒会活動においては,学校の 全児童をもって組織する児童会に 全生徒をもって組織する生徒会に おいて,学校生活の充実と向上の おいて,学校生活の充実や改善向 ために諸問題を話し合い,協力し 上を図る活動,生徒の諸活動につ てそ の 解決 を図 る活動を行 うこ いての連絡調整に関する活動,学 と』 《現行どおり》 校行事への協力に関する活動,ボ 活動内容 ランティア活動を行うこと』 (1) 代表委員会活動 P 43 2 活動内容 (2) 委員会活動 (1)オ (3) 児童会集会活動 身近な問題の解決を図るため の活動 *いじめや暴力 ( 2) ボランティア活動など社会参 加等に関する活動 クラブ 『クラブ活動においては,学年や P 50 活動 学級の所属を離れ,主として第4 廃止 学年以上の同好の児童をもって組 織するクラブにおいて,共通の興 味・関心を追求する活動を行うこ と』 《現行どおり》 *部活動との関連を考慮 P 56 *学校週5日制を考慮 時数 年間,学期ごと,月ごとなどに 適切な授業時数を充てるものとす る。(年間総授業時数 945 時間に は,含めない) 学校行事 『学校行事においては,全校又は P 59 ※小学校と同様 学年を単位として,学校生活に秩 序と変化を与え,集団への所属感 を深め,学校生活の充実と発展に 資する体験的な活動を行うこと』 《現行どおり》 児童会 活動 生徒会 活動 活動内容 指導要領 P 55 P 61 P 62 P 64 活動内容 (1)儀式的行事 (2)学芸的行事 (3)健康安全・体育的行事 (4)遠足・集団宿泊的行事 (5)勤労生産・奉仕的行事 勤労の尊さや生産の喜びを体 得するとともに, ボランティア 活動など社会奉仕の精神を涵養 する体験が得られるような活動 を行うこと。 P 61 P 62 P 63 P 65 P 66 *学校行事のための時間の取り方 P 72 (1)儀式的行事 (2)学芸的行事 (3)健康安全・体育的行事 (4)旅行・集団宿泊的行事 (5)勤労生産・奉仕的行事 勤労の尊さや創造することの 喜びを体得し,職業や進路にか かわる啓発的な体験が得られる ようにするとともに, ボランテ ィア活動など社会奉仕の精神を 養う体験が得られるような活動 を行うこと。 【キーワード】 *ボランティア活動の充実 *幼児,高齢者,障害のある人等の交流 *自然体験,社会体験 - 20 - P 67 P 68 P 69 P 71 P 73 備 考 2.特別活動の評価の特徴 集団の状況が評価の対象 ※ 特別活動の目標が,望ましい集団活動を通して,望ましい集団をつくることに起因 指導体制が評価の対象 ※ 年代の異なる教師集団による学年の教育活動(職場体験,修学旅行)などに起因 3.特別活動の評価における留意点 ① 「学級活動」,「学校行事」,「生徒会活動」を通して,どんな資質や能力を得たか,どう伸びたか という活動の実現状況だけでなく,その時々の活動にどれだけ取り組んだかという「活動状況その もの」を評価する。 ②【評価規準の作成】 ・特別活動の評価に関する資料は比較的少ない。 ・内容,目標,内容の取扱い方は示されているが,教科に比して茫漠としている。 ・学校,生徒によって活動が異なる。 ※その中で,一律ではない評価規準を作成することになる。 ③【評価の趣旨】 ・一人一人の全人的な発達を,多角的に見ていく。 ・その観点として,「心身の調和のとれた発達」 「個性伸長,自主的・実践的な態度の育成」 「生き方の自覚を深める」 「自己の能力を生かす能力を深める」 ④【絶対評価】 ・教科の評価とは構造が違うので,観点別評価のようにABC評価ではない。 ・十分満足できる場合には○,そうでないときには空欄。 ・観点を明確にして,趣旨に照らして絶対評価で行う。 ・○が付かなかった場合, Ì「クラスや生徒会等で,生徒の活躍できる場があったか?」 Ì「活動の雰囲気がどうだったか?」 Ì「指導の在り方に問題はなかったか?」 等の視点で,指導と評価の見直しや改善を図る。 ◎ 「○」が付かない場合でも,総合所見欄の中には,個々の生徒の取組のよさや可能 性について,適宜見届けたことを記載する。《個人内評価》 ⑤【自己評価】 ・自己イメージを低下させ,適切な自己評価を苦手としている生徒が増えている。 ・自己肯定感や自己有用感を持てるよう,気付かせ,伸ばせるような評価が重要である。 ⑥【評価語】 ・気付いたことは適宜生徒に返し,還元し,勇気づける。 ・一人一人の生徒のよい点や進歩の状況,指導過程における生徒の努力や意欲を積極的に取り上 げ,多面的・総合的に評価する。 ・「一生懸命がんばった」 「生き生きと取り組んだ」 「友達と仲良く活動した」というような情緒的 な表現ではなく,自分発見や自分の心が揺さぶられるような,適切な『評価語』が求められる。 ⑦【観点の明確化】 ・観点が明確でないと,改善の視点が見えてこない。 ・教師も生徒も保護者もしっかりと納得できるような観点を明確にする必要がある。 ・その活動を通して何をねらうのか。どんな力を身に付けさせるのか。 たとえば,職場体験を実施する際,1日の実施と5日間の実施の場合では,当然ねらいが異な る。 4.指導と評価の一体化 ○ 生徒の自主的・実践的な態度の状況は,常に教師の指導と深く関わる。 ○ 評価は指導改善の重要な拠り所となる。評価方法や内容を工夫し,それを指導に反映させ,指導 の充実を図ることで実践的な態度の育成に帰着する。 ○ 人間教育を目指す学習指導の一領域である特別活動の重要性を再確認し,望ましい集団活動を通 して身に付ける資質や能力の評価活動の充実に期したい。 - 21 - 5.【学級活動】の評価具体例 (平成14年度長期研修員作成) ●学級活動(1)[学級や学校の生活の充実と向上に関すること]の評価規準 関心・意欲・態度 学級や学校の生活の充 実と向上を目指して, 学級内の組織づくりや 仕事の分担処理など, 身の回りの諸問題に関 心をもち,友達と協力 して意欲的に取り組も うとしている。 思考・判断 学級の一員としての自 覚をもち,友達と協力 しながら,学級や学校 の生活の充実と向上を 目指して諸問題の解決 について考え,判断し ている。 技能・表現 話し合いの活動などに おいて,自分の考えを 発表し,友達の考えと 比較したり,役割を分 担したりして活動する ことができる。 知識・理解 話し合いの活動や係・ 集会などの実践を通し て,学級内の組織づく りや生活上の諸問題の 解決方法を理解してい る。 ●学級活動(2)[日常の生活や学習への適応及び健康や安全に関すること]の評価規準 関心・意欲・態度 生活や学習への適応及 び健全な生活態度を身 に付けるために,自己 のよりよい生活を目指 そうとしている。 思考・判断 生活や学習への適応及 び健全な生活を目指し て,自己の課題を見出 し,よりよい改善の方 法を考え,判断してい る。 技能・表現 生活や学習への適応及 び健全な生活を目指し て,自己の立てた目標 等に基づき,よりよい 方法で実践することが できる。 知識・理解 生活や学習への適応及 び健全な生活を送るこ との大切さや実践方法 などを理解している。 ① 学級活動(1)「話合い活動」の観点別評価規準 観 点 1 問題の 収集 2 共同の 問題の設 定 3 活動計 画の作成 4 5 6 評 価 規 準 ①学級や学校生活にかかわる問題に気付くこと ができる。 関 ②気付いた問題を提案することができる。 技 ③議題の条件をもとに,議題を整理することができる。 思 ④議題の選定を学級成員全員で行うことができる。 思 ⑤議題にならなかった問題の処理を適切に行うことができる。 思 ⑥活動計画の作成や資料の準備を計画委員が中心になって進めることができる。技 ⑦提案理由を話合いのよりどころとなるような内容に改善することができる。 知 ⑧提案理由を考慮した自分の考えをもつことができる。 思 ⑨早く話し合いたいという意欲をもつことができる。 関 話合い ⑩提案理由や話合いのめあてを理解した上で話合いを進めることができる。 技 ⑪みんなの考えをもとに話合いが深められる。 思 ⑫少数意見も尊重し,折り合いを付ける話合いができる。 思 ⑬決定事項を自分のものとして受け止め,早く実践してみたいという意欲をも 関 つことができる。 実践 ⑭一人一人が自分の役割に責任をもち,協力しながら実践することができる。 技 ⑮一人一人のよさを生かしながら,工夫して実践することができる。 技 まとめ ⑯活動の成果や課題を学級成員全員で確認することができる。 知 ⑰この実践を次の実践につなげようとすることができる。 関 - 22 - ② 「話合い活動」の授業実践での評価 主な話し合い活動の内容 1 2 3 4 ③ ④ 1学期の係活動を決めよう 自己PR集会をしよう 運動会のスローガンを考えよう あいさつ運動を広めよう 関心・意欲 ・態度 1 観察 2 観察 3 観察 4 観察 思考・判断 技能・表現 知識・理解 1 挙手 2 3 資料 資料 1 2 3 4 1 2 発表 資料 発表 発表 資料 資料 個人の評価 1 男 2 女 1学期の係 自己PR集 運動会のス あ い さ つ 運 活動を決め 会をしよう ローガンを 動 を 広 め よ よう 考えよう う 関 1 ○ 2 ○ 3 ○ 4 ○ 思 1 ○ 2 3 ○ 技 1 ○ 2 ○ 3 4 ○ 知 1 ○ 2 ○ 関 1 2 3 4 思 1 2 3 技 1 2 ○ 3 4 ○ 知 1 ○ 2 達成数 達成度 観点 評 (%) 評価 定 9 5 7 4 3 3 5 3 / / / / / / / / 10 7 8 5 10 7 8 5 90 71 88 80 30 43 63 60 % % % % % % % % A B A A C C B B ○ 評価について ・観点の評価 1年間を通して○の数を合計し,各観点の満点の点数に対して ・80%以上……A ・50%~79%……B ・49%以下……C ※観点の評価が「C」の場合,個別指導や話合い資料への朱筆での励まし等を続ける。 ・観点の評価の総括について ・A……3点 ・B……2点 ・C……1点 とする。 ・AAAA,AAAB,AABB(10点以上)をここでは「○」とする ・この評価に係活動の実践,集会活動の実践,および教師の意図的,計画的な指導の実践が加わ り,年度末の評定とする。 - 23 - 6.【児童会活動】の評価具体例 (平成14年度長期研修員作成) 《1年生を迎える会》 ● 児童会活動の評価の観点と評価規準及び「1年生を迎える会」における評価規準の具体例 観 点 児童会活動における評価規準 「1年生を迎える会」における評価規準の具体例 関心・意欲 学校の一員としての自覚を持ち,学校 ・1年生を迎える会のねらいを考えながら, ・態度 生活の向上を目指して,友達と協力し 建設的な話合いを進めようとしているか。 ながら望ましい行動をしようとする。 ・全校児童と一緒に楽しもうとしているか。 思考・判断 学校生活の向上のために諸問題の解決 ・最上級生として,下学年のことを考え, を目指し,集団における自己の役割を 模範となる集団行動をとっているか。 考えている。 ・集会活動を振り返って,次の活動に生か そうとしているか。 技能・表現 話し合いや集会活動など友達と活動す ・招待状や会場の飾り付けに自分の思いが る過程において,自分の考えを的確に 込められているか。 表現したり,集団活動を進めるために ・自分の役割をきちんと果たすことができ 必要な技能を身に付ける。 たか。 知識・理解 全校的な立場に立って集会活動の進め ・昨年までの経験に新しいアイディアを加 方などに関する基礎的な事項を身に付 えた計画を立てようとしているか。 けている。 ● 6年生の指導計画・評価計画 活動の流れ 事前の活動 ○代表委員会に 向けての話合い をする。 ○代表委員会の 決定を受けて, 事前の準備をす る。 実践 ○計画に沿って 「1年生を迎え る会」を行う。 振り返り ○個人ごと ○学級で 評 価 規 準 評価方法 ◎1年生を迎える会のねらいを考えなが ・教師の観 ら,建設的な話合いを進めようとしてい 察法 るか, (関心・意欲・態度) ◎昨年までの経験に新しいアイディアを 加えた計画を立てようとるか。 (思考・判断) (知識・理解) ・招待状を ◎招待状や会場の飾り付けに自分の思い 見合うなど が込められているか。 (技能・表現) の相互評価 ◎全校児童と一緒に楽しもうとしている か。 (関心・意欲・態度) ・教師の観 ◎最上級生として,下学年のことを考え,察法 模範となる集団行動をとっているか。 (思考・判断) ◎自分の役割をきちんと果たすことがで きたか。 (知識・理解) ◎集会活動を振り返って,次の活動に生 ・振り返り かそうとしているか。 (思考・判断) カードによ ◎互いのよさを認め合おうとしている る自己評価 か。 (関心・意欲・態度) ・話合い活 ◎来年度の参考になることを自分の言葉 動による相 で表現しているか。 (技能・表現) 互評価 - 24 - 支 援 ☆昨年度の様子を想起さ せながら,改善点などを 話し合えるように支援す る。 ☆1年生に対する思いが 表現できるような学級の 雰囲気つくりをする。 ☆計画に沿った活動を基 本とするが,時間などに 応じて活動計画の変更も 考えさせていくようにす る。 ☆下級生のことを考えて, 来年度の参考になる意見 を残していけるように支 援する。 ● 教師の観察による評価 活 動 事 前 実 践 振 り 返 り 評 価 規 ● 準 評 価 1年生を迎える会のねらいを考 えながら,建設的な話合いを進 A めようとしているか, (関心・意欲・態度) 昨年までの経験に新しいアイデ ィアを加えた計画を立てようと B るか。 (思考・判断) (知識・理解) 招待状や会場の飾り付けに自分 の思いが込められているか。 A (技能・表現) 全校児童と一緒に楽しもうとし ているか。 A (関心・意欲・態度) 最上級生として,下学年のこと を考え,模範となる集団行動を A とっているか。 (思考・判断) 自分の役割をきちんと果たすこ A とができたか。 (知識・理解) 集会活動を振り返って,次の活 動に生かそうとしているか。 B (思考・判断) 互いのよさを認め合おうとして いるか。 