県内産加工食品の残留農薬実態調査について(PDF:217KB) - 鹿児島県

Ann.Rep.Kagoshima Pref.Inst.for E.R.and P.H.Vol.13 (2012)
資
料
県内産加工食品の残留農薬実態調査について
榎
1
元
清
美
下堂薗
栄
子
福司山
郁
恵
吉
浩
三
村
はじめに
岩屋
あまね
りん酸(特級)は関東化学㈱製を,りん酸二水素カリウ
2006年5月29日から食品中の残留農薬等のポジティブ
ム(特級)及びりん酸水素二カリウム(特級)は,和光
リスト制度が施行され,多種類の農薬等を効率的に分析
純薬工業㈱製を用いた。ODSミニカラム(1000mg)は,
する方法として,国は野菜,果実等の農産物について,
ジーエルサイエンス㈱製InertSep
C18を用いた。グラフ
通知により一斉試験法 (以下「通知法」という。)を
ァイトカーボン/アミノプロピルシリル化シリカゲル積
示している。
層ミニカラム(以下「GC/NH2 ミニカラム」という。)
1)
(500mg/500mg)は,ジーエルサイエンス㈱製InertSep
一方,2008年1月に発生した中国製冷凍餃子農薬混入
GC/NH2を使用した。
事件により加工食品中の残留農薬についても消費者の関
心は高く検査の必要性が生じている。
2.3.2
しかし,加工食品については使用原材料が多岐にわた
標準原液及び混合標準液の調製
各農薬標準品はそれぞれ1mg/mLとなるようにトルエ
り,農産物に比べマトリックスによる妨害を受けやすく
ンに溶かし,溶けにくい場合は少量のアセトンに溶解後
なることが予想される。
そこで今回,加工食品の中で原材料の影響が少ないと
トルエンで定容して調製した。これらを混合して,各20
予想される食品について,現在当センターで行っている
μg/mLとなるようにアセトンで調製して混合標準原液と
農産物を対象とした試験法を適用できるかの検討を行う
した。
混合標準原液と市販の農薬混合標準液を混合して,各
とともに,県内で製造された加工食品の残留農薬の実態
1μg/mLとなるようにアセトンで調製し,検量線用混合
調査を行ったので,併せて報告する。
標準液及び添加回収試験用標準液として使用した。
2
調査方法
2.1
2.4
試料
装置
装置は以下のものを使用した。
県内で製造された果汁飲料9検体,ジャム類8検体,漬
・ホモジナイザー:KINEMATICA社製ポリトロンホ
物8検体の計3種類25検体の加工食品を用いた。
モジナイザーPT-3100
2.2
・濃縮装置:柴田科学㈱製ロータリーエバポレーター
対象農薬
R-200,バキュームシステムB-179及び低温循環水
当センターで農産物を対象とした試験法を適用できる
槽C-503
表1の230成分の農薬を対象とした。
・GC/MSシステム:サーモフィッシャーサイエンテ
2.3
ィ フ ィ ッ ク ㈱ 製 ガ ス ク ロ マ ト グ ラ フ TRACE GC
試薬及び試液
2.3.1
Ultra,同社製オートサンプラーTriplus AS,同社製
試薬等
質量分析装置PolarisQ
農薬標準品及び農薬混合標準液は,和光純薬工業㈱,
関東化学㈱製を用いた。
2.5
アセトン,n-ヘキサン,アセトニトリル及びトルエン
試験溶液の調製
通知法を一部改良して行った。抽出溶媒については,
は,和光純薬工業㈱製の残留農薬試験用を用いた。
含水アセトニトリルが幅広い農薬を抽出するとの報告 2)
塩化ナトリウム(残留農薬試験用)及びトリフェニル
- 84 -
鹿児島県環境保健センター所報
があることから,アセトニトリル100%からアセトニト
2.7
第13号 (2012)
添加回収試験
リル/水(8:2)に変更して行った。また,果汁飲料,
3種類の加工食品の中で代表的な検体(たんかんジュ
ジャム類については吸引ろ過時にろ紙がつまることから
ース,いちごジャム,大根醤油漬け)に農薬の試料中濃
珪藻土を添加し抽出を行った。なお,試験フローを図1
度が0.1μg/gとなるように添加回収用標準液を添加し,
に示す。
