貨幣本質に關する若干の問題

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
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貨幣本質に關する若干の問題
高田, 保馬
經濟論叢 (1937), 45(4): 486-500
1937-10-01
http://hdl.handle.net/2433/131012
Right
Type
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Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
a第三凋掃偉物混可
大正四岨六局=守R惇 均 一 園 - 日 直 骨 }
静嗣撞車
新刻天工開物及支那工業管開
資金とその日豆定・:;
貨幣本質に開ナる若干の問題
輔
取
吉彦
法草博士財部静治
器皐博士小島昌太郎
文第一博士高田保馬
特筆博士谷
にl
串宵圃品開聞
原料統制と輸入統制
府間
4
議
新着外園経済雑誌主要論題
附鋒
ナヂスに於ける困民共同膿の理論 :ji--経済事土中川典之助
移住統計法・・::・・縄済事土青盛和雄
大都市近郊の農村・-空間搭土問杉競
出
町
ケインズの﹃一般理論﹄に闘する諸問題 ・ 経 済 翠 士 柴 田 敬
チュルゴ!の租税論-・:・ Ei--: ・ ・ 纏 一 持 率 土 島 恭 彦
再保険亭設の愛展;・・・:::経済畢土佐波宣干
開
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示日冒首
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司一十&j戸寸
辛 子 宮 量 目 ー-
第四十五巻
四八六
第四競
四六
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馬
貨幣本質に闘する若干の問題
保
氾北部特立たる見仰が桃山荻せられと居。、 それと丸に胤九に刻する&按乃
貨幣本質に関する若干の問題
についザ
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ものを得る。此際‘甲は一旦共有する Aを丙の欲する
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間政
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と交挟し、 B を間接的なる媒介としてじを得た。二間接
とき、直接交抽出は全く行はれ臥。たいお叩が Aを乙の B と交換し、 B を丙の C と交換するときに、各人は其欲する
乙ろに、交換が可能にせられる。例へば甲は Aを以てC を、乙はBを以て Aを、丙はじを以て Bを得ょうとする
取除かるるといふことには少くも次の=一のととが意味せられてゐる。一直接交換によっては交換の行はれぎると
左らねが、それは期し難いことである。そこで間接交換が生じてとの困難がとり除かるることに友る。此困難が
求が北ハ財の種類に於て‘交換比率に於て、数量に於て、時に於て、揚所に於て、 丁皮相一致し相補充し左ければ
﹁交換ははじめ直接交換の形に於て行はれた。けれども此交換形式は種々友る不使を含む。交換するものの要
左い)。
私は近頃、ある必要に舷じて.自己の見解を、此問題に闘する限り、次の如くに述べてゐる (未だ公にしてぬ
の批評又は批評として受取るべきものも輿へられ℃ゐる。 とれについて、再考の結某を述べようと忠ム。
貨幣と﹂公放との院
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3
1
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交換は此の如︿、財の種類の上から来る困難を取除くのみならや、交換比率、数量、時間、場所等に伴ふ共他の
nを、乙がC を、従って各異なれる財をか、る媒介として使用する
困難をも除︿ことになる。 このことは、甲が n
ことによっても、⋮速成せられねはやはない。けれども・例へば甲が川をB と交換する代りに、極めて需要の多い
M と交換し、然る後此M を共欲するものと交換するとき、目的は更に容易に建せられる。一--交換は各主慌が極大
の浦足を求むる震に行はるるのであるが、此目的から間接の交換は必然に成立する。 A B C三財が交換せらるる
3
とする。直接交換?#が行はるると‘ A B、B C、i cの附に士山れ夫れの交換比率が定まる。けれども此際A C
の交換比率は九 B 山
λ を日にかへ・ B によってじを得るときの A Bの比率)とちがひうる
口DU聞のご比率の肢 (
Em
ι丸
Cと
で、 A Cのい
むとしrJ
川い付利であり、 従ってそれが行
山間、刊川事行川一一方にとっては、 日佐川叫ししの問按従煉
い
づ
はれるョ他の財の聞に於でも同様である。 かくて吠倍一面的に間接交換が行はれてはじめて、各主憾の桜大満足が寅
現せられる。 いはピ一般均術の成立は全面的間接交換を前提とする。四全面的左る間接交換は種々なる財が媒介
一般的交換手段が行はるるときには、件財の償侃がとれとの比率に於て表はされ
となることによっても行はれ得る。けれども、特定の財M が一般的交換手段として川びらるるときに、それは最
も容易に行はるるは?である。
3
る
、 いは立此財の一定量を以てあらはされる。卸ち此財日官慣値パ皮として役立つ、 又は、それが伺値の計算単位
として役立つ﹄
﹃全国的友る間接交悦は必十しも、 一般的交換手段そ議想せね。種々たる財が交換手段と左ることによって、
第四十五巻
凶八七
第四競
印ち各財の各財に封ナる交換として行はれぬ理由はない。 だピ、貨幣ぞまってそれは最払容易に行はれる。而し
貸借市本質に関する若干力一間遁
四
七
貨術本質に関する若干の問題
第四十五巻
四八八
停凶腕
四
の根本機能 Tあるといふ結論を導き出すことは出来向。
c慎値尺皮が一般的交換手段に党一行すると仮定しても司
一般的交換手段が債伯尺度の存立を可能にする。僚組尺
c とれと、所釘せらるるもの、
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と主土一 UY
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前者から直に後者が導皆川さるるものではないっ 忠ふに償値尺一皮又法問他計判明単位は概念的のものであり、
ピ所布せらるるものでは泣い
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机耐胤尺度が必然に一般的安故手段を意味する、 又はそれ U作ふとい
M
¥
.
