Uniqueness of the ends, Liouville property and related topics on minimal submanifolds in Euclidean spaces 厚地 淳 慶應義塾大学 経済学部 本報告では、ユークリッド空間内の極小部分多様体の端 (end) の個数と Liouville prop- erty の関係や、その上の関数論に関連した対象に対するいくつかの観察と注意について 述べたいと思う。 0. 記号と設定. 以下のような設定で考える。M は connected, smooth manifold とし、x : M → Rd を properly minimal immersion とする。次の記号を用いる。M には Rd の標準計量から誘 導される計量が入っているとする。簡単のため、o ∈ / x(M ) とする。以降しばしば、M と x(M ) を同一視する。 記号:m = dimR M, r(x) = |x(x)|, ∇φ : M の誘導計量に関するφ の gradient, B(r) = {x ∈ M : |x(x)| < r}, V (r) = B(r) の誘導計量に関する体積, ∆ : 誘導計量から決まる M の Laplacian, Xt : 12 ∆ を生成作用素とするブラウン運動, x⊥ : ベクトル x(x) の 法空間への射影, x : ベクトル x(x) の 接空間への射影. properness より次が従う。 Proposition 1. M は stochastically complete (i.e. X は保存的) である。 1. First observation: massiveness of the ends of M . ユークリッド空間内の 端の個数の有限性については次が知られている。 Proposition 2 (Q.Chen [3]). V (r) = O(rm ) ならば、端の個数は有限. 同様な結果を Tkachev[7] も得ている。 Definition 3 (cf.[5]). E を M の端とする。E が massive とは、M 上の非負優調和関 数 v で v = 1 on E c , inf E v = 0 となるものが存在すること。 1 E が massive であることと、Px (Xt ∈ E, eventually) > 0 (∀x ∈ E) なることとは同 値であることは容易にわかる (cf.[5])。 我々の観察によれば次がわかる。 Theorem 4. m ≥ 3 とする。このとき、M のすべての端は、massive である。 証明は、r(Xt ) を観察することによる。 Definition 5. M が、Liouville 性を持つとは、M 上に非定数有界調和関数が存在しない ことを言う。 Corollary 6. m ≥ 3 ならば、 M の端の個数 ≤ M 上の有界調和関数のなす線形空間の次元. 特に、M が Liouvill 性を持つならば、M の端の個数は高々1個である。 Colding-Minicozzi([4]) によれば、V (r) = O(rm ) ならば、多項式オーダーの増大度を 持つ調和関数のなす線形空間の次元は、(オーダーの次数を決めるごとに) 有限である。 2. Liouville 性と グリーン関数. Liouville 性とグリーン関数の関係については多くの場面で取り上げられている。ここで は、複素部分多様体の場合に、ディリクレ・グリーン関数と Liouville 性の関係について 議論したい。 この節では、z : M → Cn (n ≥ 3, dimC M = k) が properly holomorphic embedding の場合を考える。M に Cn から誘導される計量を考えると、M はこの計量でケーラー多 様体になる。特に、R2n の極小部分多様体である。 竹腰は、複素部分多様体上の調和写像のエネルギーの評価を得て、さらに次の Liouville 型定理を得ている。 Proposition 7 ([6]). ∞ 2k−1 1 t dt = ∞ V (t) ならば、M は Liouville 性を持つ。 我々は、Liouville 性とグリーン関数の挙動の関係を考えてみる。gr (x, y) を B(r) に 於けるディリクレ・グリーン関数とする。参照点 xo ∈ B(ro ) を固定する。gR (r) を 0 ≤ gR (r) ≤ inf x∈∂B(r) g(xo , x) (r > ro ) を満たす単調減少関数とする。竹腰の定理の系とし て、次が直ちにわかる。 Corollary 8. ∞ g2r (r)r2k−3 dr = ∞ 1 ならば、M は Liouville 性を持つ。特にこのとき、端は 1 個である。 2 また、簡単な計算により、次もわかる。 Proposition 9. R lim R→∞ ro −gR (r)r2(k−1) dr = ∞ ならば、M は 非定数多重劣調和関数を持たない。 グリーン関数が ユークリッド的な場合、すなわち、gR (r) ∼ const.(r2−2k − R2−2k ) の とき、上のいずれの条件も満たされる。また、このとき、M は代数的であることがわか る。逆に、M が 代数的超曲面ならば、上の条件を満たすこともわかる (次節参照). 3. グリーン関数の評価. 再び、Rd の極小部分多様体に戻って、グリーン関数の評価 (すなわち、gR (r)) を見て みる。次のような仮定をおく。 リプシッツ関数 ci (r) (i = 1, 2) on [0, ∞) と δ > 0 が存在して、 c2 (r) ≤ を満たす。 bi (r) = |x⊥ |2 ≤ c1 (r) |x |2 on ∂B(r) (r ≥ δ > 0) d−1 d + ci (r), si (x) = 2r 2r x y exp(− c 2bi (z)dz)dy c とおく。 Proposition 10. 定数 c = c(x0 ), c = c (x0 ) > 0, R0 > 0 が存在して、 c(s1 (R) − s1 (r(x))) ≤ gR (xo , x) ≤ c (s2 (R) − s2 (r(x))) (R ≥ r(x) ≥ R0 > r(xo )) が成立する。 Corollary 11. ∞ 1 c1 (t) dt < ∞, t ならば、gR (xo , x) は、ユークリッド的である。すなわち、 c log R R ≤ gR (xo , x) ≤ c log r(x) r(x) (m = 2), c(r(x)2−m − R2−m ) ≤ gR (xo , x) ≤ c (r(x)2−m − R2−m ) (m ≥ 3) for R ≥ r(x) ≥ R0 . 3 例. M → Cn が、無限遠で非特異な代数的超曲面とすると、c1 (r) = const./r2 ととる ことができる。すなわち、 ∞ c1 (t) dt t 1 < ∞ を満たす。 4. M 上の有理形関数の除外点の個数. この節では、M を複素部分多様体とする。M が Liouville 性を持てば、当然、M 上 には非定数有界正則関数は存在しない。はるかに強く、次の Casorati-Weierstrass の定理 が成立する。 Proposition 12 ([2]). M が Liouville 性を持つならば、M 上の非定数有理形関数は対 数容量正の集合を除外しない。 したがって、有理形関数に関しては、我々の関心はより詳細な値分布の問題にある。 References [1] A. Atsuji, A second main theorem of Nevanlinna theory for meromorphic functions on complex submanifolds in Cn . submitted. [2] A. Atsuji, A Casorati-Weierstrass theorem for holomorphic maps and invariant σfields of homomorphic diffusions. Bull. sci. math. 123(1999), 371-383. [3] Qing Chen, On the volume growth and the topology of complete minimal submanifolds of a Euclidean space. Jour. Math. Sci. Univ. Tokyo 2(1995), No. 3, 657-669. [4] T. H. Colding and W. P. Minicozzi II, Liouville theorems for harmonic sections and applications. Comm. Pure Appl. Math. 52 (1998) 113-138. [5] Alexander Grigor’yan, Analytic and geometric background of recurrence and nonexplosion of the Brownian motion on Riemannian manifolds. Bull. Amer. Math. Soc. (N.S.) 36 (1999), no. 2, 135–249. [6] Kensho Takegoshi, Energy estimates and Liouville theorems for harmonic maps Ann. Sci. Ecole Norm. Sup. 23(1994) no.4, 563-592. [7] V. G. Tkachev, Finiteness of the number of ends of minimal submanifolds in euclidean space. manuscripta math. 82(1994), 313-330. 4
© Copyright 2024 ExpyDoc