「知の知の知の知 」第1909号 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

い~な
あまみ
中 央
しらさぎ
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 1909 号 2014.5.18 発行
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心のバリアフリー舞台で読売新聞
2014 年 05 月 18 日
客席と一緒に盛り上がった手話ダンス
◇障害者ら和太鼓や踊り披露
舞台での共演を通じて、障害者と健常者の共生を目指
すイベント「トゥゲザーズ」が17日、目黒区八雲のめ
ぐろパーシモンホールで開かれた。障害者たちの熱のこ
もったパフォーマンスに大きな拍手が起こり、客席も一
体となって楽しんでいた。
イベントは元々、弁護士や医師、会社経営者らでつくる「東京山の手ロータリークラブ」
が2011年に、結成25周年の記念イベントとして開催したもの。「出演した子供が自信
を持てるようになった」
「積極性が出てきた」などの声が多く寄せられたため、翌年から毎
年開催されるようになった。
客席とも一体に 目黒区にあるアルコール依存症患者の支援を行うNPO法人は、手話ダ
ンスを披露。
「手のひらを太陽に」
「年下の男の子」などの音楽に合わせて、歌詞を手話で
表現しながら軽快にステップを踏んだ。
演目前には、観客にも手話の意味ややり方をレクチャーし、客席と一体となったパフォ
ーマンスが繰り広げられた。
この日参加したのは、都内の6団体と、神奈川県内の1団体。各団体は、障害者らによ
る和太鼓の演奏や日本舞踊、フラダンスなどを次々と披露し、そのたびに客席から大きな
拍手が送られていた。
ステージに立った次男を客席から応援していた新宿区の高橋美代子さん(70)は「ど
れも迫力があったし、息子も張り切っていて、とても楽しめた。障害者やその家族への理
解は進んでいると感じているが、さらにより多くの人が関心を持ってくれるとうれしい」
と話していた。
金立特別支援学校でサツマイモの苗植え
佐賀新聞 2014 年 05 月 17 日
サツマイモの苗を植える子どもたち
佐賀市の金立特別支援学校分校舎(武富太裕校長)の
子どもたち22人が13日、地域のボランティアグルー
プ「松原めばえ会」(岩橋春美会長)と交流し、約20
平方メートルの畑にサツマイモの苗100株を植えた。
交流会では小林颯汰君(14)と上米良健介君(12)
が「イモの苗植えや地域の方との交流を楽しみにしてい
ました」とあいさつ。岩橋会長も「みんなの元気な様子を見られてうれしい」と笑顔で話
した。この後、子どもたちは松原めばえ会の会員と一緒にスコップや手で1株ずつ丁寧に
植えた。小学3年の安部愛華さん(8)は「秋のイモ掘りが楽しみ」と笑顔で話した。
佐賀整肢学園に入所中の生徒にも交流会の様子を楽しんでもらおうと、タブレット端末
を使ったライブ中継も行った。
思い出は精いっぱいの演技で 豊川特別支援学校/小・中学部が合同運動会/今の仲間で
最後「やってよかった」
東日新聞 2014 年 05 月 18 日
豊川特別支援学校(河合千丈校長)で 17 日、小学部と中学部の合同運動会が開かれた。
来春には豊橋市野依町に開校する「くすのき特別支援学校」に多くの子どもたちが転校す
る。今の仲間で行う最後の運動会に、子供たちは精いっぱいの演技をした。
現在は小学部143人、中学部121人の計264人。同校によると、来年4月にはほ
ぼ半数になる予定だ。
運動会の準備段階で、保護者や職員から「何か記念になるものを」という声が上がり、
毎年小学部全員で行っている演舞をグレードアップさせ、同部の教員も全員参加。「ヤーレ
ンソーラン舟をだせ」の曲に合わせて、元気に力強く踊って見せた。
小学部主事の鈴木康洋教諭は「やってよかった。この学校が良いところだったというこ
とを忘れないでほしい」と話し、河合校長は「障害者を理解してもらうために、頑張って
いる姿をもっと外の人たちにも見てもらいたい」と期待した。
収容・備蓄力、通信機能 福祉避難所に客船を
読売新聞 2014 年 05 月 18 日
大規模災害時、客船などを被災者が医療や介護を受ける避難所として転用する「福祉避
