山形県農業賞・林業賞・水産業賞 ベストアグリ賞・エコエリアやまがた

山形県農業賞・林業賞・水産業賞
ベストアグリ賞・エコエリアやまがた推進コンクールについて
大高根農場記念山形県農業賞
大正 9 年、山形県自治講習所に設置された「大高根農場」が、昭和 34 年に自衛
隊用地として国に譲渡された土地代金の一部を基金とし、本県農業の振興発展に寄
与した者を表彰したのが始まりとなっている。昭和 55 年からは、県の表彰規則に
よる県知事賞として表彰している。
本県農業の振興発展に尽した功績が顕著で、かつ、他の模範とされる農業者、農
業団体等を表彰し、もって本県農業の振興発展に寄与することを目的とする。
(昭和 34 年以来、平成 26 年までの受賞者は、個人 154 名、8 団体)
川村造林記念山形県林業賞
本賞は、本県の第 23 代知事川村貞四郎氏が県に寄贈された山林を基金として、
本県の民有林林業の振興発展に貢献した個人、又は団体を表彰するため、昭和 39
年に創設された。
本県の林業・木材産業及び山村の振興において、積極的かつ計画的な活動等に
より、他の模範となる功績のあった個人、又は団体を表彰し、もって本県民有林
林業の振興に寄与することを目的とする。
(昭和 40 年以来、平成 26 年までの受賞者は、個人 53 名、46 団体)
山形県水産業賞
長年に亘り水産業に精励し、経営改善や水産物の付加価値向上、技術開発等に功
績があった者や団体、10 年以上水産業関係団体の指導的立場にあり、他の水産業者
の模範となる功績があった者や団体を表彰する。
本県水産業の発展について顕著な功績のあった者(個人又は団体)を表彰し、も
って本県水産業の振興に寄与することを目的とする。
(昭和 54 年以来、平成 26 年までの受賞者は、個人 38 名、2 団体)
山形県ベストアグリ賞
山形県優秀農家発表会(昭和 47 年~昭和 56 年)、山形県農業者実践成果発表会
(昭和 57 年~平成 3 年)を拡大継承して平成4年度に創設された。
地域の環境を活かし優れた経営等を実践している先駆的な農業者等を表彰し、そ
の取り組みを県内に広く紹介し普及することで、本県農業の振興・発展を図ること
を目的とする。
特に優秀と認められた上位2名の受賞者には、「農林水産大臣賞」及び「東北農
政局長賞」が授与される。
(昭和 47 年以来、平成 26 年度までの受賞者数は個人・団体合わせて 400 名)
エコエリアやまがた推進コンクール
当コンクールは、県が推進している「全県エコエリア構想」を加速するため、
平成 18 年度から実施しているもので、今回が9回目となる。
環境と調和した自然共生型農業の確立を目指して経営や技術の改善に意欲的に
取り組み、その普及・拡大に貢献した農業者や団体等を表彰し、広く紹介するこ
とにより、環境保全と農業に対する県民理解を深め、環境保全型農業の拡大によ
る地域活性化を図る取組みである。
特に貢献していると認められた上位の者には、「最優秀賞(山形県知事賞)」及
び「優秀賞(山形県農業協同組合中央会長賞)」が授与される。
(平成 18 年度以来、平成 26 年度までの受賞者数は 34 団体2個人)
平成 26年度 受賞者の概要(敬称略)
大高根農場記念山形県農業賞
いざわ
じゅういち
(1) 井澤 壽一
朝日町
・ 昭和 42 年から農業に従事。
・ 価格低迷期こそ食味重視と考え、食味の良い「無袋ふじ」の栽培に取り組み、
生産者を組織し、JA等とともに、科学的な視点で栽培適地を判定するための
土壌分析や樹相診断等により栽培を普及し、「はれふじ」としてブランドを確
立した。
・ 平成6年に、JA嘱託指導士に任命され、講習会の講師として剪定技術をはじ
め、着果や着色管理技術の指導を行った。
・ 本県育成の新品種の普及には中核的役割を担っており、特に「秋陽」導入を主
