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『望ましい死』を援助する為に
~患者・家族・医療関係者ができること~
須田医院
須田 道雄
平成22年9月12日 仁摩まちづくりセンター 一部改
1
日本の65歳以上人口 国際比較
高齢者の
高齢者の不明者を
不明者を差し引いても世界一
いても世界一
大田市の65歳以上高齢化率は世界一?
(%)
医療モデルを地域で新しく作ることが必要
3
世代間・地域間の理念と想いのギャップを埋める
必要な医療の形
食事内容の違い
見られる自己
高齢者
の思い
地域間ギャップ
地域間ギャップ
を埋める
若者の
考えや
思い
世代間
のギャップ
を埋める
4
社会情勢は死の価値感を変える
昭和18年
昭和 年に撮影された
撮影された写真
された写真
学徒出陣
学徒出陣(
出陣(第二次世界大戦中
兵力不足
歳以上
兵力不足を
不足を補う為、20歳
を徴兵した
徴兵した年
した年)。
日本の
日本の戦争勝利に
戦争勝利に身を投げ
出して貢献
して貢献をした
貢献をした兵士
をした兵士と
兵士と
家族を
家族を名誉家族
名誉家族と
家族と称えた。
えた。
戦争に
戦争に突入した
突入した社会
した社会では
社会では
国の為に身をささげること
ささげること
が名誉。
名誉。
5
なのはなタクシー 野木 殿 提供
三人に一人ががんで死亡
日本での疾患別死亡者数
死亡者全体の
死亡者全体の
30%以上
以上が
以上が癌
6
(厚生労働省人口動態統計より)
部位別がん死亡率
肺癌がトップ
肺癌がトップ
女性も
女性も肺癌
結腸
前立腺癌
結腸
乳癌
7
当院のがん内訳
癌の早期発見・
早期発見・早期治療 症状がひどくなる
症状がひどくなる前
がひどくなる前に
低体重
糖尿病
頻尿 排尿困難
PSA高値
高値
しこり
須田医院通院中(
月~) 癌を診断された
須田医院通院中(平成20年
平成 年4月
診断された人数
された人数:
人数:手術後を
手術後を含む
8
緩和ケアの定義
生命を脅かす疾患に伴う問題に直面する患者
と家族に対して、疼痛や身体的、心理社会的、
スピリチュアルな問題を早期から正確にアセス
メントし解決することにより、苦痛の予防と軽減
を図り、生活の質を向上させるためのアプロー
チである。
WHO 2002年
患者の心理社会的・スピリチュアルな問題をわからな
ければ正確なアセスメントはできない。
9
死亡の場所別にみた死亡数
-自宅で
自宅での死亡者は
死亡者は年々減少-
年々減少-
病院が
病院が死に場所として
場所として良
いと考えざるを得
えざるを得ない状況
ない状況
として良いと考
病院
90%
%が病院死
自宅
10
(人数)
人数)
高齢者を支える力を支える必要
(%/人
人)
在宅医療が
が困難
在宅医療
11
リフレーミングが未来を変える
『よいこととわるいことというのは存在
よいこととわるいことというのは存在しない
存在しない。
しない。
思考がそれらを
思考がそれらを作
がそれらを作り出すのだ』
すのだ』シェークスピア
状況は
状況は変えられなくとも思考
えられなくとも思考は
思考は変えられる。
えられる。
・頑固 ⇔ 信念がある
信念がある ・消極的 ⇔ 慎重
・元気がない
元気がない ⇔ 充電中・
充電中・暗い⇔ものしずか
・意思が
意思が弱い ⇔ 相手の
相手の意見を
意見を尊重する
尊重する
・高齢化が
高齢化が進む ⇔ 経験の
経験の豊富な
豊富な方が増す
・若い人が減る ⇔ 若い人の意見が
意見が貴重になる
貴重になる
・外科・
外科・整形外科不在⇔
整形外科不在⇔健康管理意識が
健康管理意識が高まる
12
疾病利得を考える
認知症の夫の介護を1人で施行していた妻
頭痛・食欲不振で受診されました。
⇒普段から、懸命に夫の介護を周囲に不満の一つも漏らさず
に、一人で続けられてきた方でした。
⇒頭痛や食欲不振が無ければ、倒れていた。頭痛・食欲不振
によって休息する時間がわずかでもとれた。
登校拒否
家族や学校の教師から登校するように言うが登校しない。
⇒学校が面白くないので、家にいた方が良い。いじめられるの
で登校しない。登校拒否を続けることで自分に目をむけてほし
い。
13
肺癌を診断されたら ①
75才の一人暮らしの女性、咳が続く、普段は病院など行ったこ
とはなかったが、診療所を受診。胸部X-Pで影があると医師に
指摘され、大田市立病院で胸部CTを施行したところ、両肺に多
発性転移を認める肺癌が判明。遠方の息子が呼び寄せられ、
手術も化学療法も適応がない事が説明された。普段一緒に生
活していない息子は、しばらくぶりにあった母の病状が末期の
肺癌であると知らされた。(本当に治療法はないのだろうか?
