金 沢 港 (大 野 地 区 )防 波 堤 (西 )L - 2 ’ 区 間 (異 形 )基 本 ・ 細 部 設 計 設計室 1. 概要 金 沢 港 ( 大 野 地 区 ) 防 波 堤 ( 西 ) は 、 港 内 全 体 の 静 穏 度 対 策 事 業 と し て 、 昭 和 42 年 に 現 地 着 工 し 、 平 成 9 年 度 ま で に 計 画 延 長 3,510m の う ち 3,073.72m ま で 延 伸 さ れ て いる。 本 設 計 は 、 当 該 防 波 堤 に お け る L - 2 ’ 区 間 (異 形 )25.68m に つ い て 、 平 成 21 年 度 に検討した設計条件を踏まえ、基本設計及び細部設計を行うものである。 設計対象区間を図-1、2に示す。 図-1 設計対象位置図 ( 目 地 に よ る 伸 び を 考 慮 0.12m×5 箇 所 ) 図-2 設計対象区間割平面図 2. 設計条件 金 沢 港 ( 大 野 地 区 ) 防 波 堤 ( 西 ) L - 2 ’ 区 間 (異 形 )の 設 計 条 件 を 表 - 1 に 示 す 。 設計区間は異形函となることから、基本設計においてケーソン形状3案を比較して おり、入射角βを図-3のとおり形状毎に設定している。 表-1 設計条件 金沢港(大野地区)防波堤(西) L-2'区間(異形) 【参考】M区間 備 考 【参考】L-2区間 25.68 区間延長 L (m) 設計水深 h (m) -15.0 マウンド水深 (m) -11.5 H.W.L (m) +0.5 L..W.L (m) ±0.0 (m) +6.0 設計波高 H1/3 (m) 9.1 設計波周期 T1/3 (s) 13.5 最大波高 Hmax (m) 12.8 入射角 β (°) 設計潮位 天端高 72.6 20(標準部) 20 L-2区間は目地延長 0.6mを含む 38.0 0.6H1/3 +H.W.L 0(屈曲部) 案①及び② 1 15 案③ 50 設計耐用年数 (年) 土質条件 設計水深 -15.0 【-15.0m】 砂質土 砂質土 γ’= 10.0 kN/m3 粘性土 砂質土 粘性土 γ’= 7.76 kN/m3 粘性土 砂質土 γ’= 10.0 kN/m3 粘性土 γ’= 7.83 kN/m3 砂質土 砂質土 γ’= 10.0 kN/m3 粘性土 粘性土 γ’= 7.68 kN/m3 φ=37° γ'=10kN/m3 【-29.3m】 Φ = 37° C=79.37kN/m2 γ'= 7.76kN/m3 【-33.2m】 φ=38° -29.3 γ'=10kN/m3 C【-35.0m】 = 79.37 kN/m2 -33.2 C=70.56kN/m2 Φγ'=7.83kN/m3 = 38° -35.0 【-38.3m】 Cφ=34° = 70.56 kN/m2 -38.3 γ'=10kN/m3 Φ【-41.3m】 = 34° -41.3 C=113.33kN/m2 γ'=7.68kN/m3 C = 113.33 kN/m2 【-45.2m】 -45.2 圧密沈下量 40cm ※堤体入射角βは危険側±15°補正後である。 部】 案①②【標準 0°) N85.5W(β= 設計波 ) N49.0W(β=20° 0°) N85.5W(β= 設計波 ) 20°N49.0W(β=20° 20° 案①② 【屈 曲部】 設計 波 N49.0W (β=0 °) 20° 15° 5.5° 案③ L-2区間 β=20° N65. 5W(β =0° ) 1° 設計波 N49.0W (β=1 °) N80.0W(β=0°) 設計波 N49.0W(β=15°) 今回新たに算出 β=15° (波浪緒元はL-2、Mと同様) L-2'区間 図 - 3 設 計 波 及 び β = 0 °と な る 波 向 き M区 間 β=1° 3. 基本設計 3-1 設計の基本的な考え方 既設計区間の実績を踏まえ、防波堤の検討断面は、フーチング付きケーソン式混 成堤(摩擦増大マットあり)とし、上部工形状も、後部パラペットとする。 なお、検討にあたっては、図-4に示すとおり3案を比較し、最適断面を検討す る。 【案①】 【案②】 防波堤法線に合わせた形状 港内側屈曲部なしの形状 【案③】 港外港内ともにフラットな形状 図-4 検討断面 3-2 構造諸元の検討 (1)施工条件 ① ケーソン製作は、フローティングドックで全層製作することを想定する。 ② 引 出 水 路 及 び 航 路 水 深 は -10.0m、 仮 置 き マ ウ ン ド 水 深 は -9.0m で あ る 。 (2)ケーソン形状 ① 吃 水 は 、 仮 置 き マ ウ ン ド 水 深 -9.0m か ら 0.5m 程 度 の ク リ ア ラ ン ス を 確 保 す る た め 、 -8.5m を 目 安 と す る 。 ② ケーソン幅は、滑動・転倒の安定性により決定する。 ③ 延 長 は 、 25.68m と す る 。 ④ フーチングの有無は、隣接区間の検討結果を参考として「有り」とする。 (3)根固工 根固方塊は、港外側に 2 列、港内側に 1 列設置する。 諸 元 は 、 港 外 側 が L5.0×B2.5×T2.2m、 港 内 側 は 、 港 外 側 の 1/2 程 度 と す る 。 (4)被覆工 基礎捨石の飛散を防止するため、管内実績より港外側は被覆ブロック、港内側 は 被 覆 石 (1t/個 )で 捨 石 マ ウ ン ド を 保 護 す る 。 港外側の被覆ブロックについては、衝撃砕波が発生しないよう天端水深を低く 抑えるため被覆ブロック1層整積とする。 また、被覆ブロックの所要質量は、既設防波堤被覆の状況及び現地実績よりパ ラ ク ロ ス で 算 定 し 、 公 称 重 量 10t 型 を 想 定 す る 。 (5)上部工 上部工形状は、後部パラペットを採用することとし、これまでの水理模型実験 及び管内の施工実績から、以下のとおり設定する。 また、図-5に後部パラペット及びスポットリーフの基本配置図を示す。 ① 天 端 高 (完 成 時 )は 、 前 壁 天 端 高 を 0.4H 1 / 3 +H.W.L.