PDF形式(757KB) - 日本農業機械化協会

2008
5月号
印刷版
***************************************************************************************
平成 19 年度
農作業事故防止中央推進会議の講演(2)
***************************************************************************************
前回に引き続き、平成 19 年度農作業事故防止中央推進会議から講演の内容をみる。
農業従事者における健康調査
(日本農業新聞記者・小菅真氏)
3割ぐらいの方は機械化とか、作目の単一化などによ
って疲労感が解消されていると思われる。部位別にみ
ると、どの部位でも2割程度の方が慢性的に疲労を抱
えており、とくに肩、腰というところで多かった。農作業
時の休息に関しては、3回以上が 24%、1∼2回が7
割近く、また、休息なしは7%あった。中には、トラクタ
に弁当を持ち込んでいる方もあって、いわば1日中ト
ラクタに乗っていることになる。これでは事故がおきて
も不思議ではない。農業関係者から見ると、そうしたこ
とに疑問を抱かないこともあるが、体育関係者からみ
れば、これはあり得ない状況という受け止め方だ。休
息中の過ごし方については、水分補給が5割以上、軽
食を取るが3割、軽い運動をするという方はほとんど
いなかった。
疲労の解消法については、お風呂に入るが8割以
上、体操やストレッチ、マッサージなどで身体を整える
というのが約4割。スポーツなどをして気晴らしをして
いるかどうかでは、7割余はやっていないということで、
体操学会では、農業者はそんな状況なのかと関心を
呼んだ。機械化の進展や作物の単一化によって、あ
まり重労働とは感じていない面があるのかなとも考え
られた。疲労を解消するために何もやっていないと答
えた方にその理由を尋ねたところ、「時間がない」が
35.1%、「面倒である」が 29.0%となった。こういうふう
に思っている方たちにお勧めしたいのが「かろやか体
操」であり、この体操は劇的な効果はないが、この体
操によって疲労物質を取り除いてほしいというのが
我々の提案である。
昨年、日本体育大学体操研究室の荒木達雄教授と
共同で農作業従事者における健康調査を実施した。
これは日本農業新聞の提案の関連企画であり、2006
年4月から1年半連載した「かろやか体操」では、荒木
教授と直接各地の農家を訪ね、簡単なカウンセリング
を行った後、こういう体操をして下さいと勧めてきたも
のだ。体操というとまずラジオ体操を思い浮かべるが、
体操の基本動作は、捻る、伸ばす、曲げる―のごく簡
単な動作からなる。その動作をやる時も何か道具を用
いるとより効果的であり、同時に気軽にやれるメリット
もある。その道具として、日常使っている農機具を使う
というのがわれわれの提案である。
調査は、全国の農業従事者 1332 人を対象とし、農
作業による疲労感、農作業時の休息、農作業の疲労
の解消方法について重点的に聞いた。農作業による
疲労感については、7割近くが翌日まで残ると回答し、
以前は休養といえば座っているだけと捉えられるこ
とが多かったが、いまは積極的休息として、休む間に
-1-
身体を動かす、ほぐすということを専門家は勧めてい
る。昨年、北海道である農家を訪ねた折、一昨年から
規模を半分にしたという話を聞いた。その理由は、後
継者だった子息が農機の下敷きになって亡くなり、規
模を縮小せざるを得なかったということだった。昨年の
日本農村医学会での講演である医師は、癌のようだ
から一刻も早く検査して手術を受けたほうがいいと進
言したが、その後来院せず、半年後、その方が診察に
みえたときはもう手遅れになっていたという報告があ
った。梨の受粉作業のため病院に来られず、本人は
「いまのこの作業で一家を養っているんだ」といってい
たとのことだった。診察に行く時間も惜しんで作業する
ことが大事なのは理解できるが、生命をなくしては元
も子もない。1分の体操が生命を救うことがある。それ
ぐらいの時間は必ずあると思う。休息はこまめにとり、
体操はできるところからまずやってほしい。生産性向
上は大切だが、農家の生命が最も大事だ。農家の健
