Virus-associated hemophagocytic syndrome を 発症した成人麻疹の 1

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日皮会誌:111(11)
,1591―1596,2001(平13)
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発症した成人麻疹の 1 例
Virus-associated hemophagocytic syndrome を
要
常深祐一郎
松下
貴史
高橋
玉木
毅
毅法
長山
隆志
現病歴:2000 年 7 月 6 日(以下 7 月 6 日を第 1 病日
旨
18 歳,女性.麻疹の経過中,麻疹自体はほぼ治癒し
とする)
より感冒様症状自覚.7 月 7 日より発熱と共に
たと考えていた時期に高度な血小板減少を来した.骨
顔面に皮疹が出現し,徐々に全身に拡大した.7 月 11
髄生検にて血小板を含む血球貪食像を認め,virus-
当科受診し,入院となった.
associated hemophagocytic syndrome(VAHS)と診断
入院時現症:体温 40.5℃,脈拍 105 min,血圧 93 72
した.麻疹ウイルスによる VHAS の報告は過去に 4 例
mmHg,呼吸数 20 min.顔面から体幹にかけて,栗粒
しかなく稀であると思われた.また,麻疹の経過中に
大∼米粒大の紅斑・紅色丘疹が散在していた.下肢に
高度な血小板減少を来した場合,VHAS も鑑別に入
は皮疹は少数であった.左側頬粘膜に白色斑が散在し,
れ,骨髄の評価をする必要があると考えられた.
頸部リンパ節は腫脹し圧痛を伴っていた.
入 院 時 検 査 所 見:WBC 2,400 mm3(lym 9.2%)
,
RBC 457×104 mm3,Plt 11.5×104 mm3 ,GOT 54 U
はじめに
麻疹は発熱と共に皮疹を生じるため,特に成人は皮
l ,GPT 18 U l ,LDH 853 U l ,ALP 167 U l ,γ-GTP
膚科を受診する事が多い.麻疹において一過性の血小
12 U l ,BUN 15 mg dl,Cre 0.7 mg dl,CRP 3.4 mg
板減少は大部分の症例でおこるが,そのほとんどが 10
dl,麻疹 IgM 抗体(抗体指数)11.07(正常<0.8),麻
4
3
1)
2)
×10 mm 前後の軽度∼中等度の減少である
.我々
は,高度な血小板減少を来し,骨髄生検にて血小板を
疹 IgG 抗体(EIA 価)17.1(正常<2.0),胸部 X 線:異
常なし.
含む血球貪食像を認め,virus-associated hemophago-
治療および経過:定型的な麻疹と診断し,40℃ 台の
cytic syndrome(VAHS)と診断した成人麻疹症例を経
spike fever に対し,輸液と解熱鎮痛剤の投与にて対症
験した.VAHS は全身性のウイルス感染症に伴って骨
療法を行った.皮疹は入院後,下肢まで拡大・増数し,
髄や網内系にて反応性に組織球が増殖し,血球貪食を
癒合傾向となった.GOT 100 U l ,GPT 89 U l と肝機
3)
行う病態で,末梢血中では血球減少が起こる .VAHS
能障害を認めたため,第 8 病日より肝庇護目的にてグ
は各種ウイルスによって引き起こされるが,麻疹に
リチルリチン配合剤(強力ネオミノファーゲン C )静
伴った報告は過去に 4 例しかなく,中でも成人の麻疹
注を開始した.第 9 病日には解熱傾向となり,皮疹も
に発症した症例は自験例が 2 例目である.麻疹の経過
ほぼ色素沈着のみとなった.肝機能は第 19 病日にはほ
中に高度な血小板減少を生じた場合,VAHS も鑑別に
ぼ正常化した.血小板数は入院時軽度低値を示してい
入れなければならないと考え,ここに報告する.
たが,その後増加し,第 12 病日には一旦正常化した.
症
例
しかし,麻疹がほぼ治癒したと考えていた第 19 病日に
患者:18 歳,女性.
肝機能のフォローアップのために行った採血で血小板
初診:2000 年 7 月 11 日.
