防 除 の 基 礎 知 識 平成26年4月 JA全農ちば 営農販売企画部 1.病原菌について 病原菌の種類(病気にも種類があります。目的に合った薬剤を選んで使用しましょう) 種 類 侵入方法 伝染方法 多発条件 カ ビ 細 菌 ウイルス 気孔、表皮貫入 傷口や気孔 アブラムシなどの寄生 胞子 水 昆虫、ハサミ等 多湿 降雨やかん水後 害虫の寄生 ※作物にもよりますが、発病する病害のうち、80~90パーセントはカビによるものです。 カビを中心とした病害の防除 2.なぜ病気になるか?(病原菌だけでは発病できません) ・病 原 菌……病原菌が最も重要な原因、これがなければ病気にならない ・作物の性質……罹病性品種(病害への強さ)、日照不足、チッソ過多など ・環 境……温度、湿度、風通し(密植)など 3.病原菌の伝染方法 伝染方法 伝 染 の し か た 代表的な病害 カビ:うどんこ病、灰色かび病 さび病、べと病、斑点病 空気伝染 カビの胞子が風に運ばれて伝染する 水媒伝染 胞子や細菌などが雨水や水によって カビ:疫病 運ばれて伝染する(注意:台風通過後など)細菌:細菌病、軟腐病 土壌中の病原菌が根や地際部から侵 入 土壌伝染 して伝染する カビ:白絹病、根こぶ病、立枯病 半身萎凋病、根頭がん腫病 種子や種芋の表面や内部に潜伏して種子 種子伝染 といっしょに運ばれて伝染する カビ:炭そ病、萎ちょう病 ウイルス:ウイルス病 虫媒伝染 昆虫などによって運ばれて伝染する ウイルス:モザイク病、ウイルス病 その他 接ぎ木伝染や汁液伝染など管理作業に よる伝染 モザイク:モザイク病 4.害虫の分類 加害のしかた 加害 例(加害) 食 害 葉 ヨトウムシ、アオムシ、コナガ、マイマイガ アメリカシロヒトリ 、ハマキムシ、ナメクジ・主に幼虫による加害 中にもぐる 傷をつける 吸 汁 花 葉 根 ハモグリバエ・・・主に幼虫による加害 アザミウマ類・・幼虫、成虫による加害 アブラムシ類、ハダニ類、コナジラミ類 カイガラムシ類・・・幼虫、成虫による加害 ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ ・・・幼虫、成虫による加害 5.農薬の分類 予防剤(保護剤)…病気が出るのを防ぐ ベルクート、ダコニール1000、ペンコゼブ、銅剤など 治 トリフミン、アミスター、リドミルなど ◎殺菌剤 ◎殺虫剤 ◎除草剤 療 剤………発病している病斑に作用し 病気が広がるのを防ぐ 浸透しないもの……直接農薬に触れて効く 浸透移行するもの…浸透しても効く ダ ニ 剤…………ダニに効く ランネート、トレボンなど スタークル、モスピランなど バロック、コロマイトなど 選 択 性 ナブ、ロロックスなど 非選択性 ラウンドアップ、バスタ、プリグロックス ゴーゴーサン、トレファノサイドなど 茎葉処理剤 土壌処理剤 ◎展着剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイテンパワー、ニーズなど ◎植物成長調整剤(植調剤)・・トマトトーンなど (剤型から分類) ★乳 剤 水に溶して散布 (液体) ★水 和 剤 〃 (粉末) (フロアブル剤:成分を水に分散させてある) (液体) 水和剤より汚れない ★水 溶 剤 〃 (粉末) ※水和剤・水溶剤を顆粒状にした、顆粒水和剤(ドライフロアブル)や顆粒水溶剤もあり。 ★粉 剤 そのまま散布 (粉末) 水田、露地で使用 ★粒 剤 〃 (粒状) 残効が長い(1ヶ月程度) ★くん煙剤 ハウス内で使用 (固形) 湿度が上がらない 6.上手な防除のポイント ①農薬だけに頼っていませんか?作物は健康ですか・・・農薬は防除法の1つと考えて下さい。 ②防除対象病害虫の性質を知っていますか?敵を知る・・病気:発病の3要素、伝染方法 害虫:加害部位や加害する虫の種類 ③農薬の散布タイミングは?・・殺菌剤→予防(発病する前の散布)、治療(病気が広がるのを防ぐ) 殺虫剤は予防が苦手→被害が拡大しないように発生初期で散布。 除草剤→雑草が発生する前(土壌処理剤)か?発生後(茎葉処理剤)か? ④農薬の使用基準を良く読みましたか?必須です・・希釈倍数、収穫前日数、総使用回数は遵守。 ⑤目的をもって防除していますか?何となく薬剤散布は禁物・・隣の畑で散布したから→× ⑥基幹防除をあらかじめ決めていますか?最低限の薬剤使用・・ハウスで問題となる病害虫は? ⑦天候を考え、作物をよく観察していますか?・・降雨続き→病害。晴天続き→害虫。 ⑧農薬がきちんと防除対象の病害虫にかかっていますか?効かない→散布ムラによる原因は? ⑨農薬調合時の順番を知っていますか? ・展着剤→乳剤→水溶剤→水和剤(溶けやすいものから溶けにくいものの順番で調合) 乳剤(EW) 水溶剤(顆粒、ME、SG) 水和剤(フロアブル、ドライフロアブル、SC) ⑩定期的にノズルの噴口を交換していますか?・・霧状になっていますか? ⑪防除記録をつけていますか?・・安心な農作物の提供を! ⑫散布時に薬液は飛散しないように対策をとっていますか?・・ドリフト対策の実践!
© Copyright 2024 ExpyDoc