H L - 日本放射線技術学会 近畿部会

体幹部領域における
における深吸気停止SPECT
の有用性に
に関する研究
66 -心筋周辺臓器
心筋周辺臓器に及ぼす影響-
関西医科大学附属枚方病院 放射線部
○杉林慶一
大阪医科大学附属病院 中央放射線部
林万寿夫・熊井由昌
大阪市立北市民病院 放射線科
堀内承冶
大阪市立総合医療センター 中央放射線部
中央放射線部 河合崇史
【目的】心筋血流SPECTは、通常安静呼吸状態で
で収集しているのが一般的であり、収集時に横隔
膜の運動によるモーションアーチファクトの影響
影響を受ける。我々は、日本放射線技術学会第60回
学術大会において心筋血流シンチグラフィで深吸気停止
深吸気停止SPECT撮像法(BrST法)を用いること
により、左室心筋と横隔膜の分離が明瞭になったが
になったが、心筋下壁にミスマッチが生じると報告した。
今回、深吸気停止収集(BrST法)が通常呼吸収集
通常呼吸収集(FB法)に比し心筋周辺臓器に及ぼす影響と
ミスマッチの頻度について検討を行った。
【方法】 201Tlを用いた心筋シンチグラフィ70例 例についてBrST法にて収集を行った。①BrST法と
FB法で心筋と肝臓の高さをMIP画像で比較を行った
った。(Fig.1) ②心筋軸変換時の軸角度の違い
(心長軸方向、心水平軸方向)について比較した
した。(Fig.2) ③心筋と他臓器のオーバーラップの
頻度について比較した。(Fig.3) 【結果】 ①BrST法ではFB法に比べ、横隔膜上縁
横隔膜上縁が平均1.5cm下がり、心筋との分離がより明瞭
となった。②BrST法ではFB法に比べ、中心軸の
の角度が心長軸方向で反時計方向に平均3度、心水
平軸方向で時計方向に平均4.5度シフトする傾向にあった
にあった。③FB法は他臓器とのオーバーラップ
が15例認められたが、BrST法は1例も認められなかった
められなかった。(Table.1) 【結論】前回の報告ではBrST法とFB法で心筋下壁
心筋下壁の描出にミスマッチを認めた。今回の検討に
より心筋とその周囲の臓器によるオーバーラップがミスマッチの
によるオーバーラップがミスマッチの原因の一つであると考えられた。
以上のことより、BrST法はオーバーラップが改善
改善され他臓器(肝・胆)からの影響が少なくなる
ため、心筋シンチグラフィに有用であることが示唆
示唆された。
BrST FB FB BrST VLA L
L H
H
FB(L-H)-BrST(L-H) =心肝差分変化量(cm)
FB(H) - BrST(H)
=心変化量(cm) Fig.1 MIP画像での比較 HLA
BrST(VLA)-FB(VLA)=VLA軸角度差(度)
BrST(HLA)-FB(HLA)=HLA軸角度差(度)
症例A
症例B
症例C Level.0 Level.0 Level.0 Fig.2 心筋断面変換角度差 BrST法
FB法
Level. 0
56 (80%)
26 (37%)
Level. 1
14 (20%)
29 (42%)
Level. 2
0
15 (21%)
BrST Level.0 Level.1 FB Level.2 Level.0 :心筋と他臓器が完全に分離している状態
Level.1 :心筋と他臓器が接している状態
Level.2 :心筋と他臓器が重なっている状態 Fig.3 オーバラップ頻度 H
L
Table.1 オーバラップ頻度