近くの病院は医師不足で頼りないので、他の病院で診てもらえ
ば、違った結果になるのではないか?)セカンドオピニオンとし
て中央病院を紹介されたが結果は同じであった。息子は母が
癌であることを自分から伝えることができないでいた。母は自分
が何か悪い病気でないかとうすうすは気づいていた。母は病院
で治療もできないならば、息子には迷惑をかけてはいけないと
今まで過ごしてきた自宅にいたいと望んだ。②に続く
14
告知することの重要性
否認:癌というのは間違いだ。検査しなければ良かった。
怒り・憤り:どうして自分が癌なんだ。これからどうするんだ。
取り引き:何とかしてくれないか。(セカンドオピニオン)
抑うつ:だめだ どうしようもない。
受容:今まで自分なりに生きてきた人生の過程で色々な苦難を
乗り越えてきた。癌も自分の人生。
希望:私の生き方を家族に伝えたい。家族がいてくれて幸せ。
(キューブラロス)
アメリカでは本人の許可なしに先に家族に癌告知することはでき
ない。アメリカ式が良いとは言えないが、癌の告知なしに加療す
ることは、プライバシーを尊重され権利・尊厳をもって死を迎
える権利を奪うことにもなる。
15
高度な不安を認める人と身体に関心のない人
重症糖尿病患者の心理から
正常
SDS(抑うつ)とSTAI(特性不安)
看取ることは精神的な部分を共有すること
S T A I ( 点 数 )
80
低血糖不安
一人暮らしの
一人暮らしの不安
らしの不安
理解者不足
理解者不足
自信が
自信が持てない
60
40
20
仕事に
仕事に懸命
身体に
身体に関心が
関心が無い
病院に
病院に行かない
0
20
30
仕事でストレス解
消
神経症
うつ病
周囲
のサポート
不足
周囲のサポート
のサポート不足
50 告知
60慎重
70
にも
に対応
告知にも
にも慎重
慎重に
40
SDS (点数)
呼吸困難・疼痛を経て ②
自宅では1日中 咳・胸部痛を訴えた。呼吸困難・酸素濃度低
下を認め、在宅酸素療法を導入した。胸部・背部痛に関しては
、モルヒネを使用して軽減したが完全にはとれなかった。食事
摂取は徐々に困難となった。時に痛みを訴える姿や食事摂取
できないでいる姿をみることが息子には苦痛であった。痛みが
酷いときはモルヒネ液を追加し、誤嚥を防ぐためにトロミ食をス
プーンであげるようにとした。息子は『母親は一寸した症状では
病院には行かず、家族にも心配はかけたくないと、自分の体に
関しては話すことはなかった。』と話された。患者は意識がとう
のいて死をまじかに感じつつ、久しぶりに帰ってきた息子が自
分の口に食事を運んでくれた事に喜びも感じた。その後、経口
摂取は全くできなくなり診療所に相談があった。決して、十分な
栄養にはならないが、往診で点滴加療継続した。
③につづく
17
経過中に遭遇する問題
・食事を与えてもむせる。食べられなくなる。
状態:食べたいとの意思表示ができず、嚥下する力が低下。
患者:死を意識(癌告知)状況がわからない(告知なし)。
家族:今までよく頑張った(癌告知)食べて長生きしてほしい(告知なし)
医師:維持輸液 入院中には高カロリー輸液 経管栄養・胃瘻(×)
医師も家族の気持ちに答えなくてはならないと、高カロリー輸液を選択する事もあ
るが、結果として、患者第一の医療となっているかについては医療全体としても考
えていく必要がある。
(輸液等が患者の疼痛・苦しみは長くさせている可能性もある。)
患者の
患者の人生を
人生を家族一人一人が
家族一人一人が思い起こし、
こし、そこに関
そこに関わる関係者
わる関係者も
関係者も患者の
患者の痛み
をとることだけではなく、
をとることだけではなく、患者が
患者が現在まで
現在まで生
まで生きてきた過程
きてきた過程までを
過程までを共有
までを共有する
共有する事
する事
ができれば患者
ができれば患者の
患者の望ましい死
ましい死に関わることができる。
わることができる。
18
• 痛み
状態:癌細胞からでる疼痛物質 寝たきり 高齢に伴う筋力低
下 骨・筋肉痛の憎悪 不安による疼痛閾値低下
患者:苦痛・不安 痛みをとってほしい(経口薬は飲めない)
家族:苦痛の表情はみたくない 痛みをとってあげて!
