平成 13年度 佐賀大学2次試験前期日程 (数学問題) 理工・農・文化教育

1
平成 13 年度 佐賀大学2次試験前期日程 (数学問題)
理工・農・文化教育学部 平成 13 年 2 月 25 日
• 理工学部は, 1 ∼ 4 数 I・II・III・A・B(120 分)
• 農学部は, 2 , 3 の (1)(2)(3)(5), 5 , 6 数 I・II・A・B (120 分)
• 文化教育学部は, 7 ∼ 10 数 I・II・A・B(100 分)
1 2 次関数 y = 4x2 + 8mx + 4m について,以下の問いに答えよ.
(1) この 2 次関数の最小値 l を,m の式で表せ.
(2) (1) の l が正であるための m の値の範囲を求めよ.
(3) m の値を変化させて,(1) の l が最も大きくなるときの m の値と,そのと
きの l の値を求めよ.
(4) (1) の l に定数 a を加えて得られる m の関数を n = f (m) とする.この関
数のグラフが m 軸と 1 点で接するように,a の値を定めよ.
2 平面上のベクトル a,b は | a | = | b | = 1 をみたし,a と b のなす角 θ は 0◦ < θ <
180◦ をみたすとする.また,ベクトル c,d は p,q ,s,t を用いて
c = pa + q b,
d = sa + tb
と表されるとし,a + b + c + d = 0 が成立しているとする.
(1) p と s の関係式,および q と t との関係式を求めよ.
(2) | c | = 1 のとき,p と q と cos θ との関係式を求めよ.
(3) | d | = 1 のとき,(1) の結果を用いて,p,q との cos θ の関係式を求めよ.
(4) | c | = | d | = 1 のとき,
a + c = b + d = 0 または a + d = b + c = 0
が成り立つことを,上の結果を用いて示せ.
2
3 1 回の試行で事象 A が起こる確率が p (0 < p < 1) であるとする.この試行を n
回行うときに奇数回 A が起こる確率を an とする.
(1) a1 ,a2 ,a3 を p で表せ.
(2) n
2 のとき,an を an−1 と p で表せ.
(3) an を n と p で表せ.
(4) lim an の値を求めよ.
n→∞
n
(5) p =
1
のときの (3) の結果を用いて,
2n C2k を n の式で表せ.
2
k=0
4 右の図のように,原点 O から物体 P を,水平面と角 y
α (0◦ < α < 90◦ ) をなす方向に,速さ v0 m/秒 (v0 > 0)
で投げたとき,投げてから t 秒後の P の位置を (x, y)
とする.空気抵抗を無視すると,x と y は g を正定数
1
として x = (v0 cos α)t,y = (v0 sin α)t − gt2 と表さ
2
れる.
v0 sin α
(x, y)
α
O v0 cos α
x
(l, 0)
(1) P が正の時刻で x 軸に到達する位置を (l, 0) とするとき,l を α,v0 ,g で
表せ.
(2) 正の時刻で x 軸に到達するまでに P が描く曲線と x 軸とで囲まれる図形
の面積 S を α,v0 ,g で表せ.
(3) v0 を固定し,α を動かすとき,S の最大値を v0 ,g で表せ.
5
10a
u
を用いて,
log
= log10 u − log10 v を示せ.ただし,u,v
10
10b
v
は正の実数とする.
(1) 10a−b =
(2) 不等式 log10 5x2 − log10 (x + 1)2
1 を満たす x の値の範囲を求めよ.
6 関数 f (x) = ax3 + bx2 + cx (a > 0, b, c は実数) について,以下の問いに答えよ.
(1) 方程式 f (x) = 0 が異なる 3 個の実解をもつための条件を,a,b,c を用い
て表せ.
(2) f (x) が x = −1 で極大値を,x = 2 で極小値をとるとき,極大値および極
小値を a を用いて表せ.
(3) f (x) が (2) の条件をみたすとき,f (x) = 0 の 3 つの実解を求めよ.
