(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ベースと、ベース上に、ベースに対して

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(57)【 特 許 請 求 の 範 囲 】
【請求項1】
ベースと、ベース上に、ベースに対して水平の1方向に相対移動自在に支持される下部
テーブルと、下部テーブル上に、下部テーブルに対し、前記1方向に交差する水平方向に
相対移動自在に支持される上部テーブルと、ベースと下部テーブル間、及び下部テーブル
と上部テーブル間に、それぞれの相対移動方向に交差する方向に架設され、両者間に相対
移動が生じたときに伸長して復元力を発揮するばねから構成され、
前記ベースと下部テーブル及び上部テーブルは3段重ねに配置され、
前記ベースと前記下部テーブル間に下部テーブルを前記水平の1方向に相対移動自在に
支持する下部支承体が介在し、
10
前記下部テーブルと前記上部テーブル間に上部テーブルを前記1方向に交差する水平方
向に相対移動自在に支持する上部支承体が介在し、
前記ベースは前記水平の1方向に前記下部支承体を配置するための少なくとも2本の平
行な軌道枠を有し、
前記下部テーブルは前記水平の1方向に前記下部支承体を配置するための少なくとも2
本の平行な軌道枠と、前記1方向に交差する水平方向に前記上部支承体を配置するための
少なくとも2本の平行な軌道枠を有し、
前記上部テーブルは前記1方向に交差する水平方向に前記上部支承体を配置するための
少なくとも2本の平行な軌道枠を有し、
前記ベースと下部テーブル間のばねはベースの前記軌道枠とそれに対向する下部テーブ
20
(2)
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ルの前記軌道枠との間に、平面上、前記ベースと下部テーブルの相対移動方向に直交する
方向に、且つ水平面に対し、傾斜して架設され、
前記下部テーブルと上部テーブル間のばねは下部テーブルの前記軌道枠とそれに対向す
る上部テーブルの前記軌道枠との間に、平面上、前記下部テーブルと上部テーブルの相対
移動方向に直交する方向に、且つ水平面に対し、傾斜して架設されていることを特徴とす
る直線運動型復元機能付き免震装置。
【請求項2】
ベースと下部テーブル間に前記下部支承体として、下部テーブルを水平の1方向に相対
移動自在に支持する円柱状の下部回転体が軸を水平に向けて介在し、下部テーブルと上部
テーブル間に前記上部支承体として、上部テーブルを前記1方向に交差する水平方向に相
10
対移動自在に支持する円柱状の上部回転体が軸を水平に向けて介在している請求項1記載
の直線運動型復元機能付き免震装置。
【請求項3】
ベースと下部テーブルの対向する面間に、両者間の鉛直方向の相対移動を許容し、ベー
スに生ずる鉛直振動を遮断する鉛直振動遮断装置が介在している請求項1、もしくは請求
項2記載の直線運動型復元機能付き免震装置。
【請求項4】
鉛直振動遮断装置はベースと下部テーブルのいずれか一方に接続され、下部テーブルの
鉛直荷重を負担しながら、鉛直方向に復元力を発揮する鉛直ばねと、ベースと下部テーブ
ルの双方に水平軸回りに回転自在に連結され、ベースと下部テーブルを常に平行に保つ保
20
持部材からなる請求項3記載の直線運動型復元機能付き免震装置。
【請求項5】
鉛直振動遮断装置はベースに接続され、下部テーブルの鉛直荷重を負担しながら、水平
方向に復元力を発揮する水平ばねと、ベースに水平軸回りに回転自在に支持されながら、
下部テーブルと水平ばねに水平軸回りに回転自在に連結され、ベースと下部テーブルを常
に平行に保つ保持部材からなる請求項3記載の直線運動型復元機能付き免震装置。
【請求項6】
下部テーブルと上部テーブル間に、上部テーブルの下部テーブルに対する鉛直上向きの
相対移動量を制限する制限装置が設置されている請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
の直線運動型復元機能付き免震装置。
30
【請求項7】
下部テーブルと上部テーブル間に、上部テーブルの下部テーブルに対する鉛直上向きの
相対移動を許容しながら、相対移動時の衝撃を緩和する緩衝装置が設置されている請求項
1、もしくは請求項2記載の直線運動型復元機能付き免震装置。
【請求項8】
緩衝装置は鉛直方向に復元力を発揮する鉛直ばねと、下部テーブルと上部テーブルに固
定され、鉛直ばねを保持する保持材からなる請求項7記載の直線運動型復元機能付き免震
装置。
【請求項9】
上部テーブルに鉛直上向きの相対移動が生じていない平常状態で、鉛直ばねの復元力が
40
上部テーブルに鉛直上向きに作用した状態にある請求項8記載の直線運動型復元機能付き
免震装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は土木・建築構造物全般において、免震装置で支持される橋梁の橋桁、免震建物
、あるいは構造物内の一部の床に使用される免震床等のように橋脚、基礎、躯体床等の下
部構造の振動遮断のために使用される免震装置であり、特に直線運動型の復元機能付き免
震装置に関するものである。
【0002】
50
(3)
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【従来の技術】
例えば建物自体、または建物内の精密機器等を地震時に保全するための免震建物や免震床
は基礎やスラブ等の下部構造の上に設置される免震装置上に上部構造の基礎や床パネル等
の上部構造を支持させることにより構成され、免震装置によって上部構造が下部構造から
絶縁させられることにより下部構造の振動が遮断される。
【0003】
特にコロ(円柱状の回転体)を用いた転がり支承型の免震装置ではフレームを3段重ねに
し、隣接する上下各2段のフレーム間に、複数個のコロを間隔保持材によって1方向に移
動自在に保持したまま、フレームに直線状に形成される凹部等にコロの軸方向の移動を拘
束した状態でコロを水平1方向に向けて配置し、3段重ねのフレーム全体でコロを水平の
10
2方向に向けて配置することが行われる(特許文献1参照)。
【0004】
転がり支承型免震装置は単独では上下に隣接するフレーム間の水平方向の相対移動後の復
元機能を持たないことから、上下に隣接するフレーム間に相対移動が生じたときにフレー
ムに復元の機能を持たせるために、特許文献1のようにコロが入り込む凹部等を下に凸の
曲線状に湾曲させる等の工夫を必要とする。
【0005】
上下に重なる2枚のフレームが相対移動した後に原位置に復元させる方法としてはコイル
スプリングを用いる方法が一般的であるが(特許文献2∼5参照)、これらのように軸方
向の伸縮のみが生ずるようにコイルスプリングを配置し、その復元力を利用する方法では
20
コイルスプリングの変形量と復元力の関係が線形になることから、コイルスプリングに変
形が生じている間は常に変形と逆向きの復元力が発生するため、原位置に復帰させるまで
の終息に長時間を要する難点がある。
【0006】
またコイルスプリングを軸方向に伸縮させる形でのみ使用する場合、コイルスプリングは
固有振動数を有することから、コイルスプリングの固有振動数がフレームの振動数と一致
した場合にフレームを原位置に復帰させるどころか、共振によりフレームの振動を増幅さ
せる可能性がある。
【0007】
軸方向に伸縮させながら、その一端の回りに回転できるような形でコイルスプリングを使
30
用すれば(特許文献6参照)、コイルスプリングの変形量と復元力の関係がサインカーブ
的になり、固有振動数を持たない使用状態になるため、フレームとの共振を回避し、上下
のフレームの相対移動を早期に終息させることができる利点がある。
【0008】
【特許文献1】
特 開 平 11-173376号 公 報 ( 図 1 、 図 2 )
【特許文献2】
特 開 平 6-136923号 公 報 ( 図 1 )
【特許文献3】
特 開 平 6-288073号 公 報 ( 図 2 )
40
【特許文献4】
特 開 平 7 -71109号 公 報 ( 図 2 )
【特許文献5】
特 開 平 9 -112011号 公 報 ( 図 3 ∼ 図 5 )
【特許文献6】
特 開 2000-337437号 公 報 ( 図 2 、 図 3 )
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献6のように軸方向に伸縮させながら、その一端の回りに回転でき
るようにコイルスプリングを使用する場合には、コイルスプリングの固定端の反対側の端
50
(4)
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部が直線軌道上を移動できるようにガイド棒と、それに沿って走行できるスライダを設置
することが必要である。
【0010】
その上、上下のフレーム間に平面上の任意の方向に相対移動が生じてもコイルスプリング
の他端が直線軌道上を移動できるようにするためにスライダとフレームとの間に滑車を経
由させてワイヤを張架することが必要になり、復元機能を持たせるための免震装置の構成
要素が多くなる。
【0011】
この発明は上記背景より、特許文献6のコイルスプリングの特性を生かしながら、その特
性を発揮させるための周辺部材を不要にする形態の直線運動型免震装置を提案するもので
10
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では3段重ねに配置される3枚のフレームにおいて、各隣接する上下2枚のフレー
ムの内、相対的に上に位置するフレームを下に位置するフレームに、水平の1方向に相対
移動自在に支持させ、各隣接する上下のフレームの相対移動の方向を水平のいずれか1方
向に規制した上で、上下に隣接するフレーム間にばねを架設することにより、ガイド棒と
スライダ及び滑車とワイヤを用いることなく、特許文献6のコイルスプリングの特性を発
揮させ、固有振動数を持たない機能を引き出しながら、免震装置全体としての構成を単純
化させ、合理的な復元機能付き免震装置を完成させる。
20
【0013】
免震装置は上記3段重ねに配置される3枚のフレームの内、最も下に位置するフレームで
あるベースと、ベース上に、ベースに対して水平の1方向に相対移動自在に支持される下
部テーブルと、下部テーブル上に、下部テーブルに対し、前記1方向に交差する水平方向
に相対移動自在に支持される上部テーブルを基本の要素とし、地震等の振動の発生時には
下部テーブルはベースに対して水平の1方向に直線運動し、上部テーブルは下部テーブル
に対して前記1方向に交差する水平の1方向に直線運動する。上部テーブルはベースに対
しては任意の水平方向に相対移動する。
【0014】
ベースと下部テーブル間、及び下部テーブルと上部テーブル間には両者間に相対移動が
30
生じたときに独立して伸長し、復元力を発揮するばねがそれぞれの相対移動方向に直交す
る方向に架設され、各ばねの両端がベースと下部テーブル、下部テーブルと上部テーブル
に接続される。ベースと下部テーブル及び上部テーブルは3段重ねに配置される。
ベースと下部テーブル間には下部テーブルを前記した水平の1方向に相対移動自在に支
持する下部支承体が介在し、下部テーブルと上部テーブル間には上部テーブルを前記1方
向に交差する水平方向に相対移動自在に支持する上部支承体が介在する。
ベースは前記水平の1方向に下部支承体を配置するための少なくとも2本の平行な軌道
枠を有し、下部テーブルは前記水平の1方向に下部支承体を配置するための少なくとも2
本の平行な軌道枠と、前記1方向に交差する水平方向に上部支承体を配置するための少な
くとも2本の平行な軌道枠を有し、上部テーブルは前記1方向に交差する水平方向に上部
40
支承体を配置するための少なくとも2本の平行な軌道枠を有する。