= 4.2m 、 パ ラ ペ ッ ト 天 端 高 を 0.6H 1 / 3 +H.W.L.= 6.0m 、 ス ポ ッ ト リ ー フ を 5.1m ( 前 壁 と パ ラ ペ ッ ト 天 端 高 の 1/2) と す る 。 ② 後 部 パ ラ ペ ッ ト 幅 は 、 隣 接 区 間 に て 確 保 さ れ て い る 3.0m 以 上 と す る 。 ③ 後部パラペット設置位置は、位相差による波圧減衰効果を考慮するため、 隣 接 区 間 と 同 様 の 相 対 距 離 ( B1/ L1/3≒ 0.10) を 確 保 で き る よ う に 配 置 す る 。 ス ポ ッ ト リ ー フ の 形 状 は 、 施 工 実 績 の あ る 2.0m×2.0m(2 列 )と す る 。 配 置 に つ い て は 、 過 去 の 実 験 よ り ス ポ ッ ト リ ー フ 1 列 目 (港 外 側 )を 等 間 隔 と し 、 そ の 開 口 率 ε =D’ / (D’ + D)が 0.4 程 度 と し た 。 D'/2 ④ D' 2m D 2m B1(L-2側及び案③:15.2m、M側:16m) 図-5 後 部 パ ラ ぺ ッ ト 3m以上 後部パラペット及びスポットリーフの基本配置図 (6)基礎マウンド 基 礎 捨 石 は 、管 内 の 実 績 よ り 200~ 500kg/個 と し 、最 小 厚 さ は 2.0m 以 上 と す る 。 な お 、 法 勾 配 は 、 実 績 よ り 港 外 側 1:3、 港 内 側 1:2 と す る 。 (7)洗掘防止対策 洗 掘 防 止 対 策 は 、 管 内 に お い て 実 績 が 多 い 、 港 外 側 を グ ラ ベ ル マ ッ ト 8.0m (捨 石 30~ 200 ㎏ /個 )と し 、 最 小 厚 さ を 1.5m 以 上 と す る 。 ま た 港 内 側 は 、 既 設 防 波 堤 区間において洗堀が見られないため、マット類とする。 3-3 構造断面の決定 各種条件を踏まえ、3案を比較検討した結果、案③港外港内ともにフラットな形 状による構造断面が最適となった。 図-6に決定断面を示す。 図-6 決定断面図及び安定計算結果 4. 細部設計 基本設計を踏まえ、細部設計を行った。 図-7に完成時の標準断面図を、図-8にケーソン形状図を示す。 図-7 標準断面図(完成時) 図-8 ケーソン形状図 金 沢 港 (大 野 地 区 )防 砂 堤 (F′ 区 間 )堤 頭 部 基 本 設 計 設計室 1. 概要 金 沢 港 ( 大 野 地 区 ) 防 砂 堤 は 、 昭 和 62 年 6 月 の 港 湾 計 画 改 訂 に お い て 漂 砂 に よ る 航路・泊地の埋没対策事業として計画され、平成 3 年度より現地着手されている。 平 成 21 年 度 末 時 点 で 全 体 計 画 延 長 800m の 内 、 基 点 部 よ り 774.8m ( A ~ F 区 間 ) が 設 計 済 み で あ り 、 現 地 に つ い て は 、 533.6m ま で 施 工 済 み と な っ て い る 。 本設計はF区間に引き続き、F′区間(堤頭部)の設計を行うものである。延長 は 、 施 工 目 地 に よ る 伸 び を 考 慮 し 22.6m と し た 。 西防波堤 設計対象施設 防 砂 堤 (F′ 区 間 ) 図-1 設 計 対 象 位 置 図 ( H20 港 湾 計 画 平 面 図 ) 計画延長 800.0m 設計対象区間 22.6m(目地考慮) No.53+3.56 H21d 施工済み(堤体据付)533.56m 未施工 266.44m 未設計 25.2m 設計済み 774.8m 上 部 工 A区間 100.0 A-2区間 75.0 B区間 37.5 B-2区間 87.0 C区間 92.5 +4.2 +3.8 +3.5 +1.4 D区間 171.6 +2.0 E区間(4函) 52.8 F区間(12函) 158.4 +4.5 +4.4 +1.5 堤 頭 函 ケーソン製作 本体ブロック製作 ケーソン据付 本体ブロック据付 -6.0 -7.0 -8.0 凡 例 施工済み 平成22年度施工箇所 図-2 防砂堤実施計画縦断図 2. 設計条件 2-1 水深 ( 1 ) 設 計 水 深 は 、 図 - 3 に 示 す 過 去 5 年 間 ( H17~ H21 年 ) の 深 浅 測 量 値 を も と に 、 現 地 が 堆 積 傾 向 に あ る こ と を 考 慮 し て -11.0m と し た 。 ( 2 )マ ウ ン ド 天 端 水 深 は 、最 浅 部 で も 基 礎 マ ウ ン ド の 最 低 必 要 厚 さ の 1.5m( 副 防 波 堤 並 み ) を 確 保 で き る 水 深 ( -8.0m ) と し た 。 600m -4 650m 700m 750m 基 点 か ら の 距 離(m) 850m 900m 800m 設計済み区間 設計区間 F区間 158.4m F区間 (堤頭部) 22.6m 堤頭函 -5 E区間 52.8m -6 マウンド天端高:-7.0m 水 深(m) -7 マウンド天端高:-8.0m -8 1.5m以上必要 -9 -9.4 -9.6 設計水深:-10.0m -10 -10.1 -10.4 設計水深(設計対象区間) マウンド天端高( 〃 ) -10.7 設計水深:-11.0m -11 設計水深 (設計済み) マウンド天端高( 〃 ) -12 平成17年度 平成18年度 図-3 2-2 平成19年度 平成20年度 数値 赤:平成21年7月 平成21年度 水深経年変化と設計水深 波浪条件 ( 1 ) 本 設 計 区 間 に 作 用 す る 波 は 、 平 成 28 年 完 成 予 定 の 西 防 波 堤 に よ る 回 折 の 影 響 を 受 け る 。そ の た め 、西 防 波 堤 完 成 時 を 50 年 確 率 波 、暫 定 時 を 10 年 確 率 波 と 設 定 し て 比 較 を 行 な い 危 険 側 と な る 波 を 設 計 波 と し た 。