体的に推進し、その後育成された「ファーストレディ」では、栽培実証農家と
していち早く導入を支援し、県内の栽培者で組織する「ファーストレディ」研
究会の会長として、一元集出荷や市場・実需者へのPR活動を主体的に実施し
てきた。平成 16 年のりんご組合長時には、台湾・タイ等4か国に輸出する「攻
めの農業」を実践するなど、朝日町のりんご産地の発展、りんご産業の振興及
び本県で育成したりんご品種の普及等に貢献した。
たか は し
え い き
(2) 髙橋 榮基
東根市
・ 昭和 35 年から農業に従事。
・ 東根市農業協同組合の代表理事組合長として、大きな課題であった市内農協の
合併実現に向け奔走し、各方面の関係者の協力を仰ぎながら、平成 21 年に合併
し、一市一農協を実現した。
・ これまで複数の農協があることで出荷量や取引先が分散化していたところ、合
併により、県内一の果樹生産地「東根」の統一ブランド化が図られ、消費者の
知名度や市場での評価が上がり、収益増加に結びつくなど競争力強化と販売増
が期待されることとなったことから、行政と一体となって「果樹王国ひがしね」
のPRを図るためトップセールスを展開し、全国的なブランド確立に向けて尽
力した。
・ 平成 15 年に設立された東根市農業協同組合で初めての生産者による直売所「よ
ってけポポラ」の販売力を強化するため、売り場面積拡張工事を実施した。結
果、平成 24 年度には販売高で開設当初の約7倍、出荷会員数2倍と、市内の農
業振興と農家収入の確保、経営への意欲を引き出すことに大きく貢献した。
やまぐち
か ず し
(3) 山口 和志
上山市
上山市
・ 昭和 46 年から牛肉の流通加工業に従事。
・ 平成7年4月、山形牛の販売拡大と購買者誘致を積極的に推進するため、「山
形牛枝肉市場購買者会」を設立し、初代会長として市場の活性化と円滑な市場
運営に尽力した。具体的には、山形牛の肉質改善と流通合理化のため、本格的
に生体市場から枝肉市場への転換を図るとともに、平成 20 年4月からは、手セ
リから電子セリシステムへ移行するなど効率化・明確化を図った。
・ 株式会社蔵王ミート代表取締役としては、牛枝肉市場で約3割を継続的に購買
することによる山形牛ブランド確立や、県外への販売を通じた山形牛のPRに
大きく貢献した。
・ 飼料用米にいち早く着目し、生産者団体のさがえ西村山農業協同組合とともに、
「もち米牛」のブランド形成と生産拡大にも大きく貢献した。
・ 畜産加工分野については、会社設立当初から取り組み、培われた技術と経験は、
県畜産の6次産業化の推進における先導的役割を果たした。
わたらい
ひろ ゆき
(4) 渡會 裕之
遊佐町
・ 昭和 37 年から農業に従事。
・ 前山形県農業共済組合連合会会長理事。「災害補償は共済団体に与えられた使
命」との考えのもとに、これまで災害による損害を8割まで補償する方式を採
用していた区域に対し、手厚い補償が得られるよう、9割まで補償する方式へ
の移行を積極的に推進し、より有利な損害補てんの仕組みと安心を組合員に提
供した。
・ 従来の引受方式は、規定の金額をベースにした補償であったが、新たに推進し
た引受方式は、JAへの出荷データに基づき客観的に損害額を認定する方式で
あるため、被害の実態に即した損害額の認定が可能となった。
・ 山形県農業共済組合連合会長として、一県一組合に向けて、県内三つの組合及
び連合会役員で構成する組織運営効率化研究委員会を設立し、合併の必要性を
訴え理解の醸成に努め、「将来に向け安定的な事業を提供するためには、一組
合化が望ましい。」との基本方針を取りまとめた。更に、特定組合設立推進協
議会を設置し、各農業共済組合間の意見調整と、合意形成に熱意を持って取り
組んだ。
(5) 月山ワイン山ぶどう