康なくして食料自給率の向上はないといっても過言で
はないと思う。
作業や暮らしの中で感じる障壁、障害について調査し
ており、その中で農作業の環境からの課題の1つとし
て、畦ののり面がひどく段差が深いという項目に対す
る回答割合が高くなっており、今回はとくに中山間地
域における水田畦畔ののり面の問題を中心に草刈り
の実態をみる。
現地調査では、腰を深くかがめてのり面の草刈り作
業を行っている様子がみてとれた。農作業事故という
と大型機による事故が思い浮かぶが、草刈り作業に
ついてみると、刈払機は幅広いユーザーが使う可能
性が高い機械で、傷害事故の事例でも刈払機による
ものの割合が高い。こうした点をみても、草刈り作業を
軽視してはいけないと考える。
ユニバーサルデザインとは、できるだけ多くの人が
利用可能であるようにモノ、空間をデザインするという
考え方で、バリアフリーよりは幅の広い概念になる。
ユニバーサルデザインの 7 つの原則は、(1)誰にでも
公平に利用できること(2)使う上で自由度が高いこと(3)
使い方が簡単ですぐわかること(4)必要な情報がすぐ
に理解できること(5)うっかりミスや危険につながらな
いデザインであること(6)無理な姿勢をとることがなく、
少ない力でも楽に使用できること(7)アクセスしやすい
スペースと大きさを確保すること−である。
農作業の安全性向上と環境づくり
−ユニバーサルデザインの視点から見直す畦畔管理−
(農村工学研究所特別研究員・片山千栄氏)
これに沿っていくと、草刈り作業では、安全で快適
な草刈り作業のできる畦畔をあらかじめ用意するとい
う発想になる。畦畔の草刈り作業がどのように行われ
ているかを調査したところでは、男性 77%、女性 21%
(不明2%)から回答を得、年齢は平均 63 歳、草刈り
暦平均 26 年、刈払い機の型は肩掛け式が 51%、背
負い式が 42%、草刈り作業は年に1回から 10 回で平
均 4.2 回、のり面のある人が 79%、作業時に他人の田
(下側)への侵入がある人は 25%などとなった。草を
刈る理由については、3∼4割が「自分の田はいつも
きれいにしていたい」とし、同じぐらいの割合で「刈らな
いと害虫が発生しやすい」の回答があった。作業中の
ヒヤリ・ハットの経験では、足を滑らせた、石に当たっ
てはねた、刃が水面に当たってゆり戻された、畦から
落ちたなどの回答割合が高く、草刈り作業への不安・
負担では、足や腰に負担が大きい、肩や腕に負担が
大きい、無理な姿勢が多く大変、落ちそうでこわい、刃
が石に当たりそうで不安などの回答があった。
農作業に従事する人が高齢化し、女性が増え、定
年帰農者が多くなるといった状況で、誰でも安全に快
適に作業できる環境が重要になっている。また、農作
業事故の問題を考えると、作業者、扱っている機械、
環境などの各条件が重なった場合に事故が起きる。
ここでは環境面の問題を主体に報告する。「農村環境
のユニバーサルデザインに関する調査研究」では、農
-2-
性別にみると、女性では足を滑らせそうでこわい、
落ちそうでこわいという回答ポイントが高かったが、斜
面との関係を聞くと、勾配 1.2 で急な傾斜の場合は斜
面に立たない(立てない)、勾配 1.5 の相対的に緩や
かな斜面でのり面長が短い場合は斜面に立つ(立た
ざるを得ない)、同のり面長が長い場合は立たない
(立ちたくない)という回答になった。
農作業事故再発防止に向けた行動計画を考える
(日本農業機械化協会調査部長・石川文武氏)
こうした現状の下で、誰にでも安全で快適な環境を
あらかじめ用意するにはどうすればいいのか。対策は、
環境の側、機械の側、個人の側それぞれに考えられ
る。畦畔のり面の管理作業では、誰でも安全でラクな
畦畔にすること、草刈りの姿勢安定のためには小段
や足場を設置すること、また、グラウンドカバープラン
ツなどによってマルチングを行う、自走式草刈機を開
発するなどで草刈り作業をしないでもすむようにする
方法もある。姿勢を安定化させる方法として、小段や
足場の設置について考えると、国の指針は、上の田と
下の田との差が 0.5mある場合は小段の設置を、1.5
m以上の場合は中段小段の設置を検討するとしてい
る。小段整備に関する農家調査では、地域差はある