表 - 1 に 設 計 地 点 に お け る 各 波 向 の 10 年 確 率 波 及 び 50 年 確 率 波 を 示 す 。 表-1 設 計 地 点 に お け る 10 年 確 率 波 及 び 50 年 確 率 波 項目 W WNW N49W NW N30W 備 考 10年確率波 有義波高 H1/3 (m) 2.24 6.17 7.05 7.02 7.10 有義波周期 T1/3 (s) 8.4 11.9 12.6 12.5 12.5 波向 Dir (°) 290 297 308 308 321 防砂堤方位角 306.1° 堤体入射角 β 50年確率波 (°) 106 99 88 88 75 β=90°- ( Dir - 306.1°) 有義波高 H1/3 (m) 1.26 3.63 5.14 5.45 6.58 有義波周期 T1/3 (s) 9.4 12.9 13.5 13.4 13.3 波向 Dir (°) 321 317 323 323 330 防砂堤方位角 306.1° 堤体入射角 β (°) 75 79 73 73 66 β=90°- ( Dir - 306.1°) ( 2 )本 設 計 区 間 は 堤 頭 部 の た め 、防 波 堤 法 線 平 行 方 向 と 直 角 方 向 に 波 力 を 受 け る こ と か ら 、滑 動 の 性 能 照 査 は 波 の 主 方 向 か ら ±15°の 範 囲 内 で 危 険 側 に 補 正 した波向の合成波力を用いる。算出方法を図-4に示す。 90° その他設計条件 β2 ( 1 )ケ ー ソ ン は 、陸 上 製 作 ヤ ー ド の 制 約 条 件( 900 入射角 β tまで)を満たさないため、FDによる製 P1 (波の主方向) L P2 β1 作とした。 Y方向 先端側 X方向 2-3 0° P 港外側 (2)土質条件は、本設計区間と隣接するF区間 B β1+β2=90° (既設計)と同様とした。 2-4 2 合成波力: P= (P1L) +(P2B) 図-4 設計条件まとめ 合成波の算出方法 防砂堤の設計条件を表-2に示す。 表-2 設計条件 F ′ 区 間 (堤 頭 部 ) 備 区間延長 (m) 22.6 設計水深 (m) -11.0 マウンド天端水深 (m) -8.0 H.W.L. (m) + 0.5 L.W.L. (m) 設計潮位 (m) 6.6 T1/3 (s) 13.3 β (° ) 66 を使用 β′1 (° ) 51 ・転 倒 ,地 盤 支 持 力 ,円 形 す べ り の 安 定 照 査 は β′2 (° ) 39 β′1 を使用 設計波高 H1/3 (m) 7.1 ブロックの安定照査 設計波周期 T1/3 (s) 12.5 β (° ) 75 β′1 (° ) 70 β′2 (° ) 20 入射角 土質条件 天端高算定・堤体安定照査用 H1/3 設計波高 設計波周期 設計波(2) ±0.0 1/200 海底勾配 設計波(1) 考 β ′ :±15°補 正 後 ・滑 動 の 安 定 照 査 は β ′ 1 と β ′ 2 の 合 成 波 10 年 確 率 波 W ~ N 3 0 W の 最 大 波 F区 間 、F′区 間 (堤 頭 部 ) 現地盤 -10.0 ~-11.0 砂質土 φ=35° γ’=10.0kN/m3 -13.0 砂質土 φ=40° γ’=10.0kN/m3 -25.0 砂質土 φ=32° γ’=10.0kN/m3 2 3. 基本設計 3-1 設計の基本的な考え方 (1)防砂堤の検討断面は以下の2断面とした。なお、両断面とも摩擦増大マッ トを使用するものとした。 案-1 ケーソン式混成堤(上部工:全断面型) 案-2 ケーソン式混成堤(上部工:前面パラペット型) (2)混成堤の安定照査に用いる波圧式は合田式とし、滑動の部分係数は、地域 特 性 を 反 映 し た「 北 陸 版 部 分 係 数 」を 用 い た 。安 定 照 査 を 行 う 断 面 は 、灯 台 設 置 前( 西 防 波 堤 暫 定 時 )、灯 台 設 置 後( 西 防 波 堤 暫 定 時 )、灯 台 設 置 後( 西 防波堤完成時)の3断面とした。 (3)滑動の安定照査においては、灯台に作用する波圧・風圧力を考慮した。ま た 、本 設 計 区 間 に て 防 砂 堤 の 計 画 延 長 が 終 了 す る こ と か ら 、法 線 延 長 方 向 の 円弧すべりの安定照査を行った。 ( 4 )基 礎 捨 石 の 飛 散 を 防 止 す る た め に 被 覆 ブ ロ ッ ク で 捨 石 マ ウ ン ド を 保 護 す る 。 3-2 ケーソン及び上部工 ( 1 )ケ ー ソ ン 据 付 天 端 高 は 1.5m+ H.W.L(+0.5m)= 2.0m と し た 。堤 体 幅 に つ い て は、滑動の安定性により決定した。 ( 2 ) 上 部 工 天 端 高 は 0.6H 1 / 3 + H.W.L(+0.5m)= 4.5m と し た 。 3-3 被覆工 (1)被覆ブロックの所要質量算定は、隣接するF区間で採用したペルメックス を 用 い た 場 合 と し た 。さ ら に 、堤 頭 部 で あ る こ と か ら 採 用 質 量 は 堤 幹 部 の 所 要 質 量 の 1.5 倍 と し た 。 4. 決定断面 前述の考え方に基づき、図-5の断面が採用された。 図-5 標 準 断 面 図 ( 提 案 断 面 )( 案 - 1 : 上 部 工 : 全 断 面 型 ) 輪島港(輪島崎地区)防波堤(第6)C・D区間基本設計 設計室 1. 概要 輪島港(輪島崎地区)防波堤(第4)は、能登半島を航行する船舶が荒天時に安全 に避難できる避泊水域を確保するため、昭和53年度より整備が進められ、平成22 年度現在で計画延長 1,210m の堤頭部の整備が進められている。 近年、高波浪の出現傾向が北西方向から北東方向へと変化してきたため、平成21 年3月の事業再評価委員会において、防波堤(第4)の残延長の見直しを行い、北東 側からの波浪を遮蔽する法線計画が防波堤(第6)延長 450m として承認された。 