前記したベースと下部テーブル間のばねはベースの軌道枠とそれに対向する下部テーブ
ルの軌道枠との間に、平面上、前記ベースと下部テーブルの相対移動方向に直交する方向
に、且つ水平面に対し、傾斜して架設され、下部テーブルと上部テーブル間のばねは下部
テーブルの軌道枠とそれに対向する上部テーブルの軌道枠との間に、平面上、前記下部テ
ーブルと上部テーブルの相対移動方向に直交する方向に、且つ水平面に対し、傾斜して架
設される。
【0015】
下部テーブルはベースに対しては水平1方向にのみ相対移動自在であるため、両者間に架
設されたばねの下部テーブル側の端部は下部テーブルの相対移動時にその移動方向である
50
(5)
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直線軌道上を移動する。同様に上部テーブルは下部テーブルに対し、前記水平1方向に交
差する水平方向にのみ相対移動自在であるため、ばねの上部テーブル側の端部も上部テー
ブルの相対移動時にその移動方向である直線軌道上を移動する。
【0016】
上部テーブルがベースに対して任意の水平方向に相対移動自在でありながら、下部テーブ
ルとベース間に架設されるばねの下部テーブル側の端部の移動が直線運動に規制され、上
部テーブルと下部テーブル間に架設されるばねの上部テーブル側の端部の移動も直線運動
に規制されているため、それぞれのばねの一端を直線運動させる目的で、ガイド棒とスラ
イダ及び滑車とワイヤを設置することは必要でない。
【0017】
10
ばねの一端が直線軌道上を移動することで、ばねの変形量と復元力の関係がサインカーブ
的になるため、上下のフレームの相対移動を早期に終息させることが可能になり、併せて
ばねが固有振動数を持たない使用状態にあるため、下部テーブルや上部テーブルの振動を
増幅させることもない。
【0018】
下 部テーブルと上部テーブルがベースに対して相対移動を生じていない平常状態では下
側のばねは下部テーブルのベースに対する相対移動方向のいずれの向きの移動にも追従で
きるよう、軸が下部テーブルの相対移動方向に直交する方向を向き、上側のばねも同様に
上部テーブルの下部テーブルに対する相対移動方向のいずれの向きの移動にも追従できる
よう、軸が上部テーブルの相対移動方向に直交する方向を向く。
20
【0019】
ベースと下部テーブル間のばねと、下部テーブルと上部テーブル間のばねは共に伸長量に
応じた復元力を発揮し、それぞれ相対移動した下部テーブルと上部テーブルを原位置に復
帰させようとするが、軸の方向を一定にしたまま伸長するのではなく、軸が一端の回りに
回転しながら伸長することで、後述のように下部テーブルと上部テーブルの原位置への復
帰時に下部テーブルと上部テーブルが原位置に近づく程、ばねの復元力はサインカーブに
従って小さくなる。
【0020】
この結果、原位置に復帰しようとする下部テーブルと上部テーブルがばねの復元力によっ
て原位置を超え、更に相対移動時と反対の向きに移動しようとするときの下部テーブルと
30
上部テーブルの加速度は低減されるため、下部テーブルと上部テーブルは原位置付近でベ
ースに対して小さい振幅で振動を繰り返した後、静止する。
【0021】
こ こ で 、 図 28に 基 づ い て ベ ー ス 2 と 下 部 テ ー ブ ル 3 間 に 架 設 さ れ た ば ね 5 の 挙 動 と 機 能 を
説明する。下部テーブル3と上部テーブル4間に架設されるばね6の挙動と機能はばね5
と同じである。
【0022】
下部テーブル3(上部テーブル4)のベース2(下部テーブル3)に対する相対移動方向
は 例 え ば 請 求 項 2 に 記 載 の 下 部 回 転 体 7 ( 上 部 回 転 体 8 ) が 納 ま る 溝 2a( 3b) 等 の 直 線 軌
道によって1方向に規制されており、下部テーブル3(上部テーブル4)がベース2(下
40
部テーブル3)に対して相対移動するとき、ばね5(ばね6)はベース2(下部テーブル
3)に対する下部テーブル3(上部テーブル4)の移動量に応じて伸長する。図1以下に
示 す 例 で は 円 柱 状 の 回 転 体 7 ( 8 ) が 入 り 込 む 溝 2a, 3a、 3b, 4bが 上 記 直 線 軌 道 に 相 当 す
る。
【0023】
図 28に 実 線 で 示 す よ う に 下 部 テ ー ブ ル 3 が ベ ー ス 2 に 対 し て 相 対 移 動 せ ず 、 ば ね 5 の 軸 が
下部テーブル3の相対移動方向に直交している状態から、二点鎖線で示すようにばね5が
回転しながら伸長したときの、ばね5の原位置とのなす回転角度をθ(0≦θ≦π/2)
、ばね5の自然長をL、ばね5の伸び量をxとしたとき、下部テーブル3の移動量XはX
= ( L + x ) ・ sinθ ( ▲ 1 ▼ ) と な る 。 下 部 テ ー ブ ル 3 が 相 対 移 動 を 生 じ て い な い 状 態
50
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ではばね5は必ずしも自然長である必要はない。
【0024】
ばね5はその伸び量xに応じた復元力F(=k・x(k:ばね定数))を発揮し、ばね5
の復元力Fの、下部テーブル3の移動方向に平行な成分が下部テーブル3を原位置に復帰
さ せ る た め の 復 元 力 F1( = F sinθ ( = k ・ x sinθ ) ) ( ▲ 2 ▼ ) と し て 下 部 テ ー ブ ル 3
に作用する。
【0025】
図 28よ り ( L + x ) cosθ = L で あ る か ら 、 x = ( 1 − cosθ ) / cosθ ・ L ( ▲ 3 ▼ ) と
な り 、 x は θ の 関 数 で 表 さ れ 、 結 局 、 ▲ 2 ▼ 、 ▲ 3 ▼ よ り 、 F1= k L ( tanθ − sinθ ) (
▲ 4 ▼ ) と な る 。 ▲ 4 ▼ に お い て θ = π / 2 の と き 、 F1= ∞ 、 θ = π / 4 の と き 、 F1= 0.
10
29k L 、 θ = 0 の と き 、 F1= 0 と な り 、 θ が 90° に 近 い と き に F1が 極 端 に 大 き く 、 θ が 0
に 近 づ く 程 、 F1は 急 激 に 減 少 し 、 0 に 近 づ く こ と か ら 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の 相 対 移 動 量 が 大
き い と き 程 、 下 部 テ ー ブ ル 3 は 原 位 置 に 復 帰 し よ う と す る 復 元 力 F1を 大 き く 受 け 、 早 期 に
原 位 置 に 復 帰 し よ う と す る こ と が 分 か る 。 図 29に 下 部 テ ー ブ ル 3 の 復 元 力 F1と 下 部 テ ー ブ
ル3の移動量Xとの関係を示す。
【0026】
ま た 原 位 置 に 接 近 す る 程 、 下 部 テ ー ブ ル 3 が 受 け る 復 元 力 F1が 小 さ く な る た め 、 原 位 置 付
近 に お い て は 下 部 テ ー ブ ル 3 が 復 元 力 F1に よ っ て 更 に 相 対 移 動 と 反 対 の 向 き に 移 動 し よ う
と す る 力 を 受 け る こ と が な い 。 θ が 小 さ い と き 程 、 復 元 力 F1が 小 さ く な る こ と で 、 F1= m
・ a ( m : 下 部 テ ー ブ ル 3 の 質 量 ) よ り 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の 加 速 度 a も F1と 同 様 の 曲 線 を
20
描 い て 小 さ く な る 。 図 30に 下 部 テ ー ブ ル 3 の 加 速 度 a と 下 部 テ ー ブ ル 3 の 移 動 量 X と の 関
係を示す。
【0027】
ここで、下部テーブル3をばねと見なしたときの下部テーブル3の見かけ上のばね定数を
k1と す る と ( F1= k1・ X ) 、 ▲ 1 ▼ と ▲ 2 ▼ よ り 、 k1= ( 1 − cosθ ) k と な り 、 下 部 テ
ー ブ ル 3 の ば ね 定 数 k1は cosθ の 関 数 に な る 。 理 論 上 は θ = π / 2 で あ る と き 、 k1は 最 大
値 ( k ) を 取 り 、 θ = 0 の と き に 最 小 ( 0 ) と な る 。 図 31に 下 部 テ ー ブ ル 7 の ば ね 定 数 k1
と下部テーブル7の移動量Xとの関係を示す。
【0028】
ま た 下 部 テ ー ブ ル 3 の 振 動 数 f は f = 1 /2 π ( k1/ m )
1/2
で表され、下部テーブル3
30
の ば ね 定 数 k1は θ が 小 さ い と き 、 す な わ ち 原 位 置 付 近 で 0 に 近 づ き 、 振 動 周 期 ( 1 / f )
が 長 く な る た め 、 下 部 テ ー ブ ル 3 は 原 位 置 付 近 で は 長 周 期 で 振 動 す る 。 図 32に 下 部 テ ー ブ
ル3の振動数fと下部テーブル3の移動量Xとの関係を示す。
【0029】
このようにばね5の回転角度θが大きいとき(π/2に近いとき)に下部テーブル3と上
部 テ ー ブ ル 4 に 働 く 復 元 力 F1が 極 端 に 大 き く 、 θ が 0 に 近 づ く 程 、 復 元 力 F1が 急 激 に 小 さ
くなることで、下部テーブル3と上部テーブル4は原位置から離れる程、急速に原位置に
復帰しようとし、原位置付近に近づく程、減速させられ、ゆっくりとした動きになるため
、下部テーブル3と上部テーブル4は振動を繰り返すことなく、早期に原位置に収束しよ
うとする。
40
【0030】
ま た 復 元 力 F1は 下 部 テ ー ブ ル 3 と 上 部 テ ー ブ ル 4 に 直 接 作 用 す る こ と か ら 、 特 許 文 献 6 の
ようにガイド棒にスライダを外接させる場合や、スライダに接続されるワイヤを、滑車を
経 由 さ せ て 張 架 す る 場 合 の よ う な 摩 擦 力 に よ る 力 の 損 失 が 少 な い た め 、 復 元 力 F1を 有 効 に
発揮させ、損失させることなく下部テーブル3と上部テーブル4に伝達させることが可能
になっている。
【0031】
ばね5の回転角度θが大きいとき(π/2に近いとき)に下部テーブル3と上部テーブ
ル4に働く復元力F1が極端に大きく、θが0に近づく程、復元力F1が急激に小さくな
ることは、ばね5が回転しながら伸長したときの、ばね5の原位置とのなす回転角度をθ
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によって決まる。
【0032】
以上のように相対移動した下部テーブル3と上部テーブル4を原位置に復帰させるように
下 部 テ ー ブ ル 3 と 上 部 テ ー ブ ル 4 に 作 用 す る 復 元 力 F1が 原 位 置 付 近 で 急 激 に 0 に 近 づ き 、
下部テーブル3と上部テーブル4を制動させるように働くことから、免震装置1に下部テ
ーブル3と上部テーブル4の振動抑制のための格別なダンパを併用する必要性がない。
【0033】
ベースと下部テーブル間で下部テーブルを水平の1方向に相対移動自在に支持する支承体
、及び下部テーブルと上部テーブル間で上部テーブルを水平の1方向に相対移動自在に支
持する支承体は滑り支承であるか、転がり支承であるかを問わないが、一定規模以上の振
10
動の発生時に摩擦による抵抗を受けることなく、即座に相対移動を生じさせる上では、転
がり支承がよく、また1個当たりの支承体が負担する荷重を低減し、必要な支承体の数を
節減する上では、支承体として点接触の球体より線接触の円柱状の回転体(コロ)を使用