n
定の債値尺度の作用するところ、その皐位が此尺度そのものである財が、 必然に一般的交換手段として存立し作
機能から必然的危るものとして導き出すだけのことをし左ければならむ。此の如く﹁導き出す﹂といふととは、
換手段たる機能. 一回からいふと, 一種の指闘詩集としての存在を否定しがたい、従ってこれを憤他尺度といふ
債値尺度又は債依襟準といふ機能を貨幣の根本的機能 1一
f 見る見解がるる。此見解にあっても、貨幣の一般的交
の閲係に置かうと氾ふから、 それを切りはなして考ふるととにする。
潜む所以を明にする手がかりとして注目せらるるものであるが、落には問題の手県知を一般的交換手段、債値尺度
本との聯絡を明にするもの、 又貨幣が経済に謝するところの阜たる被覆たるに止まら十して、ある能動的作用を
貨幣の根本機能としては、
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1
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度によって一般的交扱手段が可能にせらるるのではたい
M として役立つのを一般とする。けれども、 これから、債値尺度たることが貨幣
でその場合.貨幣単位が倒値八 J以
月
、
一校的交換手段、慣値尺度‘債依貯蔵手段の三があげられる。長後のものほ貨幣と資
たるものと概念的なるものとの距離がるあ。
ふ乙とはたいはやである。﹄
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同八九
一般的交換手段の
第四披
高田、貨幣の現論 64
頁 S
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川 S
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8
8 (邦課 274
頁)岡橋保、貨憎
本質の諸問題 1
7
5頁
2
) 高田、貨幣の理論、 6
9頁
用ずる所以を論詮ずることである。 ところが、 このととはなしとげがたいことである。逆に、
作用するところ、それが債値尺度としての作肘を中に含んでゐるととは、容易に知られ得る。 とれだけの主張を
種身左る異説を吟味することによって明にしたい。
まづ、慣佑パ皮と一般的交換手段が同一友るものの二断であり、二者が全く切りは反されて存立せ宇、 と い ふ
見解に記日しよう(これで分岐を承認するが如きは断乎として排斥すべしと高調する川以で②るl 左右同侍士)。
これば二の貨幣機能の何れをも根本的のものと見令、比八綜ム口又は民十引をわ Lるものとして取り上げようとするの
3
向
、 νユムベ干グアのいふやうに・'如何なる則︹の単位の債仙)といへども傾品即日ハ度(との言葉
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で あ る 。 け れ ど も 、 切 り は な さ れ て 存 立 ぜ や と い び 得 る で あ ら う か 。 比 二 の 機 能 の 分裂又は分離は徐りに明白及
る過去の事費である
の意味については、かつて詳論したからと、に説明を省く。此表現は精確といひがたいけれども、活用の用語を
用ひで置く}として用びられねことも友い。従って種々友るものが債値尺度として周びられた。私もまた明治時
一般的交換手段は馬克紙幣であり訟がら、依値尺度としで用
代の日本の農村に於て・米が慣植尺度として用びられたことを記述した。閉山崎博士によって共現論的意義が明
i
明アモンのあげたるが如く、 オオストリヤに於ける経験は、古い貨幣翠位が領値
にせられたやうに、通貨膨脹後期の濁逸にあって、
ひられたるものは弗であった
軍位として、新しい貨幣が流通手段として作用する事費を示してゐる。州カツセルはあまりに多︿、二の機能の
分離の賞例をあげてゐる,カツセルは債値パ皮は貨幣をまたやして早くから溌生したること、貨幣の成立したる
tp四 十 五 巻
後陀於ても、例へば金属貨幣の採用後幾千年間償値草位が牡牛であったととを力説してゐる。慣値尺度が貨幣と
貨幣本質に関する若干の問題
四
九
骨片前四本質に闘する若干の問題
いふ流通手段をまたやして成立し得るか否か。
第四十五巻
凶 九O
第四銃
﹁侠値車位が一般的交換財から巾来したといふととは、たピ歴史
的にのみ院しい。第一呑日の侭値山単位が一般的交換刷用から生れ出でたことに疑はない﹂と兄ろベンデイクセンの
一般的交換手段としての機能がそれでるるといふ。一打れども、
一物の附而でたいししする左らば、何れが根本的なる機能であるかを問題とし左け
見 方 が 正aしいか。 とれについては後に論及しよう。
二の機能が分離しうるもの
れ は 友 ら ね 。 此 問 題 K針して私はもとよれν、
内仏制す旬。同州川が次の形に於で川川示せられでねるととは、 任ねずぺか口ととけあ弓。
と
抜本となって、
なにら充
に要求せられてゐる論誌を興
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一般的交換手段として見られてゐるのであるから。た