平成21年11月の設計会議において、防波堤(第6)の設計条件(区間割、設計水 深、波浪条件)及び、B区間 80m の構造断面を決定し、現在整備を進めている。 本設計は、B区間に続く、C区間 60m 及びD区間 80m について基本設計を行うもの である。 設計対象施設位置図を図-1に示す。 設計条件(区間割、設計水深、波浪条件) 決定済み区間(450m) 設計対象区間 D区間 80m 設計対象区間 C区間 60m 設計済み区間 B区間 80m 図-1 設計対象施設位置図 2. 設計条件 2-1.構造形式 漁業者の要望や小型船舶の航行安全上から、反射波を低減できる構造とする。 また、漁業者の要望を踏まえ、防波堤を設置することで海水交換が阻害され港内 漁場環境(水質環境)が悪化しないよう、透過式構造(傾斜堤)を前提として検討 を行う。 2-2.設計波高の考え方 消波ブロック所要質量算定に用いる設計波高は 50 年確率波を対象とし、天端高算 定に用いる設計波高については、輪島港の整備計画に基づき防波堤(第4)と同様に 10 年確率波を対象とする。 2-3.設計条件のまとめ 設計条件のまとめを表-1に示す。 な お 、 平 成 21 年 11 月 の 設 計 会 議 で 決 定 し た 区 間 割 、 設 計 水 深 、波 浪 条件について変更は生じていない。 表-1 設計条件のまとめ 輪島港(輪島崎地区)防波堤(第6) 項目 設計供用期間(年) C区間 D区間 50 50 区間延長(m) 60 80 設計水深(m) -16.0 -17.0 設計潮位 50年 確率波 10年 確率波 +0.5 H.W.L.(m) ±0.0 L.W.L.(m) 設計波高 H1/3(m) 5.1 設計周期 T1/3(s) 5.0 堤体安定用 4.4 天端高算定用 12.7 設計波高 H1/3(m) 4.5 設計周期 T1/3(s) 港外60m 備考 波高周期相関式より算定 11.9 港外20m 港外40m 波高周期相関式より算定 防波堤法線 港内20m 港内40m 港内60m -10 C区間 -15 設計水深-16.0m 標高(m) -16.0 粘性土 γ’=6.6kN/m3 港内35.75m c=47.76kN/m2 -20 岩盤 土質条件 圧縮強度 3,542~4,711kN/m2 -23.5 -25 港外60m 港外40m 港外20m 防波堤法線 港内20m 港内40m 港内60m -10 D区間 -15 -17.0 -20 標高(m) 設計水深-17.0m 粘性土 γ’=6.6 kN/m3 -24.0 -25 c=47.76 kN/m2 港内32.73m 粘性土 γ’=6.2kN/m3 c=72.62 kN/m2 -30 -31.7 砂質土 -35 岩盤 γ’=10.0kN/m3 圧縮強度 3,542~4,711kN/m2 φ=36° -40 -45 -45.05 港外60m 港外40m 港外20m 防波堤法線 港内20m 港内40m 港内60m 3. 基本設計 3-1.検討断面 B区間で採用された傾斜堤(捨石堤ブロック被覆式)を基本とし、図-2に示し た3ケースを比較検討する。 (案1)捨石堤ブロック被覆式、被覆ブロック中間層有り (案2)捨石堤ブロック被覆式、被覆ブロック中間層無し (案3)全断面消波ブロック式 消波ブロック 被覆中間層 基礎マウンド 案1 案2 図-2 案3 検討断面 3-2.構造諸元の検討 (1)消波ブロック 所要質量は、安定数Nsを用いたハドソン式により算定し、C・D区間共に 16 t型(テトラポッドの場合)を想定する。天端高は 10 年確率波を基に算定し+3.2m 天端幅は、実績より消波工天端で3個並びとする。 (2)基礎マウンド 基礎マウンドは、越冬時に飛散対策(巻止めブロック)が不要となるマウンド高 さを設定し、捨石質量は案1,3で 200~500kg/個、案2では、他港の事例より 500~1,000 ㎏/個とした。また、マウンド厚さは最小厚さ 1.5m 以上、法勾配は実 績より 1:1 とする。 (3)洗掘防止対策 洗掘防止対策は、管内において実績が多い、港外側をグラベルマット 8.0m(捨 石 30~200 ㎏/個)とし、最小厚さを 1.5m 以上とする。また港内側は、マット類と する。 3-3.圧密沈下の検討 C・D 区間の土質構成は、岩盤上に粘性土層が堆積しており、防波堤築造後に圧密 沈下が想定されるため、圧密沈下計算より沈下量を算出する。 なお、検討断面は案2とし、算定方法としては、m v 法、Cc 法、Δe 法があるが 管内実績より m v 法を用い計算を行う。 (1)C区間の沈下量 計算の結果、防波堤法線から港外側 10mの地点で 35 ㎝の沈下が見込まれる。最 終圧密量 35 ㎝のうち、先行マウンドによる圧密量 27 ㎝となることから、越冬後 に消波ブロックを施工する2段階施工が有効と考えられる。 (2)D区間の沈下量 計算の結果、防波堤法線から港外側 10mの地点で 102 ㎝の沈下が見込まれる。 最終圧密量が 102 ㎝と大きく、C区間と同様に2段階施工を行うのが有効と考え られるが、計算では先行マウンドによる沈下量が 35 ㎝、全断面完成後の沈下量が 67 ㎝となった。 (3)圧密沈下への対応 本構造形式は、ブロック式傾斜堤であり、圧密沈下の他、ブロック自体が波浪 の影響を受け「かみ合わせ」の促進により沈下することも想定される。 施設としては即時に崩壊する危険性は少ないこともあり、事後保全型の構造物 としての対応が考えられる。 3-4.決定断面 決定断面は、C・D区間共に施工性・経済性に優れた案2の構造形式となった。 図-4 C区間の構造断面 図-5 D区間の構造断面 4. 施工上の留意点 施工にあたっては、事前に現地盤の状況を確認し、基礎捨石・帆布・グラベルマッ ト・マット類設置の必要性の有無や範囲を決定する。 また、圧密沈下が想定される箇所では、先行マウンドの施工を捨石(暫定)のみと し、越冬後の沈下状況を確認する必要がある。 敦賀港(鞠山北地区)防波堤K区間 断面変更 設計室 1. 概要 本防波堤は、鞠山地区水域の静穏度の向上を図るため、昭和 56 年度より着手され、 平成 17 年度の港湾計画改訂で延伸された 200m を含む計画延長 1,330m のうち、平成 21 年度末で約 1,128m(~J 区間)が施工され、K 区間まで設計済みである。 