【 日本セラミックス協会 2006年 年会 】 紫外線照射したホタテガイ貝殻焼成物の蛍光特性 2006/3/15, 2P046 目 次 z はじめに z 実験方法と結果 ¾ ¾ z 背景と目的、昨年までの結果 蛍光特性、耐久性 まとめ 北海道立工業技術センター 北海道立工業技術センター 東京工科大学 東京工科大学 ○ ○ 下野 下野 功 功 山元 山元 明 明 Ⅰ.はじめに Ⅰ.はじめに 背景と目的 【 背 景 】 我が国のホタテガイ水揚げ量は年間約50万トン ⇒ 毎年約25万トンのホタテガイ貝殻が発生 【 問題点 】 土壌改良材、暗渠資材、漁港整備(埋立)等に利用 ⇒ 再生利用率は全体の約40%、残りは保管又は廃棄処分 ⇒ 石灰石(国内出荷約2億トン)との差別化 が必要 【産業廃棄物中間処理施設】 【 目 的 】 高付加価値分野への応用 ⇒ 新機能の探索 2 1 Ⅰ.はじめに Ⅰ.はじめに 昨年までの結果(1) ① 貝殻の基礎調査 ② 先行技術調査 z z 貝殻の有効利用に関する特許出願件数 ⇒ 500件以上(平成5年以降) 無機・有機複合材料 主成分はカルサイト型 炭酸カルシウム z 微量の不純物を含有 z 葉状構造、交差層 (ベニヤ板構造) z 高純度炭酸カルシウム ¾ ¾ ¾ z ベニヤ板構造(高強度・高靭性) ¾ ¾ ¾ Ca C O 食品添加物、養鶏用飼料 脱硫剤、土壌改良剤 殺菌・抗菌剤・ろ過剤 z 建築用資材 フィラー(充填材) 滑止散布材 その他(貝殻形状等) ¾ 工芸品、装飾品、他 再生利用率の現状は約40% ⇒ 付加価値の高い製品開発! Ⅰ.はじめに Ⅰ.はじめに 3 昨年までの結果(2) 新機能発見! 焼成した貝殻に紫外線を照射 発光現象を発見 ⇒ 蛍光体材料 z 貝殻表面と内部では発光色が異 なることを発見 ⇒ 多色化 z 成分・構造が同じ 紫外線ランプ 方解石(蛍光鉱物) 粉砕すると・・・ ホタテガイ貝殻も光るのでは? 4 2 Ⅰ.はじめに Ⅰ.はじめに 昨年までの結果(3) 【 蛍光体の応用例 】 【 蛍光体の製造工程 】 原料の精製 「蛍光体ハンドブック」より 蛍光ランプ ( 母体、付活材、融材 ) 混 合 分 級 ( ボールミル ) ( ふるい、沈降 ) ディスプレイ 合 成 表面処理 (焼 成) (表面保護、塗布性向上) 粉 砕 蛍光体 ( ボールミル ) (ランプ用、ディスプレイ用、他) ※ □の工程をホタテガイが実施! 蛍光表示管 地球環境に優しい、 使って安心な蛍光体 5 Ⅱ.実験方法 Ⅱ.実験方法 試料の作製と特性評価 【目的】 貝殻焼成物の蛍光特性について未測定 ⇒ 紫外線(254nm)で励起した貝殻焼成物の蛍光特性と耐久性の評価 試料作製 貝殻採取(道南産) ↓ 異物除去・洗浄・乾燥 ↓ 大気焼成 (100∼1100℃×1h) ↓ 粉砕・分級(90メッシュ) ↓ 成形(20mmφ) ① 蛍光特性評価 焼成直後の、 z 紫外線照射 写真撮影 z 輝度、分光スペクトル、色度 z XRD、XRF、FE-SEM、他 ② 耐久性評価 室内(23℃・55%RH)放置後の、 z 紫外線照射 写真撮影 z 輝度、分光スペクトル、色度 z XRD、XRF、FE-SEM、他 6 3 Ⅲ.実験結果 Ⅲ.実験結果 ① 蛍光特性 【輝度】 2.5 CaCO3 + CaO Brightness / cd/m 2 2.0 CaCO3 1.5 CaO 1.0 0.5 測定条件 励起光波長: 254nm(半値幅10nm) 励起光強度: 約1.6W/m2 輝度計: LS-100(コニカミノルタ製) 0.0 Before 0 200 Firing 400 600 800 1000 1200 Firing Temp. / ゜C 焼成温度600℃以上で増大しはじめ、850℃でほぼ飽和 ⇒ 母相はCaCO3相よりもCaO相が高輝度 7 Ⅲ.実験結果 Ⅲ.実験結果 ① 蛍光特性 【発光スペクトル】 450nm 850℃ 585nm Intensity / a.u. Emission Intensity / a.u. 450nm 750℃ 800℃ before firing 585nm 600℃ 0 300 350 400 450 500 550 600 650 Wave Length / nm 測定条件 励起光波長: 254nm(半値幅10nm) 励起光強度: 約1.6W/m2 分光計: USB2000(オーシャンオプティックス製) z z 700 CaCO3 + CaO CaCO3 CaO 0 0 200 Before Firing 400 600 800 1000 1200 Firing Temp. / ゜ C 発光スペクトルは2つの発光帯からなる(450nmと585nm) 母相はCaCO3相よりもCaO相が高強度 8 4 Ⅲ.