ユリ切り花栽培における土壌還元消毒技術(6月)

ユリ切り花栽培における土壌還元消毒技術
ユリ切り花栽培では、連作施設において根傷みの発生による生育不良や切り花品質の低下が問
題となっています。この対策として薬剤消毒や蒸気消毒等が導入されていますが、近年、環境面
やコスト面から土壌還元消毒を導入する事例が増加しています。県内の導入事例をもとに、ユリ
切り花栽培における土壌還元消毒について紹介します。
1 土壌還元消毒とは?
(1)多量の水と分解の早い有機物(米ぬか等)及び太陽熱を利用して土壌の還元化を促進し、
土壌病害虫を死滅させ増殖を抑える技術です。北海道立道南農業試験場で開発された土壌消
毒方法です。
(2)還元状態で生成する有機酸と、太陽熱や発酵熱による殺菌・殺虫効果が期待できます。
(3)県内では、施設栽培を中心として、きゅうり・メロンのネコブセンチュウやトマト・ナス
青枯病等の土壌病害に対して、環境に優しい土壌消毒技術としての導入が進んでいます。
(4)花き栽培における防除効果が確認されている事例はまだ少なく、他県ではアスター・スト
ック萎凋病やトルコギキョウ株腐病の防除効果が確認されています。
2 処理方法
(1)処理時期:6月中旬~9月
(2)準備するもの:
ア 米ぬか(またはフスマ等分解の早い有機物)処理面積 1 a当たり 100kg
イ 透明ビニール(古くても良いが、破れのないもの)
(3)処理手順
①処理前に土壌を均平に耕うんします。
②米ぬかを均一に散布し、よく混ざる
ように耕うんします。
③散水チューブ等で十分
十分なかん
十分なかん水
なかん水を行います。
(水たまりができ、入れなくなる程度)
④ビニールで表面を被覆し、ハウスを
3週間以上密閉します。
⑤ビニールを剥ぎ、土壌を乾燥させてから耕うんします。耕うん後、1週間程度放置してから作
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付を行います。
3 ユリ切り花栽培での導入事例(平成 22 年度現地課題解決研修成績書より)
(1)事例 1:連作による生育障害発生ほ場への土壌還元消毒技術導入
ア 耕種概要
(ア)品種:シベリア(オランダ産輸入球根、18/20cm)
(イ)定植:平成 22 年 8 月 4 日(出庫後、2 週間芽伸ばし処理実施)
(ウ)土壌還元消毒:米ぬか 100kg/a、平成 22 年 7 月 10 日~ 8 月 3 日
イ 結果の概要
(ア)土壌還元消毒区は順調な生育で採花率・切り花品質ともに良好であったが、無処理区
は上根の根傷み障害から生育不良となり、疫病等の発生により収穫できなかった。
(イ)前年の抑制作型及び切り下季咲き作型において、上根の根傷みや疫病の発生により採
花率・切り花品質の低下がみられており、土壌還元消毒によって症状の改善が見られた。
写真 1
収穫時の生育状況(左:土壌還元消毒区、右:無処理区)
(2)事例2:土壌還元消毒の 2 年連続処理
ア 耕種概要
(ア)品種:マレロ(オランダ産輸入球根、20cm/up)
(イ)定植:平成 22 年9月9日(芽伸ばし処理後定植)
(ウ)土壌還元消毒:米ぬか 100kg/a、
平成 22 年 7 月 29 日~9月2日
イ 結果の概要
(ア)切り花品質は 2 年連続処理区が高かったが、無処理区
(前年度土壌還元消毒実施、今年度無処理)についても土
壌還元消毒実施前のような極端な品質低下(葉の枯れ上が
り等)は見られなかった。
(イ)2 年連続処理区で雑草の発生が少なかった。(写真 2)
写真 2
雑草の発生量
(手前が土壌還元消毒区、奥が無処理区)
4 導入にあたって
(1)県内事例では、土壌還元消毒は蒸気消毒に比べるとやや効果が劣りますが、ユリ切り花の
連作障害対策の一つとして有効であると思われます。
(2)砂丘畑等の排水の良いほ場では、水分不足により効果が見られなかった事例もありますの
で、障害発生状況や栽培条件、他の連作障害対策などをあわせて考えていく必要があります。
(3)導入する際は、ほ場に投入した有機物(米ぬか等)が分解されて窒素分が供給されるため、
施肥量を削減する必要があります。特にカサブランカ等の茎の柔らかい品種は注意してくだ
さい。
【経営普及課専門技術指導担当
小田 正之 】
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