平成20年11月15日 於:富山市 CiCビル アユ、そして川は森と海との キューピッド 田子泰彦(富山県水産研究所) 森( 山) と 川と 海は 恋人同士!? 豊か な 海は 山か ら ー有明海の再生願い漁師が植林活動ー 佐賀県佐賀市 魚庭( な に わ ) の 森づく り で 豊か な 海を ー「 森・ 川・ 海はひと つ」 漁業者が立ち上がっ たー 大阪府貝塚市 海と 森の 縁結び ー漁業関係者がブナの苗木で森づ く り ー 青森鯵ヶ 沢町 山 は 海 の 恋人 ー漁師が 10 0 年後の豊かな 海を 目 指し て植樹ー 三重県紀伊長島町 広葉樹で 川と 海の 浄化 ー源流での植林続けて 6 年目ー 愛媛県玉川町 漁民の 森づく り 推進協議会設立 ー将来の漁業のために植林ー 山口県岩国市 水源の 森 ー豊かな川つく り 水源確保事業ー 宮崎県北川町 森林が 作り 出し た 腐植土の 持つ、 保水能力と 栄 養素は 、 川と 海に は な く て は な ら な い も の 富山湾 3km以内 期 魚 月 仔 12 ~ 10 稚魚期 1~5月 仔魚の 降下 10~12月 遡上 4 ~ 5 月 5.5km 南郷大橋 5.5km 10km 15km 水道管 仔魚期 10~12月 産卵10 ~ 11 月 仔魚の 降下 10~12月 有沢橋 10km 新保大橋 15km 20km 太田橋 な 合口ダム わ ば 新婦大橋 20km り 7 ~8 月 26km 神通川第三ダム 24km 神通川第二ダム 小牧ダム 庄川 神通川 富山湾産アユの一生 そ森 しと て海 アを ユつ な ぐ 川 54.6 庄川沖 40 40 N=313 20 0 0 40 20 頻度(%) 11月 N=84 10月 11月 N=128 20 0 0 12月 40 40 20 12月 N=277 N=109 0 神通川沖 N=405 20 40 頻度(%) 10月 20 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 標準体長(mm) 0 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 標準体長(mm) 富山湾で採集されたアユ仔魚の体長分布(2005年) 出現頻度 (%) 1992-1996年 10-12月 N=5,807 40 20 0 4 6 8 22 10 12 14 16 18 20 20 22 0 標準体長(mm) 水温、塩分 24 26 28 30 32 (℃) 34 (‰) 富山湾で採集されたアユ仔魚 の体長分布 水深(m) 5 10 水温 塩分 15 20 1996年10月29日Ý アユ仔魚が採集された表層は、塩 分躍層から上側の汽水域 庄川河口沖合1km地点 25 庄川河口付近における水温と塩分の鉛直変化 海域と淡水湖でのアユ初期仔魚の分布の違い 河口域 沖合いの浅海域 河川水の影響が強い アユ仔魚(表層) 水温・塩分躍層 河口域 中層に拡散 河川水 暖かい湖水 海水 (中層) 海底 (底層) 湖底 アユ仔魚 水温躍層 冷たい湖水 水深100~200m 富山湾でのアユ仔魚の分布水深 琵琶湖でのアユ仔魚の分布水深 アユ初期仔魚の分布は物理環境条件によって 律せられる! a. 富山湾 渚域に隣接する浅海域 (表層) 10~12月 (5-16 mm) 2.5 km 以内 ・ 回遊 ・ 分散 (表層経由) (表層経由) 河口域 分散 10~12月 ・ 渚域(波打ち際近く) (5-7 mm) 10~12月 (10-30 mm) 砂浜 ・ 川 中流域 仔魚の降海 9月下旬~11月中旬 産卵 富山湾におけるアユ仔稚魚の回遊模式図(9-12月) b. 浅海域に隣接する沖合いの海域 3~5月 (40-90 mm) ・ 富山湾 0.1 - 3 km 回遊 ・ 渚域に隣接する浅海域 ・ 1~3月 (30-90 mm) 回遊 ・ 回遊 ・ 渚域(波打ち際近く) ・ 河口域 4~5月 100 m程沖 3月下旬~5月下旬 (40-90 mm) ・ 遡上 (水温 砂浜 ≧10 ℃) 川 中流域 4~5月 (50-90mm) 富山湾におけるアユ仔稚魚の回遊模式図(1-5月) 富山湾でのアユ仔稚魚の生態特性 • 降海時期が太平洋側に比べて早い。 • 沖合方向への仔魚の分散範囲は約3km以内(大型 個体ほど岸に近いところで採集)。 • 体長約20mmまでの仔魚は塩分躍層より上の表層 (汽水域)に生息。 • 汽水域には餌が豊富で、アユ仔魚の生残や成長が 良い。 • 砕波帯へは表層を経由して蝟集。 • 砕波帯では10〜1月に、体長約30mmまでの仔魚が 生息し、水温が10℃を下回る2月以降には隣接した 浅海域へ移動。 • 河川への遡上は水温が約10℃を超えた頃に大型個 体群から始まり、海の水温が17℃を超える頃に小型 個体群で終わる。 河川・沿岸環境の激変 • ダムの構築によるアユの遡上範囲の激減 (森に届いていない?) • 低水護岸の建設や砂利採取などの河川工 事による、河道の中央化、直線化。 • 結果として、早瀬、淵の喪失。下流域におけ る礫帯の後退。 • 港や漁港それに伴う埋め立てで多くの砂浜 海岸が喪失。 10月に雨が降ると、アユが増える理由 降雨による 大出水 アユ仔魚 の生残率 の向上 陸地からの 栄養塩類 の増加 動物プラン クトンの大 発生 流量 = 栄養塩類量 汽水域 (生息域) の拡大 植物プラ ンクトン の大発生 森(山)と海をつなぐ川、そしてアユ 保水力・浄化力 山の森の木々によ り作られた腐植土 森(山) アユの遡上 腐って溶けた栄養分 は川の藻類に吸収 上・中流域の川 は清冽で豊かに (海からの栄養分を持参) 川 栄養分は順繰りに 生物に取り込まれる アユが成長 アユの遡上 と仔魚の降海 落ち葉・栄養分は川 を通じて海へ流れる 植物・動物プラ ンクトンの繁茂 藻類が繁茂 海 豊饒の海へ アユも海と森 を行き来する 河口周辺海で育つ アユの子供たち
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