一般的交換手段といふ機能が必然にそれに件ふもの、それに依存するに過ぎ友いものである友ら
Y次 の 如 き 事 情 が 興 へ ら る る 友 ら ば 、 根 本 機 能 を 別 の と こ ゐ に 求 む べ き で あ ら う 。 例 へ ば 使 他 パ 皮 と い ふ 機 能 が
きことがらであるが如くに。何となれば貨幣そのものは、
推論によって知らるべきことがらとは考へられぬ。耳の根本機能が聴くことであるといふことは、たピ在叫すペ
へるつもりは友い。けれども、貨幣の根本機能が一般的交換手段であるといふことは、見るべきことがらでるって
分 注 る 論 誇 を 興 へ て は ゐ た い ゃ う で る る o﹄たるほど、私の今の議論に於ても、 こ
﹁シエムベヱダアは貨幣の交換の手段機能を草叫すべき現論的なる校時陣については、 私 の み る 所 で は
が放に一般的交換手段機能の松本機能でるるかの現巾が十分に説明せられるの在慌かない。﹄凶岡橋毅授によれば
山梨村助教授によれば﹁貨幣の根本機能に闘しザニ般的交換手段機能が偽りに不用意に取上げられてゐる 0
﹄﹃何
れ
ば。そこで私はあくまでかういふ事情の友い乙と.二者が分離し符ること、従って一方が他方の必然なる随件物.
Bendixen,v¥!ahrungspo1
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.傍島省三、:I?
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憾の本質、向車論究(闘岡
県院大製)第九競
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) 栄村富f
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t判干の根本機能に闘する考主主、総開準f
引説:(九州帝図大事〕第七唱さ第
三 蹴'
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5買、
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) 岡 橋 、 前 掲 '74頁
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か
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る消倒的作栄の終るとと
金局主義的たる見解にあ
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3
る川川一山川に比怖いて、 憤値パ皮たる機能が
一般的なる伯値パ皮とたることが出来るし。 ぞれによって他財
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る考方については此際辿べるととを差ひか︿ょうったピ此州朝合、貨特別の倒他といふものが、貨は
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第四十五巻
匹1
第四競
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王
る見
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佐 原 貴 臣 、 貨 幣 D職能、 184頁 認 に 主l
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'は 主 士 侶E
原致授の批評に当討す
答摘てゐる。
7
) 傍島、 1~怖の本質、 13- 1 4頁
依存するに止まるものでないことを叫にしようとする。 と れ を 明 に す る こ と 、 印 ち か
はやがて見る所のま Lが主張せらるることと友らざるを件ね
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貨帥市本質に閲する若干の問題
ブ
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保件 山ち裁定が必要である。 これがすべての財の聞に存したければたらむ。 とれは間接交換によってのみ可能で
は abと h cとの雨交換比率の杭(此後の交換比李が底を同じくするときには杭ではなくて比)に等しい、 といふ
る。は一投交換に於ける部分的均術が成り立つとしても、 それだけでは一般均衡が成立し符友い。 acの交換比卒
貨幣存立の料請的必然性を一般均術の組織をのものの中から導き刊さうとする見併には、 民 日 ず べ き も の が あ
方(例へばラフリン)にそれほどの弧味があらうとは考へぬ。敢て深く立入るまい。
償値パ皮として貨幣を周ふることが交換手段を貨幣として貨幣を別ふることがさきにあるはやである。か