約30分間放置した後抽出操作を行った(n=5)。なお,
平均回収率及び相対標準偏差(以下「RSD」という。)
を求め,平均回収率が70~120%,かつ,RSDが15%以
試料20.0g
下であったものを良好とした。
果汁飲料,ジャム類 珪藻土添加
アセトニトリル/水(8:2)50mL+20mL
3
ホモジナイズ3分間
結果及び考察
3.1
吸引ろ過
添加回収試験(表1)
定量は,各農薬のピーク面積とトリフェニルりん酸の
アセトニトリル/水(8:2)で100mLに定容
ピーク面積との比から内部標準法により検量線を用いて
20mL分取
NaCl 10g
添加回収試験を行い,その結果を表1に示す。ジャム類
0.5mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)20mL
については添加回収試験に用いた試料中にクレソシキム
メチルとプロシミドンが残留していたため残留値を差し
振とう10min
引いて回収率を求め試験結果は参考値とした。その結果,
対象農薬230成分中,果汁飲料で220成分,ジャム類で22
アセトニトリル層
2成分,漬物で179成分について添加回収試験が良好であ
った。
精製(ODSミニカラム)
アセトニトリル2mL
3.2
濃縮(40℃以下)
加工食品中の残留農薬の実態調査(表2)
3.2.1
アセトニトリル/トルエン(3:1)2mL
果汁飲料の残留農薬
いずれの検体からも農薬は検出されなかった。
精製(GC/NH2ミニカラム)
アセトニトリル/トルエン(3:1)20mL
3.2.2
濃縮(40℃以下)
ジャム類の残留農薬
0.5μg/mLトリフェニルりん酸含有
いちごジャム1検体から殺菌剤2成分(クレソキシムメ
アセトン/n-ヘキサン(1:1)1mL
チル0.008ppm,プロシミドン0.021ppm)を,きんかん
マーマレード1検体から殺虫剤1成分(ビフェントリン
GC/MS測定
0.024ppm)を検出した。検出された農薬は,いずれも
図1
原材料の農産物の残留基準値を下回っていた(残留基準
試験フロー
値の2%未満)。
2.6
測定条件
3.2.3
カラム:ジーエルサイエンス㈱製InertCap 5MS/Sil+GD
漬物の残留農薬
醤油漬け1検体から殺菌剤1成分(プロシミドン0.020
(長さ30m,内径0.25mm,膜厚0.25μm,GD:ガード
カラム(長さ5m,内径0.25mm))
ppm)及び殺虫剤1成分(クロルフェナピル0.019ppm)
カラム温度:50℃(1min)→25℃/min→125℃(1min)
を , ぬ か 漬 け 1 検 体 か ら 殺 菌 剤 1成 分 ( プ ロ シ ミ ド ン
→10℃/min→300℃(10min)
0.023ppm)を検出した。醤油漬けは原材料としてきゅ
注入口温度:250℃,トランスファーライン温度:280
うり,人参が使用されており,醤油漬けから検出された
℃,イオン源温度:230℃
プロシミドンは個々の農産物の残留基準値を下回ってい
注入量:2μL(スプリットレス),イオン化法:EIモ
た。醤油漬けから0.019ppm検出されたクロルフェナピ
ード,イオン化電圧:70eV,測定モード:SCANモー
ルは人参には一律基準(0.01ppm未満)が適用されるが,
ド(m/z=50~500)
人参には国内登録がないことから,きゅうり(基準値
キャリアガス:ヘリウムガス1mL/min
0.5ppm)に使用されたと推察され,残留基準値を超過
- 85 -
Ann.Rep.Kagoshima Pref.Inst.for E.R.and P.H.Vol.13 (2012)
表1
調査対象加工食品の平均回収率及び相対標準偏差(その1)
検査項目
BHC(α,β,γ及びεの総和)
γ-BHC(リンデンという。)
DDT(DDD及びDDEを含む。)
EPN
TCMTB
XMC
アクリナトリン
アザコナゾール
アジンホスメチル
アセタミプリド
アセトクロール
アトラジン
アニロホス
アメトリン
アラクロール
アルドリン及びディルドリン
