Cisplatin 持続点滴静注法における血中動態の薬理学的解析

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Cisplatin持続点滴静注法における血中動態の薬理学的解
析
日裏, 勝; 武縄, 淳; 龍治, 修; 滝, 洋二; 林, 正; 桐山, 啻夫
泌尿器科紀要 (1989), 35(6): 955-961
1989-06
http://hdl.handle.net/2433/116575
Right
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Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
955
泌 尿 紀 要35:955-961,1989
Cisplatin持
続 点 滴 静 注 法 にお け る血 中 動 態 の
薬 理 学 的 解 析
和歌山赤十字病 院泌尿器科(部 長:桐 山留夫)
日裏
勝,武 縄
淳,龍 治
林
PHARMACOKINETIC
修,滝
正,桐 山
曹夫
EVALUATION
INFUSION
洋二
OF CONTINUOUS
CISPLATIN
Masaru HIURA, Jun TAKENAWA,Osamu RYojI,
Yoji TAKI, Tadashi HYASHIand Tadao KIRIYAMA
From the Departmentof Urology,WakayamaRed CrossHospital
Cisplatin was administered to 11 patients as a continuous infusion, 25 mg/m2/day for 1 to 4
days. Total and filterable platinum in plasma were monitored for 12 courses and a pharmacokinetic
study was carried out in 7 patients by computerized
nonlinear least-squares analysis.
Following
interruption
of the infusion, the decrease of plasma filterable platinum was biphasic, with initial and
terminal half-life of 21.6±11.4 min and 31.7±27.1 hr. Filterable platinum was still detectable in
plasma 24 hours after the end of infusion.
The total AUC exposure of filterable platinum for
24 hrs, 48 hrs and 96 hrs infusion were 3.671ig•hr/ml, 13.68 pg•hr/ml and 14.75 leg•hr/ ml, which
were at least 3-fold higher than that observed for the short-term infusion of equal dose in
literature.
Gastrointestinal
toxicity was evaluated and compared with short-term infusion of equal
dose. In the continuous-infusion
patients, the reduction of vomiting was observed but the duration
of nausea was not shortened.
(Acta Urol. Jpn. 35: 955-961, 1989)
Key words:
Cisplatin,
Continuous
infusion,
Filterable
platinum,
4000/1pt,血
緒
言
近 年,cisplatinに
ml以
よ る 副 作 用 を 軽 減 す る 目的 で
Pharmacokinetics
小 板 数13×104/μ1以
下,ク
(2)cisplatin投
の方 法 に 対 す る 薬理 学 的検 討 は きわ め て 少 な い 。今 回
1500mlの
持 続 点 滴 静 注 を11例 に 行 な
い,抗 腫 瘍 効 果 を 有 す る 蛋 白非 結 合 型 プ ラチ ナ(fiL
terablePt,filt-Ptと
略 す)の
血中動態 を 薬理学的
に解 析 し,こ の 投 与 法 の 有 用 性 を検 討 した.
与方 法
輸 液 の 後,cisplatin持
た.cisplatinは
した,点
続 点滴 を 開始 し
生理 的 食 塩 水 に 混 注 し遮 光 して投 与
滴 速 度 は1.04mg/m2/hrつ
dayと
し,点
ー ス,48時
24時 間 が1コ
ま り25mg/m2/
滴 持 続 時 間 は24∼96時
17コ ー ス 行 な い,96時
が1コ
対 象 と方 法
清Cr1.5mg/
上 で あ っ た,
cisplatinの 持 続 点 滴 静 注 法 が 試 み られ て い るが,こ
われ わ れ はcisplatinの
上,血
レ ア チ ニ ン ク リ ア ラ ン ス60ml/min以
間 で あ っ た.計
間 持 続 点 滴 が5コ
間 が6コ
ー ス,76時
ー ス,30時
間 が4コ
ー ス で あ っ た.