月山ワイン山ぶどう研究所
ぶどう研究所
鶴岡市
・ 標高が高く大部分が山岳地帯の旧朝日村地区における基幹生産物を模索して、
身近な山ぶどうによるワインづくりとその生産拡大に向け地域をあげて取り組
み、昭和 47 年にはワイン試験醸造を行い、昭和 54 年にはワイン工場を建設し、
期限付き醸造免許を取得した。
・ ワインとしての評価を得るためには、醸造用品種の原料確保のための作付けが
不可欠であるため、平成6年に「セイベル 9110」、平成9年に「山ソービニオ
ン」、従来から櫛引地区に栽培されている栽培北限の「甲州」などの原料確保
のための生産振興を行った。また、100%管内生産原料にこだわったワイン製造
に取り組み、生産したワインは、各種ワインコンクールにおいて数々の受賞を
重ねた。
・ 原料のぶどうの買入価格については、年毎の作柄に拘らずほぼ一定かつ高水準
に設定することにより、生産農家の生産意欲の向上と作付面積の拡大に結び付
けるとともに、生産農家の安定的な所得の確保に貢献した。
(6)
(6) 新庄市農業協同組合 女性部
・
・
・
・
新庄市
昭和 60 年頃から、女性部活動の一環として講習会を開催し、自家消費していた
ものを商品化に結びつけるなど、県内の6次産業化の草分け的存在。
焼き肉のたれ、紫蘇ジュース、紫蘇エキスなどを製造しているが、これらは原
材料としてグループ員が持ち寄った地場産野菜などを使用し、1本1本が手作
りで無添加にこだわって製造されている。これらの製品は、地元産直施設や新
庄駅交流施設、山形県アンテナショップおいしい山形プラザなどで取り扱われ
るなど息の長い製品となっている。
長期間にわたり、講習会・研修会を開催しながら人材育成を継続しており、こ
れらの加工食品の製造などの継続や、その他の6次産業化を推進した。
これらの活動は、県内の模範事例として、県内6次産業化の推進に多大な影響
を与えた。
川村造林記念山形県林業賞
あ ら き
と し お
(1) 荒木 俊男
西川町
・ 昭和 32 年から本県の森林造成や木材利用の推進に携わり、平成 20 年に西村山
地方森林組合の代表理事組合長に就任し、従来の森林整備を主眼とした経営か
ら、木材供給と森林整備のバランスのとれた経営への転換を目指し、高性能林
業機械の導入や林内路網の整備、林産事業班の育成等による素材生産体制の強
化に積極的に取り組むなど、村山地域の林業振興に尽力した。
・ 森林組合、製材業者、工務店、設計士等、川上から川下までの関係者で構成す
る「大江町美しい森林づくり協議会」の組織づくりを進め、現在、その会長を
務めながら、西山杉製品の首都圏への出荷、西山杉材を使用した大江町型住宅
のPR等を推進するなど、西山杉のブランド化と利用拡大の取組みを牽引した。
・ 緑の少年団活動の指導や西山杉材の木工体験、植菌体験を通じた原木きのこの
PRなど、森林の総合利用や環境教育にも取り組んだ。
か と う
ぜん じ ろ う
(2) 加藤 善次郎
南陽市
・ 林業の実践を通して卓越した林業技術を有し、昭和 56 年に県林業士の認定を受
け、後輩林業士を始め、県・市町村・森林組合等の職員を対象とする間伐選木
講習会の講師を務めるなど、林業技術の普及と後継者育成に尽力された。平成
24 年には、県内外の関係者から要望を受け、除間伐の選木技術書を山形県森林
協会から発刊するなど、県域を越えた林業技術の普及と健全な森づくりの推進
に大きく貢献した。
・ スギ優良大径木生産を目指した計画的な間伐や天然林整備に取り組むなど、模
範となる林業経営を実践するとともに、地域の森林所有者への助言、管理放棄
の恐れのある地元不在所有者への森づくりの働きかけ等に積極的に取り組み、
森づくりのリーダーとして大きな役割を果たし、地域林業を牽引した。
・ 地域の緑の少年団活動への指導など森林環境教育の推進に尽力した。