実験結果 Ⅲ.実験結果 ① 蛍光特性 【色度】 700゜C 750゜C 800゜C 850゜C 900゜C 950゜C 1000゜C 1050゜C 1100゜C 0.8 0.7 0.6 y 0.5 0.4 0.3 450nm Emission Intensity / a.u. 0.9 750℃ 800℃ 585nm 750℃ 0.2 0.1 0 300 0 0 0.2 0.4 x 0.6 350 0.8 400 450 500 550 600 650 700 Wave Length / nm 色度:700℃と750℃は白色、800℃以上では青白色 9 Ⅲ.実験結果 Ⅲ.実験結果 ① 蛍光特性 【賦活材】 80 598nm Fig. Emission and absorption spectra of CaO:Mn(0.1%). Lehmann, W., Journal of Luminescence, 6, pp.455-470(1973). 測定条件 装置: XRF-1700(島津製作所製) 一次X線: Rh管球(40KV-70mA) 走査速度: 0.02゜×10sec Intensity / cps 60 Mn Kα 40 20 0 -20 60 61 62 63 2θ / deg. 64 65 450nm発光帯:これまでの報告に類似なスペクトルは見られない 585nm発光帯:CaO:Mn2+は598nmにピークを持つ発光帯 (Lehmann) ⇒ 貝殻に微量のMn含有 10 5 Ⅲ.実験結果 Ⅲ.実験結果 ② 耐久性 【室内放置試験】 室内(23℃・50%RH)に放置 (a) after firing (c) after 3days (e) after 15days (b) after firing (d) after 3days (f) after 15days 2.3cd/m2 0.1cd/m2 0.0cd/m2 3日後: 風化が起こり、蛍光強度は激減 15日後: さらに風化が進み、蛍光はほとんど認められない 11 Ⅲ.実験結果 Ⅲ.実験結果 ② 耐久性 【蛍光特性】 Emission Intensity / a.u. After firing (2.3cd/m2) After 3days (0.1cd/m2) After 15days (0.0cd/m2) 0 300 350 400 450 500 550 600 650 700 Wave Length / nm 3日後: 風化が起こり、蛍光強度は激減 15日後: さらに風化が進み、蛍光はほとんど認められない 12 6 Ⅲ.実験結果 Ⅲ.実験結果 ② 耐久性 【結晶相】 102 ◆ 100 ◆ (d) Intensity / a.u. ◇ CaO ○ CaCO3(calcite) ● CaCO3(aragonite) ◆ Ca(OH)2 101 ◆ 001 ◆ 111 102 ●021 ● ○ (c) 104 ○ 110 113 ○200○ ● 110 ◆ 112 201103 ◆◆ 111 ◆ 202 221 116 ○ ● ○ (b) 200 ◇ 220 ◇ 111 ◇ 311 222 ◇ ◇ (a) 0 10 20 30 40 50 60 測定条件 装置: JDX-8020(JEOL製) 一次X線: Cu管球(40KV-25mA) 走査速度: 0.04゜×3sec 測定結果 (a) 焼成直後:CaO相 (b) 3日後:CaO相+Ca(OH)2相 (c) 15日後:Ca(OH)2相+CaCO3相 (d) 水浸漬:Ca(OH)2相 70 2θ / deg. 風化と消光:CaO相からCa(OH)2相への相変化が原因 13 Ⅳ.まとめ Ⅳ.まとめ ① 蛍光特性 z z z 高温焼成により輝度向上(母相:CaCO3相 ⇒ CaO相) 発光スペクトルは2つの発光帯(450nmと585nm)からなる 色度は、700℃と750℃は白色、800℃以上では青白色 ② 耐久性 z z 高温焼成した貝殻を室内放置 ⇒ 風化と消光 風化と消光は母相の相変化( CaO相 ⇒ Ca(OH)2相)が原因 風化・消光を抑制する製造プロセスの開発が必要 14 7
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