難所船」について議論するフォーラム「今考えよう、災害時医療」が17日、神戸市中央
区の県医師会館で開催された。阪神大震災を経験した神戸から発信する次世代型の災害医
療の提案。政府関係者も出席し、導入に向けた検討を進める考えを示した。(浅野友美)
災害弱者である高齢者や要介護者、障害者らが被災したことによって震災関連死を招く
ケースは問題視されており、阪神大震災では919人、東日本大震災では2916人が、
被災後に震災関連死したとのデータもある。
県医師会などでつくる「兵庫県民の医療と福祉を守る会」は、被災者の環境改善が不可
欠と考え、フェリーなどの民間船舶を国が一時的に借り上げ、介護や治療の拠点となる「福
祉避難所船」として活用する構想を発案。昨年5月には「大規模災害時の船舶の活用等に
関する調査検討会」も設立された。
この日のフォーラムでは、導入に向けた課題などについて意見交換。同検討会の座長を
務める井上欣三・神戸大名誉教授は、物資や乗客を輸送できる上に、大量の収容力を持ち、
食料や水の備蓄、通信機能も備えた船の特性を説明し、「災害時の船舶活用を政府の防災基
本計画に盛り込むべき」などと提案した。
これに対し、西村康稔・内閣府副大臣は「船舶の活用について前向きに議論したい」と
述べたが、ヘリコプター発着場として使える甲板や、搬送用エレベーターを備えた船舶が
少ないことなどの課題も指摘した。
国土交通省神戸運輸監理部の担当者は、使用可能な船舶を選び出すためのデータベース
の構築や、手続きをまとめたマニュアル作りなどの取り組みを紹介。
「守る会」の川島龍一会長は「民間や自治体が協力して課題を克服しながら船舶活用の
モデルを作り、神戸から全国に広めたい」と話した。
社説:介護改正の強行
数のおごりが甚だしい
京都新聞 2014 年 05 月 17 日
ここにも安倍政権の数のおごりが如実に表れている。
政府・与党は地域医療・介護総合確保法案を衆院厚生労働委員会で強行採決し、おとと
い本会議を通過させた。同法は負担を増やし、サービスを制限する介護保険法や医療法な
ど19本の法改正をひとくくりにした「巨大法案」である。これまでになかった手法だ。
その乱暴さは法案提出の段階でも指摘したが、やはり懸念は現実のものになったと言え
よう。衆院厚労委では論点があちこちに分散し、議論が深まらなかった。
国民世論の反対が盛り上がる前に押し切りたいという、政府・与党の思惑通りと言うべ
きか。われわれの暮らしに直結する問題を、こんな強引なやり方で進めることは許されな
い。このままでは、社会保障の充実を掲げた消費税増税も説得力を失うだろう。
法案の一つの争点は、介護の必要度が低いと判定された「要支援1~2」の人向けのサ
ービスのうち、訪問介護と通所介護を市町村の事業として移すことだ。政府は「地域の実
情に合ったサービスが受けられる」と主張するが、介護現場からは「市町村のサービスの
格差が広がり、利用できなくなる人が出る」との声が上がる。
介護サービスは現状でも「事業者丸投げ」の側面があり、市町村間で格差が生じている。
そこで市町村が責任を持ち、事業者に加えてボランティアやNPOなどの地域資源を組み
合わせ、介護度が悪化しないよう事業を展開するという方向性は一定理解できる。
問題は、その仕組みを担保する財政や人材の確かな裏付けが法案から読み取れないこと
にある。軽度の人を介護保険から切り離し、介護費を安上がりに抑えようとしているので
はないか。福祉に不熱心な市町村や、開業医が一人もいない地域に暮らす人は見捨てられ
るのではないか。
そんな当然の不安に応え、必要があれば法案を修正するのが国会の役割であるはずだ。
ところが、法案にはほかにも、一定の所得がある介護保険利用者の負担割合を1割から
2割に引き上げ▽特別養護老人ホームの入所を原則、要介護3以上に限定▽急性期病院を
減らすなどの病院再編を都道府県が主導▽医療事故調査制度の新設-などの重要な課題が
一括列挙されている。
衆院での議論を整理し、政府・与党は野党が賛成できる部分を分離し、法案を再提出す
ることを検討してはどうか。
社説:徘徊行方不明―明日は我が身の意識で
朝日新聞 2014 年 5 月 18 日
認知症のあるお年寄りが毎年およそ1万人、行方不明になっている。警察による身元照