(1)対 象
(3)cisplatinの
対 象 は和 歌 山赤 十 字病 院 泌 尿 器科 に 入 院 し,cis-
12コ ー ス に お い て 血 中 濃 度 測 定 を 実 施 した.肘
platinを
含む 多 剤 併 用 療 法 を受 け たll例 であ る・前
立 腺 癌 が5例,尿
路 上 皮 癌 が3例,前
立 腺 肉腫 ・睾 丸
よ り5mlヘ
そ のPt濃
度 をtotalPt値
を ア ン グ ル 型P一
82歳,男
3に
性2例
で あ る.全 例 が 白血 球 数
血 中濃 度 の測 定 方 法
パ リ ン採 血 し,遠
腫瘍 ・
傍 睾 丸 横 紋 筋 肉腫 が 各 々1例 で あ る.年 齢 は19∼
性9例,女
間
ー ス,
と し た.そ
タ ー を 用 い てAmicon社
て 除 蛋 白(2000×9,10分
静脈
心 分 離 で 血 漿 を 得 て,
間)し,得
の 血 漿 の 一一部
製MPSられ たサ ン
956
泌 尿 紀 要35巻6号1989年
末 梢 コンパ ー ト
メ ントVi,V2コ
V2C:血
ンパ ーFメン トの 分 布 容 積
中薬 物澹度
小
鷺i鱒螺響
・枢・
鷹 囲 一 滅;
投与 量
D
c一 蒲(t+皆
C=Re一
.麟 徽 募龍 過
T持
続点 滴時聞
Ko点
滴速度
αゼ+se一
副 ・讐
げり
〔1〕
βt'
Ko(β 一K21)(e一
Vlα(。.β 》S=V,β(α
Fig・1・Cisplatin持
プ ル中 のPtをfilt-Ptと
続 点 滴 に お け る2コ
した.各 サ ンプル は測 定 ま
で 一20。Cで 凍 結 保 存 さ れ,原
子 吸光 法 に よ り測 定 し
た.
(4)filt-Ptの
ン パ ー
ト メ ン ト ・モ デ ル へ の 当 て は め
Fig.2,3,4は24時
間,48時
間,96時
に お け る 血 中totalPt,filt・Ptの
あ る.血
血 中 動 態 の解 析 方 法
βT-1)Ko(K21一
αxe-aT-1)
・一一・〔2)R=
一β)
中filt-Ptの
間 の持 続 点 滴
時 間 一 濃 度 曲線 で
上 昇 は3時
間 以 後 はtotalPt
の 上 昇 に 比 較 し て ゆ る や か で あ り,点
持 続 点滴 静 注後 のfilt-Ptの 血 中 動 態 が2コ
ンパ ー
トメ ン ト ・モ デ ルに 従 うもの と仮 定 した,一 般 に 投 与
後,12時
間 後 のfilt-Pt値
同 値 が12例
中9例
は3時
滴 開 始6時
に み ら れ た.点
滴 終 了 後 のtotal
され た 薬物 の 浸透 して ゆ く部 所 を コ ンパ ー トメ ン トと
Ptの
呼 び,薬 物 血 中濃 度 の 推移 を 具合 よ く表 現す る コ ンパ
ー トメ ン ト ・モ デ ルが 考 え られ て お り1),今 回の 場 合
各 相 は 今 回 の 測 定 で は 明 確 で は な か っ た.filt-Ptの
は蛋 白非 結 合型Ptの
filt-Ptは
分布 箇 所 を 中 枢 コ ソパ ー トメ ン
トと し,蛋 白結 合 型 お よび 組 織 中 のPtの
分布を末梢
コン■9-一トメ ソ トとし た モ デル を想 定 した(Fig
Filt-Ptの 血 中 濃 度 をC,血
.1).
中 消 失 曲線 を2つ の 直
減 衰 は非 常 に し
φ る や か で あ り,血
減衰 は二 相 性 で
ml)以
Table1に
持 続 点 滴 中 のCisplatinの
持 続 点 滴 中 のfilt-Ptの
始 後3時
と
れが
間 後 も 測 定 限 界 値(25ng/
上 で あ っ た.
