28P1−am187 アトピー性皮膚炎モデルマウス(NCINga)の病態サイクルとIgE,TNF一αの変化 ○林 大輔1菅谷 穂高1松島 紋子1,栗間 由美1,阿倍 皓一2,浦野 四郎1(1芝 浦工大 生化,2エーザイジ 28P1・am190 大麦若葉青汁粉末の免疫機能に及ぼす影響について(第1報) ○細川 友秀1,青塚 康幸2(1京都教育大・生命科学,2日本薬品開発) 【目的】大麦(∬or∫伽摺四{gαrεムV砿刀μ4蹄HoOだ)若葉の搾汁液から製造される アトピー性皮膚炎(AD)は、増悪・寛解を繰り返し、掻痒のある湿疹を主病変と する疾患である。しかし、ADの病態発症メカニズムの解明は十分になされていな い。ADの病態方進に活性酸素種の関与が報告されており、免疫グロブリンE(lgE) の上昇、炎症性サイトカインTNF一αが関与することも報告されている。そこで、 AD病態サイクルと、IgE、TNF一α変化について比較検討を行った。 今回、NC/Ngaマウスをピクリルクロライド(PC)で感作・塗布して炎症誘発さ せたアトピー性皮膚炎モデルマウスを作成した。AD誘発させた群(PC群)、ADに 対し坑酸化及び坑免疫作用をもつVEを投与後、炎症誘発させたPC+VE投与群、 青汁粉末は保存性と品質に優れ、抗酸化物質、クロロフィルなど各種の生理機能 物質を含み、抗炎症作用、抗酸化作用などを有する。本研究では、大麦若葉青汁 粉末の摂取が免疫機能に与える影響を調べることを目的として、マウスに青汁粉 VE欠乏による影響を検討するため、VE欠乏飼料で飼育したVE欠乏群の週齢に 0.75またはL5ng/ml、または、LPS10ng/m1とIFN一γ0.75ng/mlを含むRPMn640 完全培地で48時間培養後、上清中のNOグ濃度をGriees法により測定して各条件の 培養におけるNO産生を評価した。 【結果】3月齢から1または2ヶ月間青汁3mgを毎日投与した場合、腹腔細胞の NO産生機能は青汁投与群で有意に克進し、2ケ月間投与の方が効果は顕著であっ おける変動を検討した。皮膚、血漿サンプルから、IgE、TNF一αを酵素免疫測定 法(ELISA)により検討し、5週齢、8週齢、12週齢での各値にっいて比較した。そ の結果、5週齢ではVE欠乏群以外あまり大きな差がなかった。8週齢でPC群、 PC+VE欠乏群でIgE、TNF一α値共に顕著に増加し、皮膚炎症部の病変は他の群 に比べ重篤となった。特にPC+VE欠乏群はさらに重篤化した。一方、VEを投与 してPCを塗布したPC+VE投与群において、8週齢において炎症が観察されたも のの、PC群、PC+VE欠乏群に比べIgE値、TNF一α値は低値を示し、炎症部の 病態も緩和された。12週齢ではどの群も回復傾向を示した。この結果より、発症 →重篤→回復のAD病態サイクルと、IgE、TNF一α変化に関係性があることが明 らかになった。また生体内において発生した活性酸素種により過酸化障害が誘発 され、VE欠乏においてはIgE、TNF一αが克進して病態が重篤化し、VEを投与 するとIgE、TNF一αが抑制され炎症が緩和されることが明らかになった。 28P1・am188 末を経口投与し、腹腔細胞を採取して一酸化窒素(NO)産生機能を測定した。 【材料と方法】C3H/HeSlcマウスの3∼6ヶ月齢を使用した。蒸留水0、5m1または青 汁粉末3mg∼25mgを0、5m1の蒸留水に懸濁して、毎日または隔日で2∼8週間マウス に経口投与した。各マウスから腹腔細胞を得て、96−we11プレートに付着性細胞を 接着させ、大腸菌リポ多糖(LPS)を10ng/m1、または、インターフェロンーγ(IFN⑫を た。3月齢から5mgを隔日で1ヶ月間投与したマウスでも青汁投与群で腹腔マク ロファージのNO産生機能が有意に克進した。3月齢から5mgまたは25mgを隔日 で1ケ月間投与した場合、5mgと25mgのどちら投与も有意にNO産生機能を克進 し、25mgの方が効果は顕著であった。6月齢マウスで同様に5mgと25mgを隔日 で1ケ月間投与したが、効果は小さく5mg投与群で有意な克進が見られた。 【結論と考察】青汁投与はC3HIHe腹腔マクロファージのNO産生機能を高めて免 疫機能を上げる。克進の機序は不明であり、さらに検討が必要である。 