イサゾホス
イソキサチオン
イソフェンホス
イソプロカルブ
イソプロチオラン
イプロベンホス
イマザマタベンズメチルエステル
ウニコナゾールP
エスプロカルブ
エタルフルラリン
エチオン
エディフェンホス
エトキサゾール
エトフェンプロックス
エトフメセート
エトプロホス
エトリムホス
エンドスルファン
エンドリン
オキサジアゾン
オキサジキシル
オキシフルオルフェン
オメトエート
オリザリン
カザスホス
カフェンストロール
カルフェントラゾンエチル
カルボキシン
キナルホス
キノキシフェン
キノクラミン
キントゼン
クレソキシムメチル
クロマゾン
クロルエトキシホス
クロルタールジメチル
クロルデン
クロルピリホス
クロルピリホスメチル
クロルフェナピル
クロルフェンソン
クロルフェンビンホス
果汁飲料
回収率
RSD
93
95
99
100
95
142
100
97
115
100
95
98
104
88
95
82
82
94
95
97
95
107
109
88
95
88
94
87
97
113
93
95
93
96
102
96
99
93
54
160
94
109
94
100
98
86
91
82
96
93
66
90
86
110
90
101
88
94
- 86 -
5.1
5.0
4.8
2.9
5.4
8.2
5.3
2.3
2.5
27.9
5.0
4.7
2.5
4.7
4.7
7.7
5.9
2.1
3.1
5.1
3.4
7.9
3.2
3.2
2.7
4.9
3.5
4.7
4.8
4.0
3.8
6.0
3.6
15.6
2.7
3.3
3.3
4.3
5.1
5.8
5.4
3.8
3.1
2.6
2.7
3.9
4.2
4.9
3.0
3.7
10.4
2.5
6.0
7.9
1.9
2.5
4.3
5.5
ジャム類
回収率
RSD
87
86
85
82
84
189
79
97
111
102
97
100
97
87
87
76
88
92
90
94
97
100
107
87
94
79
88
88
87
85
85
88
88
91
89
88
94
81
67
111
90
97
91
85
91
76
85
70
85
90
58
90
75
81
82
92
82
85
4.4
4.1
6.2
8.6
6.1
10.3
9.3
6.4
6.6
12.2
6.2
5.6
5.2
5.8
6.0
8.3
6.8
4.6
4.0
4.6
5.8
4.3
3.7
7.9
4.6
8.9
5.1
6.8
7.8
5.6
7.5
5.9
5.0
7.3
3.9
8.3
3.5
7.4
5.8
7.1
5.6
6.0
5.3
5.7
2.9
4.6
1.8
4.5
6.9
5.6
7.9
6.7
7.0
6.4
6.4
9.8
7.8
4.0
(単位:%)
漬物
回収率
RSD
80
80
72
80
77
91
68
84
9
100
67
79
31
88
64
70
73
66
79
86
84
84
95
75
76
64
71
59
74
76
71
84
73
82
69
75
80
76
56
10
79
77
81
82
69
71
87
71
72
77
69
78
67
66
70
80
73
85
9.3
10.1
8.6
7.0
8.6
5.4
16.0
6.5
29.4
5.3
5.7
4.9
8.1
5.9
8.9
12.1
10.8
5.0
8.1
8.1
10.3
9.2
10.3
5.3
9.9
7.6
7.0
5.8
8.8
7.9
10.6
8.5
8.0
9.0
3.7
18.9
10.1
8.5
4.9
25.9
7.3
9.8
6.2
7.1
6.9
8.6
7.5
9.1
9.3
8.4
10.2
7.5
7.8
6.9
8.0
6.4
6.2
11.2
鹿児島県環境保健センター所報
表1
第13号 (2012)
調査対象加工食品の平均回収率及び相対標準偏差(その2)
検査項目
クロルブファム
クロルプロファム
クロルベンジド
クロルベンジレート