数が 3.0×104 mm3 と突然高度に低下していた.その後
家族歴:特記すべきことなし.
もさらに低下し,第 21 病日には 1.6×104 mm3 となっ
既往歴:アトピー性皮膚変(麻疹の既往や麻疹予防
た
(図 1)
.この時の検査所見は,WBC 6,500 mm3(lym
接種歴はない)
.
国立国際医療センター皮膚科(主任 玉木 毅医長)
平成13年 3 月31日受付,平成13年 6 月21日掲載決定
別刷請求先:(〒113―8655)東京都文京区本郷 7―3―1
東京大学医学部皮膚科学教室 常深祐一郎
26%)
,RBC 423×104 mm3,Plt 1.6×104 mm3,GOT
37 U l ,GPT 48 U l ,LDH 248 U l ,ALP 222 U l ,γGTP 17 U l ,BUN 8.0 mg dl,Cre 0.5 mg dl,CRP 0.0
mg dl,ferritin 49 ng ml,PT 109.6 s,PT 活性 101
%,PT-INR 1.01,APTT 28.4 s,FDP 1.7 µg ml であっ
1592
常深祐一郎ほか
図1
血小板数の推移:血小板数は一旦増加した後,急激な低下を呈した.
た. DIC 徴候はみられず, 出血傾向もなかったため,
×104 mm3 となり退院した.第 33 病日の外来受診時に
経過観察とし,原因検索のため骨髄生検を行った.骨
は 5.4×104 mm3 であり,その後も増加を続けて正常化
髄は低形成(cellularity 30∼35%)であったが,幼若細
した(図 1)
.なお,本症の原因として頻度の高い EB
胞の増加はなく,成熟度は良好であった.泡沫細胞が
ウイルスとサイトメガロウイルス感染症は,いずれも
増加し,血小板および他の血球系の貪食像を認めた
(図
抗体価が既感染パターンであり否定的であった.
2a,b)
.巨核球は 400 倍毎視野 1∼2 個と正常であっ
た.麻疹の経過中に末梢血中の血小板減少がおこり,
考
按
麻疹の報告例において,一過性の血小板減少は大部
骨髄にて組織球による血球貪食像がみられたことよ
分の症例で起こっているが,そのほとんどが 10×104
り,麻疹ウイルスによる virus-associated hemophago-
mm3 前後の軽度∼中等度の減少であり1)2),麻疹の回
cytic syndrome(VAHS)と診断した.その後経過観察
復と共に増加してくるのが普通である.自験例と同時
のみで血小板数は増加傾向となり,第 28 病日には 3.20
期に当科で経験した成人の麻疹 10 例を検討したが,全
図 2a 骨髄弱拡大像:多くの泡沫細胞(矢印)が認め
られる(HE 染色×400)
.
図 2b 骨髄強拡大像:血小板を含む血球貪食像を呈
した泡沫細胞(HE 染色×1,000).
VAHS を発症した成人麻疹
表1 成人麻疹自験例 10 例の最低血小板数とその時
期
最低血
時期
小板数
1593
現在までに 1 例4)しか報告されておらず,稀であると思
われる.