3
7 6 個の数字 1,2,3,4,5,6 から重複を許して 4 個取り出し,それらを並べて
4 桁の整数をつくる.千の位,百の位,十の位,一の位の数字を,それぞれ,a,
b,c,d とおく.次のような整数は,それぞれ何通りできるか.
(1) a < b
(2) a < b
c<d
8 0◦
θ < 360◦ のとき,関数 y = sin2 θ + 2 sin θ cos θ − cos2 θ について,次の問
いに答えよ.
(1) y の最大値,最小値と,そのときの θ の値を求めよ.
(2) この関数のグラフをかけ.
9 正の数 p,q が q < p2 を満たしているとする.2 次関数 y = x2 のグラフを F
とし,F を x 軸方向に p,y 軸方向に q だけ平行移動したものを G とする.F ,
G と y 軸で囲まれた図形のうち,F と G の交点を通り,x 軸に平行な直線の上
側,下側にある部分の面積をそれぞれ S1 ,S2 とする.S1 < S2 であるとき,点
(p, q) の存在範囲を図示せよ.
10 0 でない複素数 z について,次の問いに答えよ.
(1) z の絶対値を r,偏角を θ とするとき,z +
いて表せ.
1
の実部と虚部を,r と θ を用
z
1
1
が実数または純虚数ならば,z n + n も実数
z
z
または純虚数であることを証明せよ.
(2) n を正の整数とする.z +
4
正解
1
y = 4x2 + 8mx + 4m
(1)
= 4(x + m)2 − 4m2 + 4m
よって,最小値 l = −4m2 + 4m
(2) l > 0 より −4m2 + 4m > 0 ゆえに m(m − 1) < 0
よって
0<m<1
(3) (1) の結果から l = −4(m2 − m)
1
= −4 m −
2
よって,m =
1
2
2
+1
のとき,最大値 l = 1
(4) (3) の結果から,n = f (m) の最大値は a + 1
よって,y = f (m) のグラフが m 軸に接するとき
a + 1 = 0 すなわち a = −1
5
2
(1) c = pa + q b,d = sa + tb を a + b + c + d = 0 に代入すると
(1 + p + s)a + (1 + q + t)b = 0
a と b のなす角 θ が 0◦ < θ < 180◦ であるから,a と b は 1 次独立である.
よって
1 + p + s = 0, 1 + q + t = 0
(2) c = pa + q b より
|c|2 = |pa + q b| = p2 |a|2 + 2pq a·b + q 2 |b|2
|a| = |b| = |c| = 1,a·b = |a||b| cos θ = cos θ であるから
p2 + 2pq cos θ + q 2 = 1
··· 1
(3) d = sa + tb より,(2) と同様にして
s2 + 2st cos θ + t2 = 1
(1) の結果から,s = −(p + 1),t = −(q + 1) これを上式に代入すると
(p + 1)2 + 2(p + 1)(q + 1) cos θ + (q + 1)2 = 1
··· 2
(4) 2 から 1 の辺々を引くと
2(p + q + 1)(1 + cos θ) = 0
0◦ < θ < 180◦ より,1 + cos θ = 0 であるから
p + q + 1 = 0 ゆえに q = −p − 1
··· 3
3 を 1 に代入すると p2 + 2p(−p − 1) cos θ + (−p − 1)2 = 1
したがって
2p(p + 1)(1 − cos θ) = 0
0◦ < θ < 180◦ より,1 − cos θ = 0 であるから
2p(p + 1) = 0 すなわち p = −1, 0
このとき, 3 および (1) の結果から
(p, q, s, t) = (−1, 0, 0, −1), (0, −1, −1, 0)
(i) (p, q, s, t) = (−1, 0, 0, −1) のとき c = −a,d = −b
(ii) (p, q, s, t) = (0, −1, −1, 0) のとき c = −b,d = −a
(i),(ii) より a + c = b + d = 0
または
a+d=b+c=0
6
3
(1) q = 1 − p とおく.
a1 は 1 回の試行で事象 A が 1 回起こる確率であるから a1 = p
a2 は 2 回の試行で事象 A が 1 回起こる確率であるから
a2 = 2 C1 pq = 2p(1 − p)
a3 は 3 回の試行で事象 A が 1 回または 3 回起こる確率であるから
a3 = 3 C1 pq 2 + 3 C3 p3 = 3p(1 − p)2 + p3 = p(4p2 − 6p + 3)
(2) n
2 のとき,n 回の試行で奇数回 A が起こるのは,次の事象である.
