文化ニュース No.2(1.4MB) - Kyoto Kagaku

国宝
型取り複製
奈 良県斑鳩町 の 藤 ノ 木 古 墳
型取り複製
(六世紀後半 国史跡)
見取模造
出土の副葬品四十点 (国宝)
六世紀後半の古墳の中から豪華な金銅製馬具
や副葬品(いずれも国宝)が見つかり日本中
の注目を集めた奈良県斑鳩町の藤ノ木古墳、
同古墳は直径約五十メートルの円墳で
一九八五~八八年に発掘調査され、二〇〇六
年度から整備工事が進められてきました。発
見から約二十年の歳月をかけ今年五月、石室
内の一般公開が行われました。巨石に囲まれ
た石室から、どんな古代からのメッセージが
送られたのでしょうか。また多くの副葬品は
何を私たちに語りかけるのでしょうか。
の 複製を行い ま し た 。
2008.10.03 KYOTO KAGAKU 文化 News
奈良県斑鳩町教育委員会
http://www.town.ikaruga.nara.jp/bun/18_bun_a_01.html
■今回複製・模造した<副葬品たち>
見取模造
指定名称
見取模造
通常の複製は実物から直接型
取りを行って製作しますが、 型取り複製
今回は半数が脆弱で直接型取
りをするには危険と判断し
「見取り模造」という手法を
使った複製を行いました。
員数
備考
金銅装透彫鞍金具
2
複製
神獣鏡など鏡
3
複製
金銅製筒形品・剣ほか
8
見取模造
銀製鍍金梔子形空玉ほか
8
見取模造
須恵器
14
土師器
5
計
資料取り
型取り複製
≪作業の流れ≫
複製
見取模造
40
京都科学・工芸課では、平成19年から平成20年にかけて、
上記「副葬品40点」の複製・模造を行い、奈良県斑鳩町教育
委員会に納入しました。
複 製
資料を参考に
図面を起こす
模造作業
型取り複製
模 造
型取り
資料取り
成 型
図面作成
仕上げ
模 造
成形後の仕上げの工程、微に入り細に入り、写真の彼は左利き
彩 色
彩 色
■作業を終えて
資料を見ながら
彩色作業
今回の複製は、半数が「見取り模造」となり、足は京都と奈良を幾
度となく往復し、口にはマスク、目には写真と計測図面、頭には実
物の記憶を頼りに、手を進め、時には、最終工程である彩色の段階
で、見落としたところを発見すると、また形の修正に逆戻りすると
いう厳しい作業になりました。これまでになく制約の多いものでし
たが、与えられた条件の中でスタッフ全員の力を結集して無事に作
業が終えられたことは大きな自信につながりました。
(記 清水浩次)
イラスト by Shogo Fukuda
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