衣 錦 尚 絅 - 麻布学園

図書館通信
い
きん
衣
錦
2002年度第10号
しょう
けい
尚
2002.10.23.
絅
発行:麻布学園図書館部
*「衣錦尚絅」については、図書館入り口のギャラリーに掛けられている額の解説を見てください。
本の紹介
その1
「あじあブックス」シリーズから
青木隆(国語科)
図書館に大修館書店の「あじあブックス」シリーズがはいった。現在45冊あり、なおも
刊行中である。元気のいいシリーズで、面白そうな書目が多い。まずはラインナップを紹介
する。
石川忠久『漢詩を作る』・徐朝龍『三星堆・中国古代文明の謎』・阿辻哲次『中国漢字紀行』
・野崎充彦『朝鮮の物語 』・丹羽基二『漢字の民俗誌』・二階堂善弘『封神演義の世界』・東
光博英『マカオの歴史 』・水上静夫『干支の漢字学』・向島成美『漢詩のことば』・佐藤慎一
『近代中国の思索者たち 』・小曽戸洋『漢方の歴史』・工藤隆『ヤマト少数民族文化論』・新
川登亀男『道教をめぐる攻防』・中野謙二『キーワードで見る中国50年』・水上静夫『漢字
を語る』・塘耕次『米ふつ 』・飯塚勝重『長江物語 』
・村山吉廣『漢学者はいかに生きたか』
・大庭脩『徳川吉宗と康煕帝 』・中村公一『一番大吉! 』
・山田利明『中国学の歩み』・寺井
泰明『花と木の漢字学』・勝俣隆『星座で読み解く日本神話』・井波律子『中国幻想ものがた
り 』・矢野憲一『大小暦を読み解く 』・廣田律子『アジアの仮面 』・大林太良『山の民 水辺
の神々』・瀧澤利行『養生の楽しみ 』・志賀一朗『漢詩の鑑賞と吟詠 』・川原秀城『毒薬は口
に苦し』・増尾伸一郎、丸山宏『道教の経典を読む 』
・樋田直人『中国の年画』・史樹青『文
物鑑定家が語る中国書画の世界』・加納善光『風水と身体』・武田雅哉、林久之『中国科学幻
想文学館 上下』・興膳宏『六朝詩人群像』・松本浩一『中国の呪術』・植木久行『唐詩物語』
・川越泰博 『四字熟語歴史漫筆 』・中根研一『中国「野人」騒動記 』・竹内康浩『「正史」
はいかに書かれてきたか 』・曺喜澈『現代韓国を知るキーワード77』・瀬川千秋『闘蟋』・
西川武臣、伊藤泉美『開国日本と横浜中華街』
ここでは中国の民間信仰について語る二冊、樋田直人『中国の年画』と加納善光『風水と
身体』について簡単に紹介したい。
まず『中国の年画』について。中国では新年を迎えたとき、一年の幸せを願って、年画と
いう美しい版画を家に飾る。家のドアに貼ったり、部屋の中に貼ったりする。図柄は中国の
神様や縁起のいい動物のものが多い。最も簡単なのは、日本の中華料理店にもたまに見かけ
られるが、「福」の一字を逆さまに貼ったもの。これは「倒福(タオフー )」と言い、「到福
(福に到る)」にかけているのである。この年画について、多くの写真をまじえながら紹介
・解説したのが本書である。特に本書は、著者が実際に訪れた中国の六大生産地に関する報
告が詳しい。本書を通読すれば、中国の神話や民間信仰についての知識も得ることができる。
次に『風水と身体』は、副題に「中国古代のエコロジー」とあるように、エコロジーの観
点から風水と中国医学・身体論を論じたものである。風水とは、住居や墓地を定めるときに、
最も縁起のいい場所を選び出す術である。この風水の術の中にエコロジーの考え方を見出そ
うというのが著者のねらいである。また同様の試みを中国の伝統医学に対しても行っている。
中国の伝統思想の中に現代的意義を発見しようという意欲的な書物である。
他にも二階堂善弘『封神演義の世界』・増尾伸一郎、丸山宏『道教の経典を読む』・松本浩
一『中国の呪術』などが道教を中心とする中国の民間信仰を語っているが、興味を引くもの
があれば、ぜひ手に取っていただきたい。
本の紹介
その2
竹脇 真理『勇ましく高尚な生涯』(小学館)
秋山 眞兄(数学科)
2 学期に入ってまもなく、英語科の田村先生から「秋山さんの 3 年先輩である竹脇真理さ
んの著書が復刻され、故あって知り合った彼のお兄さんが、その本を麻布に寄贈してくださ
ることになったのだけれども…」といわれました。私も実は夏休み前に本屋をのぞいていて、
この本を見つけて驚いたことを話しました。竹脇真理さんは私の麻布学園の 3 年先輩で、
同じ修養部(聖書研究部で、現在は休部状態です)に属していました。竹脇真理さんは高校 3
年生の冬に脳腫瘍で亡くなられ、その最後の 2 年弱の日記が翌年出版され、私も当時幾度
か読み返した本が、今回復刻されたのです。
