東北農業研究 (Tohoku Agric Res)47, 31-32(1994) 水稲無代 か き作 溝 直 播 栽 培 技 術 の確 立 第 1報 亨 。梅津 山下 作溝播種方法 について ▲ 敏彦 ・ 工藤 篤 。今野 周 。加藤 賢一・ 武田 正宏 ▲ (山 形 県立農 業試験場 。 山形県農業 技術課 ) Rice Cultivatlon Tochniques with Direct Sowing aFter Making Ditches on Unpuddled Field l. Methods of making ditches and sowing Tooru YAMASH:TA. Toshihiko UMttu摯 , Atushi KuD0 Shu KoNNO Kenichi Kパ Ю and Masahiro TAKEDA (YamattF瞥 蹴 器 吼 1 は じ め 血C) ∝ ∬ 脱ittWⅧ ∫ (31 供試種子 :酸 素供給剤 (商 品名 :カ ルパ ー16)を 乾 に 籾 の 2倍 量粉衣 本県 における湛水土壌中直播 は,1988Tよ り展示実証栽 培を合 め栽培面積 が徐 々に増加 し,1994年 には ,140haを 14)調 査項 目 :耕起 時の砕土率 ,苗 立 ち状況 ,生 育状況 等 超える状況 になって きて い る。 しか し,生 育量 が把握 しに くく,安 定性 に欠けること,倒 伏 に弱 いこと,鳥 類 の被害 がみ られることや規模拡大を行 うためには,播 種直前 の代 (51 作溝播種方式及 び試作機 の仕様 1992年 及び1993年 は,農 業研究 セ ン ター によ る試作機 (写 真 1, かき作業 がネックになるなどの課題 も取 り上げ られて きて い る。 そこで,1991年 か ら,寒 冷地平坦稲作地帯 に適 し 2)を 供試 した。試作機 は, トラクタに装着 で きるアタッチメ ント方式 とな って いる。 , よ り省力的で水 の保温機能 を活か しなが ら,乾 田直播栽培 よ り安定性 が期待 できる無代 かき作溝直播栽培 の技術開発 に取 り組みを始 めた。 本報 では,そ の作溝播種方法 について検討を行 ったので 報告す る。 本試験研究 に当 り,ご 指導 ,ご 教示 いただいた農業研究 セ ンター水田作機械化研究室及 びプロジェク ト 3チ ー ー ムの各位 に対 し,厚 くお礼申 し上げる。 2試 (1)試 験実施場所 験 方 表 1 播 種 作 業 行 程 施肥 → 耕起 → 耕起 → 播種 → 入水 → 入水 靭諄 施肥 → 蝙 → 入水 圏昨 施肥 → 耕起 → 鼈 の は か 注 1992,1993年 度 ,耕 起 ら播種 まで 同時作業機 を使用 年次 1991■ 表2 各年次 の播種作業形態 拠 使 用慟D 年次 法 各年次 ごとの播種作業行程 作溝方式 蘇 さ(a) 播種方法 ― 散播働 散による) 10 条播 10 条播 ― 1991年 ロー タリ 1992年 アップカフトロータリ 漱胸試 1998年 ドライプハ ロー 鉦 献 :当 試験場 ほ場 (細 粒灰色低地土) 2)供 試品種 :ど まんなか 写真 1(1992年 ) 注 播種条数 :6条 ,播 種装置 :横 溝 ロール 回転方式 作溝装置 :舟底型作溝板 注 -31- 写真 2(1993年 ) 播種条数 :8条,播 種装置 :横 溝 ロール 回転方式 作溝装置 :算盤状駆動円盤 東 北 農 業 研 究 3 第 47号 (1994) ち,収 量 とも鎮圧方式 は,溝 切 り方式を上回る結果 とな っ 試験結果及び考察 た。 (1)砕 土状態 と苗立 ちの関係 表 5 苗立 ち率 と収量 表 3は ,砕 土率 と苗立 ち率の関係を示 した。1991年 の ロー タ リ耕起散播方式では,20m以 下 の土塊 が50数 %に とどま り,苗 立ち率 も10∼ 34%と 低 くな った。 