2007.11.16 舗装材料小委員会資料 改質アスファルトによる 混合物の低温時クリープおよび破壊挙動への影響 1.内容 改質バインダーや骨材が混合物の低温時におけるクリープおよ び破壊特性に与える影響を実験により検討 2.検討手法 骨材やアス種類を変えた混合物に対する間接引張試験 (AASHTO TP9,クリープ試験と破壊試験の両方)の結果と バインダーに対するBBR試験(曲げクリープ試験)やDTT試 験(直接引張破壊試験)の結果を対比して評価 バインダー:PGグレード(数種類), 改質種類(SBS,酸化,蒸気,エチレンポリマーなど) 骨材: 粒度(細粒度と粗粒度), 種類(石灰石と礫) (AASHTO TP9 :Test Method for Determining the Creep Compliance and Strength of Hot Mix Asphalt (HMA) Using the Indirect Tensile Test Device.) 2.1 混合物の低温時試験 ◆試験項目および試験条件 ・間接引張クリープ試験(載荷時間:1000秒) ・間接引張強度試験 ・試験手法 : AASHTO TP9に記載 ・供試体作成方法 : ジャイレトリコンパクタ ・空隙率:7.0±0.5% ・劣化条件加熱エージングを実施:135℃で4時間 ・供試体寸法 : φ150×50 [mm] 混合物の種類 骨材の種類 PG82-22 SBS Linear 石灰石骨材 PG82-22 SBS Radial 礫骨材 PG82-22 Steam Distilled PG78-22 Ethylene Terpoly PG58-40 SBS Linear PG58-40 Oxidized 粒度の種類 粗粒度 細粒度 2.2 バインダの低温時試験 ◆試験項目および試験条件 ・クリープ特性の測定 :BBR試験機 ・破壊特性の測定 :DTT試験機(直接引張試験機) ・温度特性の測定 :ガラス転移測定器 バインダの種類 PG82-22 SBS Linear PG82-22 SBS Radial PG82-22 Steam Distilled PG78-22 Ethylene Terpoly PG58-40 SBS Linear PG58-40 Oxidized 3.低温時のクリープ挙動に関する試験結果 3.1 低温時のクリープ特性に関する評価指標と結果 ・間接引張クリープ試験から得られたクリープコンプライアン スマスターカーブの傾きで定義されるmeが評価指標。混合物 の温度応力緩和程度を表す指標と意味づけられており、高 い値ほど応力緩和性能が高いことを意味する指標。 PG82 SBS 石灰石骨材,粗粒の例 この曲線の傾きがme 図2.48 3つの各温度における1000秒の間接引張試験結果の一例 クリープコンプライアンスカーブの式 D Dg 1 / c k me / k ここで、Dg =ガラスコンプライアンス ξc= 参考となる載荷時間 k,me= 形状係数 me: クリープコンプライアンスカーブの漸近線の傾き ↓ バインダ規格値のm値に似た指標,温度応力の緩和程度を表す指標 混合物のme測定値結果 石灰石 粗粒 バインダのPGによってmeが異なる 細粒の方がmeが小さい 石灰石の方がmeが小さい 石灰石 細粒 礫 粗粒 礫 細粒 バインダー種類や骨材種類や粒度 によってmeは有意に異なる. 特に,バインダのグレートと骨材種類 がmeに大きく影響を与える. 混合物のコンプライアンス Dmix ・混合物に対する間接引張試験と、バインダーに対するBBR試 験機で測定されたクリープのデータを用いて、同じ温度、載荷時 間における混合物のコンプライアンス(Dmix)をバインダーのコン プライアンス(Dbinder)の関数としてプロットし、その傾きAと切片 指標Bを評価指標にしている。 切片:A 傾き:B バインダのコンプライアンス Dbinder 混合物コンプライアンスとバインダーコンプライアンスの関係(石灰石骨材,粗粒度) 石灰石骨材 粗粒 PG58-40 SBS 石灰石骨材 細粒 礫骨材 粗粒 礫骨材 細粒 PG58-40 Oxidized ・礫の方が傾きAが大きく、バインダの特性が混合物に反映されやすい.骨材の影響は大きい. ・改質バインダーの種類によってもクリープ特性が影響され、改質の影響は無視できない。 4.低温時の破壊挙動に関する試験結果 4.1 低温時の破壊挙動に関する評価指標 混合物に対する間接引張強度試験と,バインダーに対する DTTで測定された0℃における破壊応力と破壊ひずみを比較. 混合物とバインダーの破壊特性(破壊ひずみ)の関係 4.2 低温時の破壊挙動に関する試験結果 ・混合物の破壊ひずみのレ ンジはバインダーの破壊ひ ずみのレンジのおよそ1/ 10 ・混合物の破壊ひずみは バインダのレンジにくらべて 非常に狭い(敏感でない) ・バインダの破壊強度と破 壊ひずみが高いと、混合物 の破壊強度とひずみも高い 結果となる。 ・バインダの改質と混合物の 破壊挙動の間に明確な相関 を認めるのは困難 5.まとめ (1)低温時のクリープ特性について ・バインダーの低温時クリープ特性は混合物のクリープ特 性に反映され,改質の種類による影響を受ける. ・骨材の種類(石灰石か礫か)はバインダーと混合物のク リープ特性の関係性に影響を与える重要な要因である. (2)低温時の破壊特性について ・バインダーの低温時破壊特性は混合物の低温時破壊特 性に敏感に影響を与えるものではなく,バインダーの改質 と混合物破壊挙動の間に明確な関係を決定するのは難し い. ・混合物の破壊ひずみのレンジはバインダーの破壊ひずみ のレンジに比べて10分の1である.
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