住宅純資産 と 高齢者の安心 ©Olivia S. Mitchell and John Piggott 内閣府国際フォーラム 2003年9月10日 研究プロジェクトの概要: n 問題点: – 老後の生活を支える住宅 ― 流動化が必要 – 豊かな資産を「解放」― 老後の財源 n プロジェクトの焦点: – 年齢別住宅保有のあり方を評価 – 老後のために住宅を「開放」する方法を探る 住宅をとりまく現状 持ち家状況とその評価額 − 日本と外国の間の差 n モーゲージのパターン − 年齢層別・価格動向別 n n 日本の住宅市場 − なぜ低調か 日・米・豪 持ち家率比較 年 齢 別 持 ち家率 年齢群別* 3 4 1 2 5 6 日本 11.2 43.6 71.8 79.4 83.1 82.8 アメリカ 22.1 46.1 68.1 77.2 81.5 79.7 オ ー ス トラリア 19.6 48.4 71 78.9 81.3 85.2 1 2 3 4 5 6 日本 1999 < 30 歳 30-39 歳 40-49 歳 50-59 歳 60-69 歳 70 歳 + 米国 2001 < 25 歳 25-34 歳 35-44 歳 45-54 歳 55-64 歳 65 歳 + 豪州 1998-99 < 25 歳 25-34 歳 35-44 歳 45-54 歳 55-64 歳 65 歳 + * 年齢群 * 年齢群 1 2 3 4 5 6 日本 1999 < 30 歳 30-39 歳 40-49 歳 50-59 歳 60-69 歳 70 歳 + 米国 2001 < 25 歳 25-34 歳 35-44 歳 45-54 歳 55-64 歳 65 歳 + 豪州 1998-99 < 25 歳 25-34 歳 35-44 歳 45-54 歳 55-64 歳 65 歳 + 出典: <米国>センサス局空き家調査(2002年第2期) <日本>総務省統計局、統計センター(2000年5月) <オーストラリア>オーストラリア世帯別消費調査( 1998-1999 年) 国別持ち家率(国民全体) 日本 (1999) 66.70% 米国 (2001) 67.10% è 三国に共通する傾向 豪州 (1999) 70% 住宅資産額と純資産額 日米豪比較 (持ち家のみ) 全体 高齢者 購買力平価交換比率 $300,000 $250,000 $200,000 $150,000 $100,000 $50,000 $資産 額 純資産額 オーストラリア 資産 額 純資産額 アメリカ 資産 額 純資産額 日 本 出典: オーストラリア統計局住宅調査 (1999) ● ランドコーポレーション保健と老後に関する調査 Wave 5(1998) エコノマジック (オンラインデータ) ● 世界銀行世界開発指標(2002)第5、6表 ● 実質住宅価格国際比較: 各国別指数 (1995=100) 160 140 120 100 80 60 Australia オーストラリア Britain イギリス 出典:ザ・エコノミスト誌資料をもとに試算 Japan 日本 US アメリカ 1999 1995 1991 1987 1983 1979 40 年齢別平均 住宅純資産額および所得 [日本 ・単位千円] 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 LT30 30−39 40−49 50−59 60−69 70+ LT 30 30-39 40-49 50-59 60-69 70+ Dwelling 持 家 価 格 Value Net dwelling value 総持家 価格 出典:全国消費実態調査(1999年) 表21 Source: NSFIES 1999, Table 21, Yearly 年 間 所 得income 住宅資産の利用は有効な方法か? アメリカ: 退職間近の人が持つ住宅資産は 最高$15万 <住宅価格> 米国 $10万 日本 $30万 n n リザーブモーゲージへの需要: – 住宅純資産を担保に融資を受ける – 死亡時に、融資側は最低 融資残高全額、 または住宅を取得 リバースモーゲージで生活を多様化 高齢者世帯の資産形態は、今のままでは 単一的 n – 家がある – 公的年金が唯一の収入源 住宅純資産の「解放」で、個人的にも 社会的にも、資産が多様化 n リバースモーゲージ実施の重要点 n n n ノン・リコース・ローン(無償還請求): 融資側取 り分は最小限(融資差額・住宅純資産額) コスト: ローンの開始・住宅純資産額設定のた めの査察 再保険: 融資側の流動性引き締めと住宅純資 産額の緩慢な上昇のリスク に備えて リバースモーゲージリスクのクロスオーバ ー 資金 クロスオーバーポイント 住宅の価格 ローン開始 時点の金額 T0 融資側損失額 ローン終了 T1 時間 融資側のリスク − 金利リスク 資金 ローン開始 時点の金額 住宅価格 金利が上がればクロス オーバーの訪れが早く 損失も大きくなる T0 ローン終了 T1 時間 米国のリバースモーゲージ 一時金方式か、月 極めか 年齢別に検討 (総純資産額$10万の場合 ) 一時金 月極め払い HECM Homekeeper HECM Homekeeper 65 $55,082 $15,511 $317 $127 75 64,121 36,409 420 316 èHECM は低所得世帯に限定。 