が、「つぶれ地が増えてもあったほうがよい」とする回
答割合が多くなった。個々の圃場の改良は難しいた
め、土地改良などの際に小段を設置するなど地域ぐ
るみで安全を考えることがとても重要になる。
毎年約 400 人の方が農作業事故で死亡しており、
その 7、8 割は機械作業による事故になっている。これ
を何とか右下がりにしたいと手を打っているが、なか
なか減少しないのが現状だ。作業従事者 10 万人当た
りの事故では、全産業災害は 3.5 ぐらいまで減少して
いるが、農業の場合は 13 余でおよそ4倍。最も労災
の多い建設業災害でも右肩下がりで推移しているの
で、農業分野の事故はさらに注目を集めることになる
のではないかと危惧している。農作業事故は、結局は
農業者が直接の被害を受けている。そこで農業者に
関わっている各界の関係者が意識を統一して真剣に
対策を実践していくことが重要になる。農作業安全を
考える上で大切なのは、起きた事故を教訓として類似
の事故を減らしていくことであり、そのためには事故を
調査して間接原因を究明していくことが有効と考えて
いる。ただ、事故の調査、とくに重大事故の直接調査
は色々と難しい部分が多いため、いわゆるヒヤリ・ハ
ットの事例を数多く分析し再発防止に役立てていくこと
にもなる。
機械や道具の問題を考えると、同じ機械を使ってい
るのであれば非力な女性のほうが男性に比べ負担感
が大きくなるので、そういった意味からもユニバーサ
ルデザインの考え方は大切だ。次に自分で心がけて
いる安全対策についての調査では、点検・移動時の
エンジン停止、手袋の使用、ベルトやハンドル位置の
調整、作業間の休憩、防護用メガネの使用、周囲の
人の位置確認、飛散防止カバーの装着、ゆとりをもっ
た作業などの回答順となった。全部の対策を個人で
進めるというのはなかなか難しい面もあるので、色々
な方面からの対策が必要といえる。安全対策は1人1
人の努力がもちろん大切だが、安全で快適な作業環
境、それを支える社会的環境がクルマの両輪のように
なって進められるものではないかと思う。食の安全・安
心がいわれる中、それは食をつくっている人の安全が
確保されてこそ実現するのではないかと強く感じてい
る。
機械の安全装備の問題に関すると、予防安全と事
後安全の二通りがある。ソフト面では、昭和 50 年に安
全鑑定という制度が始まり、10 年経過したら確かにベ
ルトやチェーンに巻き込まれたといった事故は激減し
たが、そうはいってもゼロにはなっていない。そこでは、
取説どおりに使っていなかったり目的外使用があった
り、使用者の配慮が欠けていた場合に事故が起こっ
ていることがあり、逆にハード面で十分とはいえない
が、使う側の配慮で事故が起きないということもある。
-3-
また、安全装備、装具で安全を確保する場合も出てく
る。
でも日常のヒヤリ・ハットについて、なぜ事故を回避で
きたのかなどについてよく検討することが大事にな
る。
こうした状況下で、事故防止には、関係者がともに
考え協力していくことが重要であり、作業従事者の側
***************************************************************************************
農林水産省
農業資材審議会農業機械分科会の検討概要
新たな「高性能農業機械等の試験研究、実用化の促進及び導入に関する基本方針」
***************************************************************************************
農林水産省は先に農業資材審議会農業機械化分科会を開催し、「高性能農業機械等の試験研究、実用化の
促進及び導入に関する基本方針」を諮問し、答申を得たことから、それを公表し意見を求めている。新たな基本方
針では、20 年度から開発する機械を示すとともに、機械導入及び利用に関する事項で生産コストの縮減や農作業
安全の観点から追加変更した。以下にそのポイントをみた。
20 年度から実用化に取り組む機械
20 年度から実用化に向けた開発に取り組む対象機種として、農畜産物の生産コストの縮減に寄与し、(1)先端
技術の活用等を通じた更なる省力化につながる機械として、いちご収穫ロボット、加工・業務用キャベツ収穫機、
