最小公倍数、最大公約数の基本性質 風あざみ 2014/03/23 a, b を正の整数とすると以下のことが言える。 定理1:a, b の公倍数は、a, b の最小公倍数の倍数である。 証明:a, b の公倍数 k を任意にとる。a, b の最小公倍数 n をとる。ここで、k が n で割り切れないと仮定する。k を n で割ったときの商を q 、余りを r と すると、以下のように書ける。 k = nq + r, 0 < r < n k, n は a, b の公倍数だから、整数 s, t, u, v が存在して、k = as = bt, n = au = bv とかける。よって、 r = k − nq = a(s − uq), r = k − nq = b(t − vq) より、r は a, b で割り切れる。よって、r は a, b の公倍数となる。ところが、 0 < r < n より、r は n より小さな正の整数である。これは、n が a, b の最小 公倍数であることに反する。したがって、k が n で割り切れないという仮定は 誤りであることがいえる。よって k が n で割り切れること、即ち定理1がい えたことになる。 □ 定理2:a, b の公約数は、a, b の最大公約数の約数である。 証明:a, b の公約数 d を任意にとる。a, b の最大公約数 g をとる。g と d の最 小公倍数 m をとる。d, g は a, b を割り切るから、定理1より m は a, b を割り 切ること、つまり m は a, b の公約数であることがいえる。g は a, b の最大公 約数だから m ≤ g がいえる。一方、m は g の倍数だから、整数 c を用いて m = gc とかける。m ≤ g より、c ≤ 1 がいえる。また m, g は正の整数だか ら当然 c > 0 がいえる、したがって c = 1 がいえる。このことは g = m を意 味する。m は d の倍数だから当然 g は d の倍数である。よって、定理2はい えた。 □ 1 定理3:a, b の最大公約数を g とするとき、a, b は整数 a′ , b′ を用いて、 a = ga′ , b = gb′ と書ける。このとき a′ , b′ は互いに素となる。 証明:a′ , b′ が 2 以上の公約数 h をもつと仮定する。整数 a”, b” を用いて a′ = ha”, b′ = hb” と書ける。このとき、 a = ga′ = gh · a”, b = gb′ = gh · b” だから a, b は gh を公約数に持つことがわかる。しかし gh > g だから、a, b の最大公約数が g であることに反し不合理。したがって、a′ , b′ は互いに素と なることがいえた。 □ 定理4:a, b の最小公倍数を n、最大公約数を g とするとき、gn = ab とな ることがいえる。 証明:a, b は整数 a′ , b′ を用いて、a = ga′ , b = gb′ と書ける。 ここで、整数 ga′ b′ を考える。 ga′ b′ = ab′ = ba′ だから、整数 ga′ b′ は a, b の公倍数である。よって定理1より ga′ b′ は n で割 り切れる。よって整数 w が存在して nw = ga′ b′ とかける。n は a, b の最小公 倍数だから整数 i, j が存在して n = ai = bj とかける。よって aiw = ab′ , bjw = ba′ より、iw = b′ , jw = a′ がいえるから、w は a′ , b′ の公約数である。また n, ga′ b′ はは正の整数だから 当然 w > 0 がいえる。ここで、w ≥ 2 と仮定すると、w は a′ , b′ の 2 以上の 公約数となり、定理3に反する。よって w = 1 つまり、n = ga′ b′ がいえる。 したがって gn = ab がいえた。 □ 2
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