地震物理学(井出,中谷) 第14回2009/07/09 まとめ 氏名 ・350 C以上で

地震物理学(井出,中谷)
第14回2009/07/09 まとめ 氏名
4-6 すべりの長期安定性モード.
・350 C以上で断層が地震をおこさないで,
すなわち,
aseismicに定常すべりしていることと,
摩擦実験において,
その程度以上の温度では湿潤岩石のA-B値が
正になることは整合的である.
・断層上のある領域を設定して,
その領域での長期的滑り量(断層のすれ違い量)のうち,
地震性
の早いすべりによる滑り量の割合をseismic
coupling
という.
・断層上の長期安定な領域のとなりで地震がおこると前者の領域では剪断応力が上り
afterslip
する.
5-1 地震ラプチャの(大局的)サイズ依存性.
・ラプチャ域のアスペクトレシオが1に近い地震のモーメントM0は,
静的応力降下Δτとラプチャ
面積Sを用いて,
(式) M 0 = Δτ
( S ) とかける.
また,静的応力降下Δτは,Sと平均滑り量D,岩盤の
3
剛性率μを用いて(式) Δτ = µ D / S とかける.ほとんどの地震でΔτは,
0.3MPaから
30MPa程度
の範囲であり,ラプチャサイズへの系統的な依存性はない.
地震発生層全体をラプチャするような
極端に大きな地震では,M0
の断層水平長さへの依存性が,
中小の地震の場合より弱くなる.
・いわゆるslow
earthquakeを除けば,破壊伝播速度はラプチャサイズによらず
3
km/s程度で
あり,
ラプチャ継続時間はラプチャの空間1次元サイズに
比例する.
遠地
変位波形のスペク
トル振幅は,
ラプチャ継続時間に
反比例するコーナー周波数以下
では一定であり,コーナー
周波数以上
では,
周波数の-2乗で落ちていく(いわゆるオメガスクエア).
・一定の
応力降下
で規定される食い違い変位分布をもつ円形クラックが一定の破壊伝播速度で
拡がっていくSato-Hirasawaの震源モデルは,時間の2乗で成長するモーメントレート関数を産み出
す.
したがって,
遠地
変位波形は,時間の2乗で立ち上り,
遠地
速度波形は時間の1乗で立ち上
がる.
いずれの振幅も,
応力降下量の
1乗に,
破壊伝播速度の
1乗に比例する.
・いわゆる幾何学的相似則が成り立つ範囲では,
マグニチュードが1増えると,
ラプチャの1次元
サイズが
10 倍に,
ラプチャの面積が
10倍に,
モーメントが
10 10 倍に,
それぞれ大きく
なる.
(応力降下量は同じとして考えよ.
)