たまねぎ調製装置、高機動型果樹用高所作業台車、可変径式TMR成形密封装置、高精度てん菜播種機、中山
間地域対応型汎用コンバイン−の7機種を開発・実用化する。
また、農畜産物の生産コストの縮減に寄与し、(2)環境負荷の低減及び農業生産資材の効率利用に資する機械
として、果樹用農薬飛散制御型防除機、高精度高速施肥機、高精度畑用中耕除草機、玄米乾燥調製システム−
の4機種を開発・実用化する。
それぞれの機械の試験研究の目標は次の通り。
ア いちご収穫ロボット=ロボット技術による収穫適期の果実の選択収穫
イ 加工・業務用キャベツ収穫機=加工・業務用キャベツの高能率な収穫に要する基本技術
ウ たまねぎ調製装置=たまねぎの球以外の部位の自動切断に要する基本技術
エ 高機動型果樹用高所作業台車=果樹園のせん定、摘果、収穫作業等における高能率な移動に要する基
本技術
オ 可変径式TMR成形密封装置=TMRの梱包量に応じたロールベール状の成形及び密封
カ 高精度てん菜播種機=てん菜の高精度かつ高能率な播種
キ 中山間地域対応型汎用コンバイン=小区画ほ場における稲、麦、大豆、そば、なたね等の多様な作物の収
穫に要する基本技術
ク 果樹用農薬飛散制御型防除機=噴霧方向、噴霧量等の適正制御による農薬の高精度かつ高能率な散布
ケ 高精度高速施肥機=作業速度及び肥料の物性に応じた散布量の適正制御による高精度かつ高能率な施
肥
コ 高精度畑用中耕除草機=湿潤土壌条件下における高精度かつ高速での中耕除草及び培土
サ 玄米乾燥調製システム=高水分籾の籾すり及び玄米の乾燥に要する基本技術
その他高性能農業機械等の試験研究、実用化の促進及び導入に関し必要な事項
「その他」の項で、生産コストの縮減、農作業安全の観点から新たな事項を盛り込む。
1.農業経営の改善のための計画的な導入が必要な機械とされている特定高性能農業機械の導入及び利用に
ついて、生産コスト縮減の観点から以下の事項を盛り込む。
(1)燃費の低減に資する適正な点検整備・作業方法の実践
(2)機械の稼働率向上に向けたほ場の面的集積と作期分散技術等の推進
(3)集落営農等における既存機の適正な処分、作業委託の活用等を通じた効率利用
2.農作業の安全性確保の観点から、以下の推進事項を追加する。
(1)道路交通及び雇用労働者保護に関する関係法令の周知
-4-
(2)事故の発生実態、原因把握・分析、情報の活用
3.農業機械の流通に関し、農業機械費の低減等の観点から、以下の推進事項を追加する。
(1)海外展開等を通じた効率的な農業機械の供給
(2)経営規模等に応じた機械の選択に資する情報の提供
(3)生産コストの縮減の観点からのレンタル方式等の多様な導入方法の活用
(4)長期利用の観点からの定期点検・整備の実施
***************************************************************************************
【中四国農政局よりの寄稿】
農業をテーマとする学習まんがシリーズ
***************************************************************************************
中四国農政局が企画・監修しました「農業をテーマとする学習まんがシリーズ」の「第 10 巻」と「第 11 巻」を紹介
します。
学習まんがシリーズ全巻
農業ビジネス列伝(第 10 巻)山口版
耕作放棄地解消!放牧大作戦−舌刈りで一石五鳥
第 10 巻でとりあげたのは、「山口型放牧」。「いつでも、どこでも、だれでも、簡単に」放牧を始めることのできる
「山口型放牧」は耕作放棄地解消の切り札です。人手確保もままならない、中山間地域では、もはや「放牧」抜き
の耕作放棄地解消などありえないといって良いと思います。
放牧には、
耕作放棄地の解消
獣害の拡大防止
繁殖牛生産の省力化
飼料費の抑制
中山間地域の所得確保
景観保全
竹林の拡大防止
癒し効果(牛と地域住民のふれあい)
など様々な効果があります。
-5-
農業ビジネス列伝(第 11 巻)高知版
炊きたてご飯は棚田米−南国市学校給食の歩み
第 11 巻でとりあげたのは、「南国市の米飯給食」です。南
国市は週5日の完全米飯給食。その原料の主産地は同市
の棚田地帯です。今では棚田だけでは需要をまかないきれ
