V29−23 ウシの卵子や胚の水透過性と耐凍剤透過性 V29−24 超急速ガラス化保存したウシ体外胚のストロー 内一段階希釈法の検討 ○原 隆夫1・河合 泰典1・日浦 千尋2・山崎 慎一郎2・市川 恭子2・恒石 望太郎2・葛西 孫三郎1・枝重 圭祐1 ○詫摩 哲也1・笠 正二郎2・内山 保彦3・坂元 克弥4・西木 秀人5・福原 順子6・佐々木 恵美7・福見 善之8・井上 哲 朗9・中西一誠10・今井敬11 1高知大農・2高知県畜試 medacalp@hotmaiLco.jp 【目的】ウシでは、卵子や初期分割胚の耐凍性は低く、後 期桑実期以降の胚では高い。細胞膜透過性は細胞の耐凍性 に大きな影響を与える。マウス胚では桑実期以降に水や耐 凍剤に対する透過性が著しく上昇することが示されている が、ウシ胚における詳細は知られていない。そこで本研究 では、成熟卵子と胚の水や耐凍剤に対する透過性がどのよ うに変化するかを調べ、さらに水や耐凍剤がどうのような 経路で透過しているか推定した。【方法】成熟卵子と各ス テージの胚を、等張のPBl液から25℃の高張なシュクロー ス添加PB1液あるいはグリセロール(Gly)、エチレングリ コール(EG)、DMSOあるいはプロピレングリコール(PG) 添加PBl液(8−10%)に浸して体積変化を調べ、その体積 変化から水透過係数および耐凍剤透過係数を算出した。そ して、温度依存性を示すArrhenius活性化エネルギー(Ea) を算出した。【結果】水、GlyおよびEGに対する透過性は 桑実期以降の胚で高くなった。また、これらの透過性に対 するEaは桑実期以降で低かったことから、これらは主に 促進拡散によって透過していることが示唆された。一方、 DMSOとPGに対する透過性はステージによる差は小さく、 これらの透過性に対するEaは高かったことから、これら は主に単純拡散によって透過していることが示唆された。 V29−25 MMV法によりガラス化したブタ胚の外科的お 1佐賀畜試・2福岡農総試・3新潟畜研・4干葉畜総セ・5東京農総 セ・6和歌山畜試・7島根畜技セ・8徳島畜研・9長崎畜試・10鹿児 島肉改研・11家畜改良セ ybbtkmtty@yahoo.cojp 【目的】第104回本学会で笠らが報告した超急速ガラス化保 存胚のストロー内一段階希釈法と既存の緩慢凍結法との比 較試験を行った。 【方法】受精7∼8日目の体外胚を供した。20%GL+20% EGを基礎ガラス化液とした区(2020区)および10%GL+ 30%EGを基礎ガラス化液とした区(!030区)では、胚を微少 量のガラス化液と共に用具に乗せ、直ちに超急速ガラス化 し予め希釈液を充填したストロー内で保存した。一段階希 釈はストローを微温湯に投入し用具を希釈液内に誘導して 行った。対照として10%EGを含む液に胚を移し緩慢凍結 した区(10ESB区)を設定し、融解はストローを微温湯に投 入して行った。加温希釈後、胚を72時問培養し生存率(SR) および透明帯脱出率(HR)を調査した。なお発生培養条件の 違いにより共培養胚と非共培養胚を分けて検討した。 【成績】共培養胚でのSRは!0ESB区に比べ2020区および 1030区で有意に向上し(55%vs87%,83%)、HRも同様であ った(32%vs67%,58%)。一方非共培養胚ではSRに有意差は 認められなかったが、HRは10ESB区に比べ2020区で有意 に向上した(51%vs71%)。 V29−26 ブタ卵巣皮質組織片超低温保存法の開発 よび非外科的移植による生存性 ○藤野 幸宏㌧中村 嘉之1・小林 博史1・中野 貞夫2・鈴木 干恵3・吉岡 耕治3 ○鈴鴨 知佳π・佐野 大介1・杉尾 周平1・中嶋 紀覚㌧仲田 誠1・猪股 智夫㌧久慈 直昭2・吉村 泰典2・柏崎 直巳1 1埼農総研・2富士平工(株)・3生物研 1麻布大院獣医・2慶応大医 aO166435@pref.saitama.1g.jp maO609@azabu−u.ac.lp 【目的】Metal mesh vitri価ation(MMV)法でガラス化し たブタ拡張胚盤胞を、外科的または非外科的に雌ブタに移 植し受胎率および胚の生存率を比較検討した。【方法】ホ ルモン処置後7日目に回収した拡張胚盤胞を7.5%エチレ 【目的】哺乳類卵巣組織の超低温保存法の開発を目的とし て、緩慢凍結法およびガラス化法によりブタ卵巣組織片を 超低温保存し、保存後の組織片を組織学的に検討した。 【方法】と畜場で得た未経産ブタ卵巣から皮質を切り出し て1.5mm角に細切し、細切した組織片を超低温保存した。 ングリコール(EG)+7.5%DMSO+20%FBS加PBSに5 分問平衡し、15%EG+15%DMSO+0.6Mトレハロース 緩慢凍結法では、室温から1℃までを7.0℃/min、1℃から一 (Tr)に移した後、ステンレス製の網に付着させて液体窒 30℃までを0.3℃/minで冷却し、L5Mの凍害保護物質、 素中(LN)に投入しガラス化した。LN中から金網を 0.5MTr+20%FBS加PBS中に投入して胚の融解および耐 凍剤の希釈を行い、10%FBS加NCSU37に移した。この胚 DMSO、PROH、EGを比較した。また、ガラス化法では を外科的に、子宮角の先端もしくは分岐部より15cmに移 植した。非外科的には、ポリスチレン製のカテーテルを用 いて子宮角内に移植した。【結論】ガラス化胚20個ずつを 外科的に未経産ブタに移植した結果、移植部位に関わらず 80%の受胎率(8/10vs4/5)が得られ、胚の生存率はそれ ぞれ18.5%、2LO%を示した。非外科的移植は10頭の経産 クライオトップを用いた方法(Kuwayama,2000)とクラ イオチューブを用いた方法(Migishima,2003)を比較し た。融解・加温後の組織片から組織標本を作製し、HE染 色によって組織学的に評価した。【結果】超低温保存後の 卵巣組織片は、すべての試験区において組織学的に正常な 形態を示していた。今後は保存後の組織片を免疫不全マウ スヘ異種移植し、原始卵胞内卵母細胞の成熟能を検討して いく予定である。 ブタに行い、3頭が受胎し2頭の雌ブタが6頭と3頭の子 豚を分娩した。本実験の結果、ガラス化したブタ胚の非外 科的移植により産子を得ることができたが、MMV法でガ ラス化したブタ胚の非外科的移植の成功には、外科的移植 よりも多くの要因が関与することから、さらなる検討が必 要である。 一81一
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