率(filt-Pr/totalPt)の
血 中 濃 度 をFigJの(1)式
間 を 経 過 して も 血 中 に認 め
例 に よ っ て は48時
線 に 分 割 して得 られ る各 直 線 の勾 配 を α,β と して,
した1).点 滴 終 了 後 のfilt・Ptの 血 中濃 度 は,そ
中 消 失 曲線 の
β 相 が か な り ゆ る や か で あ っ た,
点 滴 終 了 後5時
られ,症
蛋 白非 結 合
時 間 的 推 移 を 示 す,点
間 の 非 結 合 率 が41.7%で,そ
下 と な っ た.Fig.5に
定 常 状 態 に到 達 す る 以 前 に 点 滴 を停 止 し た と考 え,
とtotalPtの
血 中 濃 度 と の 関 係 を 示 す.点
Fig.1の(2)式
後totalPtが0・1μ91mlで
最 小 二 乗 法 プ ロ グ ラ ムMULTI2)を
Newton法(重
み づ け を1/C)に
用 いGaussよ り,各 種 の 薬 理
蛋 白非 結 合 率
滴 開 始直
は 蛋 白 非 結 合 率 は50%近
く あ る ・totalPtがO.3μ9/mlで
し,1.0μg/m1以
滴開
の 後 低 下 し72時
間 以 降 は10%以
と した1,.(1)式 と(2)式 に 従 い 非 線 型
間
間 値 よ りも小 さ いか
は 非 結 合率 が 半減
上 で は 多 く の 症 例 で10%以
下 とな っ
た.
学 的 パ ラ メ ー ターを 算 出 した.
(5)副 作 用 の検 討 方 法
(2)filt・Ptの
短 期 静 注法 と 持続 点滴 法 と で 副作 用 を 比較 検 討 し
血 中動 態 の解 析 結 果
算 出 し た 薬 理 学 的 パ ラ メ ー タ ー をTable2に
た.96時 間,48時 間,30時 間持 続 点 滴 の 各 々に対 して,
す.TI!2。
薬 剤 の レジ メ ン とcisplatinの 総 投 与 量 を 同 じ くす る
V1は
は
α 相 の 半 減 期,T1!2β
は
示
β 相 の 半 減 期,
短 期 静 注法 を行 ない 比 較 した.消 化 器 症 状 の評 価 は 各
中 枢 コ ン パ ー ト メ ン トの 分 布 容 積
,Vssは
中枢
コ ン パ ー ト メ ン トと 末 梢 コ ンパ ー ト メ ン トの 間 の 薬 物
コ ー ス ご との嘔 吐 回 数 と嘔気 持続 日数 で 評価 した,そ
移 行 が0と
の 他 白血球 数,血 小 板 数,血 清Cr値
Ckotは
結
(1)Cisplatin血
果
中濃 度 測 定 の結 果
を 比 較 した.
な る 定 常 状 態 が 成 立 し た と き の 分 布 容 積,
総 体 内 ク リ ア ラ ン ス,AUCは
下 面 積,Cssは
血 申薬 物 濃 度
定 常 状 態 で の 血 中 濃 度 を 表 わ す.T、
は21.6±11.4min(7.5∼41.6min),Ti!2β
±27・1hr(36∼64・8hr)で,値
伽
は31.1
に ば らつ き は あ る も
日裏,ほ
か:Cisplatin・
957
持続点滴
μ9Ptlml
1.0
■ 噺●
.5
・殉㌔
r亀
.1
.05
.Ol
O
15
3
24hr
II
O123
tstart()finfusめn
曾endofinfusion
Fig.2.Semilogarithm三cplotofplatinumconcentrationsinplasma
vs.timcfbr24口hrcontinuousinfusionofcisplatin
… …totalPt
,filterablePt
μ9Pt/ml
2,0
、← ゆ"●
、
ノ〃
1.0
、、
悔毯液=金:=:竣
ノ多
多多
.5
一→ 層一■噸
奪 畷:::s:■
一.明開 誘:::t-.一
△-o亀
翼
一n・ 一層一一v一冒一一一●
一.魑 鴨・
一
膏===・
・ツ'h噂 開 ・=毯
〆
r
.1
x
ト
.05
.Ol
06
24
tstartotinfusion
48
帥
0123
倉 。.d。fi.tusi。n
F{g.3.Semilogarithmicplotofplatinumconcentrationsinplasma
vs.timef()r48-hrcontinuousinfusionofcisplatin
… …totalPt
,filterablePt
hr
5
7
24
958
泌 尿 紀要35巻6号1989年
μ9Pt/ml
3.0
2.0
1.0
,5
.1
,05
.01
061224
48
72
96
H
5
O123
曾startotinfusion
侶
22
tend◎finfu8ion
Fig.4.Sem晃logarithmicplotofp互atinumconcentrations三nplasmavs.