ず、平野部の米も回すほど。地場産の炊きたてご飯を食べ
る生徒達は、自信をもって「この町が好きだ!」と言ったとの
ことで、東京農大・小泉武夫先生(=食料自給率向上協議
会会長)も大のお気に入り、講演の際によく引き合いに出す
好事例です。
◆詳しくは中国四国農政局のHPをご覧下さい。
『まんが農業ビジネス列伝』について
***************************************************************************************
Dr.文 武 の 農 作 業 安 全
風薫る五月を安全に過ごそう
***************************************************************************************
例年に比べて「ゴールデン」とは言いにくい連
気配り、共同作業者との意識統一、休憩を含んだ
休でした。7日の夕刊が来ないとわかりませんが、
無理のない作業計画などで、安全優先を貫いてく
行楽地の人出は大きいに越したことはありません
ださい。ときどき「安全投資や安全配慮は儲けが
が、交通事故のとりまとめとか、農作業にかかわ
わからない、だから安全にかける金を資材費に回
る事故などは、なるべく小さい数字であればと期
します」という人もいますが、万が一の事故の時
待します。
の経済的、精神的ダメージを予想すれば、事前の
桜の季節が終わり(北海道でも?)、山の雪解け
安全対策がきわめて安価であることがわかると思
からいろいろな雪形を想像したり、田植え用水の
います。
予想、この一年の気象予想など、いろいろなこと
春作業が事故あるいは機械の故障で予定通り進
を考えながら春の農作業が本格的に始まったこと
まなかったとしたら、その反動は収穫の時に来ま
でしょう。筆者はこの連休中、買い物以外は家に
す。人も機械も環境も経営姿勢も「農作業安全」
こもっていたので、高速道路や鉄道沿線での農作
で取り組んでください。
業風景を眺めることができませんでした。田植え
作業などが春のレクリエーション的なものになっ
て久しいのですが、手植えの時代には多くの手が
必要だったので、都会に出ている親類などが応援
に来ていたのですが、機械田植え、それも高速植
え付けになると、機械の怖さを知らない人が近く
にいるだけでオペレータは精神的な負担が大きく
なっているのではないでしょうか。
今年の春の農作業安全運動のキャッチフレーズ
も「ヒューマンエラーをなくそう、ヒヤリ・ハッ
トは事故予備軍」としています。絵柄は、トラク
ターの周りで子供が遊んでいるものです。オペレ
ータが子供たちに注意もせずにエンジンをかけた
り、走りだしたりしたら、遊ぶことに夢中な子供
には親の意図は汲み取れません。そういうことの
ないようにと願って作成したものです。
農作業安全は農繁期だけのものではありません、
農閑期でも安全確保の行動が大切です。周囲への
-6-
***************************************************************************************
業 界 短 信
***************************************************************************************
2. 健康精米機能=「健康精米ダイヤル」により
JA全農が農機レンタル事業を実施
9段階のこだわりのぶつき精米ができ、好み
このほど開催した第 40 回臨時総代会で 20 年度事
の白さを決められる。
業計画を承認、生産資材事業では「生産資材コスト
3. メンテナンスの容易さ=精米してできたヌカ
低減チャレンジプラン」などの実践による事業競争
を機械室扉裏に設置したヌカタンクに収める
力の強化を掲げ、
1. アラジン肥料、BB肥料、MY-100 混合剤(水
ことができる。従来のようにヌカ袋の搬出を
稲除草剤)ジェイエースなど安価な資材の普
不要にすることで、ヌカ移し替えの手間を軽
及拡大
減した。
2.
−など。
HELP農機の取り扱い拡大、韓国トラクタ
ーやJAグループ独自型式等、担い手向け商
オーレックが乗用草刈機を発売
品の取り扱いによる農機価格の引き下げ
3.