(i) n − 1 回までに奇数回 A が起こり,n 回目に A が起こらない.
(ii) n − 1 回までに偶数回 A が起こり,n 回目に A が起こる.
(i) の確率は an−1 ·q
(ii) の確率は (1 − an−1 )·p
(i),(ii) の事象は互いに排反であるから
an = an−1 ·q + (1 − an )p = (1 − p)an−1 + p(1 − an−1 )
= (1 − 2p)an`1 + p
1
1
= (1 − 2p) an−1 −
2
2
1
は初項が p − ,公比が 1 − 2p の等比数列であるから
2
(3) (2) の結果から an −
数列 an −
1
2
an −
an =
よって
1
=
2
1
2
p−
1
2
1
(1 − 2p)n−1 = − (1 − 2p)n
2
{1 − (1 − 2p)n }
(4) 0 < p < 1 より −1 < 1 − 2p < 1 したがって
lim (1 − 2p)n = 0
n→∞
1
1
lim an = {1 − (1 − 2p)n } =
n→∞
2
2
よって
(5) 2n 回の試行で偶数回 A が起こる確率は
n
2n C2k p
2k 2n−k
q
= 1 − a2n
k=0
p=
1
1
1
のとき q = ,a2n = であるから
2
2
2
n
2n C2k
k=0
1
2
2n
1
=1−
2
n
2n C2k
よって
k=0
= 22n`1
7
4
1
(1) x = (v0 cos α)t,y = (v0 sin α)t − gt2 から t を消去すると
2
gx2
2v0 2 cos2 α
gx
= (tan α)x 1 −
2v0 2 sin α cos α
gx
= (tan α)x 1 − 2
v0 sin 2α
y = (tan α)x −
x = l のとき y = 0 であるから
1−
v0 2 sin 2α
gl
=
0
よって
l
=
v0 2 sin 2α
g
(2) (1) の結果から
y = (tan α)x 1 −
S=
よって
x
(tan α)
=−
x(x − l)
l
l
tan α
tan α 2
(l − 0)3 =
l
6l
6
これに (1) の結果を代入すると
y=
=
tan α
6
2v0 4
3g 2
v0 2 sin 2α
g
2
=
tan α v0 4 ·4 sin2 α cos2 α
×
6
g2
sin3 α cos α
(3) f (α) = sin3 α cos α (0◦ < α < 90◦ ) とおくと
f (α) = 3 sin2 α cos2 α − sin4 α
= sin2 α(3 cos2 α − sin2 α) = sin2 α(4 cos2 α − 1)
したがって,f (α) の増減表は次のようになる.
