自由設計空間にこだわるマンション 「ハウスバーンフリート」で 街に夢を

下岸建設 株式会社
自由設計空間にこだわるマンション
「ハウスバーンフリート」で
街に夢を与える「ものづくり」企業
今回お訪ねしたのは、広島駅新幹線口にほど近い、下岸建設の本社オフィ
ス。公共施設や商業施設、住宅建築などで蓄積したノウハウを注ぎ込んだ
分譲マンション「ハウスバーンフリート」が好評です。コンクリート打放しの
外壁、ライフスタイルに合わせた自由設計空間などが高い評価を受け、現
在、37棟が竣工しています。そんな下岸建設をひっぱるのは、昨年10月に
就任したばかりの下岸宏靖社長。
「ものづくり」企業としてのアイデンティ
︵
ハ本
ウ社
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バン
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ト
壱
番
館
︶
ティを大切にしながら、変化への対応を進める下岸社長に、同社の「今」と
「未来」をうかがいました。
代々つなぐ建築への想い
広島の戦後復興にも貢献
復興が少しずつ進み、時代は高度経済成長期へ。
弊社の設立は昭和27年、私の祖父が創業者です。
スーパーや飲食店、家電量販店などの商業施設、工
その先代に当たる曾祖父も、戦前、戦中に建築業を営
場やテナントビル建築、
マンションや戸建てといった住宅
んでいました。南方のルソンで仕事をしていたそうです
建築などの請負工事でノウハウを積み重ねてきました。
が、現地で亡くなってしまいました。私の祖父がまだ、小
当時から、左官職人さんや大工さん、内装職人さんな
さかったころのことだそうです。
ど、
協力会社の皆さんと
「下岸会」
を結成し、
一丸となっ
昭和23年、曾祖父の跡を継ぐように、祖父が広島で
て施工にあたってきました。皆さんの力なくして、
現在の
建築業を始めました。原爆で文字通りの焼け野原に
下岸建設はありえません。今、建築業界では人手不足
なった広島が、一心に復興しようとしていた時期です。
が問題になっていますが、協力会社の皆さんと力を合
公共施設などの建築請負を中心として、新しい広島の
わせることで乗り切っています。
「よい仕事をしたい」
と
街づくりのお手伝いを進めてきました。創業の昭和23年
いう共通の認識のもとに、今後も信頼関係を大切にし
は、私の父が生まれた年。祖母も、子育てをしながら仕
ていきたいと思います。
事を手伝い、
夫婦二人三脚で下岸建設を育ててきたそ
うです。祖父は残念ながら亡くなりましたが、祖母は今
も健在。大晦日に集金に駆け回ったことなど、昔の大変
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弊社は学校、病院、社会福祉施設といった公共施設、
分譲マンションに参入
「ハウスバーンフリート」
だった出来事を聞かせてもらうたび、
自分ももっと頑張ら
昭和から平成へ移るころ、将来的な発展を考え、
デ
ねばと気合いが入ります。
ベロップメント含めた分譲マンション事業への参入を決
ワイエムビジネスレポート 2015. 2月号 No.77
企業レポート/下岸建設 株式会社
意したのは2代目の父です。昭和63年、広島駅新幹線
口にほど近い山根町(広島市東区)
に、初めての分譲
マンションとなるハウスバーンフリート
(壱番館)
を建設し
ました。設計・建築に関しては、
従来からのノウハウの蓄
積がありました。
「作ったものには魂がある」
という思い
も強く、
「いいものを作りたい」
という気持ちを優先し、
こ
自由な発想で作り上げた
「ハウスバーンフリート戸坂」
だわりを詰め込みました。壱番館には弊社の本社オフィ
スが入居し、以前、本社を置いていた土地にも
「ハウス
陵地を生かし、豊かな自然と共存するコミュニティ型マ
バーンフリート中山」
(広島市東区)
を建設するなど、1
ンションを実現しました。
この取り組みが評価され、平成
棟ずつ実績を積み上げていきました。
21年度日事連建築賞・奨励賞、第6回ひろしま建築文