今回の本には「俳優・竹脇無我氏の兄」と帯に書かれていますが、40 数年前に竹脇真理
さんと知り合ったときは「お父さんが竹脇昌作アナウンサー」ということで驚いたものです。
当時の映画館では、今でいう映画(劇映画)の前に必ず「朝日」「毎日」「メトロ」などのニュ
ース映画が上映されました。それだけではなく、ニュース映画だけを上映する映画館もあり、
よく通ったものです。そのニュース映画のアナウンサーで最も有名なのが竹脇昌作さんだっ
たからです。
竹脇真理さんの一番の想い出は、私が中学 2 年生、竹脇真理さんが高校 2 年生の文化祭
のときのことです。修養部が、アフリカで黒人への医療のために献身したことで世界的に有
名であった「シュバイツァー」について展示することになり、その準備のために竹脇真理さ
んと私が組となって活動したのです。二人でしたことは、アフリカのシュバイツァーのもと
で働いた野村実医師にインタビューに行き、その内容を摸造紙数枚に書いて展示をし、講堂
で野村医師からお借りしたシュバイツァーの記録映画を上映したことでした。その後の想い
出は、翌年の夏の八ヶ岳山麓清里での修養部合宿で、入院している竹脇真理さんにお見舞い
をかねてお土産を病院に持っていこうということになり、何にするかをかなり話し合ったこ
とです。今では何をお土産にしたのか忘れてしまいましたが…。
この夏、この本をあらためて読んでいろいろなことを感じ考えさせられましたが、ここで
は竹脇真理さんの想い出だけにとどめ、本の内容は紹介しないでおこうと思います。なぜな
ら、私が内容紹介をするより、この本を読めば生徒諸君にとって 40 数年前、同じ年齢であ
る竹脇真理さんがどのような思いをもって、かけがえのない人生の一瞬一瞬を生きようとし
たかが圧倒的に迫ってきて、誰もが多くのことを学び、また考えさせられるに違いないから
です。
図書館に何冊か置いてありますので、是非読んで下さい。
(図書館より:たくさん寄贈していただきましたので、希望者に差し上げます。もちろん、
数に限りはありますので、ともかくカウンターに申し出てみてください。)
新着・新刊図書紹介
・10/8 以降 10/21 までに登録、配架した資料を紹介します。
(マークの説明:「*」→全集・シリーズもの、「※」→寄贈図書)
☆000番台(コンピュータ関係,総記)
・反骨のジャーナリスト/鎌田慧/岩波新書/ 071-Ka
*平凡社ライブラリー
・[増補]姿としぐさの中世史 絵図と絵巻の風景から/黒田日出男/ 080-He-445
・近代国家とキリスト教/森安達也/ 080-He-446
・白菜のなぞ/板倉聖宣/ 080-He-447
*岩波ブックレット
・調査報告「学力低下」の実態/苅谷剛彦/ 081-I-578
・在宅介護をどう見直すか/佐藤義夫/ 081-I-579
*岩波書店ジュニア新書
・ゾウの歩んできた道/小原秀雄/ 081-I-J-412
・パリに生きた科学者湯浅年子/山崎美和恵/ 081-I-J-413
・万葉集入門/鈴木日出男/ 081-I-J-414
☆100番台(哲学,心理学,宗教)
*(知の攻略)思想読本 7〈歴史認識〉論争/高橋哲哉/作品社/ 108-Ch-07
・「笑い」の技術 笑いが世界をひらく/福井直秀/世界思想社/ 141.6-Fu
・陰陽道 呪術と鬼神の世界/鈴木一馨/講談社/ 148.4-Su
☆200番台(歴史,地理,旅行案内)
*日本の歴史 23 帝国の昭和/有馬学/講談社/ 210-Ni-23
*再現日本史 73,74 鎌倉・室町/講談社/ 210-Sa-073,074
・逆説のユーラシア史 モンゴルからのまなざし/杉山正明/日本経済新聞社/ 222.7-Su
・レイチェル レイチェル・カーソン『沈黙の春』の生涯/ Linda Lear /東京書籍/ 289.3-C
*(週刊朝日百科)世界100都市/朝日新聞社/ 290-A・045 フィリピン/ 046 デリーとアーグラー
*街道の日本史 32 京都と京街道/水本邦彦/吉川弘文館/ 291-Ka-32
☆300番台(社会学、経済、法律)
・ブラジル学を学ぶ人のために/富野幹雄/世界思想社/ 302.6-B
・民族幻想論 あいまいな民族つくられた人種/ Henry Stewart /解放出版社/ 316.8-S
・生命の刑法学 中絶・安楽死・自死の権利と法理論/上田健二/ミネルヴァ書房/ 326-U
・裁判官はなぜ誤るのか/秋山賢三/岩波新書/ 327.1-A