28P1・am191 0VA誘発アレルギー性下痢発症への腸管丁リンパ球の関与 フコイダンの免疫化学的活性に関する研究 ○酒井 信夫1,周参見 彩香2,五十嵐 尚子2,佐藤 雄嗣1,穐山 浩1, 松田 りえ子1,戸井田 敏彦2,米谷 民雄1(1国立衛研,2千葉大院薬) ○八木 秀樹1,齋藤 甲斐1,益子 高1(上近畿大薬) 【目的】我々はこれまでに硫酸化多糖類の免疫機構に及ぼす影響について考究し, それらの活性がL−selectinを介した免疫応答であることを明らかにしてきた.本研 究ではL−selectinのリガンドとしての機能を有する硫酸化多糖類の一種であるフコ イダンについて糖鎖構造を解析し,それらの免疫化学的活性を詳細に検討した、 [方法】由来の異なる3種フコイダン(Fμc麗vε5∫σμ103μ3,αα403ψhon o肋脚躍σn硲, Uη4σrfσρ伽σ峨ゴα)は,酸加水分解による構成糖の組成分析,硫酸イオンの測定, 及びNMRを用いて構造解析を行った、免疫化学的活性は,雌性BALB/cマウス(4 週齢)にovalbumin(OVA)を水酸化アルミニウムゲルと共に腹腔感作し,2次感作後 に脾細胞懸濁液(5.O x106cells/mL)を調製した・∫ηv∫∫mにおいてOVAで刺激した後, 最終濃度1ppm/we11となるように各種フコイダンを添加し,培養温度37℃,CO2濃 度5%の条件下で培養し,上清中に産生される各種サイトカインをELrSAで定量し た、 【結果】各種構造解析を行った結果,E vεs蜘103粥由来フコイダンを{(→3Fuc−4(± OSOゴ)α1一)5→3(GlcAα1→2)FucαU.一と,σ露o〃解σn㍑3由来フコイダンを一[→ 3(Fucα1 → 4)Fuc(エ1 → 3Fuco[1 → 3Fuc−4(OSO3’)〔)d → 3Fucα1 → 3(Fucα1 → 2)Fuc−4(OSOゴ)α1→].一と同定した.抗原感作マウス脾細胞を用いてフコイダン(E vεsfoμ103瑠,C欲傭躍ρn躍5)の免疫機構に及ぼす影響について検討したところ,培養 上清中のIFN一第IL−2,IL−5及びIL−10の産生量がコントロール群と比較して有意に 増加した、この結果より,これらのフコイダンがマイトジェン活性を示す可能性 が示唆された、Uρ’nnσ娚ぬ由来フコイダンの構造と活性については現在検討中で ある. 28P1−am189 【目的】小児の食物アレルギーは、一般にIgEによる1型アレルギーによると考 えられているが、多くの場合、IgEの減少なしに加齢と共に寛解する。そこで、IgE 以外の要因、とりわけ腸管丁リンパ球に着目した発症メカニズム解析を行った。 【方法】BALB/cマウスをOVA+alu皿にて免疫後、OVAを経口投与することによる 下痢誘発モデルを作製し、小腸の免疫学的及び、組織学的検討を行った。【結果】 下痢誘発モデルにて、小腸上皮細胞のアミノ酸トランスポーターCD98の発現低下、 F−actin染色性の低下、アルカリフォスファターゼ活性の低下など、小腸上皮細胞 の吸収上皮としての機能低下が認められた。この時、小腸粘膜下組織でTリンパ 球の浸潤が認められた。そこで、腸管丁リンパ球を採取、フローサイトメトリー 解析した結果、TCR一αβを有するTリンパ球の増加が顕著だった。それら腸管リン パ球をOVA刺激するとTNF一α産生が認められた。さらに、下痢誘発マウスのリンパ 球をヌードマウスに移入した結果、OVA経口投与で、一部のヌードマウスにおいて も下痢が誘導された。次に、Tリンパ球の局所への移動を選択的に抑制する、新規 免疫抑制薬フィンゴリモド(FTY720)を経口投与した結果、下痢発症の軽減と小 腸吸収上皮における機能低下の回復が認められた。【考察】我々は、これまで小腸 上皮内リンパ球(HEL)を抗CD3抗体で活性化すると小腸上皮細胞のapoptosis が誘導できることを報告してきた。今回、小腸OVA誘発アレルギー性下痢におい て、腸上皮が機能を失っており、TNF一α産生能があるTCR一αβ型丁リンパ球の浸潤 が認められることより、Tリンパ球のOVA特異的活性化による上皮細胞apoptosis 誘導の可能性が示された。この事よりIgE以外の食物アレルギー発症要因として、 腸管丁リンパ球の関与の更なる検討が必要と考えられた。 