支援者向け公式レター 5号

青山 亜紀子Prayer Letter No.5
2008年 4月
「アフリカの真珠」 とは、ウィンストン・チャーチル卿がウガンダを訪問した際に称した名前です。
ウガンダ派遣にまつわるレターの新名称は、現在検討中です。
ウガンダ・ムコノの村
ウガンダ・ムコノの村にて 子どもたちは皆
どもたちは皆 裸足
皆様、こんにちは。日本は気持ちよい春の季節となりまし
たが、いかがお過ごしですか。いつもお祈りご支援をもって
共に労して下さり、どうもありがとうございます。
エチオピア派遣以降、ソマリア情勢の悪化によるジジガの
プログラム撤退、労働許可再取得の難航、病気と手術など、
普通あまりなさそうな事態が次々と起こりましたが、神様は
私の内にあるアフリカの方々への想いを取り去ることなく、
新たな道を開いて下さいました。
この6月から、ウガンダへ派遣されることになりました。
北部紛争の回復途上地キトゥグムの他、2006年ワークキャ
ンプで滞在活動した世界里親会支援地域の南部ムコノにて、
人づくりプログラム評価員として関わります。
目次
鍵は「人づくり」
づくり」
鍵は「人づくり」
1
もっと知りたい ウガンダ
カルトが与えた 深い傷
2
*コラム*
3
「十戒」って何?
エイズ in ウガンダ
3
✝覚えてお祈り下さい✝
お問い合わせ
月間報告・案内とお詫び
2
4
他
4
ムコノ・ミソンバ地区
ムコノ・ミソンバ地区の
地区の大人たち
大人たち
エ チ オ ピ ア で 一 番 教 え ら れ た こ と 。 そ れ は 、「 人 々 は 私 た ち の 期 待
以上に素晴らしいものを持っている」ということでした。私たちは
これを前提に、プロジェクトが終了して私たちが去った後の人々の
展開を見越した働き方をする必要がある、と改めて想いました。
今 年 2 月 、 元 カ ン ボ ジ ア ・ カ ン ト リ ー デ ィ レ ク タ ー の 木 村 力 央ス
タッフ(当時)と 共 に ウ ガ ン ダ へ 出 張 し 、 ム コ ノ の 親 御 さ ん ・ 地 域 や
学校、教会のリーダーたちの声を聴く機会を持ちました。同じムコ
ノでも、既に10年ほど支援を続けた地域もあれば、支援が始まって
間もない地域もあります。支援が長い地域ほど肉親たちの生活力が
養われ、自分の子たちを健全に育てて自活していく自信がついてい
る・・・のが理想ですが、実際はそんなに順調ではありませんでした。
あと数ヶ月で支援終了の地域で「このままだと子どもたちが学校に
行けなくなる。もっと支援を続けて」という訴えが続出。支援終了
後のビジョンが村人たちの中になかったのです。そうかと思うと、
まだ支援を始めて2年ほどのミソンバ地域では既に「支援終了後
も、自分たちで生きていけそう」という展望が見られました。
その違いはどこから来るのでしょう?ミソンバでは里親会支援開
始時から肉親たちへ向けた安定収入プログラムも導入しており、最
初から「今は日本の里親さんから助けてもらっているけど、先々は
自分で得た収入で子どもを育てて生きるんだ」という高い意識があ
る様子。また、朝夷(あさいな)派遣スタッフの常駐担当地域です
ので、きっと人々の考え方に良い影響を与えているのでしょう。
これまでもどのプロジェクトも「人づくり」を念頭に行われてき
ましたが、現場には限られたスタッフ数で成すべきことが多くあり
ます。プロジェクト終了後も彼らのより良い生活の鍵となる「人づ
くり」に焦点を絞って、働き方や状況を適宜評価し、アプローチを
調整していく要員が加われば、どんなにたくさんの支援よりも先々
多くの実りを残す働きとできるのでは・・・そこで開かれたのが、今回
の「人づくりプログラム評価員」という私の職務なのです。
1
もっと知
もっと知りたい ウガンダ
ウガンダはエチオピアより
少し南西にあります。首都
カンパラは北緯0度19分、
エチオピア
つまりほぼ赤道直下です。
でも朝晩は長袖が必要なほど
で、実は心地よく過ごしやす
ウガンダ
い気候です。日本の真夏は湿
度も高くて夜も寝苦しい暑さ
ですので、逆に日本の方が大
変なのでは、と感じます。
もっとウガンダを知っていただくために、
以下に基本情報を載せてみました。
(カッコ内は日本との比較です)
面積:
24万km2
(日本の6割強)
人口:
2,880万人
(2割強)
国民総所得:280 USドル/人(約1/140)
平均余命:
49歳
(日本は82歳)
識字率: 男77% 女58% (約100%)
5歳未満で死ぬ子どもの数/1,000人中:
136人
(4人)
スーダン
●
キトゥグム
コンゴ
民主共和国
ウガンダ
ムコノ ●
ケニア
赤道
ティグスト と ガライェさん
*かなり大雑把に言えば、ウガンダでは