分譲マンションシリーズの名前「ハウスバーンフリート」
化賞・大賞を受賞しています。
とは、
ドイツの作曲家・ワグナーが晩年暮らした邸宅の
多様化するニーズに対応
自由設計空間を推進
名前です。
ワグナーは貴族や王族の庇護を受けず、民
衆のために自らの音楽を追求。
「子供たちよ、
あたらしい
ものを創造せよ」
という言葉を残しています。分譲マン
消費者動向や世間の関心事を見ると、個人の趣味・
ションは現在37棟、1,000戸を超える規模に拡大してい
趣向の多様化が顕著になってきていることをつくづく
ます。
ワグナーの思いに恥じない、
こだわりを持ったマン
感じます。分譲マンションは、従来「2LDK」
「3LDK」、
ションシリーズに育てていきたいと思っております。
「ファミリータイプ」
「単身者用」など、決められた形の中
「マンション選びは価格と立地に尽きる」
という定説
で設計・販売されてきました。
しかし、多様化するニーズ
に、
自由な発想の住まい作りで挑んだのが「ハウスバー
に対応するには、
もっと自由にライフスタイルに合った設
ンフリート戸坂」
(広島市東区)
です。施工の難しい丘
計をするべきだと考え、
体制整備を図ってきました。 「ハウスバーンフリート」において具体的には、
「マン
ションは
〝買う〟から
〝つくる〟へ」
をコンセプトに、
「自由設
計空間」を提案しています。専有面積内であれば、注
文住宅と同じような考え方で、
ご家族の夢や将来計画
に合わせて自分好みにできます。設計担当者はご要望
を丁寧に聞き取り、世界に一つだけの住まい作りのお
手伝いをさせていただいています。1棟40戸のマンショ
ンなら40の間取り
・仕様があるわけですから、時間も手
間もかかるのは確か。1棟まるごと同じ間取り、
同じ内装
にするほうが効率的です。
それでも、
ご家族の生活スタ
イルに合った夢の住まいで、笑顔あふれる暮らしを楽し
んでいただけたらと、
私たちはやりがいをもって取り組ん
でいます。
平和大通りをのぞむ
「ハウスバー
ンフリート平和大通り」
「ハウスバーンフリート」は、
コンクリート打放しの外観
も特徴の一つです。1棟1棟、個性的な姿で、街に新た
な景観をもたらしています。実は、打放しの施工は、仕
「ハウスバーンフリート東千田公園」
で、
累計1,000戸を超えました
上がりの美しさがミリ単位で要求される、失敗が許され
ワイエムビジネスレポート 2015. 2月号 No.77
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社訓
誠意・熱情・遵責
の次の世代〟
の育成は、
非常に大切だと考えています。
世代を超えて全社一丸となるよう、週に1度の終礼で
は、
新たなマンション建設など「今後、
当社は何をしてい
くか」
という方向性を示しています。
目標を共有すること
で全社員のベクトルを合わせ、
よりよい企業にしていけ
ればと思います。
ない作業です。熟練したコンクリート職人、左官職人、
下岸建設は、祖父の時代から真面目にコツコツ、堅
大工職人、電気設備職人などが、弊社の現場監督や
実に、
ものづくりに魂を込めてきました。規模の拡大では
設計担当者と一丸となって、
さまざまな面に留意しなが
なく、
いい仕事をし続けることが大切です。各種建物の
ら施工しています。打放しの外壁は、
デザイン性と強固
請負工事を行いながら、
「ハウスバーンフリート」の展開
さを両立したいという、私たちの「ものづくりへの想い」
を進めていきたいと思います。暮らしの多様性への対
を表現したものでもあります。
応を進めようと、
リノベーション事業「リスタイル事業部」
「いいものを作りたい」
という姿勢を貫き、
お蔭さまで
も立ち上げました。注文住宅などにも挑戦していこうと
入居者の皆さまから喜びの声をいただいています。何
思います。
「ものづくり」にかける思いはそのままに、
お客
らかのご都合で中古物件として販売される場合でも、
さまと夢を共有し、街に夢を広げる存在であり続けたい
新築時より値段が高くなっているケースもあり