山形県水産業賞
さ と う
とさいもん
(1) 佐藤 富齋門
鶴岡市
・ 平成 17 年に山形県漁業協同組合代表理事組合長に就任と同時に人事刷新を含め
た組織改革を実施した。また、買取販売未収金事故、韓国籍貨物船によるコン
テナ沈下事故等諸問題の解決に尽力し、持ち前のリーダーシップにより組合の
経営改善、ひいては本県水産業の振興、発展に貢献した。
・ 関係団体の圏域を越えた合併による組織改革にいち早く乗りだし、将来を見据
えた組織統合を実現させ、体質強化に貢献した。
・ 外国人漁業研修生の受入導入を試験的に始め、若者定着の機会を増大させる取
組みとして事業化に貢献した。
も が み がわ だ い に ぎょぎょうきょうどう く み あ い
(2)
最上川第二漁業協同組合
河北町
・ 昭和 24 年法人設立後、コイやアユの放流種苗生産事業を早くから実施し、積極
的に放流事業に取り組んでおり、本県内水面漁業の中核を担っている。
・ 県下組合に先駆け、コイの飼育池を利用しておとりアユの生産を開始し、技術
開発に努めた。その後、中間育成試験を開始し、アユの放流事業の主導的役割
を果たしている。
・ 全国に先駆けて大井沢地区にキャッチアンドリリース区間を設けるなど、水産
資源の保護と遊漁の両立を図り、地域振興に貢献している。
・ 国の事業である水産多面的機能発揮対策事業にいち早く乗りだし最上川及び寒
河江川において河川清掃活動を行い、水産業の再生・活性化に貢献している。
農林水産大臣賞・山形県ベストアグリ賞
のうじょう
(1) 農事組合法人 ひまわり農場
ひまわり農場
真室川町
・ 当組織の前身は、平成6年に真室川町塩根川集落を中心とした水稲作業受託集
団として結成された。その後、平成 19 年に最上地域で初めて、水稲・大豆を中
心とした集落営農の担い手として「特定農業団体」に認定され、平成 22 年2月
に法人化した。
・ 山間地で、区画の小さい田がほとんどという条件にありながら、ひまわり農場
が地区の 90%以上の圃場を管理しているため、同地区には耕作放棄地がない。
標高差を生かした作業体系で、平坦部も含め他地域の飼料用米、大豆等の転作
も請け負い、真室川町全域の農地の受け皿組織として活動している。
・ 真室川町(農協)の耕畜連携システムの中で、耕種農家の中心的組織として飼
料用米を栽培し、さらに牧草、稲わら・もみ殻を畜産農家に供給している。畜
産農家は安全・安心な国産濃厚飼料を利用でき、また、家畜の管理に集中する
ことができる。生産された堆肥は、ひまわり農場の圃場等に還元され、作物の
栽培に活用されている。
・ 農業大学校や地元高等学校、中学校の農業後継者等の研修受け入れを積極的に
行っている。また、地域から従業員を雇い入れ、雇用創出に貢献している。
東北農政局長賞・山形県ベストアグリ賞
くろ
さと そ しりょう
わ ぎ ゅ う せいさん
(1) 黒べこの郷
べこの郷粗飼料・和牛生産組合
・
・
・
・
・
川西町
当組合は、平成19年、ベテランの肥育農家、新規就農者、20代の後継者など、
多彩な面々が集まり組織された。牧草収穫・稲わら収集作業の共同化や、後継
者の育成、互いの飼養管理技術や経営技術について研鑽している。
ベテランの2名は肥育に専念し、若手の3名が繁殖中心の経営を行い、生産し
た子牛を地域に供給する地域内一貫体制を確立し、新たな「米沢牛」生産基地
を形成した。
全国の実需者・購買者から積極的に流通情報を収集し共有するほか、繁殖牛・
肥育素牛の導入時には県から提供される和牛の遺伝的能力に関する情報を参考
にし、地域の優良な肉用牛遺伝資源の確保に努めている。
地域の幼稚園や小学校児童の体験学習を積極的に受け入れているほか、学校給
食用の牛肉や学習用畑の堆肥を提供する等、地域に密着した活動を行っている。