timefor96-hrcontinuousinfUsionofc三splatin
… …totalPt
,一
丘1terablePt
TableI.Relationshipbetweennon-protein
boundPtrateinplasmaandinfuiontimeduring25mglm2/day
continuousinfusion
lnfusion
time
Fitte「abi"/
T。,。1
%
100
十
FilterablePt/TOtalPt(olo}(n)
3hr
41.7±21.6
(12)
6hr
29.0±108
{9}
24hr
15.8±5.0
(9}
48hr
18.6±12.6
{9}
72hr
9.2±3.5
〔4}
96hr
7.9±4.4
{4)
●
50
亀十
'」・辱
喰
▼
▽
●
む ム
x・▽
、.」 へ
の のTlt2β
の 著 明 な 延 長 が 認 め られ た.Cltotは2.03
∼8 .8011hr/m2と
ム
ナ ロ
o
o
10
比 較 的 低 値 を 示 した.AUCは24時
くゆ
△r呂 △
◎◎・。
ロo
ム ◎▽
£ ・▽ ▽
o▲
。
o
間 持 続 点 滴 で3.67μ9・hr/ml,48時
μg。hr/ml,96時
た.定
間 で 平 均14.75μg・hr/mlで
常 状 態 で の 血 中fjlt-Pt濃
最 高 血 中 濃 度Cmax〔fiit・Pt〕
(3)副
聞 で 平 均13.68
度(Css)は
あ っ
実 際 の
に 近 い 値 で あ っ た,
作 用 の 結 果(Table3)
嘔 吐 回 数 の 平 均 は3組
に あ る が,嘔
.1
.5
1.0
2.Oμ9/mI
1「otalPt
Fig.5.Re正ationshipbetweennon-proteinbound
PtrateandtotalPtinplasmadu且ng25
mg/m21daycontinuousinfusion
と も持続 点 滴 法 が 少 な い傾 向
気 持 続 日数 は 短 期 静 注 法 に お い て 短 縮 さ
れ る 傾 向 に あ っ た,骨
.05
髄 抑 制 につ い て 評価 症 例 数 の 関
係 よ り一 定 の 傾 向 は 得 られ な か っ た 、 持 続 点 滴 法 に お
い て1例 に血 清 ク レア チ ニ ン値 上 昇 を 見 た が ,そ の 上
昇 は一 時 的 な もの で あ った.
日裏,ほ
Table2.
か=Gisplatin・
959
持 続 点滴
Pharmacokineticparametersof創terablePtinplasmafrompatientsrecelvlng
25mg!m21daycont1nuousinfusionofcisplatin
Pa電le,tTotaldoselntusl・
⑳ Φ(min)
K12
・TlmaT112βK21ti
me{hr)
1
Kie
〔hr-1}Chr}{hr"1}
VIVssCltot
{hr-1)
AUCCmaxIFP電
{t)U}〔t/hr/m2}
】CSs
{μ9・hr/ml){μ9/ml)Cμ91ml}
24416a80,2040.4890、38728,t95.66.80
367
O.1380153
2
80
娼
9.10
O.1900189
3
64
4816.015.20.063070118905364.77.87
6.35
O.1290.132
4
68
481ア.749.90.0180.5391,8072.679.53.42
14.61
02740.304
5
80
4813.76330,0t50.7912,2401.47872.03
24.64
0.4380.513
6
144
9624.464.80.02208アOO.8219.7388.95.51
18,13
O.1540.S89
7
168
9630.712.00,11書0.6040,69821.2135,68.80
11.37
O.1140,118
7.5360.3162,07333692.619.75.49
Table3.Toxicity
Thr㎝b㏄ ゆenia
しeUC㏄ytOpenia
NO,olu㎝itingOurationot
episodesnaUSea(dayS}
Creatinine
〈2、000〈3,000Vμe〈5xlO4〈15x104{1μt[2,5〈1.7く
〔mgtml}
96hrscontinuOusinfusion9.6=ヒ4.5
6.4±1.8
4/40
414
0
00
Shor電terminfusion11.0±4,7
5,8士1
4/73/7
5/7
2!7
1〃0
4BhrscentinilOUSinfusion
0.3土0、8
3,1士3.
1/84!8
118
0
01'8
SherttermiBfusion
0.5士1,0
1.3土2.
2141/4
0
2!4
01/4
30hrscontinuousintusion
3.3±1.2
5.ア ±2.
