前立腺癌を認識する新規マー カーペプチドによる前立腺癌診 断法 東京慈恵会医科大学 泌尿器科 車 英俊 [email protected] 前立腺がんの動向 前立腺がん死亡者数の年次推移 各国の前立腺がん死亡率 米国:男性癌発病率第1位、男性癌死亡率第2位 日本:男性癌死亡率第6位、癌増加率第1位 (平成14年度統計) 前立腺がんの問題点 1. 前立腺がんの特異的なマーカーがない。 2. 生検病理の診断が難しい。 3. 治療の必要がない癌を診断することができ ない。 4. ホルモン抵抗性前立腺がんに対する有効 な治療法はない。 前立腺がんの問題点 1. 前立腺がんの特異的なマーカーがない。 <前立腺がんの診断法> 血清PSA値高値 前立腺生検 確定診断 血清PSA値が高値でも、生検で癌が発見される のはそのうちのわずか25-30%。 特異度の高い新規診断マーカーが求められる。 前立腺がんの問題点 2. 生検病理の診断が難しい。 前立腺癌の病理学的診断は、細胞の異型ではなく細 胞の構築で診断するため、生検標本で診断するのは 経験を要する。 癌を特異的 に染色する マーカーが 求められる。 前立腺がんの問題点 3. 治療の必要がない癌を診断することができ ない。 発見される前立腺がんのうち30-50%は放置しても進 行しないがん(「臨床的意義のないがん」)であると いわれる。 「臨床的意義のないがん」を生検標本から診断する ことはできない。 「臨床的意義のない癌」を見分けるマーカー が求められる。 前立腺がんの問題点 4. ホルモン抵抗性前立腺がんに対する有効 な治療法はない。 前立腺がん 縮小 再増殖 (アンドロゲン依存性) (アポトーシス) (アンドロゲン非依存性) アンドロゲン アンドロゲン 遮断 精巣 (副腎) ホルモン抵抗性前立腺がんに対する分子標的 薬が求められる。 前立腺がんに求められる新規マー カー蛋白質 特異度の高い新規診断マーカー。 前立腺癌を特異的に染色するマーカー。 「臨床的意義のない癌」を見分けるマーカー。 ホルモン抵抗性前立腺がんに対する分子標的。 アンドロゲン非依存性前立腺癌のプロテオミクス LNCaP Tumor growth inoculation Androgen Dependent (AD) Kuruma et al. Proteomics 2005 Sacrifice Reduction Androgen Independent (AI) ♂Nude Mice Re-growth Sacrifice Castration Protein Identification from a 2-DE Gel Protein spots picked from 2-DE gels Tryptic digestion LC/MS/MS SI-2/ESI-ITMS LCQDECA Computer sequence Database searching (SEQUEST Search) Identification Agarose 2-DE Maps of Prostate Cancer MW kDa 10 pI 3 200 MW kDa 200 116 97 6 6 45 116 97 6 6 45 31 nd 6-10% gradient gel for 2 dimensional SDS-PAGE 21 12% homogeneous gel for 2nd dimensional SDSPAGE アガロース2-DE Gel上のタンパク質スポットの解析 (With Phoretix 2D advance, ver. 5.01) Protein Maps of LNCaP Tumor A: 6-10% gradient gel, B: 12% homogeneous gel Myosin heavy chain (MW 226,512) PN002 (MW 299, 658) 10 A PN043 pI 3 Serum albumin PN059 PN148 MW (kDa) 200 116 97 66 B PN235 β-actin PN029 MW (kDa) PN030 200 116 97 66 45 PN118 PN212 PN237 45 PN243 PN251 31 PN278 PN259 GAPDH 21 PN266 PN297 PN294 Left boxes: AD, Right boxes: AI Red arrows: up-regulated in AI, Green arrows: down-regulated in AI PN299 結 果 ゲルから切り出した総スポット数 タンパク質が同定されたスポット数 タンパク質同定率 324 295 91.0 % 同定されたタンパク質の種類 マウス起源のタンパク質 がん細胞由来のタンパク質 233 8 225 がんとの関連の報告がないタンパク質 前立腺がんとの関連の報告がないタンパク質 12 36 アンドロゲン非依存で増加したタンパク質 アンドロゲン非依存で減少したタンパク質 7 4 結 果 ゲルから切り出した総スポット数 タンパク質が同定されたスポット数 タンパク質同定率 324 295 91.0 % 特異度の高い新規診断マーカー。 同定されたタンパク質の種類 233 前立腺癌を特異的に染色するマーカー。 マウス起源のタンパク質 8 がん細胞由来のタンパク質 225 がんとの関連の報告がないタンパク質 前立腺がんとの関連の報告がないタンパク質 12 36 アンドロゲン非依存で増加したタンパク質 アンドロゲン非依存で減少したタンパク質 7 4 結 果 ゲルから切り出した総スポット数 タンパク質が同定されたスポット数 タンパク質同定率 324 295 91.0 % 「臨床的意義のない癌」を見分けるマーカー。 