個々の交換に於て交喚比率を決定することなくしては、交換が行はれ得ね、印ち伯、値パ一以が交換に先行する。
交換によって支配せられ鑓動するもの、それ白煙が白十円竹内のものでないととを附記するに止める。
たから、 か
交換子伐止しての機能 ht持州づけるものと兄られる。訟は令一助主義を咋ら十、之を保らざる川山川は詳しく説明し
の限値がその数日市一として川定すりるるが日岐にのみ、安換が行はれる
つては貨幣財が ニエルの慣枯胞をわするが故にのみ、
使値パ度、 又は岡山依平位としての機能に優位を認めようとする意見について考へる
一
一
貨幣本質に闘する若干の問題
第四十五巻
第四競
﹃間接交換が必然的危るも
っそれを交帆サん 1
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一寸る者な投し
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が一般的交換手段にまで高まるか否かは、
一方に於は数多の財の間に格別に交換手段として有刺友るものがある
一般均衡以外の要素によって定まる。 いはピ貨幣の成立は一般均衡に
然性と同視してゐる。 一般均衡にとって必然むるものは、全面的問按交換である。その中から、 一定の交換手段
べきである。 シユムベエダブは此交故手段の一般性に章一きを置かぬと見え、間接交換の必然性をやが℃貨幣の必
間接交換はそれに都合のよい若﹂ lの財によって行はれる。その中あるものが一般的交換手段となると解せらる
性がある。 さて此瑚路にあっては、全両的友る間接交換と一般的交換手段としての貨幣との聯絡がどうたるか。
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まL
、 一般均衡が成立するためには間接交換が必要であり、 乙れが潟には交換手段ぞ要し、そこに貨幣の必然
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-
此見解は間接交換による全両的裁定 1 若 干 の 間 接 交 換 手 段 貨 幣 と い ふ 風 に 動 い て ゐ る 。 シユムベエグアにあ
困難もたく溺蛍左る取引の相手方に逢合同し得たとしても友ほ、貨幣は、即ち間接交換は必要であらう。﹄
求める不便を免れしめるためにであると。付れどもこ Lに決主的なる貼があるのでは狂い。各人がたとひ何等の
反問中山梨し、芯うして紋等の桝批判什廿んと欲寸らととらの財貨牝7校一封ちん口叶、
焚生したのは交換佐終日加ならしむるためでみのり、交換者ゆどして誰か彼等の提供せんとして所持してゐる財貨を了
換し獲得するところの財貨が存在し左ければならぬといふことに、それゆゑ貨幣といふ現象に到達する己貸幣の
のであるといふ説明は、人がそのもの白慌のためではたくして、 それをばさらに、交換に使用せむが偽にのみ交
金問的友る間接交換の必要から、貨幣の必然性を導き出さうとする試みが成り立つ。
るる。金問的なる間接交換によってのみ一般均衡は成す一し得る。 とれだけの主張には何の誤りも在同。と乙ろで
五
ム﹂つての内的必然であるとは考へられぬ。
8) 栗 村 、 前 掲 '
50頁
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6
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7 (邦言~263頁)
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. 282 (邦言雫267
買)
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一般的に用ひらるるものがあり、蕊に一般的交
前に涼一ぺたる三人三財の交換について考へよ
ω間 接 交 換 を さ け 、 従
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. 122・岡橋、前掲 169
か、園家意志又は憤習によって共一が選揮せらるるかによって、
換手段が成立する、 それゆゑに、 シユムベエタアが間接交換の必然性を一般均衡から直に導き出さうとする金闘
には若干の無却がある。 共最初の主著に於て主張せられたる此窓味の貨幣必然観は後に去って力説せられてゐな
ぃ。此勤、今詳論する徐裕をもたね。
シユムベエタアはレオンワラスが問捷交換によって部分均術から一般均衡に士で抽出むとと炉設きたがら、安故
からの貨幣の必然性を導者﹂川さなかったといム。 ワラスは一方に於て、間使﹂党換の Jmkる止恩義を認め恐がら、他
方に於てはま穴、 中叫の如︿陀のペで一般的傾倒尺度の作用忙論及してゐる。﹃訴し問姥変換の坦ら危いととを欲し
市場に於什句。ニイ Lの商品の均衡が一般的衝でああととを徴するたらば、任意の二づ kの商品の債楕は作意の第
﹁債佑尺度さへあれば
三の商品を以て支はせる夫れ夫れの債格に等しいといふ傑件を入れ友ければ左らぬ。﹄﹃すぺての他の商品の債格
