THEMEⅠ ■日本の食を考えるⅡ もちろん味もいい。そんなＢ級グルメ市、今回が３回目の開催となる。八戸市で開かれ、翌年は静岡県富士宮が出揃った。過去２大会はいずれも、市︶など、個性あふれる庶民の味 24 品シロコロ・ホルモン﹂︵神奈川県厚木市の取り組みだ。実は﹁餃子のまち・先駆けとなったのは 90 年代の宇都宮年 11 月１日、２日の両日、福岡県久留バル﹁Ｂ︲１グランプリ﹂が２００８中に南部煎餅が入った八戸市の﹁八戸肉や魚、野菜などでだしを取った汁のする地元の﹁久留米やきとり﹂を始め、鶏肉だけではなく牛肉や豚肉が混在そば﹂がグランプリに輝いている。圧倒的な個性を発揮した﹁富士宮やき麺のコシの強さと、仕上げの削り粉でら宇都宮市民の餃子消費量が他の都市付きから始まった。家計調査の結果か宇都宮﹂は、ある市職員の何気ない気来場者の投票によってその人気を競い体が、自慢のＢ級グルメを持ち寄って、食べ物で町おこしをしている各種団腸︵シロ︶を割かずに網で焼く﹁厚木んの﹁静岡おでん﹂︵静岡市︶、豚の大せんべい汁﹂、黒いスープと黒はんぺにも取り上げられ、Ｂ級グルメ・ブーグランプリの様子はテレビや雑誌など開催中、 20 万人以上が訪れるＢ︲１てＰＲすることを思いついた。その職員は﹁宇都宮＝餃子の街﹂としに比べてダントツに多いことを知った 15 が一堂に会する全国規模のフェスティ米市で開かれた。合うというもの。 06 年に初めて青森県 The Lion 2009. 2月号うことに気付き始めたのです﹂文／砂山幹博写真／田中勝明くておいしいものがたくさんあるといことで、ようやく人々は身近な所に安いうソフトに注目した方がいいといういかない。それよりもむしろ食べ物と治体もありましたが、なかなかうまくード面から地域活性化に取り組んだ自常設型のテーマパークを作るなど、ハたのは 21 世紀に入ってから。かつてはようという試みが行われるようになっのようにＢ級グルメで地域を活性化しームは 70 年代頃からありましたが、今﹁ラーメンに限ればご当地グルメ・ブついて次のように分析している。教授は、昨今のＢ級グルメ・ブームにべ歩いている新潟大学法学部の田村秀査・研究目的で全国のＢ級グルメを食新書︶などの著書を持ち、自らも調﹃Ｂ級グルメが地方を救う﹄︵集英社おこしイベントが多数開催されている。にならえと各地でＢ級グルメによる町ムを牽引する存在となっており、これしかも地域の文化や暮らしに根付いて、庶民的な価格から誰にでも親しまれ、らりとイメージが変わる。るが、頭に﹁Ｂ級﹂が付くだけで、が﹁グルメ﹂と聞けば高級料理を想像すＢブ︲ー１ムグをラ牽ン引プすリるり得るのだろうか。たして、地域経済活性化の起爆剤となといった安くておいしい庶民の味は果やきとり、カツ丼、おでんにコロッケが注目されている。やきそばに餃子、ばれるご当地グルメによる地域おこし難い。そんな中、﹁Ｂ級グルメ﹂と呼ようとしてきたが、成功したとは言いよる地域振興策でこの難局を乗り越えっている。これまで国や地方自治体に済の冷え込みは一段と厳しいものにな世界的な景気低迷の影響で、地方経我食がか町らの考救え世る主地、域Ｂ活級性グ化ルのメヒがン今ト、。熱い The Lion 2009. 2月号 14 THEMEⅠ ■日本の食を考えるⅡ ューです﹂では店でいちばん出るメニでなんとかもっている。今この担々やきそばのおかげ者が多かったけど、うちは﹁店を閉めてしまった同業と呼んだ。の担々やきそばを﹁救世主﹂店主、河本志雲さんは、こ町内のギョーザ専門店の驚異的なスピードである。に初めて登場したのが５月というから 50 店舗集まったのが４月で、メディア内の飲食店のメニューに載り始めた。宇都宮市の職員や富士宮やきそば個性がなければいけません。次に、﹁まずは、Ｂ級グルメそのものにこうして２月には坦々やきそばが町必要だと話す。営業する居酒屋・スナックです﹂半分は昼営業の飲食店で、半分が夜にきそばを出す店を 50 店舗募りました。件として田村教授は三つのことが人気に終わらせず、根付かせる条Ｂ級ご当地グルメを一過性の﹁料理長のレシピを踏まえて、担々やさんたちの動きは早かった。評価した。これに手応えを感じた石井味のやきそばを９割の人がおいしいとああのなメたニのュ町ーのも ⋮ ⋮ ろ、初めて口にしたゴマ風味のピリ辛の担々やきそばを作ってもらったとこんだ有名ホテルの料理長に１００皿分係者や一般の人々を集め、東京から呼年が明けた１月末、町内の飲食店関れを注文するようだ。いるお店ではほとんどの客が、こ調査では、担々やきそばを出してが、商工会の電話による聞き取りまだきちんと統計を取っていないさわしいと思いました﹂︵石井さん︶ネーミングは、ご当地グルメの名にふきの担々やきそば﹄というゴロの良いてきたという観光客もいたという。