ラビットモアー「RM88」で、16 馬力エンジンを
新たなコスト低減策としての農機レンタルモ
搭載、従来機のRM86Aより出力をアップさせてい
デル実証事業の実施
−などに取り組む。
るほか、新機能を装備しつつ、価格は1万円増に抑
農機レンタルモデル実証事業は、全農がレンタル
えている。上位機種RM98 シリーズで好評の「ア
農機を所有し、これをJAへレンタルする。JAは
シスト付き無段階刈高調整」を標準装備して、刈高
これを担い手に再レンタルする方式で、関東5県お
調整が楽々とできるようにした。また、刈取デッキ
よび山口、福岡の2地区 20JAで実施する予定。
を新たに設計し、左右カバーは高張力鋼も採用して
耐久性と刈取能力で大幅な向上を実現し低燃費化。
「刈草のデッキ上り」防止に新機能を追加、マッド
農林水産省が組織変更、食料安全保障課を設置
ガードも新設して、作業部の支障となる刈草、土を
4月1日付の組織変更で、新たに大臣官房に「食
8割減らしている。
料安全保障課」と、バイオマス政策課に「地球環境
対策室」が設置された。食料安全保障課の課長には
サタケが選別加工総合センターを開設
末松氏(大臣官房企画評価課長)が、地球環境対策
室長には木内氏(大臣官房企画評価課調査官)が就
広島本社ショールーム内に新設した「選別加工総
任した。食料安全保障課設置で、省が一体となって
合センター」は、依頼のあった原料を光選別機など
食料問題に取り組む体制を充実させた。
最新鋭の選別機・加工機でテストし、処理効果を短
時日で確認できる施設。最新鋭の選別機・加工機を
用い、顧客から預かった原料サンプルをこれらの機
クボタが新型コイン精米機を発売
新製品は「クリーン精米屋・NK‐CR350HCS」
械で搗精加工あるいは選別し、加工方法の確認や各
で、健康志向に対応、9段階のこだわりの「ぶつき
種データの収集を行う。米・麦を始めとする各種穀
精米」が行える。設置面積は従来機の7割ですみ、
物はもとより、バージンペレット、リサイクルチッ
斬新なデザインと大型電飾看板で視認性を高めて
プなどのプラスチックにも対応でき、電化製品や自
いる。主な特徴は、
動車、ペットボトルなど幅広い分野の利用が可能と
なっている。選別加工総合センターの面積は 660 平
1. 新デザインと大型電飾看板による従来機から
方 m。用意している機械は加工機9機種、選別機・
の差別化。
-7-
機種、テスト選別加工機5機種。今後、選別機2機
り 2006 年には、特許査定率 90.4%(全出願人の平
種をさらに追加導入する予定。選別機には光で分け
均 48.5%)も達成し、3年連続特許査定率日本一
る「光選別機」と形で分ける「形状・比重・磁力選
であることを、営業部門のセールストークの一つと
別機」がある。
して積極的に活用している」「地域の産業財産権の
円滑な運営にも貢献している」と称えた。
全農機商連が農機の点検整備を促すチラシを作成配布
共立が新ダイワ工業と経営統合
このチラシはA4判4ページで、
「農作業の安全は
農業機械の点検・整備から!」を表題に、2ページ
株式移転計画を作成し共同持株会社設立による経
目には全農機商連の紹介と安全のためのチェック
営統合を行うことを決議し発表した。共同持株会社
リスト。3ページ目には「農業機械の点検・整備に
は、
「株式会社やまびこ」とし、今年 12 月1日に設
は十分な手間と確かな技術が必要です!」と訴え、
立。共立と新ダイワ工業は事業会社として同社の傘
認定工場、整備技能士をPR。4ページ目は作業上
下に入り事業を進める。経営統合については、対等
の注意点と万一のために加入しておきたい全農機
の精神に基づいて、両社の取締役会で経営統合を行
商連が扱っている農機傷害補償保険について紹介
うと決議。それぞれ6月 27 日開催予定の株主総会
している。全農機商連ではこのチラシを全国の会員
で承認が得られれば、共同持株会社「株式会社やま
企業に配布し、農作業安全と併せ整備需要の掘り起
びこ」を設立する。
「やまびこ」は、資本金 60 億円、