をそれであらは寸商品(上に辿ペたる第三の商品 1 i和 介 者 附 記 ) を貨幣といふ。とれは、
一般均衡が間接交換左︿しでも成立する、か kる機能を営むところの慣値尺度として貨幣が成立した﹂と細川ナる
必要はないであらう。 ワラスに於ける此部分の説明は、裁定(間一桜交換の意味に於て)友︿して一般均衡の成立し
うるためには、共通なる債値尺度としての第三商品によってそれぞれの債格(交政比率)が去はさるるととを要す
Q
第四競
ヨ
王
頁
る、といふだけのととと思ふ。町中り、 それに上って裁定ぞ快くとも一般均術が必や戒す一ナる、 と主張したとは云
ひ難い。来しさうである友らぽ誤りである
第四十五巻
四
って直接交換にのみよるとしても、而して共比率が債値尺度財との比較によって定まる忙しでも、直接交換のみ
貨幣本質に闘する若干の問題
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貨幣本質に闘する若干の問題
第四十五径
第四競
匹I
HC
貨幣はか
Lる偵他パ皮としての機能をも。
る偵他パ皮によって一般均術が成立するにしても、そとに一般的交換千段と
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一般均衡の必然に成立するといふ保設は泣い。叉か Lる保詮があるにしても、此説明は倒他尺度の必
主
王
る。此山の架橋は後に向くが如く K凶難である
は概念的のもの、現に所布せられてゐるもの?はたい、
一般均衡の形成は-般的慣航パ度をまって可能である、
一般的交換手段を必やしも必要としたい。
的債侃尺度が輿へらるるととる、直接交換によって一般均衡が成立することを考へよ。間接交撲があるにしても
とを欲する揚合をさす)。 ところが一般均衡の存立のためには、
間接交換が行はれようとも、直接交換が行はれようとも(後の場合は、ワラスのいはゆる間接交換の超らたいと
見解の現論的椛浩は、次の形式をとり易いと思はれる。
ときには、それに他の種々友る表現が取りかへらるるの?あるが、 乙れらの何れを用ひょうとも) であるとする
一般均衡と一般的債他尺度との蹴係に重貼を泣き、貨幣の根本機能は債佑尺度(この表現を一小遁常たりとする
一般的交換手段は必中何人かによって所布せられてゐ
てゐる、けれ Eも岡山値パ皮として何物かピ機能すると乙おに必や貨幣がるるのではない。比較の尺度となるもの
しての貨幣はか仏い、それの作川する飴地は残されてゐない。たるほ
然性を一不すとも田山はれぬ。俄にか
によって、
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一般均術を可能たらしむるものは償他パ度の機能であって、交換手段のそれで
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量
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各部分市揚ことに間接交換の鋳に役立つ財、郎ち交換手段が別々でるることも可能であるが、共場合とても、
般的交換手段はない。要するに、
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) 柴同敬、理論純情島上巻 6
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) 栗村企住吉、交換に於ける 1
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件
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rの 論 抑 的 必 然 性 、 経 済 思 研 究 第 七 巻 第 十 一
ブL
は怒川。さて、此見解にるっては、貨幣と岡山格現論との聯絡に闘する洞察が含まれて居り、それは皐読史上注目
般
四
すべきものであると忠ふが、たピ北パ議論の構造一に於て、再考を援する拡があると考へる。債値尺度が一般均衡を
はじめて可能友らしむるとしても、それを何故に貨幣と見ねばならぬのでるるか。又一般均術は一般的債値尺度
をまちてのみ可能であらうか。会而的なる裁定によっても成立し得るはやでは・なからうか。否、 一般的償値尺度
は如何にしてあらはれ来る?あらうか、 それは一般的交換手段を前提とするものでは泣からろか。たとへばカツ
セルの如き、 ラフリンの如き、(時々一般的といふ形容詞を省かう)償値パ皮が交換手段に光っと見るけれども、
然らば前者が如何にして成京し、如何にして先ん中るかについて、北ハ波川を興へ得てゐ友い。
3
とれに叶して、 貨幣が 父娘の不仰を除ぐ川仰の便宜の則廃でるるといふ駄を硲定ナペ・哨さであ
普通には、 交換の使(止の翁に一般的交換千段が成立し、 此手段の日早位が慣値のパ皮として用びらるるといふ見
与がとら礼てゐる
hまではワラス -Vユムベエタア・ウイタセルの線に従ひたい)。けれども、間接交換から貨幣に
m
m均術のあり得ぬことを認め一、此意味に於て貨幣が便宜以上のものの結果である