畜産団地で生産された良質な堆肥は町内の耕種農家等へ提供され、町内での資
源循環型農業の推進に貢献している。
山形県ベストアグリ賞
やまのべ
えふえふ
(1) 農事組合法人 山辺アグリ F F
山辺町
・ 当法人は、主食用米の生産・販売と、水田転作作物として飼料用米の生産・販
売を行い、水田フル活用を実行し、町の水田農業を牽引している。
・ 主食用米は、消費者に高く評価される米づくりをモットーとして、食味を最重
視した米づくりを実践している。生産にあたっては、組合員の栽培技術の高位
平準化を図るため、栽培ごよみを作成し、
「山辺アグリFF流米」として均一な
品質を確保している。販売は独自に売り先を開拓し、卸売業者や小売業者との
交流をとおして、安定した取引につなげている。
・ 飼料用米は、山辺町飼料用米プロジェクトの取組みの柱として、地元産豚に給
与され、
「舞米豚」としてブランド化が図られている。また、豚糞から作られた
堆肥は飼料用米生産圃場へ還元され、耕畜連携による循環型農業を確立してい
る。
にしむらやま か ぼ く ぶ か い
はん
(2) さがえ西村山
さがえ西村山花木部会(スノーボール班
(スノーボール班)
寒河江市・河北町・大江町・朝日町・西川町
・ 当組織は、スノーボール生産者 33 名で精力的に活動しており、平成 13 年に1戸の
農家が出荷を始めたスノーボールを、わずか十数年で販売額日本一の産地に築き上
げた。
・ 促成技術(ポット栽培株を使った 12~2 月出荷、加温による 2~3 月出荷、無加温
による 4 月出荷等)や高冷地の活用による 6 月出荷により、12 月下旬~6 月下旬ま
で約半年の長期出荷ができる他に例のない産地となり、市場での有利性を確立して
いる。
・ 花芽着生向上対策として、農業技術普及課と連携しながら適正な仕立て本数や剪定
時期などを解明し、それを指標とした収穫後の切り戻しや間引きを適切に行い、安
定した出荷量を維持している。
み う ら
やすひこ
(3) 三浦 康彦
村山市
・ 就農以来、経営の安定を図るため、ハウス野菜や果樹を導入し、新たな経営基
盤を整備した。特に、ハウス野菜については、地域の仲間に呼びかけ、夏秋ト
マト栽培に取組み、養液土耕栽培を導入し、高品質なトマト産地の牽引役とな
った。その後、冬場のたらの芽も導入し、家族労力を有効活用した周年農業を
確立した。
・ 夏秋トマト栽培については、土づくりを基本とし、部会全員がエコファーマー
を取得する等、環境に配慮した栽培を実践している。
・ 耕作放棄地の解消や水田の借入等、地域農業の維持・発展に貢献するとともに、
農業大学校学生の体験学習を受け入れる等、後継者の育成に尽力している。
おおたに
けんいち
(4) 大谷 健一
小国町
・ 豪雪地帯である小国町で、水稲と施設園芸を組み合わせた複合経営を地域に先
駆けて開始し、水稲部門では地域の担い手として離農者の農地を引き受け、園
芸部門では、寒冷地を活かした品目の導入等により、寒冷地のハンデをプラス
に変えている。
・ 8棟の耐雪ハウスで水稲育苗、野菜(メロン、トマト、アスパラ菜、ほうれん
そう、小松菜等)、花き(ストック)を組み合わせた周年栽培を行っている。
・ 野菜を中心に、町内スーパーや道の駅、保育所や老人ホーム、学校給食への供
給を行い、特に冬期間の野菜の貴重な供給元として地産地消に貢献している。
・ 新規就農希望者を研修生として受け入れ、独立就農へとつなげたほか、中学生
の職場体験を受け入れて、農業後継者の育成に力を入れている。
べい
しょうない
(5) 有限会社 米シスト庄内
シスト庄内
庄内町
・ 米の収穫から乾燥調製、販売までを共同化しており、各構成員が会社の栽培基
準により生産した特別栽培米を、検査・精米して出荷している。構成員外から
の受託分を含めると約 100ha の米を扱っている。