こしに活用していく。
決算期3月 31 日とし、本社所在地は現在の共立本
社に置く。国内外で両社が浸透を図ってきた「EC
農林水産省の「販売」を軸とした
HO」、「shindaiwa」、「KIORITZ」
米システム検討会で農機コスト対策を報告
のブランドは残す。経営統合により、「総需要20
第 10 回の「販売」を軸とした米システムのあり方
00万台と推定される世界の小型エンジン機器市
に関する検討会では、農業機械、肥料、農薬に係る
場では第3位の座につく」
(北爪社長)としている。
コスト低減についてヒヤリングが行われ、農機業界
タイショーがバッテリー式苗箱回収機で実演
からは、日農工総務・企画委員会常任幹事会座長の
小寺氏(クボタ機械事業本部業務部長)が、コスト
このほど新発売したバッテリー式苗箱回収機「ベ
低減に関する農機業界の取り組みについて報告し
ルトス・BQ−1型」は育苗ハウス内の重労働とな
た。小寺氏は、まず、兼業化の実現など農業機械が
る苗箱回収作業を、立ったままの姿勢で楽にこなす
果たしてきた役割に触れながら、長い年月の中で農
省力化機器。1時間当たり 700 枚(連続作業時)の
家の要望に応える形で現在の機械化体系が構築さ
処理能力がある。この実演会を茨城県潮来市の粉名
れてきていると述べたうえで、コストダウンに懸命
内農場(こなうちのうじょう・粉名内猛代表)で開
に取り組んでいることを強調した。
催したもの。実演会では、同社社員による操作説
明・実演を行った後、粉名内さんのお嫁さんが、同
機による回収作業にトライした。お嫁さんは、赤ち
井関農機が 20 年度の知財功労賞を受賞
ゃんをおぶったままの姿勢で、難なく苗箱を回収。
特許庁長官表彰の「産業財産権制度活用優良企業
等表彰」を受賞した。受賞理由として同庁では「知
本体先端部を苗箱に合わせ、スイッチを入れるだけ
的財産の重要性に対する認識が高く、事業戦略、研
で、後はコンベアが作動し、自動的に手元に届ける。
究開発戦略、特許戦略を三位一体として展開し、知
その苗箱を粉名内さんが軽トラに積み込んだ。この
的財産重視の経営が同社の柱の一つとなっている」
一連の作業が極めてスムーズに進められた。
と指摘したうえで、「効率的な特許管理の徹底によ
-8-
サービス体制の強化を図るため、5月7日付で現行
川辺農研産業がサイトに部品表を公開
トレンチャーやバイブロスーパーソイラーなど同
営業拠点を発展的に解消し、新たに東日本支店(埼
社主要機種の「部品表」をウェブサイト上で公開し
玉)傘下に札幌・仙台・埼玉・名古屋の4拠点、西
た。これにより最新の「部品表」を常時閲覧するこ
日本支店(大阪)傘下に大阪・広島・福岡の3拠点、
とができ、販売店はユーザーからの問い合わせに迅
合計7拠点を営業所として新設する。
速に対応できる。HPを開くと、トップページの右
農林水産省・資材対策室長に春日氏
下に 部品表はこちらから という欄があり、そこ
をクリックするとID番号とパスワードを入力す
農林水産省生産局生産技術課資材対策室の新たな
るよう案内が出る。ID番号とパスワードは電話か
室長に春日健二氏が就任した。春日氏は昭和 37 年
FAXで、同社に申し込み、前もって取得する。
3月 25 日生まれ、福島県出身。昭和 59 年東北大学
農学部農芸化学科を卒業し、同年農林水産省入省。
これまで、農産園芸局野菜振興課課長補佐、長崎県
マキタ沼津が営業拠点を再編
4月1日付で組織変更と人事異動を行い、組織変
農林部農政課参事、農村振興局資源課農村環境保全
更では、管理部・営業部・製造本部・品質保証部・
室長などを歴任している。前任は、厚生労働省労働
開発部の5部門制とした。また、営業3部門(現行
基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室
=国内農機営業部・防災営業部・ガーデン機器営業
長。
部)と業務部の管掌を営業部内に統合し、営業管理
機能を本社一元化。国内農機の営業体制は、営業活
動の効率化と強化及び営業活動の現地密着強化と
-9-