る。而して間接交換なくして ととを認める(と
到達するまでには一定の事情を必要とし、此事情から貨幣が必然に導き出さるると見たい。 ととろが他の立場か
﹃五口々が貨幣を以て交換の手段友りとすることの民
らは、貨幣の必然性を一般均衡、更に成くみて、交換粧怖そのものの内部から必然に導き作べしとする。此立場
の代表的在る一見解を、中山伊知郎教授の一貨幣則論に見る。
意は何底に存するか、それは筒早にいへば、交換と同時に成立するもの或はその意味に於て交換をそもそも可能
友らしむるものである o
﹄然らば此可能ならしめる、 又は同時成立といふととの意義は如何なるものであるか。﹁晋
第四十五巻
四九五
第四競
主E
々は貨幣を以て、計算単位としての貨幣に闘する限りに於て交換の手段であるとする。而してこの計算単位とし
貨幣本質に開ナる若干の問題
Z
心
貨幣本質に閥ナる若干白問題
第四十五巻
四九六
第四銃
五六
ての貨幣は経済の循環が無数の交換から成立してゐるととを認める限り、 遂 に 経 済 の 循 墳 と 不 可 分 の も の で あ
﹃一日一か Lる一般的友る計算車位としての貨幣が成立するや、交換の上に経済活
る。﹄今との計算単位としての貨幣即ち一般的慣値尺度が如何にして成立するかといふ割論的(歴史的ではたい V分
析を後廻しにする。 ところが、
動を営む一切の経神主慌はとれを以て計算する。﹄﹃債務の表現﹄ ﹁交換に於て一財が他財を獲持する八刀茸の意味
るか。今日
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i ぺ℃のものの償制が一般的計算単位に於で表現 uyらあると止によって
に於ける慣格の表現﹄﹃とればすぺ亡この計算草位としでの貨幣を以てせられる o
﹂これだけの部分に於げる毅授
の主張の伊一定はいづとに存
交換がはじめて行はれるといふに止まるならば、それだけは貨幣の成立を便宜から導き出す人といへども皆之を
認める。 それは必やしも貨幣を交換に必然的なるものとするのでは-たからう。意味せらる Lととろは、 一般均衡
は此共通償制パ度によらやしては成立せや、 といふ見解であらう。さうであるならば、此命題は、全面的間接交
換による一般均衡の可能といふ乙とを前提とするときに、成立しがたくたるのでは泣いか。
更に進みて考ふるに、か、る計算単位のみが前提せられるとする。 これと現賓の貨幣、卸ち一般的交換手段と
の闘係は、如何在るものであらうか。教授は一般的交換手段から一般的債値尺度が導き出さるるといふ普通(一
部の事者l 例へばカツセルやラフリンーにあってはさうで友いことは上に述べたる通りであるが) の見解を否定
して、債値尺ー反剖ち計算単位から交換手段が導き出さるるものと・たしてゐられるが、その筋道又は四論的段階と
いふものについては、別に詳述せらるるところが怠いゃうである。た Y此知にワいて重要たる意義伊一もつ表現は、
﹃現貨の貨幣はか Lる計算単位を以℃表現せられたる交換を完了せしめるためのもの、 す た は ち 交 換 手 段 に 外 た
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) 中山伊知郎、純粋経済事、 Ix8-II9頁
四九七
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第四披
五七
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・間接交換から宍幣を導き出ナ鋳に財の種類の
無数とい」、{際件~:}反入る込ことは、担l論的 IÇ 許しがたい。それが少数である
らない。﹄といふことでるる。 ところが、か Lる計算単位自鰻が交換手段といふ貫在をもち来す傾向乃至力を有す
るものであらうか。私の考ふるととろでは、貨幣が一般均衡、又は交換による極大満足そのものに内在的でるる
といふシユムペエタア以来の見解は、 ワラスの間接交換の必然性に闘する見解に根ぎしてゐるゃうであるが、
ラス自身は一般的使値尺度たる第一一一のものを導き入るるととによって、間接交換、裁定をさけうべしと認めてゐ
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る。とれは決しで、債値尺度をとり入るることによって間接交換が必然に消失するといふことま意味するのでは
ないが、裁定をさけようとすれば、此尺度を裂するといふのである。印ち憤値凡皮そのものの性質は間接交換
kあ計算配山凶位以て炭坑ぜられたる交換を完了せしめるためのもの﹂は、計算中佐から苧雪山され
(従って貨幣といふ交換手段を)省くはやのものでとそあれ、それを必至たらしむるものとは考八られぬ。此意味
に山町て‘一か
、準ろそれによって取除かるる傾向があるはやである。
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前にも述べたるが如ぐ慎値パ反は概念的のもの、此意味に於てそれは何人によっても所為せらるるを妻せや、