・越境する資源環境問題/唐沢敬/日本経済評論社/ 334.7-Ka
・マネーの正体 地域通貨は冒険する/ David Boyle /集英社/ 337-B
・クレジットカードの知識 /水上宏明/日経文庫/ 338.7-Mi
・非行のリアリティ 「普通」の男子の生きづらさ/大村英昭/世界思想社/ 368.7-O
・盲導犬ハンドブック/松井進/文藝春秋/ 369.2-Ma
・17 歳という病 その鬱屈と精神病理/春日武彦/文春新書/ 371.4-Ka
・変貌する英国パブリック・スクール/鈴木秀人/世界思想社/ 376.3-Su
・眼で食べる日本人 食品サンプルはこうして生まれた/野瀬泰申/旭屋出版/ 383.8-No
*民族学 101 特集:国家/国境をこえて/国立民族学博物館/千里文化財団/ 389-M-101
☆400番台(自然科学,数学,物理,化学,生物,地学)
・自然観察マニュアル/ひょうご自然教室/長征社/ 407-Hy
*科学のとびら/東京化学同人
・ゲノム解析は何をもたらすか/村上康文/ 408-Ka-42
*(岩波講座)物理の世界 統計力学 1 /佐藤文隆/岩波書店/ 420.8-IB-To01
・神への挑戦 科学でヒトを創造する/毎日新聞科学環境部/毎日新聞社/ 467-Ma
・ゾウの耳はなぜ大きい?/ Chris Lavers /早川書房/ 481.7-L
・人体市場/ Lori Andrews /岩波書店/ 490.1-A
・ゲーム脳の恐怖/森昭雄/日本放送出版協会/ 491.3-Mo
・言語の脳科学 脳はどのようにことばを生みだすか/酒井邦嘉/中公新書/ 491.3-Sa
☆600番台(産業、交通)
・花のある暮らし/栗田勇/岩波新書/ 627-Ku
・国際マグロ裁判/小松正之/岩波新書/ 661-Ko
・自動車にいくらかかっているか/上岡直見/コモンズ/ 685-Ka
・パブリック・アクセスを学ぶ人のために/津田正夫/世界思想社/ 699-Ts
☆700番台(芸術、スポーツ)
・即興伴奏のための鍵盤和声/近藤治義/ドレミ楽譜出版社/ 761.5-Ko
・和声と楽式のアナリーゼ/島岡譲/音楽之友社/ 761.5-Sh
・総合和声 実技・分析・原理(正・別)/島岡譲/音楽之友社/ 761.5-Sh-01,別
・和声 理論と実習 1,3,別巻/島岡譲/音楽之友社/ 761.5-Sh-01,03,別
・バッハからの贈りもの/鈴木雅明/春秋社/ 762.3-B
・ボレロ/ Joseph Maurice Ravel /音楽之友社/ 764.3-R
・中国映画 百年を描く、百年を読む/藤井省三/岩波書店/ 778.2-Fu
・風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡/宮崎駿/ロッキング・オン/ 778.7-Mi
・北アルプストイレ事情/信濃毎日新聞社/みすず書房/ 786.1-Sh
☆800番台(語学)
*(NHK ラジオ)英語リスニング入門、英会話レッツスピーク、新基礎英語 1,2,3
・まちがいだらけの日本語文法/町田健/講談社現代新書/ 815-Ma
2002 年 11 月号
☆900番台(文学全般)
*現代短歌全集 第 16 巻/上田三四二/筑摩書房/ 911.16-Ge-16
※愚者の旅 わがドラマ放浪/倉本聰/理論社/ 912.7-Ku
・パーク・ライフ/吉田修一/文藝春秋/ 913.6-Yo
・運命の足音/五木寛之/幻冬舎/ 914.6-I
*司馬遼太郎が考えたこと 13(1985.1 ∼ 1987.5)/司馬遼太郎/新潮社/ 914.6-Sh-13
・小林秀雄全集 別卷 1,2 /小林秀雄/新潮社/ 918.68-Ko-別 1,別 2
*保田與重郎文庫 29,30 祖国正論 1,2 /保田與重郎/新学社/ 918.68-Ya-29,30
・トールキンによる『指輪物語』の図像世界(イメージ)/ Wayne G. Hammond /原書房/ 933-To
☆参考図書コーナー
・人口大事典/日本人口学会/培風館/ R-334-Ni
☆Audio Visualソフト
・エル・スール(原題:El Sur)/ Victor Erice /東北新社/ D-洋-エ
・12 人の怒れる男(原題:12 Angry Men)/ Sidney Lumet / 20 世紀フォックス/ D-洋-ジュ
・マルメロの陽光(原題:El Sol del Membrillo)/ Victor Erice /紀伊国屋書店/ D-洋-マ