K 区間は平成 20 年 12 月の設計会議にて消波ケーソン堤が採択されているが、利用者 から報告されている荷役障害を改善するため、当初設計で想定した港外側反射波の低 減に加え、防波堤の沿い波抑制と港内側反射波を低減可能な構造断面へ変更を行うも のである。設計延長は、堤頭部へ移設する計画の G 区間ケーソン 15m 分を除いた 186.74m とする。 設計対象施設位置図を図-1に示す。 9.60 港外側 0.80 3.90 0.60 港内側 3.90 0.40 0.80 0.40 上床版 +2.80 +2.00 +0.50 L.W.L 当初 K 区間標準断面図 +0.00 6.00 H.W.L +3.20 中詰石(30~200kg/個) 1.00 1.40 -4.00 2.60 根固方塊 1.5Bx0.8Hx2.5L ズリ石 1.50 1.50 0.80 3.90 7.00 7.00 ケーソン 9.6(12.6)Bx16.8Hx15.0L -5.40 0.60 3.90 1.50 0.40 3.50 0.60 -14.00 基礎捨石(30~200kg/個) 4.00 8.00 -13.00 1:2 -13.20 -15.00 摩擦増大マット 9.00 12.60 余盛り範囲 5 1:2. 1:2 ズリ石 5 1:2. 防波堤法線 護岸430m 鞠山防波堤1,330m 設計済区間1558.26m 見直し設計区間 堤頭部 K区間(標準部) 186.74 15.0m 堤頭部 20.73m J 398.26m I 240m H 165m G 150m F E D C B 90m 90m 120m 75m 90m 当初設計区間 K区間(標準部) 181.20m 鞠山北地区 図1 設計対象区間平面図 2. 設計条件 設計条件は K 区間の当初設計と同様の値とした。なお、本施設ではズリ石の先行マ ウンドによる地盤の強度増加を考慮した設計としているため、H22.9 月に実施したチェ ックボーリングデータを踏まえて再検討し、当初設計と同じ強度増加率を採用した。 A 140m 表-1 設計条件のまとめ K 区間 K 区間 (当初) (見直し) 区間延長 (m) 181.20 186.74 設計水深 (m) -26.5 -27.0 マウンド天端水深 (m) -14.0 設計潮位 考 -6.0 H.W.L. (m) L.W.L. 備 +0.5 ±0.0 (m) 1/350 海底勾配 設計波高 H1/3 (m) 2.67 設計周期 T1/3 (s) 12.0 入射角 β (° ) 土質条件 ±15゜補正済 0 原地盤 砂質土 ▽-27.0m (当初-26.5) C=34kN/m2(当初 24kN/m2) γ'=10kN/m3 Af・As 層 砂質土 ▽-30.3m φ=35° γ'=10kN/m3 Ds1 層 粘性土 ▽-31.7m C=69kN/m2 γ'=8.5kN/m3 Df1 層 粘性土 ▽-33.2m C=43kN/m2 γ'=9.0kN/m3 Df2 層 砂質土 ▽-35.1m φ=40° γ'=10kN/m3 Dg3 層 3. 基本設計 3-1.構造形式 漁業関係者から更なる低反射構造を求められていること、また、所定の静穏度を確 保するため、芯壁を設置した傾斜堤とした。また、捨石の投入は 底開式石運船にて行う 事が条件であるため、芯壁(方塊)を消波ブロックで被覆する 「消波ブロック式傾斜堤」 を提案断面とした。 3-2.構造断面の考え方 (1)捨石(ズリ石) 敦賀港で広く使用され、実績も多く安価な「ズリ石」とした。ズリ石の被覆は、消波 ブロック規格とズリ石の大きさを考慮し、抜け出しの観点から 30~500kg/個とした。 法勾配は実績より港外側 1:2.5、港内側 1:2 とした。 (2)捨石天端水深 捨石の投入は、濁り防止のためにガット船から底開式石運船を介して行う必要があ るため、捨石の天端高さはガット船・石運船の最大喫水以浅とならないよう設定した。 使用が想定されるガット船の最大喫水が-4.8m であるため、余裕をもって-6.0m 以深 とし、-6.0m~-8.0m の経済比較を行った結果、マウンド天端水深-6.0m が経済的とな った。ただし、既設区間でも沈下が生じており、本区間も粘性土地盤の圧密沈下等が 想定されるため、消波ブロック及び芯壁方塊下面の捨石を 50cm 余盛することとする。 (3)芯壁(方塊) 所定の静穏度を満足するための伝達率 0.1 以下となる芯壁高さを設定することとし た。算定は「傾斜堤の水理機能に関する実験的研究」(土木試験所報告 1984 年 3 月) に基づいて行い、+1.0m とした。 芯壁(方塊)を 2 個積んだ際に、芯壁脇のブロックを片盛りする事によって作用す る寄り掛かり圧を受けても安定し、かつ、ブロックの縦横比が 1:1 以上となるように、 幅 2.0m×高さ 1.8m、1.6m の組み合わせとした。また、計算上では抵抗を見込まないが、 安全代として方塊にはホゾ・ミゾを設けることとする。 (4)消波ブロック ①所要質量の算定 消波ブロック所要質量は、安定数 Ns 値を用いたハドソン式により算出した。使用ブ ロックをテトラポッドと想定して検討を行った結果、最低規格は 3.2t 型となるが、上 位 2 ランクまでの経済比較を行い、4t 型とした。 ②天端高、天端幅 芯壁天端(+1.0m)上は、消波ブロック安定のために 2 層被覆を確保する必要がある。 消波ブロック採用規格 4t 型の場合の天端高は、芯壁(+1.0m)+2 層厚(2.4m)= +3.4m となるが、方塊の中央部のみを突起させることで、+3.0m までの幅に 2 層被覆をする構 造とした。港内外の反射波を低減させること、両端を均等に被覆することから、港内 外 2 個ずつの 4 個並びとした。なお、他港における事例においても 4 個並びが多い。 (5) 円弧すべり 芯壁は両端を消波ブロックで挟まれているため、滑動・転倒・偏心傾斜荷重による支 持力の照査は実施しない。