医師:ガイドラインに添った薬剤投与 NSAID モルヒネ 抗うつ
剤
スピリチュアルな痛みを取る事は患者・家族・医師を
つなぐものが必要。
みを通
うつ・不安
不安は
痛みを
通してのコミュニケーション 抑うつ・
不安
は 痛み
じさせる。
疼痛時こそ
こそ家族
家族が
を強く感じさせる
。疼痛時
こそ
家族
が手を握ってあげる
ことでスピリチュアルな疼痛
疼痛は
軽減する
する。
ことでスピリチュアルな
疼痛
は軽減
する
。
19
痛みがあるからこそ、
生もある。
苦しみの中に喜びがある
ヴィクトール・フランクル
•精神医学者でユダヤ人故に、ナチスによる強制収容所に家族
とともに収容され、収容中に妻と二人の子供を殺された。アウシ
ュヴィッツでは、300万人のユダヤ人がナチの犠牲となった
20
在宅看護から病院に ③
疼痛コントロールの為に内服していた薬剤も飲めないため貼り
薬麻薬(デュロテップパッチ)を使用した。呼吸する息は次第に
荒く、痰が絡むようになった。息子が声をかけても声を出すこと
もできない。息子がガーゼを水に濡らして口の渇きや痰を毎日
取っていたが、息遣いは日増しに荒くなった。日中にはヘルパ
ーさんにも体位変換や着替えを手伝っていただいていたが、寝
たきり状態も長期に渡り、臀部に褥瘡作った。点滴は往診で定
期的に施行したが、下肢には浮腫みを生じた。麻薬を増しても
患者の苦痛表情は改善しない、時折38度の発熱も認めた(腫
瘍熱)。できるだけ自宅で過ごしたいと話していた、患者も息子
の苦悩を感じ、『病医院に行っていいか?』との問いにうなづい
た。病院でのケアを依頼した。(医療関係者が常駐している病
院では、何かあった時には家族が支えられない部分を支えてく
れると感じられるだけで安心できる。最後の場所を選択できる
体制。)
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理解されていると思ってもらう為に
コミュニケーションの割合
ミラーリング
・相手を
相手を自分が
自分が写った鏡
った鏡だと
考えて同
えて同じ動きをする。
きをする。
ペーシング
・相手の
相手の呼吸に
呼吸に合わせる。
わせる。
声の大きさを合
きさを合わせる。
わせる。
ペースを合
ペースを合わせる。
わせる。
おうむ返
おうむ返し+α
・『この先
この先どうしたら良
どうしたら良いか
不安でいっぱいです
不安でいっぱいです。
でいっぱいです。』
⇒ 『この先
この先どうしたら良
どうしたら良いか
不安でいっぱい
不安でいっぱいになってお
でいっぱいになってお
られたんですね。
られたんですね。』
(相手を
相手を受容+
受容+この先
この先は希望
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がある)
がある)
患者・家族・医療者間コミュニケーション
核家族の進行 高齢化の進行:患者自身が一人ぐらしや介護で自
身の病状を認識できずに生活。家族も日中は仕事や子供の世話で
親の病状にまで目が向かない。家族は遠方で普段から患者の状
況を分かっていない。
⇒普段から患者・家族・医師をつなぐ手段を増やすこと。
それぞれの医師の生きてきた経験により、患者に施す治療内容は
ことなる。医師間のコミュニケーションも重要。
患者・家族の状況までは医師には伝わってこない為、患者の生活
を考慮した加療にはなっていない。
⇒患者の生活をサポートする事を第一に考えた医療体制。
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患者と医師・医師間をつなぐカルテ
現在のカルテ
・家族歴:家族の中に糖尿病 脳卒中 癌 など・・
・既往歴:今まで罹った病気
これからのカルテに追加しておきたいこと
・兄弟はどこに何人いて何をしていますか?
・兄弟は帰ってこられることがありますか?
・若いときにはどんな仕事をしていて何が大変でしたか?
・仕事の思い出や今までで一番うれしかったことは?
・死亡したときに、家族に伝えておきたいことは?
24
未来の電子カルテ
患者の
患者の電子カルテ
電子カルテ
定期受診で
定期受診で
あった気
あった気に
なる所見
なる所見
(貧血進
行・悪性所
など)
見など)
受診
家族のカルテ
家族のカルテ
例:認知症の
認知症の夫介護に
夫介護に
疲労しめまい
疲労しめまい
夫のカルテにはせん妄
のカルテにはせん妄
で暴れる・・・
個人情報保護法緩和措置
患者のキーパーソンには
患者のキーパーソンには
すぐに情報が
情報が届けられる
すぐに
普段から状態知
事で普段から
から状態知る
状態知る
患者家族・キーパソン
患者家族・キーパソン
連絡アドレス
連絡アドレス
メール
東京
長男
大阪
次男
長女
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