会の体制に穴がないか点検するとともに、地域住民によって行方不明を防ぐ実践を積み重
ねる必要がある。
自力で帰宅できなくなった認知症の人が、報道をきっかけに家族と再会するケースが相
次いでいる。ひとりは行方不明になって7年近くが経っていた。
東京都内に自宅があるこの女性は群馬県で保護され、身元不明のまま介護施設で暮らし
ていた。家族が捜索願を出していたが、保護した警察が女性の衣服に書いてあった名前を
誤って入力したため、行方不明者を名前で検索するシステムでは見つけられなかった。
認知症の人は、自分の名前や住所を言えない場合がある。本人の顔写真など多様な情報
が登録できるようシステムを改めるべきだ。住まいから遠く離れた場所で保護される可能
性を前提に、全国レベルの情報共有を強化して欲しい。
私たち住民も、認知症の人に目を配っていこう。
徘徊(はいかい)が疑われるようなお年寄りがいたら、声をかける。所在がわからなく
なったら、行政や福祉施設、地元ラジオ局や交通事業者、住民らに情報を流し、早い段階
で見つける。そんな取り組みがすでに始まっており、福岡県大牟田市では10年の蓄積が
ある。
大都市では、地域の人間関係が薄くても人の目は多い。ツイッターなどソーシャルメデ
ィアの活用で、行方不明者の情報を広く共有すれば、早期発見につながりやすい。
「身内が認知症」という情報が他人に知られることに抵抗を感じる人も、まだ多いだろ
う。
しかし、できるだけ早く見つけられれば事故に遭遇するリスクは減る。徘徊中にJR東
海の列車にはねられた事故では、列車遅延などに対する家族への損害賠償請求を裁判所が
認めた。
身元不明のまま保護が長期間に及んだ場合、生活費を誰が負担するのかという問題も表
面化している。
もちろん、行方不明の防止を優先するあまり、認知症の人を閉じ込めるのは厳禁だ。本
人の歩きたいという自然な欲求を押さえつければ、症状が悪化する恐れが高い。
65歳以上で、認知症の人は推計462万人。今後も増えていくのは確実だ。認知症の
人の自由を尊重しつつ、行方不明を防ぐ手立てを講じる。いつかは認知症になるかもしれ
ない「我が身」のためでもある。
社説:生殖医療法案 根本から議論したい
毎日新聞 2014 年 05 月 18 日
他人から卵子や精子、受精卵の提供を受けて子どもをもうけたり、他の女性に代理出産
してもらったりする。夫婦以外の第三者がかかわる生殖補助医療について、自民党の「生
殖補助医療に関するプロジェクトチーム(PT)」が法案をまとめた。
これまで何度も集中的な議論が繰り返されてきたテーマだが、国会での審議につながら
ず、たなざらしになっていた。国としてのルールがないまま既成事実化するのは問題で、
法規制に向けた議論が進むのは評価したい。ただ、問題は中身だ。
法案は、卵子や精子の第三者からの提供を原則として匿名で認め、代理出産も一定の条
件で容認している。親子関係は民法の特例法案で出産した女性を母とする。子どもの法的
な地位を安定させることは必要だが、法案全体はこれまでの議論を踏まえたとはいいにく
い。
厚生労働省の専門家会議が検討を重ね2003年にまとめた報告は、卵子や精子の提供
を条件付きで認める一方、代理出産を禁止した。子どもが自分の出自を知る権利は最大限
認めた。日本学術会議も代理出産の原則禁止を打ち出している。
重要視された論点の一つは、人を生殖の手段として使わないようにすることだ。女性の
体に与える負担を思えば、卵子の提供も、代理出産も、簡単には認められない。
生まれた子どもに障害があった場合に、当事者がそれを受け入れられない恐れもある。
代理出産した人が子どもを手放したくなくなる可能性もあるだろう。提供者や代理出産者
として姉妹などを認めると親族間でプレッシャーがかかったり、後でトラブルになったり
する恐れもある。
さらに大事な論点は生まれてくる子どもの幸福を最優先することだ。そのためには、子
どもが出自を知る権利を認めることは欠かせない。この点について、法案は引き続き検討
することとしているが、他人から精子の提供を受ける「非配偶者間人工授精(AID)」で
生まれた子どもの中には、大人になって真実を知り、苦しんでいる人たちがいる。卵子提
供でも同じ問題が生じるだろう。
自民党PTは、今回まとめた法案以外に、代理出産を禁止する修正案、子どもが出自を
