岩盤工学の実務における逆解析 4.理想の逆解析について 東京電力 報告書(土木学会,2001.3) 日比野悦久 地下空洞に関して 地下空洞の設計・施工への適用という点からは、逆解析手法は、事例分析からも明らかなように、現 時点において、情報化設計施工の手段として大きな役割を果たすレベルに至ってきていると考えている。 今よりさらにと云うと際限がないように思うが、こんな点が、今後、詰められれば、空洞の設計・施 工に関わる技術者が、さらに使いやすいものへと進化させていけるのでは思ったことを以下に記述する。 ・解析の信頼性といったことを論じることができるようにならないか(精度の議論と云うべきかも しれないが) ・逆解析で得られる等価弾性係数といったアウトプットの工学的な意味合いを説明できるように ならないか(順解析で取り入れている岩盤の非線形な挙動を別の形で現しているように思ってい るが) ・逆解析に入る前の議論で、一番大事なことは、解析対象とする空洞挙動をどんな要因による現象 かととらえることであろう。そういった意味では、本報告書の事例分析からも読みとれるが、対 象とする現象をどんな問題として捉えて、モデル設定をどう考えたかを、検討した内容を技術資 料として残す場合に意識して、明記することが、今後の技術進化にプラスとなっていくであろう。 逆解析全般として 逆解析という学問に、専門に取り組んだ訳ではないので、稚拙な意見かもしれないが。″逆解析は面 白い″と考えている。 色々な工学の問題に取り組む際の思考方法・手段として、逆解析(逆解析的なアプローチというべきか) が、頻繁に導入されるようになればと思う。 それは、逆解析で全ての事象を説明しようという大それたことではなく、何か工学問題に取り組む際 の身近な道具として考えられるようになれば良いと考える。 以 上
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