することが合理的である。
【0034】
このことから、請求項2ではベースと下部テーブル間に、下部テーブルを水平の1方向に
相対移動自在に支持する円柱状の下部回転体を、軸を水平に向けて介在させると共に、下
部テーブルと上部テーブル間に、上部テーブルを前記1方向に交差する水平方向に相対移
動自在に支持する円柱状の上部回転体を、軸を水平に向けて介在させることにより、合理
的な数の支承体を用いて振動の発生時に下部テーブルと上部テーブルをそれぞれベースと
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下部テーブルに対して円滑な相対移動を生じさせる。上部回転体の軸は下部回転体の軸に
交差する方向を向く。
【0035】
免震装置に作用する鉛直方向の振動に対しては請求項3に記載のようにベースと下部テー
ブルの対向する面間に、両者間の鉛直方向の相対移動を許容し、ベースに生ずる鉛直振動
を遮断する鉛直振動遮断装置を介在させることにより、または請求項7に記載のように下
部テーブルと上部テーブル間に、上部テーブルの下部テーブルに対する鉛直上向きの相対
移動を許容しながら、相対移動時の衝撃を緩和する緩衝装置を設置することにより遮断す
ることが可能である。
【0036】
30
鉛直振動遮断装置は具体的には請求項4に記載のようにベースと下部テーブルのいずれか
一方に接続され、下部テーブルの鉛直荷重を負担しながら、鉛直方向に復元力を発揮する
鉛直ばねと、ベースと下部テーブルの双方に水平軸回りに回転自在に連結され、ベースと
下部テーブルを常に平行に保つ保持部材から構成される。
【0037】
または請求項5に記載のようにベースに接続され、下部テーブルの鉛直荷重を負担しなが
ら、水平方向に復元力を発揮する水平ばねと、ベースに水平軸回りに回転自在に支持され
ながら、下部テーブルと水平ばねに水平軸回りに回転自在に連結され、ベースと下部テー
ブルを常に平行に保つ保持部材から構成される。水平ばねの復元力の水平成分が鉛直成分
より卓越すればよいため、水平ばねは必ずしも軸が水平方向を向いて配置される必要はな
40
い。
【0038】
請求項4と請求項5のいずれの場合も、保持部材がベースと下部テーブル間の距離に関係
なく、ベースと下部テーブルを常に平行に保ちながら、鉛直ばね、または水平ばねがベー
スと下部テーブル間距離の変化に追従することによりベースに生ずる鉛直方向の振動の下
部テーブルへの伝達を遮断する。保持部材は少なくとも2個で対になることで、ベースと
下部テーブルと共にパンタグラフを構成し、下部テーブルとベースを常に平行に保つ。
【0039】
請求項7に記載の緩衝装置は具体的には請求項8に記載のように鉛直方向に復元力を発揮
する鉛直ばねと、下部テーブルと上部テーブルに固定され、鉛直ばねを保持する保持材か
50
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ら構成され、鉛直ばねが伸長、もしくは収縮することにより上部テーブルの下部テーブル
に対する鉛直上向きの相対移動を許容しながら、相対移動時(浮き上がり時)の衝撃を緩
和する。
【0040】
上部テーブルの鉛直上向きの相対移動(浮き上がり)後、復帰するときの下部テーブル(
上部回転体)との接触による衝撃を緩和する場合には、請求項9に記載のように上部テー
ブルに浮き上がりが生じていない平常状態で、鉛直ばねの復元力が上部テーブルに鉛直上
向きに作用した状態に保たれる。
【0041】
平常状態で鉛直ばねの復元力が上部テーブルに鉛直上向きに作用することで、上部テーブ
10
ルが浮き上がりを生じた後、降下するときの速度と加速度を上向きの復元力が低減するた
め、上部テーブルの下部テーブルとの接触(衝突)による衝撃が緩和される。この場合、
上部テーブルの浮き上がり時と浮き上がり後の衝撃が緩和されることで、請求項4、請求
項5の鉛直振動遮断装置と同様に鉛直方向の振動を遮断することが可能になる。
【0042】
請求項8、請求項9の場合、鉛直ばねを保持する保持材が存在することで、緩衝装置は下
部テーブルと上部テーブル間の鉛直上向きの一定量の相対移動を許容しながら、その一定
量を超える相対移動量を制限する機能も有する。
【0043】
請求項1乃至請求項5において、上部テーブルの下部テーブルに対する鉛直上向きの一定
20
量を超える相対移動量を制限する場合は請求項6に記載のように下部テーブルと上部テー
ブル間に、その鉛直上向きの相対移動量を制限する制限装置が設置される。この場合、上
部テーブルの一定量を超える相対移動量が制限されることで、上部テーブルの下部テーブ
ルからの離脱が防止される。
【0044】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明の免震装置1は図1、図2に示すように構造物等における水平面
上に固定されるベース2と、ベース2上に、ベース2に対して水平の1方向に相対移動自
在に支持される下部テーブル3と、下部テーブル3上に、下部テーブル3に対し、前記1
方向に交差する水平方向に相対移動自在に支持される上部テーブル4と、ベース2と下部
30
テーブル3間、及び下部テーブル3と上部テーブル4間に、それぞれの相対移動方向に直
交する方向に架設され、両者間に相対移動が生じたときに伸長して復元力を発揮するばね
5、6から構成される。
【0045】
図面では水平面が構造物のスラブ等の躯体床で、免震装置1が免震床を構成している場合
を想定しているが、免震装置1は免震建物の上部構造と基礎との間、橋梁の橋桁と橋脚と
の間、免震床と躯体床との間等、構造物全般において上下に区分される上部構造と下部構
造との間に設置される。水平面は基礎、橋脚、躯体床その他の下部構造の上面を含む。
【0046】
ベース2と下部テーブル3間で下部テーブル3を水平の1方向に相対移動自在に支持する
40
支承体、及び下部テーブル3と上部テーブル4間で上部テーブル4を水平の1方向に相対
移動自在に支持する支承体には四フッ化エチレンシート等の低摩擦材を用いた滑り支承、
または球体や円柱体等の回転体を用いた転がり支承が使用されるが、図面ではより少ない
数の支承体で下部テーブル3と上部テーブル4の円滑な相対移動を生じさせるために、支
承体として円柱状の複数個の回転体(コロ)を使用している(請求項2)。
【0047】
この場合、図3に示すようにベース2と下部テーブル3間に、下部テーブル3を水平の1
方向に相対移動自在に支持する円柱状の複数個の下部回転体7が軸を水平に向けて介在し
、図4に示すように下部テーブル3と上部テーブル4間に、上部テーブル4を前記1方向
に交差する水平方向に相対移動自在に支持する円柱状の複数個の上部回転体8が軸を水平
50
(9)
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に向けて介在する。図3は図2のx−x線矢視図、図4はy−y線矢視図である。下部回
転体7と上部回転体8は複数個毎に1単位として設置される。
【0048】
下部回転体7は図3に示すように軸が水平を向いて配置されることにより下部テーブル3
を軸に直交する水平の1方向に相対移動自在に支持し、上部回転体8は図4に示すように
軸が下部回転体7の軸と交差する方向の水平方向を向いて配置されることにより上部テー
ブル4を前記1方向に交差する水平方向に相対移動自在に支持する。下部回転体7の軸は
下部テーブル3のベース2に対する相対移動方向に直交する方向を向き、上部回転体8の
軸は上部テーブル4の下部テーブル3に対する相対移動方向に直交する方向を向く。
【0049】
10
複 数 個 の 下 部 回 転 体 7 は 図 5 − (a)、 (b)に 示 す よ う に そ の 数 分 の 開 口 9aを 有 す る プ レ ー ト
9 の 開 口 9aに 入 り 込 む こ と で 、 鉛 直 軸 回 り の 揺 動 を 拘 束 さ れ る と 同 時 に 、 隣 接 す る 下 部 回
転体7,7間の間隔が保持された状態で、ベース2の上面と下部テーブル3の下面に形成
さ れ た 、 も し く は 取 り 付 け ら れ た 直 線 状 の レ ー ル と な る 溝 2a、 3aに 嵌 合 す る 形 で 配 置 さ れ
、振動の発生時にはプレート9と共に複数個の下部回転体7が同時に転動する。
【0050】
下 部 回 転 体 7 の 両 端 面 は 溝 2a、 3aの 内 周 面 に 密 着 し な い 程 度 に 接 触 す る こ と に よ り 鉛 直 軸
回 り の 揺 動 に 対 し て 拘 束 さ れ る 。 溝 2aは ベ ー ス 2 の 上 面 に 、 溝 3aは 下 部 テ ー ブ ル 3 の 下 面
に そ れ ぞ れ 形 成 さ れ る か 、 取 り 付 け ら れ る 。 溝 2a、 3aは 少 な く と も 想 定 さ れ る 、 ベ ー ス 2
に対する下部テーブル3の相対移動量に応じた長さを持つ。
20
【0051】
プ レ ー ト 9 は 図 5 − (b)に 示 す よ う に 溝 2a、 3aを 除 い た ベ ー ス 2 の 上 面 と 下 部 テ ー ブ ル 3
の下面との間に挟まれ、ベース2上に下部テーブル3が載置され、下部テーブル3が下部
回転体7に支持されたときにできる空隙に位置することにより上下動に対して拘束され、
振動の発生時にはベース2の上面に、またはベース2の上面と下部テーブル3の下面に接
触しながら平行移動する。プレート9が平行移動することで、複数個の下部回転体7は一
定間隔を保ったまま転動する。
【0052】
プレート9によって複数個で一組となった下部回転体7は下部テーブル3を支持したとき
に、下部テーブル3に部分的な沈み込みが生じないよう、図1、図2に示すように平面上
30
、均等に配置される。図面では下部テーブル3のベース2に対する相対移動方向に直交す
る方向の両側と中央部に3列配置している。
【0053】
複 数 個 の 上 部 回 転 体 8 も 図 5 − (a)、 (b)に 示 す よ う に そ の 数 分 の 開 口 10a を 有 す る プ レ ー
ト 10の 開 口 10a に 入 り 込 む こ と で 、 鉛 直 軸 回 り の 揺 動 を 拘 束 さ れ る と 同 時 に 、 隣 接 す る 上
部回転体8,8間の間隔が保持された状態で、下部テーブル3の上面と上部テーブル4の
下 面 に 形 成 さ れ た 、 も し く は 取 り 付 け ら れ た 直 線 状 の レ ー ル と な る 溝 3b、 4bに 嵌 合 す る 形
で 配 置 さ れ 、 振 動 の 発 生 時 に は プ レ ー ト 10と 共 に 複 数 個 の 上 部 回 転 体 8 が 同 時 に 転 動 す る
。
【0054】
40
上 部 回 転 体 8 の 両 端 面 も 溝 3b、 4bの 内 周 面 に 密 着 し な い 程 度 に 接 触 す る こ と に よ り 鉛 直 軸
回 り の 揺 動 に 対 し て 拘 束 さ れ る 。 溝 3bは 下 部 テ ー ブ ル 3 の 上 面 に 、 溝 4bは 上 部 テ ー ブ ル 4
の 下 面 に そ れ ぞ れ 形 成 さ れ る か 、 取 り 付 け ら れ る 。 溝 3b、 4bは 想 定 さ れ る 、 下 部 テ ー ブ ル
3に対する上部テーブル4の相対移動量に応じた長さを持つ。
【0055】
プ レ ー ト 10も 溝 3b、 4bを 除 い た 下 部 テ ー ブ ル 3 の 上 面 と 上 部 テ ー ブ ル 4 の 下 面 と の 間 に 、
下部テーブル3上に上部テーブル4が載置され、上部テーブル4が上部回転体8に支持さ
れたときにできる空隙に位置することにより上下動が拘束され、振動の発生時には下部テ
ーブル3の上面に、または下部テーブル3の上面と上部テーブル4の下面に接触しながら
