第 3 回関西生殖医学集談会 2015.03.07、大阪 DMSO

第 3 回関西生殖医学集談会
2015.03.07、大阪
DMSO-free ガラス化凍結試薬の生存性について
大浦 朝美 1)、濱 聡子 1)、佐藤 学 1)、橋本 周 1)、中岡 義晴 1)、森本 義晴 2)
医療法人三慧会 1)IVF なんばクリニック、2)HORAC グランフロント大阪クリニック
目的
本邦で使用される凍結保存液の大半に DMSO が含まれている。一方で、DMSO は細胞の分化
誘導に使用されること、一過性の細胞内 Ca++の上昇を引き起こすことが知られており、DMSO
の凍結保護剤としての可否がしばしば議論されている。
そこで生殖医療におけるリスク低減を目的とし DMSO-free のガラス化凍結試薬を用いて生
存性の検討を行ったので報告する。
方法
廃棄および研究に同意が得られた 33 症例 49 個の凍結良好胚盤胞を対象とし、比較検討の
凍結融解液には北里バイオファルマ社(K:Vitrification Media、Thawing Media)と
Vitrolife 社(V:RapidVit Blast=DMSO-free、RapidWarm Blast)を使用した。デバイスに
は全て Rapid-i を用いた。49 個の凍結胚盤胞全てを K で融解後、25 個を K、24 個を V で再
凍結融解した後、Propidium iodide、Hoechst 33342 を用いて蛍光二重染色し、総細胞数
および死細胞数を蛍光顕微鏡で観察し、死細胞率を比較した。
結果
採卵時患者年齢は K 群 32.8 歳、V 群 31.6 歳と有意差はなかった。比較検討に用いた凍結
胚盤胞を Blastocyst Quality Score(BQS)法で数値化した結果、K 群 21.6、V 群 22.2 と
両群に有意差はみられなかった。死細胞率は K 群 12.4%、V 群 20.0%と V 群で高い傾向は
あったが差はみられなかった。
考察
凍結融解後の死細胞率に差はなく、凍結融解の過程での影響は本検討では認められなかっ
たことから DMSO-free のガラス化凍結試薬は有用であると考えられた。今後、発生率や妊
娠率も検討し、臨床応用につなげていきたい。