B (関心・意欲・態度) 来年度の参考になることを自分 の言葉で表現しているか。 B (技能・表現) Bさんの自己評価 め ・1年生が安心して楽しく過ごせるような あ 会にする て ・計画通りに進んでいくようにみんなで協 力をする。 で き た か な ◎○△ ・自分なりの考えを進んで発表しまし ○ たか。 ・招待状や会場の飾り付けに自分なり の思いを表現することができました ◎ か。 ・最上級生らしい態度で参加できまし ○ たか。 ・自分の役割をきちんと果たすことが ○ できましたか。 ・友達の良かったところを見付けるこ ○ とができましたか。 ・みんなと協力して,楽しい会となる ◎ ことができましたか。 感 想 ◇みんなで1年生が楽しめるような計画を立 てて,実行できたのでよかったと思います。 ◇招待状を持っていったとき,1年生の子が とても喜んでくれてうれしかったです。 ◇来年のために,アーチの花をきれいに作り 直した方がいいと思います。 ◎よくできた ○だいたいできた 7.小学校各教科等担当指導主事研究協議会(特別活動部会)より (文部科学省 初等中等教育局視学官 △もう少し 宮 川 八 岐 氏) 1.学級活動の改善と実施上の諸問題 ① 活動内容(1)はよりよい共同生活づくりの集団活動であり,生活のうねりの中で問題を見いだ し解決する活動。予想される議題例を年間指導計画の中に位置付けておく。 ② 低学年では司会や記録は難しい。教師が一緒になって活動しあまり無理をさせない。徐々に自分 たちの力でだんだんできるような指導計画を低学年から高学年までの流れで作成する。 ③ 活動内容(1)を特に重視しているので,時間配分については学級会活動に重点を置く。 ④ 学級活動の時数は「35 週以上にわたって」とあり,35 時間を下回ることはない。 ⑤ 活動内容(1)は特に1年生からの積み重ねが大切。司会は話し合いの運営,集団活動の運営の 経験という点で全員に経験させる。 ⑥ 計画委員も全員にさせる。集団運営能力や議題の選定を通して価値選択能力が身に付く。 ⑦ 「個があって集団がない」状況がどんどん進んでいる。こういう時だからこそ,学級活動が非常 に大切になってきている。 ⑧ 一人一人の思いや願いを生かすことが大切。“夢”を語り合う時間としての授業を> - 25 - 2.児童会活動の改善と実施上の諸問題 ① 年間指導計画を作成して,教師全員で共通理解しておくこと。 ② 可能な限り,子ども達の創意工夫,思いや願いを生かそうと教師が考えることにより,様々なア イデアが出てくる。 ③ 特別に子どもの活動を尊重する教育活動だから“特別活動”である。教師に限りなく子どもの活 動を尊重するという姿勢があるかどうかである。 ④ 全校遠足の中に「1年生を迎える会」を組み込むなど,学校行事との関連を図ることで相互の意 味合いや展開が違ってきて大きな効果を生むことにつながる。 ⑤ 委員会活動や代表委員会の時間がきちんと位置付けられているか。時間がないことを理由に両者 を同時に行うのは消極論である。 ⑥ 委員会活動や児童集会の活動を朝会や昼の放送などいろいろな場と関連させるなど,創意工夫は 限りなくできる。 3.クラブ活動の改善と実施上の諸問題 ① これまでとは何も変わっていない。クラブ活動の趣旨を教育課程にきちんと位置付けること。 ② クラブ活動の趣旨や特質をどれだけ大事にするかで,時数が決まる。各学校が児童の主体的活動 をどれだけ尊重するかで時数が決まる。各学校の価値選択である。 ③ 一学期等にすべて実施してしまうなどの集中方式は,趣旨にあてはまらない。 ④ 活動の時間を 20 分とか 30 分の帯状に取るのは,部活動と同じようになりそぐわない。 ⑤ 60 分を単位として活動するのは構わないが,単なる時数計算としてではなく,活動の充実とい う視点で考える。 ⑥ クラブ発表会などの発表活動を大事にしてほしい。 4.学校行事の改善と実施上の諸問題 ① 行事の精選の名目で4種類にへらすことは許されない。精選とは,種類ごとに取り上げる行事の 数を精選ことであり,5種類はどの学校のどの学年でも体験させなければならない。 ② それぞれの種類ごとに教育的価値のある行事を創造して体験させること。 ③ 今回の指導要領改訂の大きな特徴の一つは,体験重視の方向である。 ④ 総合的な学習の時間のかかわりで,各学校から遠足がなくなりつつある。遠足には独自の集団活 動としてのねらいがある。遠足には,自然や文化にふれ親しむ,視野を広げる,集団行動や公衆道 徳を身に付ける,集団づくりや学級づくりなどのねらいがあり,総合的な学習の時間でカバーしき れるものではない。遠足独自の機能がなくなってしまう。 ⑤ 修学旅行をすっぽり総合的な学習の時間に入れるのも安易で問題がある。 ⑥ 学校行事の時数は,全国的に見ると,60 時間未満(84 %),40 時間未満(22 %)で,極端には 20 時間から 80 時間までの開きがある現状である。 ⑦ 学校行事は,一時的で,集団的で,一斉的であり,総合的な体験活動である。 ⑧ 総合的な学習の時間は,総合的な体験学習である。 ⑨ 両者の関係において,関連とか,重なりとか,連結とか様々な工夫ができる。今後の課題。 - 26 - 第五章 「 総合的な学習の時間」 における指導と評価 1.評価についての基本的な考え方 (1)支援のための評価を重視する ・数値的に評価することはせず,学習の状況や成果などについて,一人一人の子どもの良い点, 学習に対する意欲や態度,進歩の状況などを踏まえて適切に評価する。 【個に応じた支援の在り方】 指 導 支 援 評 価 助 言 ・ 称 揚 ・ 励 ま し ・ 手 助 け ・ 指 示 ・ 注 意 子どもを理解する 時のポイント 教師自身のこと 一致 共感的理解 無条件的積極的配慮 【支持的風土の学級】 教師と子どもの きずな ○肯定的な見方 ○かけがえのない存在 ○気持ちの理解 ○関心・承認 ○自己一致 ○自己理解 ○自己開示 ○同行 ○信頼・安心感 ○正対 ○公平 ○自己有用感 ○守秘義務 ○傾聴 ○非言語コミュニケーション ○カタルシス ○受容 ○共感 ○褒め方・叱り方 (2)多様な評価方法を取り入れる ・観察記録,チェックリストの記録,学習カードの記入状況,製作物や作文,ワークシート等 ・評価技法例 ①ポートフォリオ評価…書類ケースに保存した子ども達の作品や評価カードなどに基 づいて行う対話的評価 ②プロフィール評価 …子どもの特性を観点別に点数化するレーダーチャートを用い た評価 ③パフォーマンス評価…子ども達の演技,実験,発表などの具体的な活動について観 察法で行う評価 ④プロセス評価 …学習過程内の成果について,5分程度で記入できるミニカー ドを用いて行う評価 ⑤プロダクト評価 …作文,絵画,ホームページ,料理など,子ども達の製作物の 出来による評価 ⑥プロジェクト評価 …現代的な課題をテーマとするプロジェクトの企画と運営の在 り方についての自己評価 ⑦パーソナリティ評価…子どもの成長の軌跡である,パーソナルヒストリーについて の評価 (3)自己評価や相互評価の工夫(後述参照) (4)評価に関するキーワード *見取ったことを粘り強く目を掛け,声を掛ける *よさや可能性を肯定的評価し,子ども同士を比較しない *子ども自身の成果に気付かせ,新たな自分発見を醸成する - 27 - 2.【進め方(選択メニュー)とその支援と評価】 (江戸川区立清新第三小学校) 進め方(選択メニュー) 支援・評価の観点 【課題の決め方】 【追究の集団】 ○課題を決めるまでに広く取材をし,できるだけイメージを広げているか 課 ①教科の発展学習として 題 ②何かトピックを求めて を (例:「水」「祭り」「遊び」) 決 ③興味・関心を大切にして め る 段 階 ①一人で ○先輩たちがどんなテーマを選んでいるか参考にしているか ②グループで ○具体的に調べたり,活動したりする中で,テーマを絞っているか ③学級で ○共通体験後の思考の広がりや深まりがあるか ④学年で ○調べたい動機と生活現実とが密接につながっているか ⑤複数学年で ⑥全校で ○自分が決めたテーマについて,さらに多面的に取材しているか ○思考錯誤する中で,つまずきを克服しているか 【追究の期間】 ○新たな疑問をもっているか ①短期 ○自分なりの疑問をもっているか ②ひと月 ○自分のオリジナリティーをもっているか 【追究の方法】 ③学期 ○電話のかけ方・インタビューの仕 《支援の方向性》 ①本で ④半年 方が分かるか(マニュアルプリント) ☆工夫してまとめるために… 追 ②テレビ・ビデオで ⑤1年間 ③新聞記事・雑誌から 究 ④インタビューしてみる ⑤アンケートをとる す ⑥インターネットで ⑦実際に行ってみる る ⑧実際にやってみる ☆学びのネットワーク化 (互いに学び合う) ○分からない言葉を調べているか ①大事なところを写す ○実験したり,体験したりして,様 ②箇条書きにしたり,アンダーラ 【支援者・情 々な視点から調べているか 報 ネ ッ ト ワ ー ○調べる順序に思考の流れがあるか ク】 ○絵・グラフ等の資料をコピーした ①校内のTT体 制 ②保護者 段 (自分にとって価値が高い) ③地域の人材 ④関係機関 階 インを引いたりする ③自分の言葉でまとめる ものを分かりやすくカラーリング ☆感想ではなく,考察が書けるよう している,または,分かりやすく にするために… 書き直しているか ①今までの知識をもとにして ○日常的に追究しているか ②調べる前の予想と比較して ○友達から学んでいるか ③他のことと関連させて ○活動後の反省(振り返りカード) ④分かったことをもとに予測して をしっかり書いているか ○次の活動の準備ができているか (「 ~の本だ」だけでなく ,「~ペー ジのどこを使うか」という見通し まで立てさせたい) 【発表の仕方】 ☆【追究の期間】 ○大事なところをはっきりさせてまとめているか ①口頭で と い う メ ニ ュ ー ○視覚的に分かりやすい資料・グラフを作成しているか ま ②紙上で(学級名簿で) と ③ポスター・資料で め ④映像で ・ ⑤実際にやってみせて 発 表 【発表の対象】 の ①同じような事を調べている 段 人に 階 ②違う内容を調べている人に ③数人のグループに が あ る よ う に , ○読み手に分かりやすい発表原稿を作っているか ここにあげた選 年 の 中 で 様 々 に ○観点をしっかり踏まえて発表したり,聞いたりしているか 組 み 合 わ せ る 事 ○分からないところを質問しながら聞いているか ができる。 ○友達の発表に共感しながら聞いているか 例 え ば , 1 学 期 ○発表者とテーマとのつながりを意識しながら聞いているか は 学 級 ご と に (=自分とのつながりにもなる) 「 水 」 に つ い て ○自分の生き方を振り返っているか 取り組み,2学 ④全員に(学級・学年) 期はグループご ⑤異学年に とに自由なテー ⑥保護者・地域の人に (文章構成・難解語句) 択 の 項 目 は , 1 ○声の大きさ,話す速さがその場に適しているか マで取り組む, といった活動も 考えられる。 - 28 - 3.児童生徒の追究心を喚起する評価の在り方について a評価の基本 ① 評定は行わない。集団に準拠した評価をしない。 ② 児童生徒の良い点,意欲や態度,進歩の状況等を肯定的に評価する。 b評価の観点例 ① 問題解決力 ② 学び方・考え方 ③ 主体性・創造性 ④ 生き方 c評価の基準例(観点に基づいて) ① 自分で課題を選んだり見付けられる。 ② 見通しをもって,解決の計画を立てられる。 ③ 計画に基づいた自力解決ができる。 ④ つまづきや困難に応じて計画を修正できる。 ⑤ 解決の過程や結果を自己評価できる。 ⑥ 学習の結果や成果を他の場面に活用できる。 d評価の配慮事項 ① 「随時評価」と「長期にわたる累積的な評価」に分ける。 ② 自己評価,相互評価,教師や保護者による評価等の共同評価を工夫する。 ③ 基本は受容,肯定,支援に据えるがあいまいさを正す,よい方向に向ける指導的側面も 重視する。 以上のことを総体的に鑑み ,「総合的な学習の時間」の評価について具体的に表現する事を想定 すると,まず,単に学習活動とそれに対する記述的な表現をするとすれば, ・生き生きと活動していた ・課題解決にむけて,一生懸命がんばった ・友達と協力して取り組んでいた ・目を輝かせて取り組んでいた というような,情緒的な記述になる 危険性がある。 下記のような一人一人の子供に即して,学習の成果や課題などを記述したり表現することが考 えられる。 【通知票等保護者向けコメントの記入例】 ◎ わが町○○町の特色を知ろうの活動では,大根づくりに大変興味をもち,役場に電話をした 《学習活動》 《学習活動への関心・意欲・態度》 り,インターネット等で丹念に調べていました。 実際に農家で取材をし,農機具や作業場を 《情報を収集する力》 写真で撮り,インタビューしたことを記録していました。 大根の甘さの秘密を探ろうと,取 《アイデアを出そうとする態度》 《課題発見の力》 材を重ねたり,様々な種類の大根を集めて比べていました。 それを,模造紙に手際よくまと 《課題を追究する力》 め,聞き手に内容が分かるように筋道立てて,農業はやりがいのある仕事だが,自然との闘い 《情報を発信する力》 であることを強調して発表しました。それが,社会の学習の「我が国の農業や水産業」で具体 《新たな課題発見》 《発展的に他教科との関連》 的な資料として大いに役立ちました。 【指導要録記入例】 ◎ 福祉施設での交流活動をとおして,人を思いやる心がはぐくまれてきた。それを契機に不得 意だった社会の学習にも意欲的に取り組むようになってきた。 ◎ コンピュータで身に付けた調べ方を生かして,地域の環境調べに進んで取り組んだ。そのこ とが,社会の学習にも生きている。今後は,この学習成果を総合的に生かしながら,効果的な まとめ方ができるようにしたい。 - 29 - 4.自己評価と相互評価 (1 )「総合的な学習の時間」は,児童生徒の自己評価の向上による自己実現を目指すものでもあ る。児童生徒の自己評価を尊重しながら,他の児童生徒との相互評価や教師の評価,保護者の 評価等をおり混ぜた,共同評価を工夫する必要がある。 (2)学習カード,評価カード,相互評価カード,共同評価の工夫 全てを兼ね備えた一枚物にできないだろうか?(試案) 【小学校高学年用】 わが町○○町の特色を知ろう 年 組 名前 平成14年 月 日( )曜日 わたしの課題: 活動場所: 気を付けること: (安全面) ○どんな表現でまとめようかな? (絵,文,ふきだし,マンガ,物語,詩……) 自己評価 新たな課題発見 ○自分なりに学習を振り返ろう ○次の時間までにすることは? めあてをもって,進んで活動できたよ 友達との話し合いに参加できたよ 新しい発見や工夫ができたよ 次の時間のめあてをしっかりもてたよ ○友達や先生に自分へのアドバイスをもらおう(付箋紙で添付) 支持的風土の学級づくりを基盤 とした,相互評価 ○先生からアドバイスをもらおう ○お家の人からの感想・意見をもらおう 情緒的な表現ではなく 一人一人を見取った表記 ○自分を振り返ったり,友人や先生,お家の人からアドバイスをもらって次の時間への決意は! 自分・友達・先生・家族からの見取りを基盤に,新たな自分発見ができ, 次の活動への意欲と探究心が醸成され,「生きる力」が育まれる。 さあ!新しい自分を発見して,次へチャレンジ!! - 30 - 5.保護者への伝達 (1)全体的な実施状況 ①保護者に伝えること ア 「総合的な学習の時間」の目標や学校や学年におけるねらい イ 学習活動の実施内容及び今後の予定 ウ 全体的な成果 ②保護者に伝える方法 ア 「総合的な学習の時間」に関する定期的な文書 イ 授業公開(随時,定期的,成果発表会等) ウ 各種文書による通知(学校・学年・学級だより等) エ 各種行事における説明(保護者会等) (2)児童生徒一人一人についての学習状況や評価 ①保護者に伝えること ア 個人的な学習状況や意欲・態度 イ 学習過程や発表で見られる成果 ウ 児童生徒の自己評価 ②保護者に伝える方法 ア 通知票(現行のものに記述式による評価欄を設ける) イ 「総合的な学習の時間」だけの通知票(名称や形式は各学校で工夫) ウ 授業公開(随時,定期的,成果発表会等) エ 保護者面談(直接保護者に伝えるとともに,質問や意見を聴くことができる) 『指導のための評価』と『子どもに開かれた評価』そして『アカウンタビリティ』 【A】 指導のための評価 = 教師にとっての評価 一人一人の子どもに基礎・基本が確実に身に付くよう,指導計画や指導方法の確認や調整 ・修正を行い,適切な評価活動を丁寧に行い,自分の指導の振り返りと改善に生かす。 【B】 子どもに開かれた評価 = 成長を促す評価 子どもの学習状況を適切に評価し,それを子どもにフィードバックし,調和のとれた成長 を促すことで,自分の到達度や特徴を知り,自分を見つめ直すきっかけや自己理解を深める ことに結びつく。 【C】 アカウンタビリティ = 共に育てるための評価 学校は,意図的・計画的・組織的(・専門的)に教育活動を展開し,子どもの成長に全責 任を担う家庭に対して子どもの発達(変容)の状況を適切に知らせて行く責務がある。 大事なことは,学校は家庭とパートナーシップを築き,学校生活における評価を家庭に伝 え,学校と家庭とが役割分担しながら共に子どもを育てていく関係をつくっていく。 *ショート・スパン・アカウンタビリティ *ロング・スパン・アカウンタビリティ (情報の提供→収集→小出しの回答→収集→…スパイラル) - 31 - お わ り に 1.「指導要録」における評価の基本の変化 (昭和36年以降現在までの「指導要録」における評価について変遷を辿ってみる) 凡例 ◎ … 基本になっている ○ … 重視されている △ … 加味されている ※ … 該当する評価項目がない 数字… 評価が何段階であるかを示す 相 絶 個 総 分 記 対 対 人 括 析 述 評 評 内 的 的 的 備 考 価 価 評 評 評 評 価 価 価 価 観点別学習状況 S36 ◎ △ ○ 3 進歩新設 S46 ◎ △ ○ 3 進歩削除 観点を定めて分析的に評価する S55 ◎ ○ 3 各 H 3 ◎ ○ 3 関心等新設 教 H13 ◎ ○ 3 科 評定 S36 ◎ △ ○ 5 の S46 ◎ △ ○ 5 学 総括的に評定する S55 ◎ △ ○ 低3 高5 習 H 3 ◎ ○ ○ 低なし 高3 の H13 ◎ ○ 低なし 高3 記 所見 S36 ○ 備考欄新設 録 S46 ○ 子どもの特徴を記述的に評価 S55 ◎ ○ 所見欄になる する H 3 ◎ ○ H13 ※この欄削除 行動の状況 S36 △ ○ ○ 評定と記録欄 S46 △ ○ ○ 記録欄削除 行 いくつかの項目から分析的に S55 ◎ △ ○ 動 評価する H 3 ◎ △ ○ 項目 の H13 ◎ △ ○ 記 所見 S36 ○ ○ ○ 録 S46 ○ ○ ○ 行動の特徴を記述的に評価 S55 ○ ○ ○ していた H 3 ◎ ○ ○ H13 ※この欄削除 活動の状況 S36 ※ 特 S46 ※ 別 いくつかの項目から分析的に S55 ※ 活 評価する H 3 ◎ ○ ○ 内容 動 H13 ◎ ○ ○ 項目 の 事実及び所見 S36 ※ 記 S46 △ ○ ○ 記録欄新設 録 活動の特徴を記述的に評価 S55 △ ○ ○ 意欲・寄与 していた H 3 ○ ○ 意欲・寄与削除 H13 ※この欄削除 参考となる諸事項 従来検査のみ H3新設 ※H13削除 総合所見及び参考となる諸事項 H13新設(個人内・記述的評価を重視) - 32 - 2.評価に関する現在の課題(ランダムに十項目) 文部科学省初等中等教育局 視学官 根本博氏による (1)評価規準の具体化について ・「国立教育政策研究所の参考資料」を引用し,内容に即した形で記述していく。 (2)4観点の比重は? ・基本的には重み付けは同じだが,全て一律ではない。(単元によっても違う) (3)数学における基礎・基本は? ・基礎・基本は計算ではない。4つの観点の総体である。 (4)補充とは? ・繰り返し,同じ指導をすることは意味がない。工夫がないといけない。 「発展の芽」であるという観点で,補充学習の活性化を図る必要がある。 (5)目標に準拠した評価 ・選択にしても,コース別にしても題材が違うので,目標に準拠しないと評価規準がいっぱい できてしまう。 ・進んでいるコースの十分満足と,遅れているコースの十分満足をどう評価するかについては, あくまで一つの準拠した評価(目標は一つ)という観点で行い,そのことを所見欄に明記す る必要がある。 (6)きめ細かい指導とは? ・少人数やTTなどの個に応じた指導法ではない。 ・全ての時間で,導入や発問等で一つ一つ疑問を積み上げ,それを解いていくことが「きめ細 かい」ということである。 (7)関心・意欲・態度について ・提出物や発表等のチェックのみで評価するのではなく,あくまで国立教育政策研究所で示し た関心・意欲・態度の評価規準に即した評価であるべきである。 ・関心・意欲・態度については子ども自身には見えない。教師にしか見えないのでいかにそれ を伝え,見えるように示していくかが,教師の役割である。 ・「関心・意欲そして態度」という意味合いで,そこには,独創性やアイデアがある。 (8)学期末の総括をどうするか? ・評価は生徒の向上を目指すものであり,従って,生徒がどこでつまづいているか明示してお かなければならない。 ・AAAAは5または4,BBBBは3であり2はつかない。ではAAACは? 学期末の評価は小単元で! 関 1.小単元 2. 3. B 1.小単元 2. 3. A 考 1単元A 2単元A 3単元C 総括はどうするか? *単元の結果だけを見ると誤差が生じる。 *小単元全てを総括して,5段階の1~5に 示す。 *それで,「AAAA」と「AAAC」での 5または4なのかが明確になる。 (9)評価基準について ・基準は量的なものであり,評価は量を含む質的なものとして「評価規準」で統一する。 (10)評価の信頼性について ・信頼性について揺らいでいる現実は当然であり,今,基礎づくりをしているのだという観点 で,専門的な見識で積み上げをしていってほしい。 - 33 - 2002年から新教育課程がスタートしました。 各学校には,創意工夫によって学校や児童,地域の実態に応じた教育課程が編成 され,特色ある教育活動の実施が期待されています。つまり,教育課程の編成と教 科経営の益々の充実が求められているものと捉えられます。 目まぐるしく変化する社会制度の基盤となる,教育の役割が極めて重要であるこ とは言うまでもありませんが,目の前の子どもは待ったなしです。「不易と流行」 を念頭に子どもの自分づくりを支援できる営みを通して,学校教育の質を高めてい きたいものです。 「教育とは人生の生き方のタネ蒔きをすること」だと言われていますが,教育哲学 者の森信三氏の言葉に「教育とは流水に文字を書くような果てない業である。だが それを巖壁に刻むような真剣さで取り組まなければならぬ」というのがあります。 真の教育は,これからがおもしろくてやりがいがあるという発想で,変革と思想 と情熱をもちたいものです。 〒 980-0845 仙台市青葉区荒巻字青葉393 宮城県教育研修センター 教科研修班 指導主事 TEL 022-227-2626 e-mail 山 田 幸 文 FAX 022-213-8635 [email protected] - 34 -
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