円弧すべりは芯壁下端、消波ブロック法尻、基礎マウンド 法尻にて実施した。 (6) 圧密沈下 計算では先行マウンド(ズリ石)施工後に約 40cm、当年度マウンド~消波ブロック 据付後に約 20cm の沈下が想定される。なお、隣接区間(消波スリット型ケーソン構造 J-15,J17)の実績では、ケーソン据付後 5 年程度で約 50cm の沈下が観測されている。 消 波 ブ ロ ッ ク 据 付 後 に 生 じ る 沈 下 に 対 応 す る た め 、 基 礎 捨 石 ( 30 ~ 500k g /個 ) の 余 盛 り 行 う も の と し 、消 波 ブ ロ ッ ク 、捨 石 及 び ズ リ 石 の 締 ま り を 考 慮 し て 50 c m と し た 。 また、余盛りの範囲は消波ブロック及び芯壁方塊下面とする。 4. 施工上の留意点 ( 1 )芯 壁 を 被 覆 す る 際 は 、両 端 か ら 均 等 に 圧 力 が か か る よ う 被 覆 す る こ と を 基本とするため、方塊 2 段据付け後に消波ブロックで被覆し、その後に残り の 2 個を据付ける手順とすること。 ( 2 ) 表 層 の Af・ As 層 で は 圧 密 に よ る 強 度 増 加 を 見 込 ん で い る の で 、 先 行 マ ウンドによるズリ石を先行させ、圧密沈下した後にその上の捨石などを施工 すること。さらに、当年度ズリ石の施工完了後は、芯壁の据付まで 1 ヶ月以 上空けること。また、ズリ石を一気に天端まで投入すると円弧すべりをおこ す 可 能 性 が 高 い の で 、 段 階 施 工 す る こ と ( 1 回 当 た り 投 入 厚 さ の 目 安 : 3m 未 満)。 (3)芯壁(方塊)は各段の縦方向目地が揃わないよう配置すること。 (4)ブロックやマウンドについては越冬後に法崩れ等が生じていないか確認するこ と。 5. 沈下板設置の提案 本設計区間は、地盤の圧密沈下に加えて、消波ブロックや捨石の締まりによる沈下が複 合的に生じると考えられる。そこで、圧密による沈下量と締まりによる沈下量を把握する ため、 図-2 に示すような沈下板を設置し、沈下測量を実施することを提案する。 図-2 沈下板設置図(案) 6. 決定断面 方塊部拡大図 図-3 敦賀港(鞠山北地区)防波堤K区間 標準断面 福井港海岸(福井地区)離岸堤(潜堤)潜突堤(第3) 設計室 1. 概要 離 岸 堤 ( 潜 堤 ) は 、 平 成 17 年 度 か ら 平 成 21 年 度 に か け 、 A 、 B 区 間 の 標 準 部 及 び 開 口 部 を 設 計 し 、 こ れ に 並 行 し て 、 平 成 18 年 度 よ り 現 地 施 工 を し て い る 。 ま た 、 整備過程において、潜堤背後の局所洗掘への早急な対応が必要となったことから、 平 成 22 年 1 月 に 離 岸 堤 ( 潜 堤 ) 2 基 目 及 び 4 基 目 端 部 に 設 置 す る 潜 突 堤 ( 第 1 、 第 2 ) の 配 置 ・構 造 を 決 定 し た 。 本資料は、第1、2潜突堤の効果を踏まえ、離岸堤(潜堤)1基目の整備に伴い 事業端部に設置する潜突堤(第3)の設計を行うものである。 図-1 設計対象位置図 2. 設計条件 2-1 水深 設計対象区間の縦断方向 の水深変化状況を図-2に 示す。 護岸 法線 0 20 40 60 対して水深変化が大きいこ -6.0 と か ら 、 設 計 水 深 -9.0m の -8.0 区間をA区間、設計水深 -10.0 -8.0m の 区 間 を B 区 間 と す -12.0 る。なお、B区間は、潜突 -14.0 140 160 180 200 潜堤法線 A区間 H22.10 B-1区間 H21 H20 H19 H18 H17 H16 設計水深:-8.0m 設計水深:-9.0m 63m (静水面上50m) 57m 設計水深:-11.0m 120m する。 120 H22.6 B-2区間 設計延長が長く沖向きに (突堤)部をB-2区間と 100 B区間 -2.0 -4.0 堤部をB-1区間、傾斜堤 80 0.0 図-2 41m 39m 縦断方向水深変化図 (第3潜突堤:護岸法線延長上) 2-2 波浪条件 潜 突 堤 の 波 浪 条 件 は 、離 岸 堤( 潜 堤 )の 回 折 効 果 の 影 響 を 考 慮 す る 必 要 が あ る た め 、1 基 目 か ら 4 基 目 の 潜 堤 が 整 備 さ れ た 場 合 を 想 定 し 、エ ネ ル ギ ー 平 衡 方 程 式 に より波浪変形計算を実施した。 2-3 土質条件 土質条件は1期目潜突堤と同様、平成18年度の土質調査結果より設定した。 2-4 設計条件まとめ 潜突堤(第3)の設計条件を表-1に示す。 表-1 項目 小 分 類 設計水深 設計条件一覧表 設定条件 A区間 B区間 - 9.0m - 8.0m 設定方法等 H22.10時 点 : - 6.1m~ - 8.7m H.H.W.L.+ 1.10m 設計潮位 H.W.L.+ 0.50m L.W.L.±0.00m 設計波高 海底勾配 H 1 / 3 = 6.3m H 1 / 3 = 5.9m 実測波浪の T 1 / 3 = 12.9s T 1 / 3 = 12.9s 50年 確 率 波 高 1/30 深浅データによる 海底勾配より設定 設計 平 成 18 年 度 の 土 質 調 査 結 果 よ り 条件 現地盤 設定 砂質土 (1 基目潜突堤と同様) φ = 39° 土質条件 γ t= 18kN/m 3 -14.2m 砂質土 φ = 40° γ t= 18kN/m 3 洗掘が大きい基部から 50m の範囲を異型消波ブ ロック堤として,沿い波を吸収する. 50m 図-3 第3潜突堤の配置案 図-4 消波構造範囲 3. 基本設計 3-1 平面配置の考え方 (1)潜突堤法線及び取り付け位置について 洗 掘 の 要 因 と 考 え ら れ る 潜 突 堤 の 沿 い 波 が 、護 岸 付 近 で 収 斂 し な い よ う 直 線 的 に 設 置 す る こ と が 有 効 と 考 え 、図 - 3 の 法 線 ① ~ ③ の 接 続 案 よ り 、法 線 ① を 採 用 し た 。 