知る権利を担保する修正案も検討し秋の臨時国会に提出してもらいたいというが、具体的
手続きは決まっていない。
新しい命を生み出す技術であるだけに、法制化にあたっては慎重な議論が欠かせない。
出自を知る権利の保障はもちろん、そもそも代理出産や卵子・精子の提供を認めるのかと
いう根本に立ち返った議論が必要であり、そうした観点に立つ修正案もまとめてもらいた
い。
社説:遺伝子検査の健全な普及策を
日本経済新聞 2014 年 5 月 18 日
病気にかかる可能性などを簡単な検査で判定する遺伝子検査ビジネスが広がっている。
なかには科学的根拠が薄弱で利用者の誤解を招きかねないサービスもある。
遺伝情報の活用は、これからの医療を大きく変える潜在力を秘める。適切な規制と健全
な産業育成策の両立が求められる。
遺伝子検査ビジネスは、利用者が口内の粘膜などを採って事業者に送ると、含まれる遺
伝子を調べ病気のリスクや体質を判定してくれる。運動や芸術の才能までわかるとするサ
ービスもある。
経済産業省の研究会が当面は法的な規制はせず個人情報保護などを定めた業界の自主的
なルールに委ねるとする報告書をまとめた。
遺伝子検査は技術革新による急成長が見込まれる。拙速な法規制はビジネスの芽を摘み
かねない。法規制を見送った姿勢は理解できる。インターネットを介してサービスが提供
される例も多く、国内だけの規制では効果的でない。
ただ検査の精度や限界について利用者に情報を十分に提供しない不適切なサービスが野
放しになるのは望ましくない。糖尿病など多数の遺伝子が関わる病気のリスク判定は現状
では難しく、才能は遺伝子だけでは見定めがたい。遺伝情報の正しい理解が十分に普及し
ておらず、一般の利用者と事業者の間には大きな情報格差がある。
利用者へのていねいな説明を含め、検査の質を保証しより高める努力なしに健全で競争
力のある産業は育たない。米国では科学的根拠の薄い検査を規制する動きがある。正しい
理解に基づくサービスを広げる責任は事業者にある。
将来的には遺伝情報は病気の治療や予防、生活習慣の改善に役立つと期待される。人間
の全遺伝情報(ゲノム)を短時間、低価格で読み取る技術の実用化が間近とされ、遺伝情
報の活用がこれからの医療では当たり前になる。
国民の健康増進と医療費の抑制のため検査ビジネスをどういかすのか、国として大局的
な戦略をたてる議論も必要だ。
「老後の備え不足」67% 内閣府調査
共同通信 2014 年 5 月 18 日
35~64歳を対象にした内閣府の調査で、老後になってからの経済的な備えが足りな
いと感じている人が66・9%に上ることが17日、分かった。現役世代が公的年金や、
貯蓄・退職金の取り崩しだけでは老後の暮らしに不安を抱いている実情が浮き彫りになっ
た。65歳を超えても働くことを希望する人は約半数に上った。
調査結果は6月に閣議決定する高齢社会白書に盛り込まれる。
調査は昨年11~12月に約6千人を対象に実施。
老後の経済的な備えについては「かなり足りない」が50・4%、「少し足りない」が1
6・5%で、両方を合計した「足りない」は66・9%。
「終活」はワンセット
葬儀も墓も相続も一緒に
日本経済新聞 2014 年 5 月 18 日
低価格プランを打ち出し、葬儀の平均単価が下落するなど業界全
体を揺るがしたイオンとユニクエスト・オンライン(大阪市)。最
近では墓や相続など葬儀周辺のプランも用意し、シニア層の囲い込
みを始めている。終活マーケティングの最前線を追った。
イオンはグループの店舗内で買い物ついでに参加できる終活セミナーを開い
ている(千葉県柏市のイオンモール柏)
■遺影写真やひつぎも体験
4月下旬、イオンモール柏(千葉県柏市)の広場で、買い物客が
熱心にパネルやスクリーンを見ていた。イオンが開いた「終活セミ
ナー」だ。買い物のついでに立ち寄った 45 歳の主婦は「イオンの
お葬式」について書かれたパネルの前で「火葬式には何が含まれているんですか?」と説
明員に聞いていた。
イオンは 2009 年に葬祭事業に参入し、11 年から追加料金なし定額プランを打ち出した。
現在、全国の葬儀社約 500 社と提携し、火葬式(20 万 3000 円)、家族葬(50 万 8000 円)
など値ごろ感を打ち出す。
1カ月に2カ所の店舗で開く終活セミナーでは、葬儀以外にも墓や相続、保険など終活
