肩こり、月経不順重なる不調 プレ更年期 肩こり、月経(生理)不順、冷えのぼせ、手足のしびれ。女性の皆さん、30 代になって、体の不調を感じませんか。「更年期 には早いけれど、20 代のころのようにピン、シャンとはいかない」。この年代になると、ホルモンのバランスが崩れたり、こ れまで積み重なったストレスから体調を崩すことがあるようです。そんな「プレ更年期」について調べてみました。 「プレ更年期」は、医学用語ではなく、40 歳前後の「更年期」前の人たちを呼ぶ言葉として、一般に使われています。 私もちょうどその年代。 「髪に白いものが増えてきた」 「しみが増えた」など見える変化のほかにも「あれっ」と思う ことがいろいろあります。 35 歳ごろ、泊まりがけの出張で、初日の夜に発熱するということが何度か続きました。全身がだるく、風邪のひき始 めのような症状で動けない。 「ひと晩寝たら絶対治る」と自己暗示をかけたら、本当に治ったので、毎回それで乗り切 ったのですが。 検査値は正常なのに…つらい 京都市中京区の会社員(36)は昨年 10 月、激しい頭痛で仕事中に倒れた。すぐに 病院で脳波や血液、尿などを調べたが異 常なし。ただ、両肩が「パンパンに」張って いた。知人の鍼灸師に診てもらうと、血の 流れが滞る「淤血(おけつ)」という状態 だった。岩盤のように硬くなっていた肩に、 鍼灸治療などを施した。 それまで、健康診断でひっかかった ことはなく「元気な体質」と自負していた。 2 年前、長年交際していた恋人と別れ、 ショックから一時期、過食症に陥ったことが ある。 だが、その後、仕事をバリバリとこなし、新しい恋人とも出会った。はたから見れば充実した日々。「でも 20 代のころと違い、 自分の言葉や仕事に責任や重みが増す。周囲のこともよく見えてくる。『私は何のために生きているんやろう』と、喪失感に 襲われることがある」と話す。親友に悩みを打ち明け、自分の悩みに向き合うことで倒れた前後に陥っていた「プチうつ状 態」を脱した。「体の声」に耳を傾けるように、とアドバイスされ、ストレッチ体操をしたり、栄養にも気を付けたりするようにな った。時間を作って鍼灸院へ通う。 「40 才なって生理の周期が急に狂った」と話す大津市の会社員(46)。もともと、28 日周期だったのが、20~35 日と不定期 になった。婦人科の内診も含む職場の定期健康診断では問題なかった。3 年前には 乳がん検診のマンモグラフィーにひっかかった。エコーで再度調べて大丈夫だったが、健康上の不安が生まれた。 雑誌やテレビ番組で健康情報を収集し、毎朝食べるヨーグルトには、きなこ、ごま、コラーゲン、ハチミツを混ぜる。「でも、 生理不順が病気かどうか分からず、病院にも行きにくい」。 長岡京市の会社員(37)は 1 年前、仕事が忙しくなったとたんに、生理不順になった。残業で毎晩帰宅は午後 11 時。1 カ月 に一度生理はあるが量が従来の 10 分の 1。同時に肩こりと歯周病が悪化した。頻繁に風邪をひくようにもなった。 産婦人科で調べたところ、排卵はしていた。漢方薬を飲み始め、少しずつ改善してきている。「生理が完全に戻るか心配。産 婦人科で妊婦さんを見ると、自分が女としての機能を失ったように感じてつらい」。 ホルモンバランス崩れが影響(本庄英雄府立医大教授) 肩こり、月経量の過多や過少、冷えのぼせ、むくみ、イライラ、気分の落ち込み。こうした症状を京都府立医科大 の本庄英雄教授(生殖内分泌/更年期・老年期障害)は「 『プレ更年期』といっていいでしょう」と話す。 更年期は閉経の前後各 5 年間をいい、女性ホルモンであるエストロゲンと黄体ホルモンが急激に減少する時期。2 つの ホルモンは女性らしく胸を大きくするなどの作用があるほか、気持ちを明るくしたり、不安を抑えるなどの働きも ある。そのため、うつ状態に陥ったり、冷えのぼせなどの症状を伴うことが多い。一般的に、出産経験の有無は、更 年期の開始時期を早めるなどの影響を及ぼさない。 「プレ更年期」世代の 2 つのホルモン量はそれほど減らないという。働く女性が増え、晩婚化が進み、出産年齢も高 くなった。