第 12 回 玉川医療フォーラム参加者からのご質問と回答 ●会社の検診(オプションの血液検査(ガン))でひっかかり、関東中央病院で調べて頂きまし たが、特になしということでした。今後、定期的に検査をした方がいいでしょうか?どのくら いの間隔で調べたらいいでしょうか? (回答) 血液検査でひっかかったということは、おそらく腫瘍マーカーが基準値を上回っていたというこ とだ推測します。腫瘍マーカーが上昇する可能性がある癌があるのか否か、CT 検査など、いろ いろな検査をお受けになったのではないでしょうか。 腫瘍マーカーは、広くがんのスクリーニングとして行われておりますが、現状ではがんの発見の ための理想的な検査とはいえません。腫瘍マーカーが異常値だからといって必ずがんがあるわけ ではなく、反対に陰性だからといってがんを否定することもできません。 がんがないのに検査が陽性となることを「偽陽性」といいますが、いろいろな検査を行ってがん がないのであれば、腫瘍マーカーの異常は「偽陽性」であった可能性が高いと考えます。一般的 に、定期的に腫瘍マーカーを検査する必要はないと思います。 ●肺がんの件で質問します。私は78歳でタバコを吸いませんが、今年7月の区の検診で精密 検査となり、CTをしましたがはっきりと結果がわかりません。年明けにまたCTを取る予定 ですが、自覚症状は全くなく、この時も結果がはっきりしない場合どうしたらいいのですか? (回答) CT で陰影が認められたので、再検査になったのだと思います。一般的に、CT で認められた影が 何であるかは、感染症であれば原因菌を、腫瘍(がんを含め)であれば腫瘍細胞、組織を病理学 的に証明する必要があります。細胞、組織の採取は、気管支鏡、胸腔鏡下生検(手術)などによ り行われますが、侵襲を伴います。強くがんが疑われる場合には、すぐにこのような検査により 診断を行いますが、あまりがんを疑わない陰影、がんであったとしてもゆっくりと年単位で大き くなるようなものが疑われるような場合には、経過を見て、陰影が大きくなったり、濃くなった りした場合に、このような検査を受け診断します。 次回の検査でも変化がなければ、しばらくは CT で経過観察を続けることになる可能性がありま す。 ●ガンという病気は自覚症状があるのでしょうか?自覚症状がなくても発病しているのでしょ うか?万一ガンになった場合、完治することは難しいですか? (回答) 肺がんも含め、ほぼすべての癌で、初期には自覚症状がないのが普通です。発病という意味が難 しいですが、体の中にがんができたことを発病と考えるのであれば、発病したときには、自覚症 状がないのが普通です。 (がんによる症状がで始めることを発病というのかもしれません。 ) 初期であれば、完治も十分期待できます。検診を受けるよう努めて下さい。 ●ピロリ菌感染の検査はどこにお願いすればよいですか?費用はいくらくらいかかりますか? (回答) まず、保険を用いてピロリ菌を検査する場合、内視鏡を行い胃炎があることを確認してピロリ菌 検査を行います。 ピロリ菌の検査だけでは、保険適応にならず、自費診療となります。 検査は、消化器内科を標榜しているクリニックで行うことが可能です。費用は、高額ではありま せんが、保険負担割合、検査内容で変わりますので、受診の際に直接ご確認ください。 ●ピロリ菌の有無について、現在世田谷区でピロリ菌保有の検診がありませんので、区・医師 会で啓発して頂きたいです。 (回答) 胃がんの予防には、ピロリ菌のチェックがとても重要ですので、区民の皆様が、検査できるよう な体制作りが重要であると思います。 ●ピロリ菌除菌の副作用はありますか?高齢者でも可能ですか?また、何歳くらいまで可能で すか? (回答) 主な副作用は、除菌中に下痢をしたり、腹痛や味覚障害がでることです。いづれも一時的で数日 で治まります。 まれに、高齢の方では出血性腸炎が起きることがありますので、便に血液が混じた場合は受診が 必要です。 ピロリ菌除菌療法の年齢制限はありませんが、高齢者では副作用が出やすいため主治医にご相談 ください。 ●子宮頸がん予防ワクチンの副反応は、他の予防接種の副反応と大きく変わらないとの話でし たが、なぜこの副反応だけ、大きな社会問題となり、治療費も補助されることになったのでし ょうか?被害者団体や支援団体の声が大きかったからでしょうか? (回答) 単純な感染症予防ではなく、がん予防のワクチンということと、接種対象を中学生の女子に限定 していることが本ワクチンの特殊性であると考えられ、また筋肉注射であるため疼痛が強いとい うことが、すごくクローズアップされていたという背景があるのではないかと思います。 それ以上の理由、背景については詳しくはわかりません。 ●子宮頸がんになる可能性があり、手術を予定しています。今後どのようなことに注意すれば よいでしょうか。 また、更年期の女性ホルモンとの関係が知りたい。セカンドオピニオンは、どの段階で行えば よいのかわからないです。 (回答) 頸がんになる可能性があるとは、前段階の異形成と診断されているということでしょうか。高度 異形成から上皮内癌であれば円錐切除という子宮頸部の切除で済み、子宮本体や卵巣はそのまま 温存されます。特に身体に負担や変化が生ずるわけではありませんので、日常生活は全く変わる ことがありません。また、ホルモンバランスにも影響はしませんので、更年期症状が悪化するこ ともありません。 ●子宮を取ってしまってないのですが、子宮がん検診を受けた方がいいですか? (回答) 子宮全摘後に頸部が残存している場合は頸がん検診は必要です。 頸部も摘出されているようでしたら、毎年検診を受ける必要はないでしょう。 ●昨秋、健診で子宮頸がん異形成とのことで説明があり、今年2月、円すい型手術を受けて、 その後の検診では、異常なく、普段通りの生活でとのことですが、今後、ガンに本質的になり やすいのかどうかが心配です。 (回答) 子宮頸部異形成で円錐切除をされたとのことですが、もちろん日常生活は全く普通で構いません。 ただし定期的な検査は必要ですので、担当医の指示通り受診するようにしてください。HPV に感 染したからといって、体質的にがんになりやすいわけではありませんので、心配なさらないよう にしてください。 ●今年、乳がん検診をペースメーカーを入れているため受けられませんでした。今後が心配で す。どのようにしたら良いのでしょうか? (回答) マンモグラフィー検査ができなかったのだと思いますが、触診と超音波検査で代用できるかどう か、乳腺科の先生に問い合わせてみてください。 ●神経しょう腫を手術して丸2年が過ぎました。これから先、何をどのように注意して生活し たらよいでしょうか? (回答) 神経鞘腫がしっかり取り切れていれば、特にきをつけることもありません。通常の生活で問題あ りません。極まれに、多発するものもありますが、その場合は精査が必要なこともあります。
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