28P1・am192 成長ホルモンが低下した自然発症媛小ラット(SDR)の寿命延長と酸化ストレス耐 性の充進 1L−12関連サイトカインIL−23による、ウイルス感染防御における増強機構の解析 ○高山俊輔1,大野悟史1,磯田明宏1,守屋修2,林秀徳1善本隆之3, 赤塚 俊隆2,松井 政則2(1城西大薬,2埼玉医大医,3東京医大医) 0金子 孝夫1新海 正1佐々木 徹}松本 茂信1田原 正一1倉本 和直2 近藤 昊3(1都老人研・レドックス制御,躇5老人研・翼験動物,3人商総科大・人科1 【目的】IL−23は、ヘルパー丁細胞1型誘導サイトカインであるIL−12と構造的に 類似しているが、その機能は異なり、IL−17を産生するTh17細胞の分化誘導に関 与する。今回我々は、IL−12またはIL−23を発現する組み換えワクシニアウイルス (VV)を作製し、ウイルス感染におけるIL−23の機能を、IL−12と比較して検討を行 った。【材料と方法】Dマウス:BALB/c,c57BL/6,IL一ユ2p40Ko,IFN一γKoマウス を使用した。2)VV:IL−12、IL−23を発現・分泌するW(VV−IL−12,V早IL−23)を 作製した。3)免疫:Wをマウス腹腔内に注射した。4)綱胞傷害性丁細胞(CTL) アッセイ:51Cr遊離試験で測定した。5)細胞内サイトカイン:CD8陽性でIFN一γ またはTNF一α陽性細胞の割合を伽wcytometryで測定した。6)ウイルスタイター: マウス卵巣からウイルス液を調整し、ウイルス量を測定した。7)抗W抗体の測 定:免疫1−2週後、血清を希釈して、ウイルス特異的抗体をELISAで測定した。8) サイトカインELISA:VVを、in vitroでマウス脾細胞に感染させ、2日間培養後、 その培養上清中のIFN一γやIL−17などのさまざまなサイトカインをELISAによって 測定した。【結果と考察】W−IL−23を投与したマウスでは、W−IL−12を投与した場 合と同様、野生型Wを投与したマウスに比べてウイルスがより早く体内から排除 された。CD8陽性IFN一γ、TNF一α陽性細胞の割合は共に増加し、ウイルス特異的 CTL活性も増加した。以上のように、IL−23がIL−12同様、ウイルス感染に対する 抵抗性の増強効果があることがわかった。しかしながら、感染後に産生されるサ イトカインのプロフィールの違いおよびKOマウス、中和抗体を使った実験結果か ら、IL−23の感染抵抗性メカニズムは、IFN一γが重要なIL−12の場合とは異なり、IL−17 が関与することが示唆された。 【目的】成長ホルモンなどの下垂体ホルモンを遺伝的に欠き楼小となるAmesマウ スは寿命が延長され、その一因としてカタラーゼやグルタチオンペルオキシダー ゼ(GPx)のような抗酸化酵素活性の上昇が示唆されている。ラットにおいても mRNA異常により成長ホルモンを欠いた自然発症蟻小ラット(旦pontaneous Dw{㎡ Rat;SDR)が報告されている。今回、SDRの寿命が延長されるかを調べるとともに、 酸化ストレス耐性や代謝などについても検討した。 【方法】雌雄34頭ずっのSDRを6月齢から飼育して対照となるSDラットと寿命 を比較した、雄性のSDRとSDラットについて抗酸化酵素活性およびスーパーオ キシド発生量やDNA酸化傷害(8一オキソデオキシグアノシン;8.oxodG)レベル、高 濃度酸素(85%)抵抗性などを調べた。さらに、体温やエネルギー消費などについて も検討した。 【結果および考察】雄性SDRではSDラットに比べて明らかに寿命が延長された が、雌性では統計的には有意であったが顕著な延長ではなかった。また、脳や肝 臓のスーパーオキシド発生量はSDラットと有意差はなかった。SDRの肝、腎、 肺におけるGPx活性はSDラットに比べて有意に高く、8−oxodG量は有意に低下し ていた。高濃度酸素曝露に対して、SDRは有意な耐性上昇を示した。血中の成長 ホルモンやチロキシン濃度は低下していたが、体温の低下は認められなかった。 また、同月齢でのエネルギー消費を比較するとSDRの方が高く単純には代謝は低 下していなかったが、体重がほぼ等しい個体群における比較ではSDRの方が低く なった。SDRの寿命延長の原因として、酸化ストレス抵抗性の克進や代謝率の低 下が関与する可能性が示唆された。 一68一
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