原因としてはウイルス感染によって活性化された T
症例
年齢
性別
発症日
有熱
期間
有皮疹
期間
1
2
30
35
女
女
4 月 22 日
5 月 12 日
13
6
17
7
9.5
20
11
4
3
29
女
6月 8 日
11
13
16.4
9
4
5
35
22
女
女
6 月 14 日
6 月 23 日
11
8
14
9
7.8
17.3
8
6
6
19
男
7月 6 日
9
11
12
7
18
女
7月 6 日
9
10
1.6
22
8
23
男
7 月 15 日
9
13
13.1
6
9
25
女
8 月 15 日
10
11
14.2
7
抑制する目的でエトポシドが用いられる9).その他シ
10
33
女
8 月 28 日
12
14
8.8
11
クロスポリンやメトトレキセート等も用いられ,大量
6
細胞が異常な免疫応答をして,種々のサイトカインを
大量に産生し6)9)14)∼16),そのサイトカインによって組
織球が活性化・増殖し,血球貪食を行うと考えられて
いる15)17).合併する様々な症状もこのサイトカインに
よるとされている6).治療としては,高サイトカイン血
症や活性化 T 細胞を抑制する目的でステロイド(パル
スを含む)が用いられ4)7)18),組織球の活性化・増殖を
症例 7 が自験例
ガンマグロブリンや G-CSF が併 用 さ れ る こ と も あ
有熱期間,有皮疹期間は「第○病日まで」という意味
最低血小板数の時期は「第○病日」という意味
血小板数の単位は「×104/mm3」
る8)∼10)15)17)19).ただし,これら免疫抑制作用がある薬剤
の使用は悪化を来すこともあり6),経過観察にて回復
することもあるため3),始めから強力な治療をする必
要は無いという意見もあり3)11),実際は重症度にあわ
例で血小板が減少しているものの,自験例以外はすべ
せて対症療法から上記薬剤による治療までが選択され
て 10×104 mm3 前 後 の 軽 度∼中 等 度 の 減 少 に と ど
ている.
まっており,発熱や皮疹の消退以前に最低値を示した
後,麻疹症状の回復と共に増加している(表 1)
.
ここで,自験例について診断及び病態理解の上で 2
つの問題点が挙げられる.まず,骨髄では血小板以外
一方,自験例(表 1 では症例 7)では,初期に軽度の
の血球貪食もみられているにもかかわらず,血小板だ
血小板減少が起こり,麻疹症状の回復と共に血小板数
けの減少を来していることである.この点から過去の
は一旦正常化したが,その後発熱・皮疹が軽快して麻
報告をみると 2 系統または 3 系統の血球貪食像がみら
疹がほぼ治癒したと考えられた時期に再び急激に減少
れているにもかかわらず,1 系統または 2 系統だけの
4
3
し,1.6×10 mm という高度な減少に至った.この血
減少である報告例も多い4)8)10)14)15)18)20).その中で 1 系統
小板減少の程度並びに最低値をとる時期は,明らかに
の場合血小板減少が多く4)20),2 系統の場合血小板と
通常の麻疹による血小板減少の経過とは異なるもので
白血球減少が多い8)10)14)15).このことから,骨髄で各系
ある.このため原因検索のため骨髄生検を行い,組織
統に貪食が起こっていても末梢血中で減少しやすい順
球による血球貪食像を認めたため,VAHS と診断し
番があると考えられる.その理由として血球貪食以外
た.
に血球減少につながる要因がベースにあり,この影響
VAHS は 1979 年 Risdall らが,全身性ウィルス感染
が各血球の系統によって異なるため,より影響を受け
症に伴って血球貪食症を呈した 19 例を報告し,1 つの
ている血小板や白血球が減少しやすいと推測できる.
3)
疾患概念として提唱した .全身性のウイルス感染症
この血球減少につながるベースの要因として,ウイル
に伴い,非腫瘍性の成熟した組織球が反応性に増加し,
スによる骨髄障害があげられる.例えば麻疹自体でも
骨髄や網内系において血球貪食を行い,これにより血
白血球減少や血小板減少は高頻度におこるが,赤血球
3)
∼6)
.血球減少の
減少はほとんど起こらない.このことからウイルスに
他に発熱,リンパ節腫脹,皮疹,肝機能障害,出血凝
よる骨髄障害は血小板や白血球に強く起こっていると