1992年 の溝切 り方 日 式では,播 種作業中に降雨 (約 3∼ 5皿 )に みまわれ ,含 水比が高まるにつ れ ,砕 土率が低下 し,こ れに伴 い ,苗 立 ち率 も低 くなる傾 向が認め られた。 表 4に は播種深度 と苗立 ち個体 の分布 について示 した。 192∼ 333 456∼ %0 その結果 ,播 種深度 2 cⅢ 以上か らの苗立 ち個体 の発生割合 が極めて低 いことが認 め られた。 以上か ら,砕 土率が低下するにつれ ,播 種 された種 子 の (%) 砕土率 と苗立ち率 の関係 砕上 のサイズ 鍮 倉 ′ 4 1 367 355 286 218 335 491 1992年 の降雨前含水比 (最 大容水量比 表4 26 1 471 309% 490%) 0 05 10 15 20 25 30 (%) と め 無代か き作溝直播栽培 は,湛 水土壌 中直播 の欠点を補 い かつ よ り省力性を追求 した技術である。 1992年 までは,天 候 ,土 壌 に大 きく左右 され る方法 であったが ,1993年 に算 盤状 の 円盤が駆動 し、回転 しなが ら鎮圧す る方式 を取 り入 ′ こ 。 そ こで ,1994年 度 は,前 年度 まで の成果 をふ まえ ,施 肥 装置 ,耕 起 (ロ ータ リ),作 溝装 置 (算 盤状駆 動 円盤 ,溝 深 さ 5m)播 種装置 (リ ンク コンペ ア方式 ,7条 )を 取 り ^ 注 播種後25日 目に,苗 立 ち した個体 のみ調査。 (1991年 ) ② ま れたことによ り,播種位 置が一定 に保 たれ ,苗 立 ち の安定 性 が高 ま った。 また,鎮 圧する ことによ り,減 水深 (縦 浸 透)の 低下 が緩慢 となる傾向や播種時 の天候 ,土 壌 の制限 要因 が緩和 され ,播 種期 にゆと りが もてるもの となった。 しか し,播 種床が硬 くな りす ぎ,根 が土の中 に貫入 しに くか った こと,稲 の苗立 ちや管理面 へ の影響 を考慮す ると 溝深 さ10mょ り浅 いほ うが望 ま しいことなどが課題 とされ 播種深度 の分布 播種深度 8ノ /24 598 注 ・ 苗立 ち率 は,播 種量 か らの推定値 ・ 1992年 の収量調査 は,全 刈 による ・ 1993年 の収量調査 は,坪 刈 (2ピ X10カ 所 の平均 ) による 。収量 は,縦 目飾 い1 9mI以 上 の玄米 ・ なお ,1991年 度 は,雑 草 の発生が多 く,収 穫 まで に至 らなか った。 多 くが地表面か ら深い位置 に達 したため,苗 立 ちが極 めて 低 くな った ものと推察 された。 表3 &/13 486 作溝方法 の比較 表 5に は,各 年次における苗立ち及 び収量等 の結果を示 した。 1993年 の鎮圧方式 において ,播 種直前 に圃場 に散水 し播種作業を行 ったが ,前 年度 の溝切 り方式 に比 し.含 水 比 (404%,最 大容水量比641%)が 高ま って も,土 壌 の 形状 の形成 が良 く,播 種位置 も一定 とな った。 また ,苗 立 入れ た施肥 か ら播種 まで の一連 の作業を同時に行 う改良型 の播種作業機を試作 し,そ の実用化 2こ 取 り組 んでいる。 以上 より,播 種方式 として は,耕 起後鎮圧す る方式が 苗立 ち安定に寄与す ることが認 め られ ,今 後 は,細 部 を検 討 してい くことによ って ,「 無代かき作溝 直播栽培 Jの 技 , 術 が確立 されるもの と考 え られる。 種子 1991年 1992年 図 1 1993年 各種作溝播種方式 の播種後 の断面図 -32- F:o-i
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