平 行 移 動 す る 。 プ レ ー ト 10が 平 行 移 動 す る こ と で 、 複 数 個 の 上 部 回 転 体 8 は 一 定 間 隔 を 保
50
(10)
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ったまま転動する。
【0056】
複数個の上部回転体8も上部テーブル4を支持したときに、上部テーブル4に部分的な沈
み込みが生じないよう、平面上、均等に配置される。図面では上部テーブル4の下部テー
ブル3に対する相対移動方向に直交する方向の両側と中央部に3列配置している。
【0057】
ベース2と下部テーブル3間に架設されるばね5の軸は振動が生じていない平常状態では
下部テーブル3がベース2に対していずれの向きに相対移動しても下部テーブル3に同じ
復元力を与えるために、平面上、ベース2と下部テーブル3の相対移動方向に直交する方
向を向き、ばね5はベース2と下部テーブル3間に相対移動が生じたときにベース2への
10
接続点回りに回転しながら伸長して復元力を発揮する。
【0058】
下部テーブル3と上部テーブル4間に架設されるばね6の軸も平常状態で平面上、下部テ
ーブル3と上部テーブル4の相対移動方向に直交する方向を向き、下部テーブル3と上部
テーブル4間に相対移動が生じたときに下部テーブル3への接続点回りに回転しながら伸
長して復元力を発揮する。
【0059】
ばね5、6には主に変形能力の高いコイルスプリングが使用されるが、ばね5、6の一部
に皿ばねや輪ばね等、収縮時に摩擦力による減衰力を発生する形態のばねを直列に、もし
くは並列に組み合わせることで、皿ばねや輪ばね等が有する減衰力をばね5、6に付与し
20
、ダンパの機能を付加することもできる。
【0060】
ベース2は図6、図7に示すように上面側に複数個の下部回転体7を複数列配置するため
の 溝 2aを 形 成 等 で き る 軌 道 枠 201を 有 す る と 同 時 に 、 下 部 テ ー ブ ル 3 と の 間 に ば ね 5 を 架
設でき、下部テーブル3の相対移動に伴ってばね5がベース2への接続点回りに回転する
上 で 障 害 と な ら な い 形 状 を し 、 1 方 向 に 3 本 の 軌 道 枠 201が 配 列 し 、 そ の 3 本 の 軌 道 枠 201
の 端 部 を 連 結 す る 直 交 枠 202か ら 例 え ば 平 面 上 、 日 の 字 形 を す る 。 図 7 中 の 矢 印 は ベ ー ス
2に対する下部テーブル3の相対移動方向を示す。
【0061】
下部テーブル3は図7、図8に示すように下面側に複数個の下部回転体7を複数列配置す
30
る た め の 溝 3aを 形 成 等 で き る 軌 道 枠 31と 、 上 面 側 に 複 数 個 の 上 部 回 転 体 8 を 複 数 列 配 置 す
る た め の 溝 3bを 形 成 で き る 軌 道 枠 32を 有 す る と 同 時 に 、 ベ ー ス 2 と の 間 に ば ね 5 を 架 設 で
き、ベース2に対する相対移動に伴ってばね5がベース2への接続点回りに回転する上で
障 害 と な ら な い 形 状 を し 、 例 え ば 平 面 上 、 2 方 向 の 軌 道 枠 31、 32が 交 差 し た 田 の 字 形 を す
る。図8中の矢印は下部テーブル3に対する上部テーブル4の相対移動方向を示す。
【0062】
上部テーブル4も図8に示すように下面側に複数個の上部回転体8を複数列配置するため
の 溝 4bを 形 成 等 で き る 軌 道 枠 41を 有 す る 形 を し 、 ベ ー ス 2 と 同 様 に 1 方 向 に 3 本 の 軌 道 枠
41が 配 列 し 、 そ の 3 本 の 軌 道 枠 41の 端 部 を 連 結 す る 直 交 枠 42か ら 例 え ば 日 の 字 形 を す る 。
軌 道 枠 41は ベ ー ス 2 の 軌 道 枠 201と は 直 交 す る 。
40
【0063】
下部テーブル3とベース2との間には図4、図7に示すように振動が生じていない平常状
態で平面上、ベース2と下部テーブル3の相対移動方向に直交する方向を向いてばね5が
架 設 さ れ る こ と か ら 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の 中 央 の 軌 道 枠 31に ば ね 5 の 端 部 を 接 続 で き る よ う
、 例 え ば 中 央 の 軌 道 枠 32の 底 面 と 軌 道 枠 31の 底 面 と の 間 に は 段 差 が 付 き 、 ベ ー ス 2 側 ( 下
側 ) に 位 置 す る 中 央 の 軌 道 枠 31の 側 面 に ば ね 5 の 一 方 側 の 端 部 が 接 続 さ れ る 。 ば ね 5 の 他
方 側 の 端 部 は ベ ー ス 2 の 両 側 に 位 置 す る 軌 道 枠 201の 内 周 面 に 接 続 さ れ る 。
【0064】
図4、図7ではばね5の復元力が下部テーブル3の中心の両側に均等に作用するよう、中
央 の 軌 道 枠 31の 両 側 に 、 そ の 中 心 で 会 す る よ う に ば ね 5 , 5 を 配 置 し て い る が 、 必 ず し も
50
(11)
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2 個 の ば ね 5 , 5 を 中 央 の 軌 道 枠 31の 両 側 に 配 置 す る 必 要 は な く 、 片 側 に の み 1 個 の ば ね
5 を 配 置 す れ ば 足 り る 場 合 も あ る 。 2 本 の ば ね 5 , 5 を 配 置 し た 場 合 は 中 央 の 軌 道 枠 31の
中心を外した位置でばね5,5の端部が会するように架設する場合もある。
【0065】
また下部テーブル3と上部テーブル4との間には図3、図8に示すように平常状態で平面
上、下部テーブル3と上部テーブル4の相対移動方向に直交する方向を向いてばね6が架
設 さ れ る こ と か ら 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の 両 側 に 位 置 す る 軌 道 枠 32の 内 周 面 と 上 部 テ ー ブ ル 4
の 中 央 の 軌 道 枠 41に ば ね 6 の 端 部 を 接 続 で き る よ う 、 図 7 に 示 す よ う に 例 え ば 下 部 テ ー ブ
ル 3 の 軌 道 枠 31の 上 面 と 軌 道 枠 32の 上 面 と の 間 に も 段 差 が 付 け ら れ る 。 ば ね 6 の 一 方 の 端
部 は 両 側 の 軌 道 枠 32の 内 周 面 に 、 他 方 側 の 端 部 は 中 央 の 軌 道 枠 41の 側 面 に 接 続 さ れ る 。
10
【0066】
図3、図8でもばね6の復元力が上部テーブル4の中心の両側に均等に作用するよう、中
央 の 軌 道 枠 41の 両 側 に 、 そ の 中 心 で 会 す る よ う に ば ね 6 , 6 を 配 置 し て い る が 、 必 ず し も
2 個 の ば ね 6 , 6 を 中 央 の 軌 道 枠 41の 両 側 に 配 置 す る 必 要 は な く 、 片 側 に の み 1 個 の ば ね
6 を 配 置 す れ ば 足 り る 場 合 も あ る 。 2 本 の ば ね 6 , 6 を 配 置 し た 場 合 は 中 央 の 軌 道 枠 41の
中心を外した位置でばね6,6の端部が会するように架設する場合もある。
【0067】
図 9 、 図 10は ベ ー ス 2 が 2 本 の 軌 道 枠 201と 2 本 の 直 交 枠 202か ら な り 、 下 部 テ ー ブ ル 3 が
2 本 の 軌 道 枠 31と 2 本 の 軌 道 枠 32か ら な り 、 上 部 テ ー ブ ル 4 が 2 本 の 軌 道 枠 41と 2 本 の 直
交 枠 42か ら な る 場 合 に お い て 、 ば ね 5 を ベ ー ス 2 の 一 方 の 軌 道 枠 201と そ れ に 対 向 す る 下
20
部 テ ー ブ ル 3 の 一 方 の 軌 道 枠 31と の 間 に 架 設 し 、 ば ね 6 を 下 部 テ ー ブ ル 3 の 一 方 の 軌 道 枠
32と そ れ に 対 向 す る 上 部 テ ー ブ ル 4 の 一 方 の 軌 道 枠 41と の 間 に 架 設 し た 場 合 に 、 下 部 テ ー
ブル3がベース2に対して相対移動すると同時に、上部テーブル4が下部テーブル3に対
し て 相 対 移 動 し た と き の 様 子 を 示 す 。 図 11、 図 12は そ れ ぞ れ 図 9 、 図 10の 上 部 テ ー ブ ル 4
を 省 略 し た 状 態 を 示 す 。 図 13、 図 14は そ れ ぞ れ 図 11、 図 12を 拡 大 し て 示 す 。
【0068】
こ の 場 合 は 、 ば ね 5 が 回 転 し な が ら 伸 長 し た と き に ベ ー ス 2 の 直 交 枠 202や 下 部 テ ー ブ ル
3 の 軌 道 枠 32と 干 渉 せ ず 、 ば ね 6 が 回 転 し な が ら 伸 長 し た と き に 下 部 テ ー ブ ル 3 の 軌 道 枠
31や 上 部 テ ー ブ ル 4 の 直 交 枠 42と 干 渉 し な い よ う 、 例 え ば 図 10に 示 す よ う に 直 交 枠 202の
上 面 側 の 一 部 と 軌 道 枠 32の 下 面 側 の 一 部 、 及 び 軌 道 枠 31の 上 面 側 の 一 部 と 直 交 枠 42の 下 面
30
側の一部が切り欠かれる。
【0069】
図 9 ∼ 図 14で は ま た 、 下 部 テ ー ブ ル 3 と 上 部 テ ー ブ ル 4 間 に 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 下 部 テ ー
ブ ル 3 に 対 す る 鉛 直 上 向 き の 一 定 量 を 超 え る 鉛 直 方 向 の 相 対 移 動 を 制 限 す る 制 限 装 置 11を
設置した場合(請求項6)を示している。
【0070】
制 限 装 置 11は 図 15− (a)に 示 す よ う に 例 え ば 下 部 テ ー ブ ル 3 の 軌 道 枠 32の 外 側 の 側 面 か ら
立 ち 上 が る 包 囲 部 11a と 、 包 囲 部 11a に 連 続 し 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 軌 道 枠 41の 上 面 側 に 回
り 込 む 押 さ え 部 11b か ら な り 、 押 さ え 部 11b が 上 部 テ ー ブ ル 4 の 軌 道 枠 41に 下 向 き に 係 止
することにより、上部テーブル4の下部テーブル3に対する浮き上がりを拘束する。包囲
40
部 11a は 図 3 に 示 す よ う に 上 部 テ ー ブ ル 4 の 軌 道 枠 41の 外 側 の 側 面 か ら 垂 下 し 、 押 さ え 部
11b は 下 部 テ ー ブ ル 3 の 軌 道 枠 32の 下 面 側 に 回 り 込 む 場 合 も あ る 。 図 15− (a)は 図 9 の z
−z線の断面を示す。
【0071】
図 面 で は ま た 、 下 部 テ ー ブ ル 3 と 上 部 テ ー ブ ル 4 間 の 周 囲 ( 外 側 ) に 制 限 装 置 11を 配 置 し
ているが、ばね5、6との干渉が生じない範囲で下部テーブル3と上部テーブル4間の周
囲以外の内側に配置する場合もある。
【0072】
軌 道 枠 41、 も し く は 軌 道 枠 32と 押 さ え 部 11b の 互 い に 対 向 す る 面 間 に は 下 部 テ ー ブ ル 3 に