なお、潜突堤の設置位置は、極力隅角部を形成しないことが望ましいことから、 突堤部マウンドの外側法肩と直角方向護岸法線を合わせる位置とした。 (2)縦断構造について 第 3 潜 突 堤 は 護 岸 端 部 に 設 置 さ れ る た め 、護 岸 か ら の 反 射 波 は あ ま り 影 響 しな い も の と 考 え ら れ る が 、潜 突 堤 か ら の 反 射 と 沿 い 波 に は 対 応 す る 必 要 が あ る た め 、 床 掘 の 生 じ な い 最 低 構 造 体 高 さ と 洗 掘 深 の 大 き さ を 勘 案 し 、第 3 潜 突 堤 の 起 部 50 m を 消 波 構 造 と し て 波 の 収 斂 を 低 減 さ せ る こ と と し た 。( 図 - 4 ) なお、既設潜突堤の平型ブロック被覆構造では消波機能が期待できないので、 異 形 消 波 ブ ロ ッ ク 堤 と す る 。た だ し 、漂 砂 の 流 出 が 懸 念 さ れ る た め 、オ ー ル ブ ロ ッ ク堤にするのではなく、内部に捨石を用いた構造とする。 3-2 断面構造について (1)天端高さの設定 既 設 潜 突 堤 ( 第 1 、 第 2 ) の 流 況 観 測 の 結 果 、 暫 定 断 面 ( 天 端 水 深 約 - 4.0m ) で も 流 速 の 低 減 効 果 が 見 ら れ た 。 ま た 、 天 端 高 さ を 高 く し た 場 合 、「 潜 突 堤 に よ る 反 射 や 沿 い 波 」及 び「 開 口 部 等 で の 流 れ 」の 増 大 が 懸 念 さ れ た 。そ こ で 、第 3 潜 突 堤においても暫定形状でモニタリングを行う2段階施工の断面形状を提案する。 な お 、 天 端 高 は 既 設 潜 突 堤 と 同 様 、 暫 定 断 面 は 天 端 水 深 約 - 4.0m 、 完 成 断 面 は 天 端 高 さ - 1.5m ( 潜 堤 と 同 様 ) と し た 。 (2)消波工及び被覆工 消波工及び被覆工のブロック所要質量算定にあたっては、管内採用実績の多いテト ラ ポ ッ ド と エ ッ ク ス ブ ロ ッ ク を 用 い た 場 合 の 所 要 質 量 を 、安 定 数( Ns)を 用 い た ブ レ ブナー・ドネリー式により算出した。 4. 決定断面 前述の考え方に基づき、図-5~7の断面が採用された。 ±0.0 被覆ブロック16t -4.2 -5.3 1:4 /3 1:4 -7.5 /3 1:1 1:1 1 :2 捨石(30kg~200kg) 暫定断面 完成断面 ±0.0 -1.5 異形消波ブロック16t 1:4 (撤去) /3 -5.3 1:4 1:4 /3 /3 1:2 1: 1 1: 1 1: 1 (3個並び) /3 -7.5 捨石(30kg~200kg) 1:2 -7.5 -9.0 (帆布) 捨石(500kg~1000kg) 図-5 -9.0 (帆布) 捨石(500kg~1000kg) 1:4 -7.5 A 区 間 標 準 断 面 図 ( 案 ① )( 上 : 暫 定 、 下 : 完 成 ) ±0.0 被覆ブロック10t -4.1 -5.0 1:4 /3 1:4 /3 1:2 1:1 1: 1 -6.5 捨石(30kg~200kg) 捨石(500kg~1000kg) -6.5 -8.0 (帆布) 暫定断面 完成断面 ±0.0 -1.5 1:4 /3 異形消波ブロック12.5t (3個並び) 1:4 /3 (撤去) -5.0 1:4 / /3 1:4 捨石(30kg~200kg) 図-6 3 1:2 1: 1 1: 1 1: 1 -6.5 捨石(500kg~1000kg) 1:4 -8.0 (帆布) (3個並び) 1:4 /3 /3 ±0.0 異形消波ブロック20t -2.1 -5.1 1:2 1:1 1: 1 -6.5 B - 1 区 間 標 準 断 面 図 ( 案 ① )( 上 : 暫 定 、 下 : 完 成 ) +2.0 捨石(30kg~200kg) 1:2 捨石(500kg~1000kg) 図-7 (帆布) B-2区間標準断面図 -5.1 -6.6 福井港海岸(福井地区)護岸(改良)第 2 期区間 設計室 1.概要 福井港海岸では、護岸防護機能の確保を 溶液型薬液注入工法(浸透固化工法)案 目 的 に 平 成 16 年 度 よ り 侵 食 対 策 お よ び 液 状 化対策としての離岸堤(潜堤)および護岸 (改良)を直轄事業として着手している。 護 岸 ( 改 良 ) は 、 平 成 16 年 度 と 平 成 19 年度に目地部の吸出し防止を目的として試 験 施 工 が 行 わ れ 、平 成 21 年 度 に は こ れ ら の 結果を受けて、図-1に示す吸出し防止対 策と液状化対策を兼ねた薬液注入工法案を 第 1 期区間の対策断面として提案している。 その後、この吸出し及び液状化対策の現 地における改良効果、施工性およびコスト 縮減の可能性について検証するため、平成 22 年 度 に 現 地 施 工 と 計 器 観 測 を 併 せ て 行 う 現地実証試験を実施している。 本設計では、現地実証試験の結果をもと 図-1 第1期区間の提案断面 に経済性・施工性・改良効果等の観点から 残区間(第 2 期区間)における最適な断面 の提案を行った。 第1期区間(現地実証実験実施箇所) 第2期区間(設計対象区間) 2597 西側 離岸堤 A区間 東側 離岸堤 B区間 C区間 2基目 3基目 4基目 第2潜突堤 1基目 第1潜突堤 460 5基目 既設離岸堤 消波ブロック 国 家 石 油 備 蓄 基 地 302 2600 図-2 設計対象位置図 D区間 E区間 2.現地実証試験による設計 2-1 現地実証試験ケースの設定 現 地 実 証 試 験 で 実 施 す る 対 策 工 法 は 、吸 出 し 対 策 と 液 状 化 対 策 を 兼 用 可 能 な 溶 液 型 薬 液 注 入 工 法( 図 - 3 )と 深 層 混 合 処 理 工 法( 図 - 4 )の 2 工 法 を 選 定 し 、各 工 法の効果、施工性、経済性を検証するため、表-1に示す検討ケースを設定した。 