02/3
O
0
00
1/21/2
o
2/2
00
ShortterminfUSIon
9.5
4.O
Table4.ReportedvaluesoffilterablePtinplasma
dosetime
15min
1,74±0.21,46,2=ヒ20,21.49±0.7620,2±9,031,7±10,3川
10〔hg/mt
8min
TO〔hg/mt
bolus
12〔hg/m・
30min
100rg/㎡
24hrs
26.2
125r鴨9/m・
5days
178
・
20〔h巳/nv
5days
5days
17.4
ロ}4
5.42il,
9,613,
122±7.4
9.2土2.515,
9.5∼47.5,50.9∼175.422,1±8.6
(hr)
察
3.3∼9.5川
態 を 明 らか に し,c三splatin持
少 な く,抗 腫 瘍 効 果 の 上 で従 来 の投 与 法 との 優 劣 は 臨
床 的 に 証 明 され て い な い.cisplatin持
に お い てcisplatin少
,8
39
持続 点 滴法 の有 効 性 を 評 価 した報 告 は
拠 に は 二 つ あ る.一
4、83馴2レ
9.7±0,2,40.4土2.51e;
る と され る非 結 合 型Pt「 ・s)を含 むfilt-Ptの
考
Cisplatinの
(μ9.hr/mt)(t)(t/hr/min)
(min)
5〔hg/m・
15【hg!旧
AUCVdCltot
↑1/2
Tot8君Infusion
つ はDrewinkoら
続点滴法の根
がinvitro
量 長 期投 与 が 抗 腫瘍 効果 の 上
続 点滴法を薬理学的に
評 価 した.
25mg2m2/day(1.04mg/m2/hr)の
速度 で 点 滴 を
開 始 す る とfilt-Pt値 は 多 くの例 で 点 滴 開 始6時
るい は12時 間 後 に一 時 的 に 減 少 す るか,3時
等 で あ った.こ れ は非 結 合 型Ptが
で大 量 短 期 の 接 触 と同 等 で あ る と 報 告 した こ とで3),
る こ とに よ る も の と考 え られ,蛋
も う一 つ は 副 作 用 の 緩 和,と
が200minで
くに消 化 器 症 状 と腎 毒性
血中動
間あ
間値 と同
血 漿 蛋 白 と結 合す
白結 合 のhalflife
あ る9)と い う事 実 は こ れ を裏 付 け る と
の軽 快 が 認 め ら れ て い る こ とで あ る4-6,.今 回25
思わ れ る.ま
mg/m2!dayの
は,点 滴 時 聞 が72時 間 以 上 経 過 し た と き,あ るい は
持 続 点 滴 を行 ない.抗
腫 瘍 効果 を有 す
た,蛋
白非 結 合 率 が10%以
下 とな る の
泌尿紀要35巻6号1989年
960
tQ電alPtが1.oμ9/ml以
Cisplatin投
上 と な っ た と き で あ っ た.
与 終 了 後 の 血 中filt-Ptの
あ る.cisplatinは
減 衰 は,短
応 し,低
期 静 注 法 に お い て は二 相 性 の 減衰 を示 す こ とが 証 明 さ
Yatcsら18)に
れ て お り8・1。
・Is),し か も 点 滴 終 了 後3∼5時
pl・ti・,2)m・
filt・Ptは
間 で血 中
測 定 限 界 以 下 と な っ て し ま う8・10・11).今 回
の 持 続 点 滴 の 結 果 で も 投 与 後 のfilt・Ptは
衰 を 示 した が,投
認 め ら れ,48時
与 終 了5時
二相性の減
間 後 も測 定 限 界 以 上 の 症 例 も あ っ た.
そ れ と 関 連 し てTit2pは31.1±27.lhrで,Tablc
'1に 示 す 短 期 静 注 法 のT1'2と
り,こ
たBues-Charbitら
間 の 持続 点 滴 を行 っ
の 結 果:4)と
大体 等 しい も の で あ
った.