さんのお店目当てで広島からやっどこで情報を得たのか、河本持った公共機関のホームページから、する人が増えている。豊富な情報量をンターネットで情報を得て旅の参考にる場合、ガイドブックだけではなくイ信最こ学最で後し会近すはを、は﹂、先湯イ導河特ンす原にタる町個ー人商人ネた工やッち会グトののルに存よーよ在うプる。なで情そ地旅報し域行発ておすそば﹂という新しいＢ級グルメを誕生ラボで、﹁たんたんたぬきの担々やきる。神奈川県湯河原町では企業とのコも、Ｂ級グルメを生み出すことさえあ更には、原材料となる特産がなくてれないのである。メとして地域活性化に一役買うかもしとしてあなたの町にしかないＢ級グルお昼に食べたあのメニューが、ひょっちょっと思い出してみて頂きたい。そんな宝がきっとまだどこかに埋もれいう伝説がありまして﹃たんたんたぬ﹁湯河原の温泉はたぬきが見つけたといける﹂と直感したという。にあったネーミングを見て﹁これなら慎重な石井事務局長だが、企画書の中 17 ていると思うのです﹂個性にあふれたその土地だけの食べ物、 The Lion 2009. 2月号しいということも少なくありません。に外の人が見ると珍る食べ物でも、意外たり前だと思っています。地元の人が当をうまく利用してい持されてきた食べ物は、長くその地で支挙げている町の多くがＢ級グルメで名を﹁温故知新ではない村教授は話す。ることは確か、と田一つのきっかけになることはないにせよ、メが旅の決定打になてている。Ｂ級グル旅のプランを組み立な情報を参考にして情報まで、さまざま録した日記のような個人の食べ歩きを記では、見事第４位に輝いている。まれたもの。第２回Ｂ︲１グランプリは、裾野市特産のモロヘイヤが練りこ静岡県裾野市の﹁すその水ギョーザ﹂てしまう強者もいる。 06 年に登場したまた、中にはＢ級グルメを作り出しとだった。こういう申し出に対しては河原らしいやきそばを作ろうというこ料としたピリ辛味のソースを使って湯みると、練りゴマや豆板醤などを主原うという申し出があった。話を聞いてら、地域オリジナルの名物を作り出そになったものだ。川県に本社のある大手たれメーカーかイオンズブクラが旗振り役となって全国区転機が訪れたのは、 07 年 11 月。神奈した﹁室蘭やきとり﹂は、室蘭中央ラ嘉章事務局長。うとする地方自治体が増えている。交住人口に代えて﹁交流人口﹂を増やそむのは難しい。そのため最近では、定て、これから先、定住人口の増加を望﹁富士宮やきそば学会﹂という民間団ことに気付いた人々が２０００年にそばの場合、市内にやきそば店の多いＢ︲１グランプリ２冠の富士宮やきと田村教授もその効果を認めている。がかかわるケースも少なくない。第１た地域経済に関心を持っている人たちや商工会、青年会議所︵ＪＣ︶といっや市町村、観光協会など。商工会議所い。民間団体以外で多いのが同業組合いませんでした﹂のの本格的に開発するまでには至って討していましたが、アイデアは出るも﹁以前から新名物による町おこしを検レジャーでその地を訪れる人の数のこ流人口とは、通勤のほか観光や買い物、体を結成。富士宮やきそばを食べられ回、第２回とＢ︲１グランプリに出場と話すのは、湯河原町商工会の石井２や１き７そ億ば円の経済波及効果、人口が減り続けているこの国にあっ十分に持っていると言えます﹂ち寄ってみようか﹄と思わせる効果は食べ物は格好のツール。﹃ちょっと立志の市民が中心となって動くことが多する場合、お店とは直接関係のない有このようにＢ級グルメで町おこしをＢ級グルメが出来るまでして名乗りを挙げていくのである。さまざまな庶民の味が、Ｂ級グルメとで活発化。こうして町に埋もれていた町を活性化させようという動きが各地その後、宇都宮に続けと、食べ物でりません。しかも人の興味をひくには、造るのとは違ってお金はそれほど掛かでＰＲするのであれば、大きな建物をすが、もとからその地域にある食べ物﹁多少の開発費が掛かる場合もありま口増加策の一つとして期待されている。とで、Ｂ級グルメの振興はこの交流人人以上が富士宮を訪れたという。ばを食べるために県内外から１７０万及効果は２１７億円にも上り、やきそ調査によると 01 年から６年間の経済波当てにやって来る観光客が増加。あるにＰＲ活動を続けたところ、それを目る店の地図やのぼり旗を作成して地道し置いてトップ 10 入りを果たしている。トで、数ある有名ご当地やきそばを差ぶ日本一のやきそば﹂というアンケー全国紙がウェブで行った﹁あなたが選ニューに並び、１年も経たないうちに、ずか３カ月のうちに町内の飲食店のメさせた。このやきそばは、開発からわ The Lion 2009. 2月号 16