対 す る 上 部 テ ー ブ ル 4 の 相 対 移 動 を 阻 害 し な い た め の 、 複 数 個 の 円 柱 状 の 回 転 体 12が 軸 を
50
(12)
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水 平 に 向 け て 配 置 さ れ る 。 軌 道 枠 41や 軌 道 枠 32と 押 さ え 部 11b の 互 い に 対 向 す る 面 に は 複
数 個 の 回 転 体 12が 配 置 さ れ る た め の 溝 41a 、 11c が 形 成 さ れ る か 、 取 り 付 け ら れ る 。
【0073】
複 数 個 の 回 転 体 12は 下 部 回 転 体 7 や 上 部 回 転 体 8 と 同 様 に 複 数 個 の 開 口 13a を 有 す る プ レ
ー ト 13の 開 口 13a に 入 り 込 み 、 鉛 直 軸 回 り の 揺 動 を 拘 束 さ れ る と 同 時 に 、 隣 接 す る 回 転 体
12, 12間 の 間 隔 が 保 持 さ れ た 状 態 で 、 溝 41a 、 11c に 嵌 合 す る 形 で 配 置 さ れ 、 振 動 の 発 生
時 に は プ レ ー ト 13と 共 に 複 数 個 の 回 転 体 12が 同 時 に 転 動 す る 。
【0074】
図 14、 図 15で は 溝 41a 、 11c 内 の 、 回 転 体 12の 上 下 が 接 触 す る 部 分 に 回 転 体 12と の 間 の 摩
擦 力 を 低 減 し 、 回 転 体 12の 円 滑 な 回 転 を 可 能 に す る た め に 硬 度 の 高 い 金 属 板 14, 14を 配 置
10
し 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の 軌 道 枠 32の 溝 3bと 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 軌 道 枠 41の 溝 4bに も 同 様 に 回
転 体 8 の 上 下 が 接 触 す る 板 ば ね 15, 15を 配 置 し て い る 。
【0075】
制 限 装 置 11と 複 数 個 の 回 転 体 12は 図 1 、 図 3 に 示 す よ う に ベ ー ス 2 の 軌 道 枠 201と 下 部 テ
ー ブ ル 3 の 軌 道 枠 31と の 間 に 設 置 さ れ る 場 合 も あ る 。
【0076】
図 16∼ 図 23は ベ ー ス 2 と 下 部 テ ー ブ ル 3 の 対 向 す る 面 間 に 、 両 者 間 の 鉛 直 方 向 の 相 対 移 動
を 許 容 し 、 ベ ー ス 2 に 生 ず る 鉛 直 振 動 を 遮 断 す る 鉛 直 振 動 遮 断 装 置 16を 介 在 さ せ た 場 合 (
請求項3)の様子を示す。
【0077】
20
図 16、 図 17は 特 に 鉛 直 振 動 遮 断 装 置 16が ベ ー ス 2 と 下 部 テ ー ブ ル 3 の い ず れ か 一 方 に 接 続
され、下部テーブル3の鉛直荷重を負担しながら、鉛直方向に復元力を発揮する鉛直ばね
17と 、 ベ ー ス 2 と 下 部 テ ー ブ ル 3 の 双 方 に 水 平 軸 回 り に 回 転 自 在 に 連 結 さ れ 、 両 者 を 常 に
平 行 に 保 つ 保 持 部 材 18, 18か ら 構 成 さ れ る 場 合 ( 請 求 項 4 ) の 例 を 示 す 。 こ の 場 合 は 、 ベ
ー ス 2 と 下 部 テ ー ブ ル 3 間 に は 制 限 装 置 11は 設 置 さ れ な い 。
【0078】
保 持 部 材 18は 例 え ば 捩 じ り 剛 性 の 高 い 棒 材 18a と 、 そ の 両 端 に 一 体 化 し 、 常 に 棒 材 18a と
共 に 回 転 す る ブ ラ ケ ッ ト 18b か ら な り 、 棒 材 18a の 両 端 と ブ ラ ケ ッ ト 18b の 一 端 が ベ ー ス
2 と 下 部 テ ー ブ ル 3 の い ず れ か 一 方 に 固 定 さ れ た プ レ ー ト 19, 19に 軸 支 さ れ 、 ブ ラ ケ ッ ト
18b の 他 端 が 他 方 に 固 定 さ れ た プ レ ー ト 20, 20に 軸 支 さ れ る 。
30
【0079】
保 持 部 材 18, 18は 少 な く と も 2 個 で 対 に な る こ と に よ り 両 保 持 部 材 18, 18の ブ ラ ケ ッ ト 18
b , 18b が 平 行 な 状 態 を 維 持 し た ま ま 回 転 し 、 ブ ラ ケ ッ ト 18b , 18b に 連 結 さ れ る 下 部 テ
ー ブ ル 3 が パ ン タ グ ラ フ 式 に ブ ラ ケ ッ ト 18a の 一 方 の 軸 支 位 置 の 回 り に 回 転 し な が ら 、 ベ
ース2に対して平行移動し、両者間の距離に形状なく、両者を平行に維持する。
【0080】
鉛 直 ば ね 17は ベ ー ス 2 と 下 部 テ ー ブ ル 3 の い ず れ か 一 方 の 平 面 上 の 中 心 に 1 箇 所 、 ま た は
平面上、均等に複数箇所配置され、一端がベース2と下部テーブル3のいずれか一方に接
続 さ れ 、 他 端 は 単 に 接 触 す る 。 図 16に 示 す よ う に 鉛 直 ば ね 17の 下 端 が ベ ー ス 2 に 固 定 さ れ
た 場 合 、 鉛 直 ば ね 17は 上 端 に お い て 下 部 テ ー ブ ル 3 の 下 面 に 沿 っ て 摺 動 す る こ と に よ り 下
40
部 テ ー ブ ル 3 を 昇 降 自 在 に 支 持 す る 。 鉛 直 ば ね 17に は コ イ ル ス プ リ ン グ の 他 、 皿 ば ね や 輪
ばね、板ばねが使用される。
【0081】
図 18∼ 図 23は 鉛 直 振 動 遮 断 装 置 16が ベ ー ス 2 に 接 続 さ れ 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の 鉛 直 荷 重 を 負
担 し な が ら 、 水 平 方 向 に 復 元 力 を 発 揮 す る 水 平 ば ね 171と 、 ベ ー ス 2 に 水 平 軸 回 り に 回 転
自 在 に 支 持 さ れ な が ら 、 下 部 テ ー ブ ル 3 と 水 平 ば ね 171に 水 平 軸 回 り に 回 転 自 在 に 連 結 さ
れ 、 ベ ー ス 2 と 下 部 テ ー ブ ル 3 を 常 に 平 行 に 保 つ 保 持 部 材 181か ら な る 場 合 ( 請 求 項 5 )
の 例 を 示 す 。 図 18∼ 図 21は 水 平 ば ね 171と し て コ イ ル ス プ リ ン グ を 使 用 し た 場 合 、 図 22、
図 23は 輪 ば ね を 使 用 し た 場 合 で あ る 。
【0082】
50
(13)
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請 求 項 5 の 場 合 、 図 19に 示 す よ う に 保 持 部 材 181は ベ ー ス 2 の 上 面 に 、 水 平 に 間 隔 を 隔 て
て 固 定 さ れ た 支 持 材 181a, 181aに 軸 支 さ れ る 複 数 個 の 保 持 材 181bと 、 複 数 個 の 保 持 材 181b
を 連 結 し 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の ベ ー ス 2 に 対 す る 相 対 移 動 時 に 複 数 個 の 保 持 材 181bを 同 時 に
回 転 さ せ る 連 結 部 材 181cか ら な り 、 保 持 材 181bは 支 持 材 181a, 181a間 に 架 設 さ れ た 支 持 軸
181dに 軸 支 さ れ る と 共 に 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の 下 面 に 固 定 さ れ た プ レ ー ト 181eに ピ ン 181g等
に よ っ て 軸 支 さ れ る 一 方 、 水 平 ば ね 171に 連 結 さ れ た 連 結 材 181fに ピ ン 181h等 に よ っ て 軸
支される。
【0083】
図 20に 示 す よ う に 保 持 材 181bの 、 支 持 材 181aへ の 軸 支 位 置 で あ る 支 持 軸 181dと 、 プ レ ー ト
181eへ の 軸 支 位 置 で あ る ピ ン 181gは 同 一 鉛 直 線 上 に は な く 、 水 平 方 向 に e だ け 偏 心 し て お
10
り 、 保 持 材 181bは 一 保 持 部 材 181が 分 担 す る 下 部 テ ー ブ ル 3 の 鉛 直 荷 重 W に よ っ て 常 に モ
ー メ ン ト M1( = W ・ e ) を 受 け た 状 態 に あ り 、 そ の モ ー メ ン ト M1に 対 し て 図 21に 示 す よ う
に 保 持 材 181bに 連 結 さ れ た 水 平 ば ね 171が 抵 抗 し 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の 鉛 直 荷 重 W を 負 担 し
ている。
【0084】
支 持 軸 181d回 り の モ ー メ ン ト M1は ピ ン 181hを 通 じ て 連 結 材 181fに モ ー メ ン ト M2と し て 伝 達
さ れ る が 、 支 持 軸 181dと ピ ン 181hと の 間 の 距 離 を L 、 連 結 材 181f に 作 用 す る 軸 方 向 力 、
す な わ ち 水 平 ば ね 171に 作 用 す る 軸 方 向 力 を H と す る と 、 M2= H ・ L で あ り 、 M2= M1で あ
る か ら 、 軸 方 向 力 H は H = W ・ e / L と な り 、 水 平 ば ね 171は 鉛 直 荷 重 W の e / L 倍 の 荷
重 を 負 担 す れ ば よ い 。 図 示 す る よ う に 連 結 材 181fの 両 側 に 水 平 ば ね 171, 171が 接 続 さ れ た
20
場 合 に は 各 水 平 ば ね 171の 負 担 は H / 2 の 荷 重 で 済 む 。
【0085】
こ こ で 、 水 平 ば ね 171の ば ね 定 数 を k と し 、 水 平 ば ね 171の 伸 び 、 ま た は 縮 み を x と す る と
、 H = k ・ x で あ る か ら 、 水 平 ば ね 171は 平 常 時 、 鉛 直 荷 重 W に よ っ て 引 張 力 、 ま た は 圧
縮力Hを負担し、x=e/kL・Wだけ伸長、もしくは収縮した状態で平衡し、下部テー
ブル3の上下動に伴って更なる引張力、または圧縮力を負担する。図示する場合は連結材
181fを 挟 ん だ 一 方 の 水 平 ば ね 171が 引 張 力 を 負 担 す る と 同 時 に 、 他 方 の 水 平 ば ね 171が 圧 縮
力を負担する。
【0086】
図 22、 図 23に 示 す よ う に 水 平 ば ね 171に 輪 ば ね を 使 用 し た 場 合 に は 、 輪 ば ね 自 身 の 特 性 に
30
より、下部テーブル3のベース2に対する上下動時にその振動を早期に減衰させる効果を
得ることができる。
【0087】
輪 バ ネ は 図 24に 示 す よ う に 径 の 異 な る 内 輪 A と 外 輪 B を 軸 方 向 に 交 互 に 重 ね 合 わ せ た 形 を