子育て、家庭、仕事と多くのことを抱えるのが「プレ更年期」世代。育児も女性の社会進出も、社会の理 解や支援が進んでいるとはいえず、プレッシャーにもさらされる。 本庄教授は「ストレスやホルモンのバランスの崩れが影響しているのでしょう」と見る。 月経量過多は子宮筋腫、過少出血や冷えのぼせは早発閉経(43 歳未満)などの可能性もある。症状によっては産人科だ けでなく、耳鼻科や整形外科、内科での受診となる。本庄教授は「まずは、規則的な睡眠やバランスの良い食事を楽 しむこと。1 日 30 種以上の食品を少し控えめの腹 7 分目を心がけて、軽い散歩で気分転換したり、趣味や友人との会 話を楽しむように」とアドバイスする。 B0004 プレ更年期.doc 1/2 ストレスためずリラックス大事 プレ更年期症状で悩む人の中には、漢方薬や鍼灸などの治療を受ける人も多い。高雄病院(右京区)の江部洋一郎院長 に、漢方医学の視点から話を聞いた。 江部院長は「そうした症状は、最近のものではない」と断った上で、生涯にわたっての月経量の変化が背景にあるの ではないか、と指摘する。江戸時代と現代の女性とを比べてみると、初潮から閉経までの期間や妊娠回数は、現代の ほうがおおむね、長く少ない。 「妊娠せずに生理が 50 年間続くとすると延べ 600 回と昔と比べてはるかに多い。回数 が多く体に負担がかかり、生物学的には内膜症などが発生する可能性が高い」 。 さらに漢方医学の観点から▽生命を維持するエネルギー「気」を体内に出し入れする際、コントロールを担う門番的 かく 存在「膈」の調節がうまく働かない▽思考活動や血の循環などを担当する「陽」と、体力を蓄えるなどする「陰」と のバランスが極端に崩れるーことから、冷えや生理痛、軽いうつ症状に悩む人が多いと説明する。 「地球温暖化やストレスも影響している。本来は、季節によって異なる日の入り、日の出に合わせて寝起きし、生活 するのが良い。漢方や鍼灸治療を活用しながら、夜に頭や目を使う作業をせず、リラックスすることが大事」とアド バイス。日常できる冷え対策として、体を冷やす作用のある果物や野菜、冷たい飲み物を控えたり、スカートよりも パンツを選ぶことなどが有効という。 ひざ、ひじ下冷やさぬよう ツボマッサージも有効 肩や首をもんだりほぐしたり、目が疲れたときにこめかみを押したりすると気持ちよくなることがある。無意識のうちにして いるツボ押し。仏眼鍼灸理療学校(東山区)の臨床主任濱中亜希子さんに、手軽にできるツボマッサージを尋ねた。 濱中さんも、5、6 年前から生理不順や冷えの症状を訴える 30 代前半の女性とよく出会うようになった。そうしたとき、普段 の心がけとして「ひざ下やひじ下はツボが多いので夏場もむき出しにせず、7 分袖にするなど温めてほしい」とアドバイスし ている。 冷えやホルモンバランスを整える三陰交を指で加減しながら、気持ちいい強さを探し、左右各 10 回ほどを 1 日 1~2 回刺 激するとよいという。力まかせに押しすぎないように。 日常生活を規則正しく 取材を通して見えてきたのは「体の声」に耳を傾け、日常生活を規則正しく送ることの大切さ。 私も「プレ更年期」世代。取材で出会った人から聞いた日々の工夫を参考に、できそうなことから 取り入れてみたい。 ●一駅分を歩いたり、ワンフロア分を階段で ●できるだけ毎日基礎体温を図る ●症状に合わせて西洋医学と東洋医学(漢方や鍼灸)の両方で受診 ●夏もシャワーで済ませず、肩までつかってゆっくり入浴 ●飲み物は常温のものを選び、体を冷やさない 今回、プレ更年期の克服法を読んでいて、昨年、アンチエイジングの取材をした時のことを思い出しました。 研究者の第一声は「病は気から、老化も気から亅。無理な運動はストレスになるので、散歩やストレッチ体操など 軽めの運動を心がける、ということから始まって、十分な睡眠、食事は腹 7、8 分目、周囲との円滑なコミュニケーシ ョンーなどの老化予防策を聞きました。美容に気を配ることも老化予防につながるそうです。 B0004 プレ更年期.doc 2/2
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