欧州中央銀行(ECB)による主要政策金利の引き下げ 平 成 21年 3月 9日 経済局経済統合体課 1. 欧州中央銀行(ECB)は、5日の政策理事会で、主要政策金利を2.00%から 0.50%ポイント引き下げ、1.50%とする決定を行った。昨年10月8日以降の総引 き下げ率は2.75%ポイント。なお、英中銀も5日に政策金利引き下げ(1.0%→ 0.5%)を決定。 2. 併せてマクロ経済の見通しについても発表し、実質GDP成長率見通しを-3. 2%∼-2.2%(2009年)、-0.7%から0.7%(2010年)と昨年12月の見通しより 下方修正。 決定後 (3月11日∼) 現状 主要政策金利 (主要リファイナンス・オペ金利(*)) 2.00% → 1.50% (*)ユーロシステム(ECB及びユーロ圏内の中央銀行)が定期的に行う公開市場操作 の入札において金融機関が入札可能な金利であり、ECBの金融政策スタンスを反映。 (参考1)トリシェECB総裁の発言要旨(ECB政策理事会後の記者会見) 1.概要 政策理事会は本日の会合で主要政策金利を50ベーシスポイント引き下げることを決定 した。これで昨年 10 月 8 日以降の総引き下げ幅は275ベーシスポイントとなる。本日 の決定後、物価の安定性は中期的に維持され、ユーロ圏の家計の購買力を支えると、政 策理事会は予測している。政策理事会は、引き続き中期的なインフレをしっかりつなぎ 止めておくことを確かなものとし、そのことが、持続可能な成長及び雇用を支え、金融 の安定性に寄与する。それ故、我々は、今後しばらく全ての動向を大変綿密に監視 (monitor very closely)していく。 2.経済・金融分析 (1)マクロ経済 (イ)金融市場の混乱の影響を反映し、世界中の経済活動は最近数ヵ月間にかなり弱 まり、新興市場経済にも大きな影響を与えている。高い不確実性が存在する環境にお いて、世界の貿易量は、ユーロ圏の内需の極めて大きい減少を伴い、大きく減少。 (ロ)政策理事会は、世界及びユーロ圏内需要が 2009 年には減少し、その後徐々に 回復すると予測。2009 年、2010 年ともに、年間 GDP 成長率は、大きく減少。2010 年 に予想されるゆるやかな回復は、金融システム機能回復のための政策、そして、多額 なマクロ経済刺激策の結果を反映。 ECBスタッフのユーロ圏経済見通し <2009年3月5日発表> 実質GDP (対前年比) 2009年 2010年 −3.2%∼ −2.2% −0.7%∼0.7% (−1.0%∼ (注) ( 0.0%) (0.5%∼1.5%) )内は、2008年12月4日に発表されたECB及びユーロ圏中央銀行スタッフによる見通 し。 (2)物価 消費者物価上昇率(HICP)は、4.0%のピークを記録した 2008 年半ば以降、着実 に低下している。1 月の 1.1%からは大きく変わらず 1.2%となった。 (3)東欧経済 (記者より東欧経済の経済悪化について問われ)何ら現在の枠組み(ERM、ユーロ圏・ EU 加盟に係るルール遵守)を変えないことが極めて重要。 (参考2)イギリスの政策金利の引き下げ 英中央銀行も 5 日に政策金利引き下げ(1.0%→0.5%)を決定した。なお、英中央銀行 は、利下げと併せて、市場への資金供給量拡大を狙い、750 億ポンド(約 10 兆 5000 億円)のコマーシャルペーパー(CP)等民間資産や国債を直接買い取る「量的緩和」 策に踏み切ることも明らかにした。 【参考】 主要各国政策金利 6 (%) 英国 5 4 ユーロ圏 3 米国 2 1.5% 日本 0.5% 0-0.25% 0.1% 2009/1 2008/10 2008/7 2008/4 2008/1 2007/10 2007/7 2007/4 2007/1 2006/10 2006/7 2006/4 2006/1 0 (年/月) 1 ユーロ圏は欧州中央銀行の主要政策金利、日本は翌日物コールレートの誘導目標値、 米は FF レートの誘導目標値、英はレポ・レート。 ユーロ圏の実質GDP成長率と消費者物価上昇率の推移 (%) 4.5 4.0 3.5 欧州中央銀行のインフレ参照値 (中期的に2.0%を下回るがその近辺) 3.0 消費者物価上昇率 (前年同月比) 2.5 2.0 1.5 1.0 実質GDP 成長率 0.5 0.0 3月 -0.5 2006年 6月 9月 12月 3月 6月 2007年 9月 12月 3月 6月 9月 12月 2008年 (了)
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