・ 法人設立当時、地元の小学生が地域に棲息していた「クロメダカ」の保護活動
を行っていたことから、めだかを環境に配慮した米づくりの象徴として、
「めだ
かのお米」のブランドで、主に県外の飲食店や個人顧客等に販売している。
・ 平成 24 年に 2 人の若手社員が中心となって、米粉 100%のかりんとう「かりんと
ひゃく べい
百 米」を商品化した。この「かりんと百米」は首都圏の百貨店や生協でも販売
され、順調に売上を伸ばしており、加工施設における地域の雇用創出にもつな
がっている。
な
す
じゅんいち
(6) 那須 純 一
遊佐町
・ 昭和 45 年、肥育牛 40 頭で畜産経営を開始し、第1次オイルショックで素牛・
飼料が高騰したことをきっかけに、昭和 49 年、繁殖牛導入による一貫経営に切
り替えた。現在、繁殖牛 42 頭・肥育牛 55 頭の経営に拡大し、繁殖・肥育一貫
経営の先駆的な取組みを地域に波及させている。
・ 平成 12 年、県内ではじめて稲ホールクロップサイレージの生産・粗飼料利用を
開始した。平成 18 年には、一般的に繁殖牛にのみ給餌される稲ホールクロップ
サイレージについて、遅刈りの稲を使用することで肥育牛にも利用できること
を、県畜産試験場との共同研究で明らかにした。
・ 那須氏が生産した堆肥は、生活クラブ生協と連携した特別栽培米生産のため、
稲作農家に安価で販売し、環境保全と資源循環型農業の推進に貢献している。
エコエリアやまがた推進コンクール
最優秀賞(山形県知事賞)
しょうないさんちょく
(1) 庄内産直ネットワーク
鶴岡市
・消費者との産直交流活動を担い、持続可能な環境保全を志向する地域農業を消費
者とともに再構築することを目的として、平成 15 年に設立された。
・有機栽培や有機 JAS 認証のノウハウを持ち消費者と強い結びつきを持つ農事組合
法人と、組織力がありまとまった生産量を確保しやすいJAが連携した取組みで
ある。
・会員農家数 130 名中 31 名が有機農業に取り組んでおり、有機農業技術の確立や有
機農業の団地化等に取り組み、有機栽培の面積を設立当初の約3倍に増やしてい
る。
・生協との連携により、消費者の有機農業に対する理解が醸成され、高価格で安定
した販路が確保でき、経営の安定化が図られている。また、消費者等との交流を
通し、生産者のみならず、消費者の人材育成につなげている。
・田んぼの生きもの調査を地域に広め、環境保全型農業に対する理解を醸成した。
・行政や山形大学等との連携を深め、各市町の有機農業推進協議会の設立、県の技
術展示圃の設置等、地域の有機農業の推進に大きく貢献し、県内における有機米
の主要な産地形成につながっている。
優秀賞(山形県農業協同組合中央会長賞)
もといずみ ち い き の う ち
みず
かんきょう ほ ぜ ん そ し き
(1) 元 泉 地域農地・水・ 環境 保全組織
河北町
・環境保全型農業に取り組んでいる水田にめだかを放流し、地域の子ども達が生き
もの調査や農業体験を行うことで豊かな生態系や田園の自然を体感する「めだか
の学校」の取組みを地域で一体となって実施している。
・生きもの調査の結果、取組み前と比較して田んぼに生息する生きものの種類や数
が増加し、生産者の取組みに対する意欲向上や環境保全意識の高揚につながった。
・地域の主要な転作作物である大豆についても、麦のリビングマルチによる大豆栽
培という新技術に取り組んでいる。また、集団で有機栽培に取り組むことにより、
高品質大豆が量産化でき、高価格で安定した販売につなげている。
・地域外の住民との交流組織である「おやきまき会」を組織し、地域農産物の消費
拡大や食育について取り組んでいる。
・こうした取組み等により、水田周辺の農業者に「環境保全型農業への地域的な理
解と連帯感」が醸成されている。