にかかわる相談に無料で応じる。事業を開始した5年前は「チラシさえ受け取ってもらえ
なかった」
(イオンリテール)が、最近では毎回 500~1000 人が集まる盛況ぶりだ。
人気はひつぎや遺影写真の体験コーナー。「終活について具体的に考えてもらうきっかけ
になる」(イオンリテール・イオンライフ事業部の広原章隆事業部長)。元気なうちはピン
とこない人も多いが、遺影写真やひつぎを体験した人は「ほぼ 100%、事前登録してもらえ
る」という。
事前登録とは、店頭やネットで名前や住所を登録しておき、施行時にすぐ対応できるよ
うにしておく仕組み。店頭で個別相談に訪れた顧客からそれ以外に希望の葬儀スタイルや
墓石の有無などを聞いておく。
葬儀の施行件数(月約 700 件)のうち事前登録した人が6割を占める。現在は4万5千
人が登録しており、目標は 2020 年までに 20 万人。事前登録が増えれば、収益の安定につ
ながるという計算だ。
葬儀は利益率の高い事業だが、イオンの場合、店頭などでの消費を喚起する狙いもある。
55 歳以上を「グランド・ジェネレーション世代」と呼び、グループ総力で囲い込む戦略だ。
昨年 11 月からは店頭に「くら
しのコンシェルジュ」を配置し、
葬儀からリフォーム、家事代行ま
でトータルで相談を受けられる
ようにしている。特に好調なのは
12 年から始めたペット葬の受注
で、昨年比約3倍の伸び率で推移。
「近いうちに『イオンのお葬式』
と同じ規模になる」(広原部長)
勢いだ。
「葬儀社の会員制度と違いを出
すために、生きているうちにメリ
ットがあるようにしたい」(同)
と、今後は事前登録者へのサービ
スを強化する。事前登録者に提供
するカードに電子マネー「ワオ
ン」を付けて日常の買い物で割引
ができるようにしたり、家族会員
制度を整えたりする計画だ。
■ネット活用、葬儀の早割も
一方、09 年に定額プランを他社に先駆けて始
めたユニクエスト・オンライン。もともとは葬儀
の価格比較サイトを運営しており、現在の施行件
数は年間1万4千件(取扱高約 42 億円)。最大手
でも3%弱といわれる葬儀業界(件数ベース)の
シェアだが、同社は「1.4%を占める」
(田中智也
社長)までになった。
ユニクエストが手掛ける「小さなお葬式」のイメージ
実は同社は4年ほど前にイオンと交流があり、共同事業を模索したこともあったという。
両社の料金プランや、全国の提携葬儀社に送客するという仕組みはほぼ同じだが、コンセ
プトや方向性は異なる。
「店舗が最大の武器」というイオンに対し、ユニクエストは「人件費より多い」という
ほどのネット広告費を投入するサイトを基軸としたビジネスモデルだ。
イオンは 50 万 8000 円の家族葬プランが最も多いのに対し、緊急に依頼されるケースの
多いユニクエストは最も安い 17 万 3000 円の火葬プランが半数を占める。
ユニクエストも「生前に接点を持つことが課題」(田中社長)と囲い込みに乗り出した。
3月から早割チケット(500 円で最大5万7千円引き)のサービスを開始、7月までに月
1500 件の受注を見込む。
早割チケットを購入した神戸市の加治夕起子さん(77)は義父の介護で苦労した経験も
あり「子供や孫に迷惑をかけたくない」との思いから決めたという。
生前の接点を開拓するといっても、他社が手掛ける終活セミナーはやらない。田中社長
は「介護で疲れている人も多く、前向きな生前準備というのは少数派だ」と言い切る。も
ともと「死の前後にかかる費用を最小限にしたい」というのが同社の方針。増税で支出が
増えるとみて、3月末には 5000 円の値下げをあえて断行。昨年から5~14 万円の低価格
仏壇の販売も始めた。
今後は墓石事業や、仏壇や墓と葬儀のセット割引、法事法要のレストラン予約など事業
領域の拡大を画策し、東証マザーズへの上場も計画している。ワンストップビジネスを構
築しようとしている点ではイオンと重なり、今後も2社の競争が激しくなりそうだ。(安田
亜紀代)
◆支持広がる「明朗会計」
「イオンの下請けになりたくない」(葬儀社大
手)。異業種の攻勢に既存の事業者は危機感を募
らせる。死亡者数は年々増えているが、小規模で
簡素な葬儀に消費者が流れ、苦戦しているという
