授業日:7月 24 日(木) 「生命分子システム基盤研究領域、オミックス基盤研究領域 見学」 講師:理化学研究所横浜研究所 荒川先生 黒崎先生 I. 講義内容 1.生命分子システム基盤研究領域 (1)NMR 装置 NMR(Nuclear Magnetic Resonance)とは様々な物質のスペクトルを測定する装置。ス ペクトルは上下反転で表示される。ここから原子のつながり、分子の形などがわかる。作って いる会社は世界で3社しかない。理研には48台もの NMR があり、世界一の保有数を誇って いる。NMR の測定は温度変化に弱く、研究所内は常に 23℃に保たれている。超伝導マグネッ トを利用しているので、−270℃まで冷やして液体ヘリウムを使う必要がある。また、液体ヘ リウムの蒸発を防ぐために周りの層を真空にしている。それでも液体ヘリウムが蒸発してしま うのでさらに液体窒素の層、真空の層を作って緩和するなどたくさんの工夫がなされている。 たんぱく質の形を知ることによりウイルスが体内に侵入するのを防ぐ薬が作れる。 (2)NMR 分光法 これによってスペクトルから分子を構成する原子を区別して見ることができ、分子を構成する 原子同士のつながりがわかる。 2.オミックス基盤研究領域 (1)DNA とは 人体の設計図の役割を果たす。アデニン(A)、テニン(T)、グアニン(G)、シトシン(C) の四種類が二重螺旋構造をしている。A は T、G は C とつながる性質がある。 (2)RNA とは DNA をコピーしたもの。DNA→RNA→たんぱく質の順を踏んで変化する。RNA では研究し にくいので、RNA をさらにコピーしてcDNA を使って研究する。 (3)コロニーピッチング・プラスミド調製 cDNA を大腸菌に組み込んで増殖させる方法。あとで大腸菌だけ取り除く。 (4)RISA-384 シークエンサー DNA 断片の塩基配列を自動で読み取る装置。384 本のガラス管を束ねたキャピラリーアライ カセットを使用している。キャピラリーアライカセットはゲル状の物質で満たして使用する。 (5)DNAブック 水溶性の特殊な紙にDNAをインクのように染み込ませて製本したもの。様々な生物のDNA が記録してあり、多方面の研究に役に立つ。常温での輸送が可能。 (6)タンパク 3000 人の体の約 60%は水、そして残りの約半分がタンパク質である。これは医療や食料、環境、 バイオ産業など様々なところで利用されている。タンパク質には多くの種類、形がありその種類 は約1万個。そのうちの 3000 個を決めようというのが「タンパク 3000」というプロジェクトで ある。理科研では 2000 個が決められた。 (7)国際ヒトゲノムプロジェクト ヒトゲノムDNAの塩基配列を全て解析し、医療などこれからの人類に役立てようというプロ ジェクト。 II. 感想・新たな疑問点 1.感想 ・NMR という機械はたくさんの工夫をして完成させているので、NMR を作った人たちの情熱と 苦労を垣間見ることが出来た。また、NMRの原理は難しく全ては理解できなかったが、NMRの 機能の素晴らしさとどれだけこれからの科学の発展に重要なのかがわかった。これからもっとたく さんの物質のスペクトルを解析していけば、いろいろなものに応用できると思う。 ・今回の見学で最先端のDNA研究の現場を見れたことはとても貴重な体験だったと思う。特にD NAをどのようにして研究し、ヒトゲノムを解析していくのかがよくわかった。DNAを研究する のにRNA,cDNAとコピーしなければならないのは大変で時間のかかることだと思った。また、 RISA−384 シークエンサーは同時にいくつものDNAを解析出来るので、すごい機械なのだと感 じた。 ・今回、2つの見学で最新の機器や研究施設について知り、日本の持つ技術力の高さを改めて実感 することが出来た。いつかこのような機械を扱えるようにこれからの学習を怠らず、また視野を広 くして生活していきたいと思った。 2.新たな疑問点 Q、強磁場は人間に悪影響はないのですか。 A、実際に明らかになってはいませんが、おそらくあまり良くはないでしょう。 Q、NMR装置の磁気が大きい装置だけあれば全ての分子の構成がわかるのですか。 A、あまり大きいと、バズーカ砲を持っていて近くのものが見えにくくなるように、調べるものの種類によって 使い分けが必要です。 Q、本などのDNAはどのように保存されているのですか。 A、乾燥して保存しています Q、ゲノム解析は医療以外でも役に立つのですか。 A、農作物を育てるときによいものを効率よく生産できます。 記録 1−1Mercury チーム 小菅 隼輔 III. 授業アンケート集計結果 Q1:分かりやすかった。Q2:面白かった。Q3:もっと知りたい。