クロロネブ
シアナジン
シアノホス
ジエトフェンカルブ
ジクロシメット
ジクロトホス
ジクロフェンチオン
ジクロホップメチル
ジクロラン
1,1-ジクロロ-2,2-ビス-(4-エチルフェニル)エタン
ジコホール
ジスルホトン
シニドンエチル
シハロトリン
シハロホップブチル
ジフェナミド
ジフェノコナゾール
シフルトリン
ジフルフェニカン
シプロコナゾール
シペルメトリン
シマジン
ジメタメトリン
ジメチルビンホス
ジメテナミド
ジメトエート
シメトリン
ジメピペレート
スピロキサミン
スピロジクロフェン
ゾキサミド
ターバシル
ダイアジノン
チオベンカルブ
チオメトン
チフルザミド
テクナゼン
テトラクロルビンホス
テトラコナゾール
テトラジホン
テニルクロール
テブコナゾール
テブフェンピラド
テフルトリン
デメトン-S-メチル
デルタメトリン及びトラロメトリン
テルブトリン
テルブホス
トリアジメノール
トリアジメホン
トリアゾホス
トリアレート
トリシクラゾール
トリブホス
果汁飲料
回収率
RSD
107
98
89
101
71
96
101
113
90
87
85
90
97
96
93
92
93
108
97
106
108
110
88
102
112
103
94
101
94
116
98
95
99
110
103
110
94
98
86
82
68
91
95
101
102
100
95
91
93
101
110
94
99
102
99
91
110
95
- 87 -
9.9
3.1
2.9
3.7
6.9
7.1
5.4
5.1
2.6
5.2
3.8
4.1
4.3
4.6
6.0
2.9
2.7
3.2
4.5
4.6
3.4
1.7
3.2
3.2
3.4
4.8
3.4
4.6
4.8
5.9
4.6
4.3
2.5
6.3
1.8
2.7
5.6
4.0
4.2
5.2
10.1
3.7
4.8
5.9
4.0
4.2
5.2
7.5
4.0
1.6
1.6
3.9
3.0
4.8
3.3
6.5
25.3
6.9
ジャム類
回収率
RSD
97
94
86
93
59
95
95
88
87
92
80
86
93
89
100
87
76
106
87
107
89
88
75
105
99
113
87
89
89
123
97
102
102
84
97
102
90
88
85
85
54
91
91
88
99
86
82
77
97
88
107
85
102
99
96
84
80
84
9.4
4.3
5.8
4.3
10.0
5.1
4.2
5.3
5.3
4.5
5.2
3.8
3.5
6.4
7.5
5.1
4.2
6.2
5.2
5.1
4.2
4.0
4.0
6.7
8.6
4.7
6.4
4.5
4.9
5.1
4.3
6.5
5.3
2.8
3.3
5.4
5.1
4.8
5.9
7.5
8.9
5.0
4.0
2.1
5.5
8.8
5.6
6.4
6.1
4.2
7.7
7.2
5.1
4.8
3.7
7.2
5.6
5.1
(単位:%)
漬物
回収率
RSD
88
92
81
75
79
76
80
74
72
78
73
80
97
81
121
74
63
90
81
85
85
85
68
136
86
79
77
68
73
81
82
128
96
30
25
84
76
86
80
68
79
78
75
79
7
79
77
78
91
42
79
77
125
83
78
76
87
78
6.4
7.0
9.4
8.2
9.8
8.9
7.5
7.4
8.8
3.7
9.6
7.8
8.0
8.8
10.1
8.5
11.0
8.9
9.1
6.7
9.1
8.9
7.6
6.8
9.3
12.8
7.2
6.0
10.3
6.2
7.7
11.8
5.6
7.6
23.2
4.8
6.9
8.8
8.3
8.8
10.1
9.1
5.8
10.6
11.8
9.2
8.7
12.5
8.7
8.0
8.4
9.2
8.5
7.1
8.4