「売主さま
と願っています。
が、
この家の価値を高く評価してくださっているのだな」
とうれしくなります。
これからも
「ハウスバーンフリート」の
価値を高めるために、
ハードだけでなくソフト面の差別
化も図っていきたいと思います。
若いトップとして
世代間ギャップを埋めたい
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私が3代目の社長に就任したのは昨年10月、39歳の
時でした。実は、社長になりたいと申し出たのは私自身
です。弊社には、大きく分けて2つの世代の社員がいま
す。先代、
先々代の時代から頑張ってくれているベテラ
ン世代と、私と同じくらいの中堅世代に分かれ、世代間
ギャップがなかなか埋まりません。
ここ数年、時代の変
化がますます激しくなるなかで、新しい取り組みを実施
していく必要性を感じていました。ベテランの経験やノ
ウハウを活用しながら、
若い世代が主体的にチャレンジ
できる体制を作りたいと、社長就任を志願しました。父
もまだ60代ですから
「トップ交替はまだ早いのではない
か」
という声もありましたが、私は「社長という重圧の中
で、
より責任を持って取り組みたい」
という気持ちで、社
長に就任致しました。
昨年、今年と新卒採用を行いました。弊社を担う
〝次
10
ワイエムビジネスレポート 2015. 2月号 No.77
内装を全て取り払い、
オフィスから住居にリノベーションした物件
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企業レポート/下岸建設 株式会社
社長に
お聞きしました!
私の朝時間
朝は6時に目覚まし時計が鳴り、6時
15分ごろに布団を出るのが習慣で
す。会社が広島駅に近いこともあっ
て、週の半分はJRを使って通勤して
います。片道約20分、往復約40分
は、貴重な読書タイム。好きな推理小
説や話題の本を中心に目を通し、
月
に2冊のペースで読んでいます。家に
帰れば1歳と5歳の子どもの父親。わ
が子と遊ぶ時間を少しでも増やすた
めに、電車通勤で読書の時間を確保
しています。
代表取締役社長
下岸 宏靖
概 要
<所在地>
広島市東区山根町28番22号
< 設
昭和27年4月2日
立 >
<資 本 金>
3,020万円
< 従業員数 >
16名(役員除く)
< 事業概要 >
土木建築総合請負
好きな言葉
創業者の祖父が考えた社訓「誠意・
熱情・遵責」は、私にとっても大切な
言葉です。誠意と熱意を持って一つ
ひとつの仕事に当たり、責任を果た
すことは、
ものづくり企業である当社
の責務だと思います。
また、私はおと
なしい印象を持たれがちなのですが、
「熱い思い」
を内に秘め、仕事に取
り組んでいきたいと思っています。
・土地利用計画 ・建設資金計画 ・収支計画
・建築設計 ・工事施工 ・資材調達
不動産業
・分譲マンション ・不動産管理
企業沿革
昭和23年
建築業で創業
昭和27年
下岸建設株式会社設立
昭和63年
初の自社マンション「ハウスバーンフリート」竣工。本社
を同館内に移転
平成21年 「ハウスバーンフリート戸坂」が平成21年度日事連建築
私 の お 気 に 入り
賞、第6回ひろしま建築文化賞を受賞
趣味は旅行です。海外より国内が多
いですが、知らない所へ出かけて、刺
激を受けるのが大好きです。今は子ど
もが小さく、土日も予定が入ることが
多い状況です。計画を立てて泊まり
がけの旅行をするより、
「 今日はあい
ているから、
どこか行こう
!」
と思い立っ
たら、
ドライブがてら日帰り旅行に出か
けます。ナビも使いますが、
どちらかと
いえば「地図派」。ナビでは道が覚え
られないですし、地図の方が想像が
広がり
「どんな道を通るのかな∼」
とワ
クワクします。目的地だけでなく移動
時間も楽しみながら、
マイペースな旅
を満喫しています。
初の自社マンション
「ハウスバーンフリート」
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