α
f (α)
f (α)
よって,S の最大値は
(0◦ )
···
+
60◦
0
√
3 3
16
···
−
√
√
3v0 4
2v0 4 3 3
×
=
3g 2
16
8g 2
(90◦ )
8
5
(1) u = 10a ,v = 10b とおくと a = log10 u,b = log10 v
10a−b =
よって
log10
10a
u
=
b
10
v
u
=a−b
v
u
= log10 u − log10 v
v
log10 5x2 − log10 (x + 1)2
(2)
log10
ゆえに
1
· · · (∗)
真数は正であるから
5x2 > 0, (x + 1)2 > 0 すなわち x = 0, −1
5x2
(x + 1)2
log10 10
底 10 は 1 より大きいから
5x2
(x + 1)2
(∗) から
したがって
log10
x2
2(x + 1)2
ゆえに
10
x2 + 4x + 2
0
x = 0, −1 に注意してこれを解くと
−2 −
√
2
x < −1, − 1 < x
−2 +
√
2
9
6
f (x) = ax3 + bx2 + cx = x(ax2 + bx + c)
(1)
f (x) = 0 が異なる 3 つの実数解をもつとき,2 次方程式 ax2 + bx + c = 0
が 0 以外の異なる 2 つの実数解をもつから
c = 0, b2 − 4ac > 0
f (x) = 3ax2 + 2bx + c
(2) f (x) を微分すると
方程式 f (x) = 0 の解が −1, 2 であるから,解と係数の関係により
−1 + 2 = −
したがって
よって
2b
,
3a
−1·2 =
c
3a
ゆえに
3
b = − a, c = −6a
2
3
f (x) = ax3 − ax2 − 6ax
2
7
極大値 f (−1) = a 極小値 f (2) = −10a
2
1
(3) (2) の結果から f (x) = ax(2x2 − 3x − 12)
2
√
3 ± 105
よって,f (x) = 0 の解は
x = 0,
4
10
7
(1) a と d の決め方は
よって
6 C2
× 62 = 15 × 36 = 540 (通り)
(2) a < b < c < d のとき
よって
8
6 C4
(通り), b と c の決め方は 62 (通り)
6 C2
6 C4
(通り), a < b = c < d のとき
+ 6 C3 = 15 + 20 = 35 (通り)
y = sin2 θ + 2 sin θ cos θ − cos2 θ
√
= sin 2θ − cos 2θ = 2 sin(2θ − 45◦ )
(1)
よって
√
θ = 67.5‹ , 247.5‹ のとき 最大値 2
√
θ = 157.5‹ , 337.5‹ のとき 最小値 − 2
(2) (1) の結果から
√
y
2
360◦
157.5◦
O
−1
√
− 2
67.5
◦
337.5◦
◦
247.5
θ
6 C3
(通り)
11
9 y = x2 と y = (x − p)2 + q の共有点の x 座標は
2
2
2
x = x − 2px + p + q
α=
y
p2 + q
すなわち x =
2p
F
S1
p2 + q
とおくと G : y = x2 − 2px + 2pα
2p
α2
したがって
α
S1 + S2 =
0
O
α
(p, q)
S2
{(x2 − 2px + 2pα) − x2 } dx
α
=
(−2px + 2pα) dx
0
α
= −px2 + 2pαx
= pα2
0
α
2
2
(α − x ) dx =
S2 =
0
x3
α x−
3
α
2
0
2
= α3
3
S1 < S2 より,S1 + S2 < 2S2 であるから
2
pα2 < 2· α3
3
ゆえに
4
2(p2 + q)
p< α=
3
3p
p > 0 であるから
3p2 < 2(p2 + q) すなわち
よって,点 (p, q) の存在する範囲は
p > 0,
1 2
p <q
2
q
q = p2
q = 12 p2
1 2
p < q < p2
2
をみたす右の図の斜線部分の領域.
ただし,境界を含まない.
G
O
p
x
12
10 (1) r = |z| = 0,z = r(cos θ + i sin θ) とおくと
1
1
= z −1 = {r(cos θ + i sin θ)}−1 = (cos θ − i sin θ)
z
r
ゆえに
z+
1
=
z
r+
1
r
cos θ + i r −
1
1
の実部は r +
z
r
(2) n を自然数とする.
よって,z +
1
z + 2 =
z
1
z n+2 + n+2 =
z
2
1
z+
z
1
z+
z
1
r
sin θ
cos θ ,虚部は r −
1
r
sin θ
2
− 2,
z n+1 +
1
z n+1
− zn +
1
zn
1
1
が実数ならば,z n + n は実数である.
z
z
1
1
また,z + が純虚数ならば,z n + n は,n が奇数のとき純虚数,n が偶
z
z
数のとき実数である.
上の 2 式から,z +