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同一物の附聞に非ざることは、 カ通 ts 主
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交換手段は賞在的のもの、何人かによワて所布せらるることを要する。二者の問には観念的なるものと貫在的な
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一たび一般的債値尺皮を交換に必然的危るものとして導き出しても、それから一般的交換手段の
るものとの距離がある。
ふ。それだけ、
必然性を結論するのには更に新在る資料を要するのではたからうか。抽出一一画すれば、交換だけから一般的交換手段
の必然性を導き出しがたいのではたからうか。更に湖って考へょう。教授が計算単位としての貨幣を債値尺度か
第四十五巻
ら導き出さるるについては交換の邸時不完了性、債務の辰行といふが如き、交換そのものよりも更に多くの要素
貨幣本質に閥する若干の問題
3
こと込枇曾経憐の性質左は矛盾しない
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貨幣本質に関する若干の問題
第四十主巻
団九に
第四披
五八
がとり入れられてゐるが、此武明乃至理問山をそのま L承認すると否とに拘はらや、計算手段としての貨幣が県し
﹃五口々が本来の貨絡をもって計算
て﹃経消の循環と不可分のもの﹄と見うべきであらうか、交換の即時完了性と経怖の循環とは何故に相容れざるも
のでるらうか。此等の賄については、教授の詳細たる説明を仰ぎたいと忠ふ。
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貨幣、 詳貧すれば一般的交悦子伐としての貨幣は
OL﹃貨幣が一定の似仙に闘係することは、それが常に計算単位としての貨幣を背景として
貨幣の一の寅現でるると々へるたらば、貨幣はなにらかの引けに長いて、川川仙に胤係したものでたければならない
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ととはいふまでもたい什
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である。
てそこに次の如くに論じた。
一﹁一般的交換手段を抽出想せざる偵倣単位叉は慣値パ皮なるものは、貨幣概念と
今まで論じ来れるところは、 かつて﹃貨幣の川崎論﹄に於て述べたるところの一話機とも見るべきものである。かつ
五
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ども、しかし一般的交換手段そのものにまで先行し得べしとは考へられね﹄といふ卒直なる主張に賛同するもの
l ﹁金﹂には一夜土り先行し得るけれ
しでは﹄﹁概念上考へ能はや、貨幣概念又は貨幣機能としての償航単位は概念﹂ 一
はなからうか。私は熟汚の結果、
ろ一般的交換手段からの抽象として、又はそれの概念に於ける反映そのものとして、計算貨幣が考へらるべきで
計算貨幣の貸現で b るが計算貨幣が如何なる僚件佐まちて、如何なる過程をへて寅現せらるるであらうか。むし
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﹃貨幣な︿して一般的交換(詳しくいへば、成員の一栂大満足を伴ふところの全面的交換、 印 ち 一 般 均 衡 と し て の 交 換 ) は 不 可 能
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1、前掲. 123、 124頁
7頁
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7) 傍 品 、 前 掲 '
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であるといふ見方は、歌瑚事汲の経済場者の一部分に見受けられる。ことにこれを力設するものとしてシユムベエダアがあげ
られ何ょう貨幣成立の必然性が此勅から論話せられようとしてゐる。川県れどもザワグキのいへる如く、此議論は成立しがたい。
貨幣があれば、 一般的交換を成立せしむるとこるの﹁詩交換比例の裁定﹂が特易である止いふだけのことであらh
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中山教授及び田市村山教円以の民撃なる考察に刺激せられて、此冊聞に再考を加へたのでるるが、遂にかつての結論
をすて得ざるものでるる。私がワラス・シユムベエタア的立場から皐ぴうるところは、裁定の必然性であって貨
幣の必然性ではない。裁定の必要は必ム少しも一般的交換手段をまたや、特殊的部分的友る交換手段によってみた
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般的例仙凡皮の機能が吋 rれに作うとゐる。 r