固異常等を伴うことが多い3).一般に EB ウイルス7),
思われる.そしてその障害の程度がより血小板に強い
球減少を呈する可逆性の病態である
3)
サイトメガロウイルス が主な原因であるとされ,その
か,障害からの回復が血小板の方が白血球より遅けれ
他単純性ヘルペスウイルス3),水痘帯状疱疹ウイル
ば,貪食が始まったときに血小板から減少することに
ス3)8),アデノウイルス3)9),風疹ウイルス10)などによる
なる.また自験例の場合,薬剤はごく初期に解熱鎮痛
報告が散見されるが,麻疹ウイルスによるものは 4 例
剤を使用しただけであるが,これによる骨髄障害が
しか報告がなく4)11)∼13),中でも成人の麻疹例のものは
残っていて,その影響がより血小板で大きかったとい
1594
常深祐一郎ほか
表2 麻疹 VAHS の報告例
症例
111) 1 歳,女児
212) 10 カ月,女児
VAHS 発症
までの期間
7日
11 日
検査所見
身体所見
骨髄像
治療
汎血球減少・肝機能障害・ 発熱・頸部リンパ 低形成・血球貪食像
低蛋白血症・凝固系異常 節腫脹・湿性ラ音・
肝脾腫・浮腫
汎血球減少・CRP 高値
発熱・意識障害・ 低形成・巨核球減少・
肝腫大
血球貪食像
対症療法・ア
ルブミン輸
注・輸血
抗生剤・
rhG-CSF
経過
治癒
治癒
313) 8 歳,男児
6日
血小板減少・電解質異常・ 発熱・昏睡・ショッ
肝 腎 機 能 異 常・CRP 高 ク・白色水様下痢
値・DIC・便のロタウィ
ルス抗原陽性・ミオグロ
ビン高値(血中・尿中)
組織球様細胞の増加
血球貪食像
解熱剤・抗痙 多臓器不全
攣剤・グリセ にて死亡
オール・抗シ
ョック療法・
抗 DIC 療法・
腹膜潅流・人
工呼吸
44) 18 歳,男性
4日
血小板減少・肺び漫性間
質浸潤影・低酸素血症
血小板減少
正形成・巨核球数正
常・血球貪食像
低形成・巨核球数正
常・血球貪食像
ステロイドパ
ルス
経過観察
自験例 18 歳,女性
18 日
発熱・呼吸困難
なし
治癒
治癒
VAHS 発症までの期間:麻疹発症から VAHS 発症までの期間
うことも考えられる.しかし骨髄像で特に巨核球だけ
症例や全身症状の重篤な症例では多剤を用いた治療が
が減少しているということはなかったため,こういっ
用いられている.
たベースにある障害は subclinical なものであろう.こ
この考え方でいえば,自験例は麻疹に伴う VAHS
のように血球減少には貪食以外にその他の要因がベー
であるが,血球減少も血小板だけであり,これによる
スで働いていて,貪食が軽度の場合その要因の大きい
障害もみられず,DIC 等の徴候や全身症状もなかった
順番に減少し,貪食が高度になれば汎血球減少になる
ため,軽症と判断した.そこで出血傾向の認められな
と推測できる.
い血小板数 2.0×104 mm3 くらいまでは注意深く経過
もう 1 点は 1 系統のみの血球減少で VAHS と診断
観察し,さらに減少が続く場合ステロイド等による治
してよいかということである.確かに提唱されている
療を行うという方針で臨んだところ,自然寛解した.
診断基準21)では,発熱や肝脾腫などの全身症状を伴っ
過去の麻疹 VAHS 症例4)11)∼13)をまとめると表 2 のよ
ていて,かつ貪食像と 2 系統以上の血球減少を満たす
うになる.年齢は 10 カ月∼18 歳で,男性 2 例および女
ものとされているが,過去の症例報告では貪食像を認
性 2 例,麻疹発症から VAHS の診断までの期間は 4
めた場合,末梢血での 1 系統のみの血球減少や全身状
∼11 日であった.乳児 2 例では汎血球減少であった
態の軽度な場合にも VAHS と診断していることが多
が,年長例 2 例では血小板のみの減少であった.身体
い.元々 VAHS はウイルス感染に伴って血球貪食を起
所見では発熱が全例でみられている.肝脾腫は乳児 2
こした症例としてまとめられたものである3).また疾
例でみられているが,年長例 2 例ではみられていない.
患はできる限り原因によって分類されるべきである.
治療・経過では全身症状が比較的軽度であった症例 1
これらの点からウイルス感染によって引き起こされた
では対症療法とアルブミン輸注・輸血のみで回復,肺
血球貪食症は全て VAHS とするべきであると考える.