し、隣接する内輪A,A間と外輪B,B間にクリアランスが確保されながら、互いに隣接
する内輪Aと外輪Bが鉛直面、もしくは水平面に対して傾斜した接触面で互いに接触する
。
【0088】
輪 ば ね は 図 22、 図 23に 示 す よ う に 軸 を 水 平 に し た 状 態 で 使 用 さ れ 、 平 常 時 に は 内 輪 A と 外
輪Bの双方の接触面間に生ずる摩擦力によって下部テーブル3の鉛直荷重Wを圧縮力とし
40
て負担し、内輪Aが周方向に収縮し、外輪Bが周方向に伸長し、内輪Aと外輪Bがそれぞ
れ一定の縮み変形と伸び変形を生じた状態で平衡状態となる。
【0089】
平衡状態からは、輪バネ全体では隣接する内輪A,A間のクリアランスと外輪B,B間の
クリアランスがなくなるまで更に圧縮力を負担し、軸方向に収縮することが可能である一
方、内輪Aと外輪Bの双方の接触面が離脱するまで引張力を負担し、軸方向に伸長するこ
とが可能であるため、収縮しきる状態から伸長しきる状態までの範囲で下部テーブル3の
鉛直方向の振動を遮断する。
【0090】
輪 バ ネ の 履 歴 特 性 図 で あ る 図 25に 示 す よ う に 輪 バ ネ は 全 体 が 収 縮 し き る ま で 圧 縮 力 を 負 担
50
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した状態から、荷重が除去されたときに内輪Aと外輪Bに一定の歪みを残したまま荷重の
みが低下し、その後に内輪Aと外輪Bが原形に復帰する性質を持ち、履歴曲線がループを
描くため、上記の振動遮断の機能に加え、下部テーブル3の鉛直方向の振動時に振動エネ
ルギを吸収し、ベース2に対する下部テーブル3の鉛直方向の揺れを抑制する機能を併せ
持つ。
【0091】
図 22、 図 23で は 連 結 材 181fに 1 個 の 水 平 ば ね 171を 接 続 し て い る が 、 こ の 場 合 、 水 平 ば ね 1
71は 平 常 時 に H = W ・ e / L の 軸 方 向 力 を 負 担 し た 状 態 で 平 衡 し 、 下 部 テ ー ブ ル 3 の 上 下
動に伴って更なる引張力、または圧縮力を負担しながら、振動を抑制する。
【0092】
10
輪 ば ね の 各 内 輪 と 外 輪 は 互 い に 分 離 し て い る こ と か ら 、 水 平 ば ね 171に 輪 ば ね を 用 い る 場
合 に は 輪 ば ね は そ の 全 体 を 包 囲 し 、 一 端 が 開 放 し た シ リ ン ダ 171a内 に 挿 入 さ れ 、 輪 ば ね の
一 端 が シ リ ン ダ 171aの 閉 塞 し た 端 面 に 接 続 さ れ る 。
【0093】
シ リ ン ダ 171aの 開 放 面 側 に は シ リ ン ダ 171aを 包 囲 し 、 一 端 が 開 放 し た ケ ー シ ン グ 171bが 軸
方 向 に 相 対 移 動 自 在 に 装 着 さ れ 、 ケ ー シ ン グ 171bの 内 部 に 固 定 さ れ た 軸 171cが 輪 ば ね の 他
端 に 接 続 さ れ る 。 ケ ー シ ン グ 171bの 他 端 に は 連 結 材 181fが 水 平 軸 回 り に 回 転 自 在 に 連 結 さ
れ 、 ケ ー シ ン グ 171bは 図 23に 示 す よ う に 連 結 材 181fか ら 圧 縮 力 を 受 け た と き に 輪 ば ね を 収
縮させる。
【0094】
20
図 22、 図 23で は ま た 、 下 部 テ ー ブ ル 3 が ベ ー ス 2 に 対 し て 大 き く 沈 み 込 ん だ 場 合 の 下 部 テ
ー ブ ル 3 と 保 持 部 材 181と の 衝 突 を 回 避 す る た め に 、 プ レ ー ト 181eの 下 に プ レ ー ト 181eの
下 端 部 が 接 触 し 得 る 支 柱 181jを ベ ー ス 2 に 固 定 し て い る 。 支 柱 181jの 上 端 に は プ レ ー ト 18
1eの 接 触 時 の 衝 撃 を 緩 和 す る た め の 緩 衝 材 181kが 取 り 付 け ら れ る 。
【0095】
輪ばねは平衡状態から内輪と外輪の双方の接触面が離脱するまでの引張力しか負担できず
、 引 張 力 の 負 担 に 限 界 が あ る こ と か ら 、 図 22で は 下 部 テ ー ブ ル 3 が 降 下 す る と き に 水 平 ば
ね 171が 圧 縮 力 を 負 担 す る よ う に 、 保 持 材 181bの ピ ン 181hが 水 平 ば ね 171に 接 近 す る 側 に 水
平 ば ね 171を 配 置 し て い る 。
【0096】
30
ま た 図 23に 示 す よ う に プ レ ー ト 181eが 支 柱 181j上 の 緩 衝 材 181kに 接 触 し 、 水 平 ば ね 171が
最 も 収 縮 し た と き に 、 そ の 復 元 力 が 保 持 材 181bに 図 22の 状 態 に 復 帰 す る 向 き の モ ー メ ン ト
と し て 作 用 す る よ う 、 支 持 軸 181dと ピ ン 181h、 及 び 水 平 ば ね 171と 連 結 材 181fを 連 結 す る
ピ ン 181iが 実 質 的 に 同 一 線 上 に 配 列 す る 直 前 の 状 態 と な る よ う に 水 平 ば ね 171を 設 置 し て
いる。
【0097】
図 22の 場 合 、 水 平 ば ね 171は 下 部 テ ー ブ ル 3 の 鉛 直 荷 重 に よ る 圧 縮 力 を 負 担 し て 平 衡 す る
が、この状態から下部テーブル3が沈み込んだときには更なる圧縮力を負担しながら減衰
力を発生し、下部テーブル3の降下時の加速度を低減し、衝撃を緩和する。
【0098】
40
図 26、 図 27は 下 部 テ ー ブ ル 3 と 上 部 テ ー ブ ル 4 と の 間 に 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 下 部 テ ー ブ ル
3に対する鉛直上向きの相対移動を許容しながら、相対移動時の衝撃を緩和する緩衝装置
21を 設 置 し た 場 合 ( 請 求 項 7 ) の 様 子 を 示 す 。 緩 衝 装 置 21は 上 部 テ ー ブ ル 4 の 上 向 き の 移
動 を 許 容 す る 働 き を す る た め 、 請 求 項 6 に お け る 制 限 装 置 11は 併 用 さ れ な い 。
【0099】
緩 衝 装 置 21は 鉛 直 方 向 に 復 元 力 を 発 揮 す る 鉛 直 ば ね 22と 、 下 部 テ ー ブ ル 3 と 上 部 テ ー ブ ル
4 に 固 定 さ れ 、 鉛 直 ば ね 22の 両 端 を 保 持 す る 保 持 材 23, 23か ら な り ( 請 求 項 8 ) 、 鉛 直 ば
ね 22に は い ず れ か 一 方 の 保 持 材 23に 固 定 さ れ た 心 棒 24が 挿 通 す る 。
【0100】
心 棒 24は 鉛 直 ば ね 22が コ イ ル ス プ リ ン グ の 場 合 に 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 下 部 テ ー ブ ル 3 に 対
50
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する浮き上がりによる圧縮変形時の座屈を防止する働きをし、図示するように輪ばねを使
用した場合には上部テーブル4の浮き上がり時にも輪ばねに圧縮力を加えるための後述の
係 止 材 24a を 配 置 す る た め に 用 い ら れ る 。
【0101】
平常状態では上部テーブル4は下部テーブル3上に上部回転体8を挟んで載置されている
た め 、 緩 衝 装 置 21は 上 部 テ ー ブ ル 4 が 下 部 テ ー ブ ル 3 に 対 し て 浮 き 上 が り を 生 じ た と き の
浮き上がりの抑制と、浮き上がり時の、または浮き上がり時と浮き上がり後の衝撃緩和の
た め に 機 能 す る 。 鉛 直 ば ね 22に も コ イ ル ス プ リ ン グ の 他 、 皿 ば ね や 図 示 す る よ う な 輪 ば ね
が 使 用 さ れ る 。 輪 ば ね を 使 用 す る 場 合 、 輪 ば ね は シ リ ン ダ 22a 内 に 配 置 さ れ る 。
【0102】
10
図 26は 下 部 テ ー ブ ル 3 と 上 部 テ ー ブ ル 4 に 保 持 材 23, 23を 固 定 し 、 両 保 持 材 23, 23間 に 鉛
直 ば ね 22と し て の 輪 ば ね を 配 置 し た 場 合 、 図 27は 上 部 テ ー ブ ル 4 に 固 定 さ れ た 保 持 材 23の
上 に 鉛 直 ば ね 22と し て の 輪 ば ね を 配 置 し た 場 合 で あ る 。
【0103】
図 26の 場 合 、 心 棒 24は 上 部 テ ー ブ ル 4 に 固 定 さ れ た 上 側 の 保 持 材 23を 貫 通 し 、 上 端 に お い
て 上 側 の 保 持 材 23に 下 向 き に 係 止 し 、 上 側 の 保 持 材 23は 心 棒 24と 共 に 下 側 の 保 持 材 23、 及
び 下 側 の 保 持 材 23に 固 定 さ れ た シ リ ン ダ 22a に 対 し て 自 由 に 上 昇 で き る 状 態 に あ る 。
【0104】
図 27の 場 合 は 、 上 側 の 保 持 材 23か ら 上 方 へ 突 出 し た 心 棒 24の 上 端 に 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 浮
き 上 が り 時 に 鉛 直 ば ね 22の 上 端 が 係 止 す る 係 止 材 24a が 接 続 さ れ る 。 シ リ ン ダ 22a は 上 側
20
の 保 持 材 23に 固 定 さ れ る 。
【0105】
鉛 直 ば ね 22と し て 輪 ば ね を 使 用 し た 場 合 、 輪 ば ね は 平 衡 状 態 か ら 内 輪 と 外 輪 の 双 方 の 接 触
面 が 離 脱 す る ま で の 引 張 力 し か 負 担 で き ず 、 引 張 力 の 負 担 に 限 界 が あ る こ と か ら 、 図 26で
は 上 部 テ ー ブ ル 4 が 鉛 直 上 向 き の 相 対 移 動 ( 浮 き 上 が り ) を 生 じ た と き に も 鉛 直 ば ね 22に
圧 縮 力 が 作 用 す る よ う 、 心 棒 24の 下 端 に は 上 部 テ ー ブ ル 4 の 浮 き 上 が り 時 に 鉛 直 ば ね 22の
下 端 に 上 向 き に 係 止 す る 係 止 材 24a が 接 続 さ れ る 。 こ の 係 止 材 24a は 下 側 の 保 持 材 23か ら
分離している。
【0106】
心 棒 24の 回 り の 、 鉛 直 ば ね 22の 上 端 位 置 に は 上 部 テ ー ブ ル 4 の 浮 き 上 が り 時 に 鉛 直 ば ね 22
30
の 上 端 に 下 向 き に 係 止 す る 係 止 材 24a が 配 置 さ れ 、 下 側 の 保 持 材 23に 固 定 さ れ た シ リ ン ダ
22a の 上 端 の 下 面 に 接 続 さ れ る 。
【0107】
図 26の 場 合 、 上 部 テ ー ブ ル 4 が 浮 き 上 が り を 生 じ た と き 、 下 側 の 係 止 材 24a が 鉛 直 ば ね 22
の 下 端 に 上 向 き に 係 止 す る こ と で 、 鉛 直 ば ね 22が 圧 縮 力 を 負 担 し な が ら 減 衰 力 を 発 生 す る