8.8
10.7
9.7
Ann.Rep.Kagoshima Pref.Inst.for E.R.and P.H.Vol.13 (2012)
表1
検査項目
トリフルラリン
トリフロキシストロビン
トルクロホスメチル
トルフェンピラド
2-(1-ナフチル)アセタミプリド
ナプロパミド
ニトロタールイソプロピル
ノルフルラゾン
パクロブトラゾール
パラチオン
パラチオンメチル
ハルフェンプロックス
ピコリナフェン
ビテルタノール
ビフェノックス
ビフェントリン
ピペロニプルブトキシド
ピペロホス
ピラクロホス
ピラザホス
ピラフルフェンエチル
ピリダフェンチオン
ピリダベン
ピリフェノックス
ピリブチカルブ
ピリプロキシフェン
ピリミノバックメチル
ピリミホスメチル
ピリメタニル
ピロキロン
ビンクロゾリン
フィプロニル
フェナミホス
フェナリモル
フェニトロチオン
フェノキサニル
フェノチオカルブ
フェノトリン
フェンアミドン
フェンクロルホス
フェンスルホチオン
フェンチオン
フェントエート
フェンバレレート
フェンブコナゾール
フェンプロパトリン
フェンプロピモルフ
フサライド
ブタクロール
ブタミホス
ブピリメート
ブプロフェジン
フラムプロップメチル
フルアクリピリム
フルキンコナゾール
フルジオキソニル
フルシトリネート
フルチアセットメチル
調査対象加工食品の平均回収率及び相対標準偏差(その3)
果汁飲料
回収率
RSD
97
100
92
102
102
97
96
100
94
89
91
100
82
129
98
96
100
89
113
95
100
100
98
92
97
98
92
95
96
100
97
99
95
104
93
101
96
100
101
88
106
89
90
103
107
96
92
88
98
88
93
97
91
103
94
84
110
99
- 88 -
7.0
2.8
4.7
4.0
3.4
4.8
2.8
1.5
2.9
3.6
6.8
4.0
5.3
1.4
2.9
2.9
2.9
6.3
3.7
1.9
7.2
3.9
2.8
4.1
5.1
4.0
4.1
5.3
2.6
4.6
3.8
3.4
3.0
4.8
6.4
3.7
3.9
2.9
2.7
3.9
3.6
4.7
4.3
3.0
5.5
6.7
4.0
2.3
3.0
2.4
5.3
3.4
3.2
4.3
3.0
1.9
3.1
4.7
ジャム類
回収率
RSD
77
96
84
85
93
91
93
99
88
87
102
87
74
109
85
89
89
80
94
85
87
90
87
90
91
90
90
92
91
99
95
95
88
98
82
95
93
93
95
81
98
88
85
88
93
88
87
84
88
82
88
91
91
95
82
84
92
82
7.1
5.8
5.1
6.5
8.7
5.9
7.7
8.1
4.9
6.8
7.7
5.6
7.4
7.2
6.0
4.9
6.3
9.3
6.6
4.4
5.7
5.5
3.5
7.9
5.5
4.9
3.7
5.7
2.8
4.1
5.5
4.4
7.4
5.0
5.4
4.9
4.6
5.7
4.5
4.4
7.7
5.2
7.6
5.8
8.1
7.5
5.8
2.7
6.4
5.6
8.3
5.5
5.2
6.4
5.6
6.2
6.0
8.6
(単位:%)
漬物
回収率
RSD
70
88
73
76
85
100
76
84
75
75
72
78
74
97
103
82
81
83
54
63
74
69
76
76
83
77
78
78
61
88
76
77
81
80
67
83
79
88
78
75
79
76
50
80
85
78
82
82
32
76
64
79
77
80
73
75
82
42
7.5
7.9
8.4
5.7
7.5
10.4
8.6
9.5
5.4
7.4
14.7
7.4
8.9
6.6
9.5
7.0
8.5
7.1
6.6
8.3