炎を併発した症例 2 では抗生剤と G-CSF 併用にて好
実際 2 系統以上の減少を基準とすると軽症例の診断に
中球が増加し全身状態も回復,呼吸器症状を呈した症
適さないという意見もある6).この様に血球減少の程
例 4 ではステロイドパルスにて回復しているが,ロタ
度や全身症状の有無に関係なく VAHS と診断した上
ウイルス感染を併発し重症化した症例 3 では集学的治
で,血球減少の程度や他の全身症状の程度によって,
療が行われたが死亡している.これらと自験例を比較
重症度を決め,その重症度により治療方針を決めると
すると,麻疹発症から VAHS の診断まで 18 日と長い
いうのが統一性があり,妥当であろう.過去の報告例
こと,血小板減少以外特に症状がなかったことが相違
でも血球減少の程度や全身症状の軽いものは経過観察
点である.前者に関しては,血球貪食自体はもっと早
や対症療法のみが行われ,血球減少による障害がある
期に始まっていたが,貪食が軽度で血球減少に至るま
VAHS を発症した成人麻疹
1595
でに時間がかかった可能性がある.後者に関しては,
るので経過観察でよい.しかし VAHS の場合,経過観
VAHS 自体が軽症であったということと,麻疹発症か
察するにしても,さらに減少が続く場合ステロイドパ
ら 18 日経過しており,麻疹自体による症状が完全に消
ルスなどの積極的な治療が必要となることがあるた
失していたことより全身症状が認められなかったとも
め,正確な診断をつけておく必要がある.よって,麻
考えられる.実際過去の報告例でも麻疹自体の症状な
疹において高度な血小板減少を認めた場合には,必ず
のか VAHS による症状なのか明確に区別し難いこと
骨髄生検を行い,骨髄の評価をする必要があると考え
が多い.自験例を含む年長例では血小板のみの減少を
られる.
呈している点,肝脾腫を伴わない点が共通している.
以上,成人の麻疹に発症した VAHS の 1 例を報告し
この点に関しては症例数が少ないためさらなる症例の
た.麻疹は皮膚科診療においてはごくありふれた疾患
検討が必要であるが,乳幼児と年長者では同じ麻疹ウ
であり,発熱や発疹の軽快後は特に厳重なフォロー
イルスによる VAHS でも病態に差があるのかもしれ
アップを行うことはあまりないが,稀ながらもこのよ
ない.治療に関しては,前述したように血球減少や全
うな病態が存在し,場合によっては出血や DIC 等によ
身症状の程度に応じて対症療法から集学的治療までが
り致死的になる可能性があることを念頭に置いておく
選択されている.
必要があると考えられた.
麻疹において,軽度から中等度の血小板減少は頻度
も高いが,この場合は麻疹の回復とともに増加してく
文
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性血球貪食症候群を合併したアデノウイルス 7 型
本論文の要旨は日本皮膚科学会第 761 回東京地方会にて
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常深祐一郎ほか
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A Case of Virus-Associated Hemophagocytic Syndrome Due to Measles
Yuichiro Tsunemi, Takashi Matsushita, Takashi Nagayama,
Takenori Takahashi and Takeshi Tamaki
Department of Dermatology, International Medical Center of Japan
(Received March 31, 2001;accepted for publication June 21, 2001)
An 18-year-old woman was admitted to our hospital with high fever and skin eruptions. She was diagnosed with measles and was improving with symptomatic treatment when she suddenly exhibited severe
thrombocytopenia two weeks after admission. Bone marrow biopsy showed many foamy cells phagocytosing
platelets and other blood cells. She was diagnosed with virus-associated hemophagocytic syndrome due to
measles virus . The thrombocytopenia began to improve without any treatment and returned to normal
within a week. Virus-associated hemophagocytic syndrome should be considered as one of the differential diagnoses of severe thrombocytopenia associated with measles, and proper bone marrow assessment should be
considered.
(Jpn J Dermatol 111:1591∼1596, 2001)
Key words:virus-associated hemophagocytic syndrome, thrombocytopenia, measles, bone marrow,
histiocyte