同定されたタンパク質の種類 233 ホルモン抵抗性前立腺がんに対する分子標的。 マウス起源のタンパク質 8 がん細胞由来のタンパク質 225 がんとの関連の報告がないタンパク質 前立腺がんとの関連の報告がないタンパク質 12 36 アンドロゲン非依存で増加したタンパク質 アンドロゲン非依存で減少したタンパク質 7 4 特異度の高い新規診断マーカー。 前立腺癌を特異的に染色するマーカー。 35種類 「臨床的意義のない癌」を見分けるマーカー。 ホルモン抵抗性前立腺がんに対する分子標的。 上記のうち17種類 Agarose 2-DE Maps of Prostate Cancer P2.4 10 MW kDa pI P5.2 3 TT902 200 116 97 6 6 45 MW kDa 200 116 97 6 6 45 31 nd 6-10% gradient gel for 2 dimensional SDS-PAGE 21 12% homogeneous gel for 2nd dimensional SDSPAGE マーカー候補蛋白質の発現解析(WB) P2.4 TT902 P5.2 Beta actin P2.4 in Prostate Tissue Normal Cancer Normal Cancer Normal Normal Cancer Cancer P5.2 in Prostate Tissue Cancer Normal Cancer Normal Cancer Cancer Normal Normal TT902 in Prostate Tissue Normal Cancer HE Cancer Normal Cancer Cancer TT902 Cancer Cancer Staining intensity of TT902 and Pathological Findings / Gleason score ** 2 1.8 1.6 1.4 1.2 1 .8 .6 .4 .2 0 ** ** 2.25 2 1.75 1.5 1.25 1 .75 .5 .25 0 ** p = 0.043 Normal Hyperplasia PIN Cancer Staining intensity Staining intensity ** p = 0.032 2-6 7 Gleason score 8-10 mean + SD ** p < 0.001 No rm No al rm No al rm a PC l a PC a PC a PC ac PC ell li ne ac PC ell li ne ac ell lin e mRNA Expression of TT902 in Prostate Cancer TT902 beta-actin In situ hybridization of TT902 Cancer Normal MTT assay of TT902 mRNA knockout in prostate cancer 1.0 0.8 OD 570 (MTT assay) Untreat 0.6 Mock Nega Si-1 0.4 Si-3 0.2 0.0 Day2 Day3 Day4 既存のマーカーAMACR (P504S)と TT902の比較 TT902 AMACR (P504S) Expression of TT902 and AMACR in each pathologic area TT902 3 AMACR ** ** 2.5 ** ** ** ** ** ** 1.5 1 n.s. n.s. .5 normal gl. hyperplasia ** p<0.01 PIN cancer normal gl. hyperplasia PIN 0 cancer Intensity 2 Relationship between Gleason score and immunohistochemical intensity TT902 AMACR 3 n.s. * 2.5 * Intensity 2 1.5 1 .5 0 2-6 7 8-10 2-6 Gleason score 7 8-10 * p<0.05 今後の展望 1.候補蛋白質の特異抗体の作成 2.特異抗体の有用性の検討 (1)ティッシュマイクロアレイによるスルー プットの向上 (2)in situ hybridizationによる候補蛋白質 の絞り込み 3.機能解析 siRNAによるノックダウン 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :前立腺癌マーカポリペプチド、該ポリ ペプチドに対する抗体、及び該ポリペプチドを利用し た前立腺癌の診断方法 • 公開番号 :特開2005-080524 • 出 願 人 :独立行政法人科学技術振興機構 • 発 明 者 : 車 英俊、頴川 晋、前田 忠計、 馬場 志郎 お問い合わせ先 【技術内容について】 東京慈恵会医科大学 医学部 泌尿器科講座 車 英俊 電話: 03-5214-7519 FAX: 03-5214-8454 E-mail:[email protected] 【技術移転について】 科学技術振興機構(JST) シーズ展開課 技術移転プランナー 服部 修造 電話:03-5214-7519 FAX:03-5214-8454 E-mail : s2hattor@jst.go.jp
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