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される。これから一般的交換手段までには一段の距離があり、此距離を架橋する翁に利物かを要する。架橋によ
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m川賞の貨幣にまで刊法r ると、
四九九
第四務
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高問、 1'î~幣白理論 39頁、佐際、前掲
って一般的中旬換下以、川
M 度といふ概念的のものから、交換手段を導き附すといふ
4
引に偵航 八
値い八反によって交換手段を某一礎づけようとするときには、まづ慣航パ度の如何にして成立するかを明にし友けれ
ばたら白。 これがまづ困燥なる作主である。
ことがまた他の悶難たる仕事である。進みていふと、私はとの後の肱に於ける悶雌は瑚論的に打ちかち難いもの
では友いかとすら忠ふ。
一般的使値尺度といふときの債依は使用慣他ではなく、交換問侃である。同川値いへ度が屈を阿川格単位、問団絡表現
単位といふ一言葉によって泣きかへられてゐることから、之を推知すべきである。 シユムベエタアのいふ如く、住
意 の 財 が 償 値 パ 皮 と し て 役 立 ち 得 る し 、 個人は任意の財の一車位をとって、 之 を 似 値 パ 度 に 利 用 し う る で あ ら
第四十五巻
五
ぅ。けれども、 とれを一般的に、 然 保 件 に 主 張 し う る の は 、 使 用 慣 値 に つ い て の こ と で あ り 、 個 人 だ け の 侠 値 尺
貨幣本質に闘する若干の問題
九
I8) 高問、貸骨子の理論、 6
0
頁
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J 此 里 占 に 闘 す る シ ユ ム ペ z タ ア の 見 方 は 必 ず しも宜:し〈ない。 a
出幣本質に闘する若干の問題
第四十五巻
五0 0
第四銑
H うであらう
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に闘する見解について、}l
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Iし て そ れ と 貨 幣 本 質 止 の 閥 係 に 闘 す る 見 解 に ワ い
て、根本的問題があると思ってゐる c
皮についてのことである。若し、交換債値について一般的慣値尺度を求めるといふことになると、
か。此揚合の一般的みしいふのは、何人にも共通するといふととと同時に、すべての一財の交換例他がそれによって
測定せちるることを意味する。 一財によって他のすべての財の交換俄値が測定せらるるのは、その一財又は何等
かのある財が他のすぺての財に一般的に交換せらるるがゆゑである。 いはピ何ものかあって一般的交換手段とし
一日にして行はるるがゆゑである日とのことは一般的交横手段が作川してゐるが放にのみ可能であ
て作用するがゆゑである。 リ人すべての人々がとれを尺度とする思に一致しろるのは、 これによる測定が各人にと
つで内科目却に、
る。此知山ら問団他尺度の根本機能でるるとと、別してそれ自憾僚他あるものが債依思位として一般的交換を来礎
づけるといふ見解はとりがたいと忠ふ。 一般的依似尺度は現論的に一般的交換手段に先行し符たい。 一般的傾値
パ度のごの一般性は一般的交換手段を前提とせ十しではあり得左いと忠ふ。此意味に於て考へ芭したいのは、債
組尺度としてはた Tそれ白悌侠他あるものが作用し、それによって一般的交換手段の存立が可能と耽るといふ見
一般的償値パ度として作則するのには、既に一般的交抽出手
一般的交換手段に先ってこれを茶礎づける一般的仮他尺皮といふものは考へ
方である。けれども、それ白鴎償値あるもの司とても、
段が行はれてゐることを抽出恕する、
られぬはやであらう。
解は注目ナべきでるる。た'~教授の債依尺度(貨幣の固有なる{賀伎としての)
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貨幣の機能については拙者﹃貨幣の理論﹄に於 1詳論した。玄には、その執筆以後に寓目したる緒論著(日本に於ける)白
はじめからもたずにゐた。(昭和十二年九月)
却) 岡 橋 教 授 の V ユムペエタア(多分前期の)的貨幣成立槻に封 Tる 阿 橋 敬 授 の 見
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思 想 を 味 ひ な が ら 、 自 ら 事 び 得 た る と こ ろ を こ Lに 略 述 し た 。 外 聞 事 者 の 最 近 の 見 解 に は 別 に ふ れ よ う と す る 意 闘 を 執 筆 白
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I
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言
己