に お い て3時
AUCは
薬 物 動 態 学 上,重
要 な パ ラ メ ー タ ー の1つ
speciesが
抗
腫 瘍 効 果 を 考 え る 上 で 重 要 な 意 味 を 持 つ.今
回 え られ
のAUCと
比 較 し て,総
3倍 以 上 の 値 を 示 した
示 す 短 期静 注法
投 与量 が 等 しい場 合 に は約
同 じ よ う なAUCの
増 大 が,
最 近 の5日
間 持 続 点滴 の 報 告 に お い て み ら れ て い
る13-15).総
体 内 ク リ ア ラ ソ スCltotは
薬物 が体 内 か
ら消 失 す る 速 度 を 表 わ す パ ラ メ ー タ ー で あ る が,今
のfilt・PtのCltotは
回
比 較 的 低 値 で あ り,filt-Ptの
消 失 を 低 値 で 維 持 し て い る と い え る.以
持 続 点 滴 で の 血 中filt-Ptの
各 パ ラ メ ー タ ー は,短
期
持 続 点 滴 法 に よ り消 化 器 症 状 と 腎 毒 性 が 軽 減 で き る
と す る 報 告 は 多 い4・5),salcmら5)は20mg/mlday・
5日 間 の 持 続 点 滴 の 結 果,42%に
のcisplatinを
の 報 告 で は,短
期 大最
投 与 し た 直 後 は 腎 尿 細 管 のfreePt
に 対 す る 再 吸 収 能 がsaturationを
の 尿 中 排 泄 が 増 加 し.後
起 こ し,freePt
に 血 ・尿 中 のPt値
る と 再 吸 収 能 は 再 び 高 ま る と い う16).こ
が減 少 す
の こ と か ら,
持 続 点 滴 はfreePtに
対 す る 腎 尿 細 管 の再 吸収 能 を
一 定 の 範 囲 に 保 ち,生
体 内 のfrcePtの
へ の 移 行 あ る い は 組 織 よ りの 帰 還,③
泌 ・再 吸 収,な
が,持
織
腎 で の 排 泄 ・分
ど に よ り影 響 を 受 け る と 考 え られ る
続 点 滴 で は(2)と(3)に お い て 血 中filt-Ptが
よ くふ る ま い,生
体 内 で の 滞 留 時 間 が 延 長 し,短
効率
期静
注 法 に 比 し薬 理学 的 に 有 利 な 効果 が持 続 点 滴 で は 期 待
platinの
回 の よ う にfilt-Ptの
血 中 動 態 か らcis・
効 果 を 薬理 学 的 に 評 価 す る うえ で 問 題 とな
る の は,filt・Ptす
mlの
下 の血 小
輸 液 が 腎 毒 性 予 防 の た め に 必 要 で あ る こ と6)な
どが 指 摘 さ れ て い る.Forasticrcら
与 と 持 続 点 滴 法 を 比 較 し,腎
両 者 の 有 意 差 は な く,消
と低Mg血
結 果 で は,比
】5)は 連 日 間 欺 投
毒 性 は長 期 間 の観 察 で は
化 器 症 状 も 同 等 で,骨
髄 抑制
症 は 後 老 が 強 い と 報 告 し た.わ
れ われの
較 的 高 度 の 消 化 器 症 状 は,持
続点 滴で
は 少 な くな る 傾 向 に あ る も の の,嘔
た.ま
た,cisplatinに
気 の 持 続 日数 は 短
よる 腎毒 性 の機 序 もい ま だ充
分 解 明 さ れ て お ら ず,血
意 見 や,腎
ぺ て が 抗 腫 瘍 活 性 を 持 っ たfrecPt
で構 成 され て い る とは必 ず し も言 え な い とい うこ とで
中Ptのpeaklevel2。)が,
度21)が
組 織 内 のPt濃
腎 毒 性 と相 関 す る と い う
度 が薩 接 影 響 を与 え て い る
と い う報 告22〕が あ る.腎
毒 性 を 有 す る の はfilt-Ptで
あ つ て23),持
続 点 滴 で は 血 中 創t-Ptのpeakleve1
や 尿 中Pt濃
度 は 低 値 で あ る が,腎
に つ い て は 不 明 で あ り,こ
組 織 内 のPt濃
度
の面 で の持 続 点 滴 の評 価 も
今 後 の 課 題 で あ る.
結
語
持 続 点 滴 を11例 に施 行 し,点 滴 中
お よび 点 滴 終 了 後 の 血 漿 中 のtotalPt,filt・Ptを
定 した.さ
ら に,2コ
測
ソパ ー トメ ン ト ・モ デ ル に 従
い,非 線 型 最 少 二乗 法 に よ りfilt-Ptの 各 種 の 薬 理学
的 パ ラ メー タ ーを 算 出 した.
2.点
滴 終 了後filt・Ptは 二 相性 の減 衰 を示 し,点
滴終 了22∼24時 間 後 で も測 定範 囲 内 に あ った.filt-Pt
のTl!2ρ の延 長,Cltotの
で き る と 思 わ れ た.