4.0
6.1
8.9
6.5
6.2
7.1
8.7
8.7
47.4
6.5
8.3
7.3
11.2
6.4
6.7
8.6
6.8
7.4
5.3
6.2
7.4
9.5
8.3
7.2
7.5
9.3
6.5
8.5
2.6
8.8
8.1
7.7
7.6
7.6
8.1
8.9
7.1
11.3
鹿児島県環境保健センター所報
表1
第13号 (2012)
調査対象加工食品の平均回収率及び相対標準偏差(その4)
検査項目
フルトラニル
フルトリアホール
フルバリネート
フルフェンピルエチル
フルミオキサジン
フルミクロラックペンチル
フルリドン
プレチラクロール
プロシミドン
プロチオホス
プロパクロール
プロパジン
プロパニル
プロパホス
プロパルギット
プロピコナゾール
プロピザミド
プロヒドロジャスモン
プロフェノホス
プロポキスル
ブロマシル
プロメトリン
ブロモプロピレート
ブロモホス
ブロモホスエチル
ヘキサコナゾール
ヘキサジノン
ベナラキシル
ベノキサコル
ヘプタクロール
ペルメトリン
ペンコナゾール
ペンディメタリン
ベンフルラリン
ベンフレセート
ホサロン
ホスチアゼート
ホスファミドン
ホスメット
ホルモチオン
ホレート
マラチオン
ミクロブタニル
メカルバム
メタラキシル及びメフェノキサム
メチダチオン
メトキシクロル
メトプレン
メトラクロール
メビンホス
メフェナセット
メフェンピルジエチル
メプロニル
モノクロトホス
レスメトリン
レナシル
果汁飲料
回収率
RSD
99
103
101
87
98
104
104
93
93
90
95
95
100
94
103
112
104
92
95
100
105
93
88
106
92
92
100
98
113
85
105
96
91
93
90
103
112
94
107
71
85
98
97
107
92
100
93
96
101
86
105
94
100
83
103
125
- 89 -
2.5
3.6
2.5
4.0
3.0
4.6
2.2
4.7
3.9
6.0
5.9
4.2
4.3
5.0
6.1
10.5
3.1
13.8
5.1
4.4
6.4
3.6
3.9
4.2
5.1
4.4
3.5
3.5
5.2
6.4
2.3
4.1
3.2
6.3
2.8
2.6
7.8
3.6
3.6
5.8
6.5
5.0
4.0
3.9
3.1
6.1
3.4
4.4
5.3
6.1
2.6
3.8
3.1
9.9
6.2
2.6
ジャム類
回収率
RSD
88
99
87
84
81
80
92
87
93
80
86
92
93
86
99
90
100
85
88
94
92
88
79
103
89
83
99
96
93
80
89
90
84
77
83
97
108
104
90
51
80
91
88
99
88
93
85
91
91
87
95
84
98
94
79
96
4.2
3.3
5.7
7.1
4.7
5.8
4.2
5.6
5.0
5.1
5.6
4.2
3.6
6.5
6.5
7.8
4.5
6.6
8.3
3.5
8.9
4.6
7.2
6.5
4.9
7.3
4.9
5.9
5.7
6.7
4.4
6.6
4.6
3.8
3.4
3.9
2.9
5.2
5.6
8.2
6.6
7.7
5.2
8.4
6.4
5.0
5.7
5.8
4.2
6.5
4.9
5.9
6.7
8.2
8.1
4.5
(単位:%)
漬物
回収率
RSD
126
262
72
73
74
73
82
30
86
86
71
79
81
74
65
91
77
70
74
85
83
94
77
69
74
68
84
81
83
74
80
75
76
66
75
66
90
72
21
89
79
68
78
87
84
56
70
93
74
88
77
75
77
68
83
97
11.0
17.8
9.1
10.8
8.9
6.5
6.2
8.9
10.4
14.1
7.6
10.4
6.8
7.5
6.0
8.1
6.3
