[成果情報名] りんどうの有望ニュータイプF 1品種「山園G10号」 [要 約

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内容を確認し、それに基づいて農薬を使用してください。また、成果情報によっては、その後変更・廃止
されたものがありますのでご注意ください。
[成果情報名] りんどうの有望ニュータイプF1品種「山園G10号」
[要
約]
りんどう有望F1品種「山園G10号」は、濃い青紫色の花色、収穫期は8月上旬~9月上
旬、草姿は従来にないスプレー形、葉はコンパクトで、収量は市販品種と同程度確保できる。アレン
ジに使えるなど洋花需要も見込め、生産者、流通・販売関係者からの評価が高い。
[部
署] 山形県農業総合研究センター農業生産技術試験場
バイオ育種科・野菜花き研究科
山形県最上総合支庁産業経済部農業技術普及課・産地研究室
[連 絡
先]
[成 果 区 分]
TEL 0237-84-4125、0233-22-2201
普
[キーワード] りんどう、F1品種、山園G10号
------------------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい]
中山間地域におけるりんどう生産の活性化を図るため、県オリジナル品種を開発する。
[成果の内容・特徴]
1.育成経過
(1)種子親は在来種で場内固定系統「308」、花粉親は外国種の「334」である。
(2)平成13年交配、平成16年選抜、平成17年に「山園G10号」の系統番号で現地適応性試験に供試し
た。
2.特性概要
(1)花色は濃い青紫色である(図1、表1)。
(2)収穫期は8月上旬~9月上旬となる(表1)。
(3)草姿はスプレー形で側枝数8~14本、葉はコンパクトで、切り
花長は60~90㎝に幅広く分布し、切り花重はやや軽く、大きすぎ
ず全体のバランスに優れる(表1、図1)。
(4)収量は市販品種「ブルーハイジ」と同程度の20,000本/10aを確
保できる(表2)。
(5)小売商は花色、草姿についての評価が高い。また、アレンジ適
応性が高い評価もあり、洋花的需要も見込める。
現地調査圃生産者、卸売市場担当者は草姿、花冠展開について
の評価が高い(表3)。
図1
「山園G10号」外観
[成果の活用面・留意点]
1.平成18年度県園芸作物奨励品種決定調査事業で有望と評価され、県の有望品種に編入される予定で
ある。
2.関連する成果
平成16年度成果情報「りんどう新規形質F1品種「山園G9号」「山園G10号」「山園G11号」の特
性」(政)。
[具体的なデータ]
表1 定植2年次の開花、切り花特性z
試験場所
収穫期 側枝数 着花 開花順序
花色
切花長 切花重
葉
(日本園芸植物標準色票)
始期
終期
段数
長さ 幅
(月日) (月日)
(本) (段)
(㎝)
(g) (㎝) (㎝)
88.6
55.1 6.7 1.6
農生産技試
8月6日 9月2日
14.3 7.8 頂部・下部 8005(鮮青紫)と8006(濃青紫)の縞
-
76.0
45.1 8.2 2.2
上山市
8月10日 8月28日
8.3 8.2 頂部・下部
尾花沢市
8月10日 8月28日
11.2 7.6 中部・下部
-
80.9
49.8 7.4 2.2
一斉
(盛期8月16日)
-
78.0
51.0 8.7 2.5
最総支農技普課産地研
10.9 7.5
114.2
80.8 9.2 3.0
場内ブルーハイジ(対照)
8月21日 9月4日
8.3 9.0 頂部・下部 鮮青紫(8005)と灰黄緑(3112)の縞
z:農生産技試内は30株平均、上山市、尾花沢市、最総支農技普課産地研は20株平均
表2 定植2年次の開花別収量z
試験場所
階級別収量 株当たり 10a当たり 日持ち性y
調査y
株数 切花長 50~59㎝ 60~69㎝ 70~79㎝ 80~89㎝ 90㎝~
合計
収量 換算収量
(株) 花段数 3段以上 3段以上 4段以上 5段以上 5段以上
(本/株) (本/10a)
(日)
農生産技試
50 収量(本)
25
47
61
45
50
228
4.6
35,076
13
割合(%)
11.0
20.6
26.8
19.7
21.9 100.0
上山市
20 収量(本)
5
11
18
13
9
56 2.8
20,740
-
割合(%)
8.9
19.6
32.1
23.2
16.1 100.0
尾花沢市
20 収量(本)
1
24
35
30
10
100
5.0
37,035
-
割合(%)
1.0
24.0
35.0
30.0
10.0 100.0
5
17
17
7
10 56.0
2.8
20,740
-
最総支農技普課産地研 20 収量(本)
割合(%)
8.9
30.4
30.4
12.5
17.9 100.0
場内ブルーハイジ(対照)
50 収量(本)
0
8
15
6
130
159
3.2
24,461
7
割合(%)
0.0
5.0
9.4
3.8
81.8 100.0
z:株当たり2本残し、y:栽植した株のうち欠株を含む株数
y:切花日から花冠数の1/3が脱色、萎凋するまでの日数、8月26日切花収穫後 恒温室内温度25℃、日長24時間、光強度7.5μmol/㎡/s
条件下で水生け調査
表3 切り花の商品性、生産性等に関するコメント(聞き取り)
聞き取り対象者
内容
寒河江市内花き小売商
山形市A卸売市場担当者
山形市B卸売市場担当者
上山市調査圃生産者
尾花沢市調査圃生産者
これもまたきれい。短くても側枝が欲しい。これもまた大丈夫。
7~12月まで長期的に欲しい草姿。スプレー形でピンクの花色も期待。
花冠が展開し、市場内で小売商が興味を示した。アレンジ適応性高い。
低収量で短いが、草姿が面白く、花冠展開し良い。別の開花時期も期待。
開花時期の違う株も見られるが、栽培管理面では特に問題ない。
【栽培概要】播種:平成17年4月23日 200穴セルトレー使用、定植:同年6月末~7月上旬
・農業生産技術試験場、最上産地研:うね幅130cm、株間20cm、条間30cm、2条植え
・上山市:うね幅150cm、株間18cm、条間35cm、2条植え
・尾花沢市:うね幅150cm、株間18cm、条間28cm、2条植え
各栽培地とも芽整理は仕立本数7本/株、収穫は残茎2本/株を目安に実施。
[その他]
研究課題名:りんどうオリジナル優良品種の開発、園芸作物奨励品種決定調査
予算区分
:県単
研究期間
:平成18年度(平成13~18年度)
研究担当者:西村林太郎・工藤則子・佐藤武義・星川孝子
発表論文等:なし