のが葬儀社の現状だ。各社は金融機関と共同で相
続のセミナーを実施したり、保険を始めたり、事
業領域を拡大することで生き残りを図っている。
互助会保証(東京・港)によると、09 年の葬
儀市場は 1.7 兆円。うち、シェア3割を占めるの
が経済産業省の認可を受けた全国各地にある互
助会だが、このシステムも岐路に立たされている。
互助会とは生前に葬儀費用を積み立てておく
仕組みで、前受け金の総額は2兆 3600 億円に及
ぶ。最近では加入者が伸び悩み、解約手数料や追
加料金でトラブルも発生している。
「解約手数料が高い」「加入時の説明が不明確」。国民生
活センターによると、互助会への苦情・相談が年間3千件以上も寄せられる。
最近、互助会を解約したという千葉県柏市在住の 71 歳男性は「積み立てていた金額以外
に数十万円かかることがわかった」と話す。互助会に限らず、オプションが多く、わかり
にくい価格体系に不信感を持つ消費者は多い。
「追加料金一切不要」と金額を明示したイオ
ンやユニクエストが支持されるのはこうした背景がある。
「明朗会計」をうたうユニクエストは、12 年から寺と提携し「お気持ちで」と言われる
お布施の料金も明確にした。現在 300 の寺と提携。その一つの京都市の寺の住職は「お布
施や寄付の不透明さから、寺との接触を怖がる人が増えた。定額で安心してもらえるなら
と提携した」という。
実はユニクエストが提携する葬儀社(約 800 社)の大半は葬儀会館を運営する全国各地
の互助会だ。00 年ごろまでは会館の新設ラッシュが続いたが「現在の会館の稼働率は1割
以下。当社は空きのある時に葬儀会館を利用するビジネスモデルで、互助会とは直接競合
しない」
(ユニクエストの田中社長)
。
定額プランを打ち出す葬儀社も増えてきたが、業界を揺るがした“新参者”は次の成長
に向けて先手を打とうとしている。
認知症高齢者
見守る壬生町
徘徊対処「命のカプセル」配布へ
東京新聞 2014 年 5 月 18 日
認知症の高齢者が行方不明になる例が全国的に増えていることを受け、壬生町は、徘徊
(はいかい)の恐れがある人に、自分の名前や持病を書いた紙を入れる携帯ケースを無料
配布する。常に首から下げてもらうことで、自分の名前や住所を忘れてしまった人を助け
る狙いだ。
(大野暢子)
壬生町が65歳以上の希望者に配布する「命のカプセル」=壬生町で
ケースは、福祉関連の商品を開発しているYHTC(東京都町田
市)の「命のカプセル」という商品。壬生町によると、自治体が導
入するのは首都圏で初めてという。
中の紙には、緊急連絡先やかかりつけ医、処方箋を書く欄もある。
全長約六センチのアルミ製で、重さ約二十グラムと軽いのが特徴。
防水加工が施されており、緊急時用の薬も入れることができる。
配布は、町が昨年、六十五歳以上のみで構成される世帯のために
始めた「町高齢者見守りネットワーク事業」の一環。十五日現在、百三十四人の見守りチ
ーム員(登録制)が四百七十三世帯に対し、新聞がたまっていたり、物干し場の洗濯物が
何日も放置されていたりしていないかを目配りしている。
町は、認知症患者へのケアをさらに手厚くするため、カプセル五百個を準備。今後、民
生委員の意見を聞きながら、必要度の高い高齢者のうち希望者に配布する。菅野久美子・
高齢福祉係長は「カプセルを携帯する人だけでなく、誰もがカプセルの役割を知り、徘徊
の疑いがある人の救助に役立ててほしい」と話す。
県警生活安全企画課のまとめでは、二〇一三年に行方不明になった県内の認知症患者、
またはその疑いのある人は百三十五人。うち七人が死亡、五人が未発見だ。統計を始めた
一二年は行方不明者が百四十人、うち死亡が九人、未発見はゼロ。未発見者の増加が深刻
な問題となっている。
同課の佐藤輝二次長は「自宅の敷地内で発見された人や、道路沿いを歩いているところ
を見つかった人もおり、事例はさまざま。六十五歳以下の不明者も一定数いる」と指摘す
る。
県内の各警察署は〇六年、事件や事故、行方不明者の情報を配信する「地域安全情報メ
ール」
(登録制、通信費のみ負担)を開始。四月末現在、十一万三百七十八件の登録があり、
不明者の年代や外見の特徴などを伝えている。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行