政府が保険を。 Homekeeper は 民間保険。高額住宅向け。 米国で伸びるリバースモーゲージ市場 •これまでの契約成立 − 80,000件 q制度上の問題: コスト q法制上の疑問点: 請け戻し権喪失? 税制上の扱いは? à逆選択: 利用者側にみられる長寿傾向 (否定意見もあるが) à道徳的危険: 維持が不十分 à証券化に時間がかかる • 引退者側のニーズに合わせてより透明で安い プログラムを提供することが必要 リバースモーゲージ回収 日米比較 ($10万の住宅を基準に) 米国 日本 <一時金> 65歳 $53,635 75歳 66,623 <年間実質年賦金> 65歳 $3,713 75歳 6,489 39,800 79,280 1,807 3,711 日米共、$10万の住宅純資産について、それぞれの国の女性の平均年齢を基準に計算。ア メリカの経済予測は、無リスク実質率(r) = 2.0% 、住宅純資産実質伸び率 (r+g) = 1.0%、 実 質 モ ー ゲ ー ジ 率 (r+m) = 4.5% 、 対 年 賦 金 実 質 投 資 収 益 見 込 み (r+a) = 3.0% 。 日 本 の 経済予測は、 無 リ ス ク 実 質 率 (r)= -0.6%、 住 宅 純 資 産 実 質 伸 び 率 (r+g)= -2.4%、 実 質 モ ー ゲ ー ジ 率 (r+m) = 1.9%; 対 年 賦 金 実 質 投 資 収 益 見 込 み (r+a) = 0.4%。 日本ではリバースモーゲージは無理とする意見 n n 不動産市場が不透明 不動産売買は費用が掛 かかる – 手数料、終了手続き 料 – 譲渡税 – 取引税 n n 遺産相続のあり方 – 長男が家を相続、弟 妹が現金を。 下落する価値 – 買い手は低値を待ち 売り手は高値を待つ – 90年代に取引多かっ た 日米住宅市場の現状 (単位:千)* 住宅総数 住宅総数に対する中古住宅 購入数の割合 新築家屋総数に対する中古 住宅購入数の割合 日本 (1998) 米国(1998) 26,468 117,282 0.4% 4.8% 0.16% 3.46% *出典: 石川達哉著 “Savings and Assets of Elderly Households in Japan” (日本の高齢者世帯における貯蓄と住宅資産)ニッセイ基礎研究所(2001 年 7 月) それでも、前途は明るい n 少子化傾向 – 少人数の子が親を扶養 – 遺産を多く残さなくてもよい n 多世代が共住 – 日本では55%が (アメリカより多い) – 1軒の住宅の居住者数がアメリカより大きい 東京都武蔵野市 1981年にリバースモーゲージを開始 市が各種サービス提供 n 利用者は、 料金を月極め で 、または、持ち家が売れ た時 点で純資産額の中から 支払う n n n 基本金 + 年利5% (固 定利子率)<+ 土地売 価 の80% (建物の価値 は無 設定) n 小さな一歩 (42 名が契 約) 高齢者の間に需要のあ ることが明らかとなる 市では、リバースモーゲ ージを推進の意志 制度的支援が重要 リバースモーゲージ推進に求められるもの 今後の平均寿命予測(逆選択の可能性も 考慮に入れる) ü 住宅純資産額上昇に関する予測 (道徳的 危険率も考慮に入れる) ü 年齢別住宅の価値と売上高のパターンに 関する信頼できるデータ ü 利潤、モーゲージ率、年賦利潤の予測モ デル ü そして、政府の役割は… ü リバースモーゲージ普及のために制度 上・税制上の壁を排除または軽減する 銀行の対応を可能にするために、換金性 の保証を与えることができる投資機関を 「少 なくとも一つ」準備する ü 融資機関保護のために再保険と証券化を 促進する ü 結論と今後の研究の方向 ü 老後の消費の継続を助けるため の政策 ü 住宅総資産「解放」促進のための 商品 ü 長期介護保険(LTC )の役割
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