。 上 部 テ ー ブ ル 4 の 浮 き 上 が り と 共 に 、 上 部 テ ー ブ ル 4 に は 収 縮 し た 鉛 直 ば ね 22の 復 元 力
が 下 側 の 係 止 材 24a を 通 じ て 下 向 き に 作 用 し 、 下 部 テ ー ブ ル 3 に は 上 側 の 係 止 材 24a を 通
じ て 上 向 き に 作 用 す る た め 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 浮 き 上 が り は 抑 制 さ れ 、 併 せ て 鉛 直 ば ね 22
の発生する減衰力によって浮き上がり時の衝撃も緩和される。
【0108】
40
図 示 し な い が 、 鉛 直 ば ね 22に コ イ ル ス プ リ ン グ を 使 用 し た 場 合 に お い て 、 上 部 テ ー ブ ル 4
の浮き上がり後、復帰するときの下部テーブル3(上部回転体8)との接触による衝撃を
緩 和 す る 上 で は ( 請 求 項 9 ) 、 鉛 直 ば ね 22は 平 常 時 に 軸 方 向 に 収 縮 し 、 圧 縮 に よ る 復 元 力
が上部テーブル4に鉛直上向きに作用した状態に置かれる。
【0109】
輪 ば ね を 用 い た 場 合 に は 平 常 時 に 上 端 と 下 端 に お い て 係 止 材 24a に 係 止 す る こ と で 、 既 に
収 縮 し た 状 態 に あ る た め 、 鉛 直 ば ね 22と し て 輪 ば ね を 使 用 す る こ と の み で 上 部 テ ー ブ ル 4
の浮き上がり後、降下するときの衝撃を緩和することができる。
【0110】
請 求 項 9 に お い て 、 鉛 直 ば ね 22に コ イ ル ス プ リ ン グ を 使 用 し た 場 合 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 浮
50
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き 上 が り 後 、 鉛 直 ば ね 22は 収 縮 し よ う と す る が 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 下 面 ( 溝 4b) が 上 部 回
転 体 8 に 接 触 す る 前 に 鉛 直 ば ね 22が 上 向 き の 復 元 力 を 発 揮 す る た め 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 上
部回転体8への接触時の上部回転体8との衝突による衝撃が緩和される。上部テーブル4
の浮き上がり時と浮き上がり後の衝撃が緩和されることで、下部テーブル3に生ずる鉛直
方向の振動が遮断される。
【0111】
図 27の 場 合 も 上 部 テ ー ブ ル 4 に 固 定 さ れ た 上 部 の 保 持 材 23を 心 棒 24が 貫 通 し 、 こ の 上 部 の
保 持 材 23は 心 棒 24に 対 し て 自 由 に 昇 降 で き る 状 態 に あ り 、 上 部 テ ー ブ ル 4 が 浮 き 上 が り を
生 じ た と き 、 鉛 直 ば ね 22は 収 縮 し 、 収 縮 後 、 伸 長 し よ う と す る と き の 復 元 力 が 上 部 の 保 持
材 23を 通 じ て 上 部 テ ー ブ ル 4 に 下 向 き に 作 用 す る こ と に よ り 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 浮 き 上 が
10
りを抑制しながら、浮き上がり時の衝撃を緩和する。
【0112】
図 示 し な い が 、 図 27の よ う に 上 部 の 保 持 材 23の 上 に 鉛 直 ば ね 22と し て の コ イ ル ス プ リ ン グ
を配置した場合において、上部テーブル4の鉛直上向きの相対移動(浮き上がり)後、復
帰するときの下部テーブル3(上部回転体8)との接触による衝撃を緩和する上では(請
求 項 9 ) 、 鉛 直 ば ね 22は 平 常 時 に 軸 方 向 に 伸 長 し 、 引 張 に よ る 復 元 力 が 上 部 の 保 持 材 23を
通じて上部テーブル4に鉛直上向きに作用した状態に置かれる。
【0113】
輪 ば ね を 用 い た 場 合 に は 平 常 時 に 上 端 お い て 係 止 材 24a に 係 止 し 、 下 端 に お い て 下 部 の 保
持 材 23に 係 止 す る こ と で 、 既 に 収 縮 し た 状 態 に あ る た め 、 鉛 直 ば ね 22と し て 輪 ば ね を 使 用
20
することのみで上部テーブル4の浮き上がり後、降下するときの衝撃を緩和することがで
きる。
【0114】
図 27に お い て 上 部 テ ー ブ ル 4 の 浮 き 上 が り 後 、 復 帰 す る と き の 下 部 テ ー ブ ル 3 上 部 回 転 体
8との接触による衝撃を緩和する場合(請求項9)、上部テーブル4の浮き上がり後、鉛
直 ば ね 22は 伸 長 し よ う と す る が 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 下 面 ( 溝 4b) が 上 部 回 転 体 8 に 接 触 す
る 前 に 鉛 直 ば ね 22が 上 向 き の 復 元 力 を 発 揮 す る た め 、 上 部 テ ー ブ ル 4 の 上 部 回 転 体 8 へ の
接触時の上部回転体8との衝突による衝撃が緩和される。上部テーブル4の浮き上がり時
と浮き上がり後の衝撃が緩和されることで、下部テーブル3に生ずる鉛直方向の振動が遮
断される。
30
【0115】
図 26、 図 27で も 下 部 テ ー ブ ル 3 と 上 部 テ ー ブ ル 4 間 の 周 囲 ( 外 側 ) に 緩 衝 装 置 21を 配 置 し
ているが、ばね5、6との干渉が生じない範囲で下部テーブル3と上部テーブル4間の周
囲以外の内側に配置する場合もある。
【0116】
ベース2と下部テーブル3のいずれか一方と、下部テーブル3と上部テーブル4のいずれ
か 一 方 に は 図 33に 示 す よ う に 微 小 振 動 等 、 設 定 さ れ た 水 平 力 ( 加 速 度 ) が ベ ー ス 2 に 作 用
しないときに下部テーブル3がベース2に対して、上部テーブル4が下部テーブル3に対
してそれぞれ無秩序に相対移動せず、設定された水平力が作用したときに下部テーブル3
と 上 部 テ ー ブ ル 4 が 自 由 に 相 対 移 動 で き る よ う 、 他 方 に 係 合 す る ス ト ッ パ 25が 突 設 さ れ る
40
。
【0117】
ス ト ッ パ 25は 例 え ば ベ ー ス 2 ( 下 部 テ ー ブ ル 3 ) と 下 部 テ ー ブ ル 3 ( 上 部 テ ー ブ ル 4 ) の
い ず れ か 一 方 か ら 、 ば ね 26で 他 方 側 へ 付 勢 さ れ 、 他 方 に 形 成 さ れ た 溝 28に 嵌 合 し た 状 態 で
突設される。
【0118】
図 33で は ス ト ッ パ 25と ば ね 26を 部 品 化 す る た め に 、 筒 状 の ケ ー ス 27内 に ば ね 26と ス ト ッ パ
25を 内 蔵 さ せ 、 ケ ー ス 27を ベ ー ス 2 ( 下 部 テ ー ブ ル 3 ) に 埋 め 込 む 形 で 設 置 し て い る 。 図
33で は ま た 、 下 部 テ ー ブ ル 3 ( 上 部 テ ー ブ ル 4 ) の 相 対 移 動 時 に ス ト ッ パ 25が 抵 抗 な く 溝
28か ら 離 脱 で き る よ う 、 ス ト ッ パ 25に 球 体 を 使 用 し 、 溝 28を 円 錐 形 状 に 形 成 し て い る 。
50
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【0119】
構 造 物 に 作 用 す る 水 平 力 に よ っ て ス ト ッ パ 25が 溝 28か ら 離 脱 し た と き 、 下 部 テ ー ブ ル 3 と
上部テーブル4は免震装置1によって原位置に留まろうとし、それぞれ構造物の変形と共
に移動するベース2と下部テーブル3に対して相対移動する。下部テーブル3と上部テー
ブル4の、ベース2と下部テーブル3に対する相対移動量に応じてばね5、6が回転しな
がら、伸長する。
【0120】
振動が繰り返される間、下部テーブル3と上部テーブル4はベース2と下部テーブル3に
対する原位置に関して正負の向きに往復動し、ばね5、6が伸長と収縮を繰り返す。
【0121】
10
ベース2と下部テーブル3の静止後、下部テーブル3と上部テーブル4はばね5、6の復
元力によってベース2と下部テーブル3に対する相対的な変位がなくなる向きに復帰しよ
うとし、ばね5、6自体の減衰効果によって振幅は早期に減少し、停止する。
【0122】
【発明の効果】
ベースと、ベース上に、ベースに対して水平の1方向に相対移動自在に支持される下部テ
ーブルと、下部テーブル上に、下部テーブルに対し、前記1方向に交差する水平方向に相
対移動自在に支持される上部テーブルを基本要素とし、地震等の振動の発生時に下部テー
ブルをベースに対して水平の1方向に直線運動させ、上部テーブルを下部テーブルに対し
て前記1方向に交差する水平方向に直線運動させた上で、ベースと下部テーブル間、及び
20
下部テーブルと上部テーブル間に両者間に相対移動が生じたときに伸長して復元力を発揮
するばねを架設するため、ガイド棒とスライダ及び滑車とワイヤを用いることなく、変形
量と復元力の関係がサインカーブ的になるコイルスプリングの特性を発揮させ、ばねの固
有振動数を持たない機能を引き出しながら、免震装置全体としての構成を単純化させるこ
とができる。
【0123】
上部テーブルがベースに対して任意の方向に相対移動自在でありながら、上部テーブルと
下部テーブルとの間に架設されるばねの上部テーブル側の端部の移動が直線運動に規制さ
れ、下部テーブルとベースとの間に架設されるばねの下部テーブル側の端部の移動も直線
運動に規制されているため、ばねの変形量と復元力の関係がサインカーブ的になり、下部
30
テーブルとベース、及び上部テーブルと下部テーブルの相対移動を早期に終息させること
が可能になる。
【0124】
併せてばねの一端の移動が直線運動に規制されることで、ばねが固有振動数を持たない使
用状態にあるため、下部テーブルや上部テーブルの振動を増幅させることもない。
【0125】
ばねは伸長量に応じた復元力を発揮し、相対移動した下部テーブルと上部テーブルを原位
置に復帰させようとするが、軸の方向を一定にしたまま伸長するのではなく、軸が一端の
回りに回転しながら伸長することで、下部テーブルと上部テーブルの復帰時に下部テーブ
ルと上部テーブルが原位置に近づく程、ばねの復元力がサインカーブに従って小さくなる
40
。
【0126】
この結果、原位置に復帰しようとする下部テーブルと上部テーブルがばねの復元力によっ
て原位置を超え、更に相対移動時と反対の向きに移動しようとするときの下部テーブルと
上部テーブルの加速度は低減されるため、下部テーブルと上部テーブルは原位置付近でベ
ースに対して小さい振幅で振動を繰り返した後、静止することができる。
【0127】
またばねの復元力は下部テーブルと上部テーブルに直接作用することから、ガイド棒にス
ライダを外接させる場合や、スライダに接続されるワイヤを滑車を経由させて張架する場
合のような摩擦力による力の損失が少ないため、ばねの復元力を有効に発揮させ、損失さ
50
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せることなく下部テーブルと上部テーブルに伝達させることが可能である。