さ て,今
か し近 年 の 報 告
続 点 滴 の19%に5×104/Sti以
LCisplatinの
織 ・血 中 で の 蛋 白 結 合,(2)組
消 化 器 症 状 を認 め
あ っ た と した.し
板 減 少 が み ら れ た り19),持 続 点 滴 と い え ど も一 日3000
濃 度 を比 較
的 長 時 間 維 持 す る こ と が 可 能 と 考 え ら れ る.freePt
の 生 体 内 動 態 は,(1)組
毒 性 は5%で
あ る い は 尿 中Pt濃
腎 再 吸 収 能 は 投 与 方 法 に よ り異 な る こ
とが 言 わ れ て い る.Reeceら
れ らfilt・Ptの
期 静 注 法 の も の よ り少 な く と も短 か くは な らな か っ
上 の こ とか ら
静 注 法 に 比 し 薬 理 学 的 に 有 利 な 結 果 と な っ た.
Cisplatinの
間 以 降 は ほ と ん ど 認 め ら れ な く な り,
持 続 点 滴 に お な て い か な る 動 態 を 示 し,抗
に よ る と,持
お い てfilt・PtのAUCは
た 持 続 点 滴 のAUCは,Table4'に
・mpl・x…3)
大 別 で き,1)はinv三tro
抗 腫 蕩 活 性 が み ら れ な い.こ
ず,腎
で あ る が,cisplatinに
・hi・
・i…ub・titi・n・
腫 瘍 活 性 に ど ん な 影 響 を 与 え る か は 不 明 で あ る.
比較 して 延長 し てお
れ は40mg!m2/day,5日
よ れ ばfilt-Ptは1)unchangedcis-
hydro!ysisproductsに
2)は
間 後 で も 血 中filt・Ptは
蛋 白 以 外 に も 血 中 の 多 くの 物 質 と 反
分 子 量 物 質 と の 結 合 型 も 見 ら れ る17).Daley-
低 値 が 認 め られ,AUCは
短 期 静 注 法 の3倍 以 上 の値 を 示 し,薬 理 学 的 有 利 性 を
認 め た.
3.副
作 用 では,消 化 器 症 状 の 高 度 の 嘔 吐 は 持 続 点
滴 に よ り改善 され る傾 向に あ る もの の,嘔 気 の 持 続 日
日 裏,ほ
か:Cisplatin・
数 は 短 縮 され な か った.腎 毒性 は軽 度 で あ った 。
本論 文の要旨は第25回 日本癌治療学 会総会 にて発表 した.
961
持続点滴
13)Bell五veauJF,PosnerMR,FerrariL,
crabtreeGw,cummingsFJ,wiemannMC,
O,LearyGPJr,GriffinH,PhaneufMA,
文
1)高
田 寛 治3臨
献
床 薬 物 動 態 学,ppl-39,薬
0,RourkeAandCaiabresyP:αsplatin
業 時 報 社,
administeredasacontinuous5-dayinfUsion.
PlasmaplatinumIevelsandurineplatinum
東 京,1982
2)山
岡
清=マ
PP15-143,南
イ コ ン に よ る 薬 物 体 内 動 態 解 析 法,
江 堂,東
京,1984
Breantv,canoJpandRaybaudc:con-
Theeffectofcis-diammine-dichloroplat-
tinuousofhigh欄dosecisplatin三nchildren.
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dichloroplat量num(II)
administeredasa
constant5.dayinfuson.
CancerTreatRep
64=905-908,1980
15)ForastiereAA,BelliveauJF,GorenMP,
VogelWC,PosnerMRandO,LearyGP
JR=Pharmacokinet三candtoxicitycvaluation
JabbouryKand
5)SalemP,KhalylM,
Cis.diamminedichloro-platinum
continuousinfusion.Cancer
(II)by5卿day
6)PosnerMR,Ferrar三
offive・daycontinuousinfusionversusinter圃
mittentboluscis・diamminedichloroplatinum
(II)inheadandneckcancerpatients。
CancerRes48=3869-3874,1988
53:837-840,1984
L,BelliveauJF,
Cum皿ingsFJ,WiemannMC,0,RourkeA,
WeitbergABandCalabresiP:AphaseI
ロ
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HashimiRl
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(1989年1月18日
迅 速 掲 載 受 付)