配偶子の超低温保存 超低温保存の意義 超低温保存の意義 卵子 初期胚 • • • • • • 遺伝資源の保存(遺伝的な形質や特性変化の 防止) • 感染、飼育管理上の事故の防止(疾病および遺 伝的汚染の防止) • 飼育管理の省力化と経費節減 • 動物輸送の簡易化、長距離・国際間移動が容易 • 発情同期化が不要、余剰胚利用 雌性遺伝子資源(ハプロイド)の保存 感染、飼育管理上の事故の防止 余剰卵子の保存 放射線治療前などの妊孕性保存対策 加齢による妊孕性低下への対策 超低温保存の歴史 1949 Polge ニワトリ精子の凍結保存 1950~1970年代 家畜の凍結精液開発、実用化 1972 Whittinghamら マウス胚の凍結保存に成功 。 ①ジメチルスルホオキシド(DMSO)の利用 ②植氷処理による潜熱発生の防止 ③緩慢冷却による胚細胞内氷晶形成を防止 1985 Rall and Fahy マウス胚のガラス化凍結 1986~ 改良ガラス化保存法の開発 ガラス化保存 傷害 凍結保存 1 ℃ 植氷 共晶点 冷却曲線(植氷あり) 過冷却 -4.5℃ 氷点 -7℃ 潜熱の放出 過冷却 -4.5℃ 氷点 ℃ 冷却曲線(植氷なし) -0.5℃/分 -25℃ 液体窒素へ 固相 ◎適正な冷却速度 • 植氷による過冷却防止 氷点-1℃ぐらいで過冷却を止める • 耐凍剤(凍害保護物質)の添加 細胞内の蛋白と結合して水の移動を 穏やかにし、塩害を防止 • 脱水 氷晶を小さくする 固相 液相 細胞内凍結を避ける方法 液相 固相 固相 液相 液相 hr hr 緩慢凍結法 ① ステップワイズ法 融解後、受精卵をいったんシャーレに取り出して段階的 に耐凍剤の除去を行う。浸透圧変化の影響が少ないので 受胎率は高いが、実験室での作業が必要。 ② ワンステップ法 融解後、ストロー内で凍結液と希釈液を混合し、直接移 植する。野外での作業が可能だが、希釈の待ち時間が必要。 ③ ダイレクト法 融解後、耐凍剤の除去操作を行わず、直接移植する。 野外で実用化されているが、受胎率が安定しない。 等張液 ガラス化法 耐凍剤浸漬直後 耐凍剤透過後 植氷 凍結操作 長所 • 凍結時に氷の結晶による傷害を受けにくく、受胎率が高 い。 • 凍結操作が短時間で完了する。 • プログラムフリーザーが不要 短所 • 融解後、耐凍剤の除去が必要。 2 融解後の生存性に影響する要因 ◎細胞の要因 a. 細胞のサイズ b. 細胞膜の性質 c. 動物種 d. 胚の発育段階 e. 細胞質内の脂肪滴 f. 卵子や胚の質 g. 細胞骨格 凍害 • • • • • • • 塩害 最小容積 外部からの機械的圧迫 細胞膜・細胞内小器官の破壊 低温傷害 凍害保護物質の細胞毒性 浸透圧ショック 融解後の生存性に影響する要因 ◎手法の要因 a. 超低温保存法 b. 凍害保護物質 c. 凍害保護物質の平衡 d. 冷却速度 g. h. i. j. 凍害保護物質の希釈 操作する環境温度 融解もしくは加温の方法 実施者 e. 液体窒素中への投入温 度 f. 収容容器 凍害保護物質 ① 低分子 ② 中性物質 ③ 低毒性 ④ 低温で水溶性が高い ⑤ 高濃度の濃縮が可能 凍害保護物質(CPA)・耐凍剤 細胞膜透過性 ジメチルスルホオキシド(DMSO) エチレングリコール(EG)、グリセリン プロパンジオール など 細胞膜非透過性 シュクロース、トレハロース、フィコール ラフィノース など 3 凍結胚の融解法 融解 目的 ① 凍害保護物質の除去 ② 復水 手法 ショ糖の添加 脱グリセロールに伴う細胞の膨張が押 さえら れ、細胞の負担が減少する。 空気中での保持 融解時の氷の移動による悪影響を緩和する Vitrificationの実技 絹谷産婦人科 平岡原図 4
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