Q4:高度な内容だった。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% Q1 Q2 Q3 Q4 非常に思う やや思う どちらとも言えない あまり思わない 全く思わない 授業日:7月24日(木) 「講義:免疫制御によるアレルギー治療」 講師:免疫アレルギー科学総合研究所 石井 保之 先生 I. 講義内容 1.花粉症・・・花粉の成分がアレルゲンとなって起こる季節性アレルギー性疾患 原因の植物は50種類以上。 スギ花粉(32ミクロン)は100km 先まで飛んでいく「例」群馬の花粉∼東京 アレルギー疾患患者数 アトピー・・40万人 ぜんそく・・110万人 花粉症・・2000万人 スギ花粉症増加した理由 ① 戦後の食生活が変化し、西洋系に。 ② 住宅建築材料として利用されたから。 花粉症を根本から治すには既存の薬では症状を抑える薬しかないが、.IgE 抗体が出ないような薬 を開発すればそれが根本的な治療となる 2.免疫に関する言葉 (1)IgE そもそも寄生虫退治が本業だが1960年代から寄生虫の保有率が激減し、目的を失った IgE が 花粉やダニを寄生虫として認識して攻撃している→アレルギーとなった。 つまり IgE の修正が花 粉症のための最良の治療法である。 (2)ワクチン 弱いウイルス・細菌を打ち込みそのウイルス等の抗体を作らせることで、次にウイルスが入 ってきたときにその抗体で退治する。 外部からの侵入に即座に対応するために免疫細胞は外 部の付近にいる。IgE の勘違いによるアレルギー反応は、遺伝と住む環境によって出てしまう。 (3)免疫 昔かかった病原体を覚えていることも免疫の働きで、このことを免疫記憶という。免疫は白血球 のなかにいて白血球は体のいたるところにいるので免疫も体のいたるところにいることになる。 3.病原体をやっつける方法 捕食する→キラー細胞→抗体 キラー細胞・・・ウイルスにやられている細胞ごと殺す。 マスト細胞に花粉が入ると炎症をおこす。 鼻水・・・菌を流す 鼻づまり・・・菌の進入を防ぐ 予防治療 ・スギ花粉ワクチン ・リボソームワクチン ・リボソームワクチン・・・ねずみだけでなく犬でも IgE 抗体の減少が見られた。 ・予防用 RCAI ワクチン ① アナフィラキシーショックの危険性がない。 ② 予防効果が高い ③ 作用メカニズムが明確である。 これらは正常な免疫には効かず、アレルギー原因だけに有効 4.NKT 細胞 免疫系をコントロールするために重要と考えられている。 NKT 細胞がアレルギー発症に関係する IgE の減少を制御するのかどうか確かめるために遺伝 的に NKT 細胞を欠損したマウスに BCG を接種したところ IgE 濃度は低下することはなかっ た。 II. 感想・新たな疑問点 1.感想 ・免疫制御によるアレルギー治療についての話を聞き花粉症を始めとするアレルギーと いうものに興味がわいた ・世界で花粉症などのアレルギーで苦しんでいる人々がたくさんいるなかで今回紹介し てもらった薬が実用化されれば、安全面では副作用はなく、より身近な薬としてみん なに利用されていくのだろうと思った ・また応用をきかせて治療が難しい、癌や、難病にも効く薬ができればとても役立つと 思った。 ・やはり安全に使える薬はみんなが何も心配せずに服用することができるので、コスト が低くなればとても役立つと思った。 ・ワクチンを使っても、アナフィラキシーショックを起こす可能性がないということで 安心して使えると思う。 ・花粉症にかかっている人は2000万人ととても多いのでこのワクチンが実用化され 患者が手に入れることができれば、このワクチンはとてもすごい発明になると思う。 2.新たな疑問点 Q.ワクチンは100%花粉症を治せるのか? A.何度も投与して IgE 抗体を抑制するので治らないということはない Q.ワクチンに副作用はあるのか? A.このワクチンの副作用は今までの動物実験では表れていないが人間に打った場合、どうなる かわからない。 Q.ワクチンは実用かされればどのくらいの値段になるのか? A.国の機関でやっているので、割と安価ですむかも・・・ 記録 1−1Plutonium チーム 松脇 大樹 III. 授業アンケート集計結果 Q1:分かりやすかった。Q2:面白かった。Q3:もっと知りたい。Q4:高度な内容だった。 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% Q1 Q2 Q3 Q4 非常に思う やや思う どちらとも言えない あまり思わない 全く思わない 講義風景
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