企業を調査客体とする統計調査の 回収率の最近の動向について 日本統計学会 (大阪大学) 国士舘大学 山田 茂 2012年9月9日 1 はじめに • 回収率が低い統計調査の結果の価値は低い ・考察の範囲:企業を調査客体 省庁・政府系金融機関による調査 ・前回の考察:1995年~2004年頃 大部分:回収率が継続的に低下 小企業ほど低い 2 企業の状況と分析材料の入手 ・対象企業の状況:間接部門の縮小継続 ・回収率の公表状況 1)拡大しているが、未公表も残る 2)属性別回収率の公表は少ない 規模別・業種別・地域別など 3 2 一般企業を調査客体とする調査 ほとんど郵送・ネット:回答側の意向⇒回収 (1)企業の経営状態全般・雇用分野 ・全体の推移 ・企業規模・業種・所在地域による相違 (2)企業活動の特定分野 4 100 90 短観 % 経営全般に関する統計調査 企業活動基本調査 80 法人企業景気予測 70 法人企業年次 60 法人企業四半期 50 企業金融調査 企業行動アンケート 40 民間投資・除却 30 5 90 80 雇用分野の統計調査 就労条件総 合調査 雇用均等基 本調査 70 60 賃金事情総 合調査 50 民間企業勤 務条件 40 賃金引上げ 調査 30 20 能力開発は2005年まで 民間委託 能力開発基 本調査 10 6 100% 資本金規模別回収率 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 1000万円未満 1000万円~1億円 1~10億円 10億円~ 7 94% 92% 企業活動基本調査 有効回答回収率 2012年 資本金3000万円以上 90% 88% 86% 84% 82% 従業者数 8 65 規模別回答率 中小企業実態調査 60 55 % 51人以上 21~50人 6~20人 50 5人以下 45 40 9 90 % 回収率 法人企業景気予測調査 2013年5月 80 70 60 50 40 10 9 「不明」率 法人企業景気予測調査 13年5月 回収標本に占める「不明」の比率 % 8 7 6 5 4 3 2 1 0 貴社の景況 10億円~ 国内の景況 1~10億円 経常利益 1000万円~1億円 従業員数 同・非製造 11 70 % 中小企業実態調査 2012年回収率 60 50 無効回答 40 有効回答 30 20 10 0 51人以上 21~50人 6~20人 5人以下 12 企業の資本金1億円以上の回収率 2012年 100% 80% 60% 40% 20% 0% 13 100% 調査票の頁数と回収率 2013年3月現在公表分 90% 回収率 80% 70% 60% 50% 40% 0 2 4 横軸:頁数 6 8 10 12 民間委託分を除く 14 14 90 % 個別分野の統計調査 通信利用動向 委託 80 情報処理実態 委託 70 土地取得 1億円以上 60 環境にやさしい行動 委 50 科学技術研究調査 40 研究活動 1億円以上 30 知的財産活動調査 15 3 特定属性の企業を客体とする調査 (1)海外企業との資本関係が強い企業 (2)特定業種の企業:所管官庁 (3)取引先企業を調査客体とする 政府系金融機関などによる統計調査 16 85 海外関連企業 回収率 % 80 75 ①現地法人四半期調査: ②から1億円以上抽出 提出先は経産省 ②海外事業活動基本調 査:1億円以上が62% 70 65 ③外資系企業動向調査: 1億円以上が31% 8月に前年実績を調査 60 55 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 50 17 90 % 85 放送通信・建設業 回収率 民間放送事業 80 ケーブルテレビ 75 70 電気通信事業 65 60 建設工事施工 55 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 50 18 95 90 85 80 75 70 % 医薬・食品業 回収率 医薬品製造販売 医薬品卸売 医療機器製造販売 65 60 55 50 医療機器卸売 食品産業設備投資 19 100% 政府系金融機関 回収率 80% 2005年 2012年 60% 40% 20% 0% 面:面接方式 $:資本金10億円以上が7割 20 むすび • 低下傾向:最近10年間も一部を除いて継続 • 大多数70%未満:50%に満たない調査も • 低回収率:「計数項目」が多い・郵送 小規模な企業が多い・民間委託 • 個別項目での「不明」率は、小企業で高い 21 回答する側からみた調査 • 経団連(2011)「公的統計の活用による的確な現状 把握と政策決定に向けて」経団連サイト( http://www.keidanren.or.jp/policy/2011/047. html) • 2010年12月~2011年3月 • 役員会社・会員企業である主要シンクタンク合計 254社が対象。回答は78社。 • 景気関連の公的統計41本。 22 100% 短観・ 景気予測・ 90% 法人企業・ 80% 企業金融・ 企業アン 70% ケート 60% 50% 回収率 2011年2月 40% 前後 30% 0 20 40 60 経団連調査 重視している企業数 80 23 100 特定サービス産業実態調査 回収率 95 ソフトウェア % 90 情報処理・提供 85 各種物品賃貸 80 産業用機械器具賃貸 75 事務用機械器具賃貸 70 広告 2009年に対象事業所 半分~1/5削減 24
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