10.6
6.8
6.5
9.2
10.1
10.0
8.0
9.3
10.1
6.3
8.9
7.6
12.1
7.8
8.9
7.6
8.3
6.1
6.6
9.1
5.9
6.4
9.3
9.3
9.8
9.9
14.0
8.0
9.0
8.7
17.7
6.9
8.4
5.6
9.2
6.2
13.6
7.0
10.7
Ann.Rep.Kagoshima Pref.Inst.for E.R.and P.H.Vol.13 (2012)
表2
食品
農薬の検出状況及び原材料農産物における農薬の残留基準値
検出農薬
原材料農産物
検出濃度
(μg/g)
原材料農産物の
残留基準値(μg/g)
農薬取締法の
登録の有無
いちごジャム
クレソキシムメチル
プロシミドン
いちご
0.008
0.021
5
10
有
有
きんかんマーマレード
ビフェントリン
きんかん
0.024
2
有
プロシミドン
きゅうり
人参
きゅうり
人参
0.020
5
0.5
0.5
0.01
有
有
有
無
0.5
5
0.5
無
有
有
醤油漬け
クロルフェナピル
ぬか漬け
検出農薬
クレソキシムメチル
大根
きゅうり
にんじん
プロシミドン
表3
検出食品
0.019
0.023
加工食品から検出された農薬のADIに対する比率
検出濃度
(μg/g)
一日摂取量 *
(g)
食品ごとの 一日摂取量計
ADI
農薬摂取量(μg)
(μg)
(mg/kg/day)
対ADI比
(%)
いちごジャム
0.008
0.8
0.0064
いちごジャム
0.021
0.8
0.0168
醤油漬け
0.020
7.9
0.1580
ぬか漬け
0.023
7.9
0.1817
ビフェントリン
きんかん
マーマレード
0.024
0.8
クロルフェナピル
醤油漬け
0.019
7.9
プロシミドン
*
0.0064
0.36
0.00004
0.3565
0.035
0.02
0.0192
0.0192
0.01
0.004
0.1501
0.1501
0.026
0.012
2007年度国民健康・栄養調査における地域ブロック別食品群別摂取量中の南九州ブロックでの摂取量
する可能性は低い。ぬか漬けは原材料として大根,きゅ
回収試験が他の2種類の加工食品に比べて悪かったこ
うり,人参が使用されており,ぬか漬けから検出された
とから,精製方法を含めさらなる検討を行う必要があ
プロシミドンは個々の農産物の残留基準値を下回ってい
る。
2) ジャム類,漬物から4種類の農薬が検出されたが,
た。
摂取量から対ADI比を求めたところ,0.00004~0.02
3.3
%となり,健康上問題のない量と考えられる。
検出された農薬の一日摂取許容量(ADI)に対
する比率(表3)
今回検出された農薬について,国民栄養・健康調査の
参考文献
南九州ブロックにおける食品毎の一日摂取量を基に農薬
一日摂取量を算出した。さらに,農薬のADIから平均体
重50kgとした場合の一日当たりの量を算出し,農薬一日
1) 厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知;食品に残
摂取量の対ADI比を求めたところ,クレソキシムメチル
留する農薬,飼料添加物又は動物用医薬品の成分で
で0.00004%,プロシミドンで0.02%,ビフェントリン
ある物質の試験法について(食安発第1129002号),
で0.004%,クロルフェナピルで0.012%となり,当該食
2005年11月29日
品の摂取は健康に影響を与えるものではないと考えられ
2) 西名武志,村川弘,他;液体クロマトグラフ/タン
る。
デム型質量分析計(LC/MS/MS)を用いた食品中の
残留農薬迅速分析法の検討(第1報),熊本県保健
4
まとめ
環境科学研究所報,35,51~56(2005)
1) 3種類の加工食品について農産物の試験法を適用で
きるかの検討を行ったが,果汁飲料,ジャム類につい
ては原材料である農産物以外の原材料の影響が少なく
添加回収試験が良好であったが,漬物については添加
- 90 -