表-1 現地実証試験の検討ケース 実験目的※ 工 法 案 比較検討項目 具体的な確認事項 確認方法 Y-1工区 鋼矢板 ・チェックボーリング ・目地部に作用する外力(波力) ・圧縮強度試験 ・目地部の 間隙水圧計測 ・目地部波圧計測 ・目地部残留変形 目視観察(試掘) 溶液型薬液 ・上記外力に対する改良体の 溶 目地部 注入工法の 必要強度 液 吸出し 改良強度 ・確実に効果が得られる 型 対策工法 改良体の配置 溶液型薬液 薬 注入工法の 液 改良体配置 注 入 液状化対策 兼 工 基礎マウンド部 ・改良体の機能上, 法 施工性上の必要強度 吸出し対策工法 案 の改良強度 補助工法 (逸走防止対策) 深 層 混 合 処 理 工 法 案 ・逸走防止対策の必要性 ・対策工法の施工の確実性 Y-2工区 ・+3.0mより建込 (ケーシング使用) ・SP-Ⅲ型×3枚 100kN/m2 (シリカ濃度8%) ・+3.0mより建込 (ケーシング使用) ・SP-Ⅲ型×3枚 100kN/m2 (シリカ濃度8%) 100kN/m2 (シリカ濃度8%) 100kN/m2 (シリカ濃度8%) 70kN/m2 (シリカ濃度7%) ・チェックボーリング ・施工業者への ヒアリング なし セメントベントナ イト注入工法 (マウンド内充填) 薬液注入工法 (瞬結タイプ) 全工区共通 ・改良体の出来形 ・チェックボーリング ・改良体の発生強度 ・圧縮強度試験 ・吸出し対策効果 ・改良による影響 50kN/m2 (シリカ濃度6%) ○ - ○ 50kN/m2 (シリカ濃度6%) ○ ○ ○ セメントベントナ イト注入工法 - ○ ○ (マウンド表面) S-2工区 なし ・チェックボーリング ・施工業者への ヒアリング ・地表面より建込 (ケーシング未使用) ○ ○ ○ ・SP-Ⅲw型×1枚 φ1,250 φ1,250 φ2,500 φ1,250 (ピッチ1.0m) (ピッチ1.0m) (ピッチ2.0m) (ピッチ1.0m) ○ - ○ ×11本(2列配置) ×11本(2列配置) ×3本(1列配置) ×11本(2列配置) ・チェックボーリング ・圧縮強度試験 ・室内実験 ・(S-1)下端にできる 未改良範囲の確認 ・間詰めする薬液注入工法の 前打ち(S-2)と後打ち(S-1) の施工性,経済性の比較 ③ 経 済 性 (追加) ・+3.0mより建込 (ケーシング使用) ・SP-Ⅲ型×3枚 100kN/m2 (シリカ濃度8%) ② 施 工 性 Y-4工区 Y-3工区 S-1工区 補助工法 (下端間詰め工法) ① 効 果 各工区の諸元 (現地計測項目等) 注)ただし,出来形確認後に事後対策 として薬液注入工法による間詰め を実施 薬液注入工法 (恒久グラウト材) - ○ ○ 注)前打ちとする。 - - ○ - - ○ - - ・間隙水圧計測 ・沈下計測 - ○ - - ・水位計測 - ○ - - ※「実験目的」の欄については,各検討項目が上記の①~③の実験目的のうち,主としてどの目的を対象として実施するものであるかを示す。 図-3 Y工区の標準検討ケース 図-4 S工区の標準検討ケース 2-2 地盤改良工法の選定 現 地 実 証 試 験 の 結 果 、以 下 の と お り 深 層 混 合 処 理 工 法 案 は 現 地 適 用 性 に 欠 け る 事 が 明 ら か と な っ た 。こ の た め 、施 工 性 と 経 済 性 等 の 観 点 か ら 優 位 と な る 溶 液 型 薬 液 注入工法を採用することとした。 (1)地盤抵抗が大きく、施工が困難。事前調査で得た N 値以上の抵抗があった。 (2)未改良部が残るため、間詰めによる事後対策が必要。事前に改良体とマウン ドの間を間詰めしたが、深層混合処理による改良の振動で乱されていた。 2-3 最適な断面の設計 平 成 2 1 年 度 に 提 案 し た 断 面 を 標 準 案 と し 、今 回 の 現 地 実 証 試 験 結 果 か ら 得 ら れ た知見を踏まえ、最適な断面を設計した。 (1)目地部の鋼矢板の施工方法について、施工性・経済性を考慮し、ケーシング を用いない工法により打設方法を簡略化(図-5)した。 (2)目地部には過去の実験結果から強大な波力が作用することが懸念されたが、 波 圧 計 測 結 果 よ り 、目 地 部 に 伝 達 す る 圧 力 は 小 さ く 、約 10kN/m 2 で あ る こ と が 確 認 さ れ た 。 ま た 、 基 礎 マ ウ ン ド か ら の 伝 達 圧 力 は 28kN/m 2 で あ っ た 。 以 上 の 結 果 及 び 図 - 6 の 検 討 よ り 、吸 出 し 対 策 工 と し て 必 要 な 改 良 強 度 は 、基 礎 マ ウ ン ド の 吸 出 し 対 策 に 必 要 な 強 度 に 若 干 の 余 裕 を 見 込 ん だ 50kN/m2 と し た 。 (3)溶液型薬液入工法の薬液逸走防止対策(補助工法)を行っていないケースに お い て も 出 来 形 に 不 具 合 は 確 認 さ れ な か っ た こ と か ら 、補 助 工 法 は 不 要 と 判 断 した。 (4)改良強度については、薬液注入工法の場合は標準薬液濃度(8%)を想定し て い た が 、 現 地 実 証 試 験 で 50kN/m2 を 満 足 し た 7 % 以 上 と 設 定 し た 。 図-6 図-5 鋼矢板の施工方法の簡略化 変動水圧に対する改良体の必要 強度 3.提案断面 図-7 現地実証試験結果を踏まえた第2期区間の提案断面 4.深層混合処理工法区間の事後処理について S工区にはマウンド表面と改良体間(ダイヤ部)に未改良部が残るため、事後対策 工法(溶液型薬液注入工法)を提案した。ただし、当面は地下水位と沈下を継続して 計測し、その結果により実施時期を判断する。 図-8 事後対策(間詰め)の必要箇所
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