【0128】
以上のように相対移動した下部テーブルと上部テーブルを原位置に復帰させるように下部
テーブルと上部テーブルに作用する復元力が原位置付近で急激に0に近づき、下部テーブ
ルと上部テーブルを制動させるように働くことから、免震装置に振動抑制のための格別な
ダンパを併用する必要性がない。
【0129】
請求項2ではベースと下部テーブル間に、下部テーブルを水平の1方向に相対移動自在に
支持する円柱状の下部回転体を軸を水平に向けて介在させ、下部テーブルと上部テーブル
間に、上部テーブルを前記1方向に交差する水平方向に相対移動自在に支持する円柱状の
10
上部回転体を軸を水平に向けて介在させるため、振動の発生時に摩擦による抵抗なく相対
移動を生じさせることができ、1個当たりの支承体が負担する荷重を低減し、支承体の数
を節減することができる。
【0130】
請求項3∼請求項5ではベースと下部テーブルの対向する面間に、両者間の鉛直方向の相
対移動を許容し、ベースに生ずる鉛直振動を遮断する鉛直振動遮断装置を介在させるため
、免震装置に作用する鉛直方向の振動を遮断することができる。
【0131】
請求項6では下部テーブルと上部テーブル間の周囲に、上部テーブルの下部テーブルに対
する鉛直上向きの相対移動量を制限する制限装置を設置するため、下部テーブルと上部テ
20
ーブル間の鉛直方向の一定量を超える相対移動量を制限し、上部テーブルの下部テーブル
からの離脱を防止することができる。
【0132】
請求項7、請求項8では下部テーブルと上部テーブル間に、上部テーブルの下部テーブル
に対する鉛直上向きの相対移動を許容しながら、相対移動時の衝撃を緩和する緩衝装置を
設置するため、鉛直上向きの相対移動が生じたときの衝撃を緩和することができる。
【0133】
請求項9では上部テーブルに浮き上がりが生じていない平常状態で、鉛直ばねの復元力が
上部テーブルに鉛直上向きに作用した状態に保つことで、上部テーブルの浮き上がり時と
浮き上がり後の衝撃が緩和されるため、鉛直方向の振動を遮断することができる。
30
【0134】
請求項8、請求項9ではまた、鉛直ばねを保持する保持材が存在することで、下部テーブ
ルと上部テーブル間の鉛直上向きの一定量の相対移動を許容しながら、その一定量を超え
る相対移動量を制限することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】免震装置の構成例を示した斜視図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2のx−x線の立面図である。
【図4】図2のy−y線の立面図である。
【 図 5 】 (a)は 下 部 回 転 体 ( 上 部 回 転 体 ) と プ レ ー ト の 関 係 を 示 し た 縦 断 面 図 、 (b)は (a
40
)に 直 交 す る 方 向 の 縦 断 面 図 で あ る 。
【図6】ベースの形状例を示した斜視図である。
【図7】図6のベースに対応した下部テーブルの形状例を示した斜視図である。
【図8】図7の下部テーブルに対応した上部テーブルの形状例を示した斜視図である。
【図9】下部テーブルと上部テーブルがそれぞれベースと下部テーブルに対して相対移動
したときの様子を示した平面図である。
【図10】図9の斜視図である。
【図11】図9の上部テーブルを省略した様子を示した平面図である。
【 図 1 2 】 図 11の 平 面 図 で あ る 。
【 図 1 3 】 図 11の 拡 大 図 で あ る 。
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(19)
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【 図 1 4 】 図 12の 拡 大 図 で あ る 。
【 図 1 5 】 (a)は 図 9 の z − z 線 断 面 図 、 (b)は (a)の 破 線 円 部 分 の 拡 大 図 で あ る 。
【図16】ベースと下部テーブル間に鉛直ばねを用いた鉛直振動遮断装置を設置した様子
を示した斜視図である。
【 図 1 7 】 図 16の ベ ー ス と 下 部 テ ー ブ ル を 組 み 合 わ せ た 様 子 を 示 し た 立 面 図 で あ る 。
【図18】ベースと下部テーブル間に水平ばねを用いた鉛直振動遮断装置を設置した様子
を示した斜視図である。
【 図 1 9 】 図 18の 一 部 拡 大 図 で あ る 。
【 図 2 0 】 図 19の 立 面 図 で あ る 。
【 図 2 1 】 図 18の 鉛 直 振 動 遮 断 装 置 が 下 部 テ ー ブ ル の 鉛 直 荷 重 を 負 担 し た と き の 様 子 を 示
10
した立面図である。
【図22】ベースと下部テーブル間に他の水平ばねを用いた鉛直振動遮断装置を設置した
様子を示した立面図である。
【 図 2 3 】 図 22の 鉛 直 振 動 遮 断 装 置 の 水 平 ば ね が 収 縮 し た 状 態 を 示 し た 立 面 図 で あ る 。
【図24】輪ばねを示した縦断面図である。
【図25】輪ばねの圧縮力−縮み関係を示した復元力特性図である。
【図26】緩衝装置の構成例と取付例を示した立面図である。
【図27】緩衝装置の他の構成例と取付例を示した立面図である。
【図28】ばねの回転を伴う伸長と下部テーブルとの関係を示した平面図である。
【図29】下部テーブルをばねと見なしたときの下部テーブルの復元力と水平変位との関
20
係を示したグラフである。
【図30】下部テーブルの加速度と水平変位との関係を示したグラフである。
【図31】下部テーブルのばね定数と水平変位との関係を示したグラフである。
【図32】下部テーブルの固有振動数と水平変位との関係を示したグラフである。
【図33】ストッパの具体例とストッパのベースや下部テーブルへの取付状態を示した縦
断面図である。
【符号の説明】
1 … … 免 震 装 置 、 2 … … ベ ー ス 、 2a… … 溝 、 201… … 軌 道 枠 、 202… … 直 交 枠 、 3 … … 下 部
テ ー ブ ル 、 3a… … 溝 、 31… … 軌 道 枠 、 3b… … 溝 、 32… … 軌 道 枠 、 4 … … 上 部 テ ー ブ ル 、 4b
… … 溝 、 41… … 軌 道 枠 、 41a … … 溝 、 42… … 直 交 枠 、 5 , 6 … … ば ね 、 7 … … 下 部 回 転 体
、 8 … … 上 部 回 転 体 、 9 … … プ レ ー ト 、 9a… … 開 口 、 10… … プ レ ー ト 、 10a … … 開 口 、 11
… … 制 限 装 置 、 11a … … 包 囲 部 、 11b … … 押 さ え 部 、 11c … … 溝 、 12… … 回 転 体 、 13… …
プ レ ー ト 、 13a … … 開 口 、 14… … 金 属 板 、 15… … 板 ば ね 、 16… … 鉛 直 振 動 遮 断 装 置 、 17…
… 鉛 直 ば ね 、 171… … 水 平 ば ね 、 171a… … シ リ ン ダ 、 171b… … ケ ー シ ン グ 、 171c… … 軸 、 1
8… … 保 持 部 材 、 18a … … 棒 材 、 18b … … ブ ラ ケ ッ ト 、 181… … 保 持 部 材 、 181a… … 支 持 材
、 181b… … 保 持 材 、 181c… … 連 結 部 材 、 181d… … 支 持 軸 、 181e… … プ レ ー ト 、 181f… … 連
結 材 、 181g… … ピ ン 、 181h… … ピ ン 、 181i… … ピ ン 、 181j… … 支 柱 、 181k… … 緩 衝 材 、 19
… … プ レ ー ト 、 20… … プ レ ー ト 、 21… … 緩 衝 装 置 、 22… … 鉛 直 ば ね 、 22a … … シ リ ン ダ 、
23… … 保 持 材 、 24… … 心 棒 、 25… … ス ト ッ パ 、 26… … ば ね 、 27… … ケ ー ス 、 28… … 溝 。
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(20)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
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(21)
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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(22)
【図9】
【図11】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
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(23)
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
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(24)
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
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(25)
【図24】
【図26】
【図25】
【図27】
【図28】
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【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
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【図33】
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(28)
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(73)特許権者 591190955
北海道
北海道札幌市中央区北3条西6丁目1番地
(74)代理人 100097113
弁理士 堀 城之
(74)代理人 100124316
弁理士 塩田 康弘
(72)発明者 石山 祐二
北海道北広島市北進町1−5−1 N−1102
(72)発明者 植松 武是
北海道旭川市東光6条5丁目5−26−C204
(72)発明者 青木 保夫
東京都小金井市緑町2−13−7
(72)発明者 児島 帝二
東京都品川区東品川1丁目39番地9号 日本電気システム建設株式会社内
(72)発明者 倉持 春夫
埼玉県川口市峯1389−5
審査官 藤本 信男
(56)参考文献 特開平10−295472(JP,A)
特開平10−292669(JP,A)
特開平04−312606(JP,A)
特開平04−034188(JP,A)
特開平09−287277(JP,A)
特開平09−053685(JP,A)
特開平10−339351(JP,A)
特開平09−196117(JP,A)
特開2000−240719(JP,A)
特開2001−279950(JP,A)
特開2000−088050(JP,A)
特開2000−266120(JP,A)
特開2002−174295(JP,A)
特開2002−186874(JP,A)
実開昭52−002095(JP,U)
実開昭48−019887(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-06
E04H 9/02
E01D 19/04