7人中1人が5歳前に地上の命を終えます
公用語:英語(元英国統治領。民族語は多数)
宗教:
キリスト教
宗教:
キリスト教 81%
40%)
(内訳 カトリック 41% プロテスタント 40%)
伝統宗教 18%
18% イスラム教
イスラム教 16%
16% 他
首都カンパラ
首都カンパラ~
キトゥグム: 約450km カンパラ~
カンパラ~ムコノ:
ムコノ: 約30km
カンパラ~キトゥグム:
カルトが与
カルトが与えた 深い傷
キトゥグムその他の北部の人たちを苦しめ
ている反政府団体LRAの正式名称は「主の抵
抗軍(Lord’s Resistance Army)。彼らは
キリスト教の教えを曲解したカルト集団でも
あ り ま す 。「 モ ー セ の 十 戒 に 基 づ い た 統 治 を 」
と訴えているにも関わらず、自らは十戒を
守っていません。その自己矛盾は理解不能に
思えましたが、調べる内に理由が(決して共
感はできませんが)わかってきました。
ウガンダ国内には長く北部と南部の対立構
造があります。ムセベニ大統領が就任して南
部出身者が政治の場を占めた次年1987年、
北部指導者アリス率いる反政府軍が首都カン
パラの100km手前まで侵攻。その軍は後に
敗退しましたが、1991年にコニーがこれを
継承する指導者と自称し、主の抵抗軍(LRA)
と名乗って活動を展開しました。通常の反政
府運動の域を超え、北部住民の惨殺や子ども
の拉致が始まったのはその頃からです。
コニーいわく「北部のために戦っているの
に北部住民がそれを支持せず、現政権に寝
返った。だからその裏切り行為に対して処罰
し て い る 。」 そ の 処 罰 は 十 戒 が 禁 じ る 殺 人 で は
ないのだそうです。子どもを拉致して少年兵
士やその妻とするのは「子どもは罪がなく純
粋。だから北部住民による『神の国』(?!)を
そこから新たに建て上げる」ためなのです。
彼 ら は 拉 致 し た 子 た ち を 洗 脳 し 、 村 に 戻 れ (参考:
2
なくするためにただならぬ手口を使います。あ
る男の子は、LRAを自分の村、家へ案内させら
れ、母親の腕を斧で切り落とすよう命じられま
した。拒否すれば結局自分も母も死ぬ…錯乱し
た心で母の腕を切り、その後兵士として北部の
村を襲い、殺戮・強奪を繰り返しました。やが
てLRAから逃げて母に再会しましたが、母に赦
されてはいないと感じるそう。ある女の子は他
の子同様兵士の妻としてあてがわれ、脱走中に
捕まった友人を棒で打つよう強制されました。
「力が入っていない」と責められ、力を加えて
打ち続けるうちに、友は死んでしまいました。
拉致された子たちはLRAの被害者であると同
時に、北部住民の加害者でもあります。だから
生き延びた今も、単なる社会復帰以上の更なる
難しさがあるのです。目の前で家族や友人を惨
殺された住民たちもトラウマを乗り越え、加害
者である元兵士を赦し、共に社会を建て直して
生きるとは、どれほど大変なことでしょう・・・
自らを神とするようなLRAの「正義感」は、
本来救うはずだった北部住民を最も苦しめる結
果となりました。幸いLRAと政府は現在和平交
渉中で、政治的解決による平和到来が期待され
ます。他方、人々が受けた傷は知れば知るほど
痛ましく、真に深いところで皆が全人的に癒さ
れ回復していく平和構築のため、どのように関
わっていけばよいか、切に祈らされています。
Els De Temmeman “Aboke Girl, Children Abducted in Northern Uganda”他)
* 「十戒」
十戒」って何
って何? *
か つて拉致された女女女女 のののの子子子子とととと
そ の子子子子どもたち
十戒とは、人間を含む天地万物を創られた主なる神様が、モーセ率いる神の民イスラエル人がエジ
プトを出る際に、人間が幸せに歩むためにモーセを通して示された十の戒めです。たった十なら守れ
る、のでしょうか?第十戒などは「他人のものを欲しがってはならない」ということ。またLRAの
ように、結果的に自分を神とするかのよ
十戒
うな言動、神の名や天的権威を用いて自
第一戒.
第一戒.わたしの他
わたしの他に神々があってはならない
分のやり方を正当化することも、私たち
第二戒.
第二戒.自分のために
自分のために偶像
のために偶像をつくってはならない
偶像をつくってはならない
にはありがちかもしれません。
第三戒.
第三戒.主の御名をみだりに
御名をみだりに唱
をみだりに唱えてはならない
目に見える殺人や盗みはまだしも、心
第四戒.
第四戒.安息日を
安息日を覚えて、
えて、これを聖
これを聖なる日
なる日とせよ
の中まで完全な聖さを問われる神の御言
第五戒.
第五戒.あなたの父
あなたの父と母とを敬
とを敬え
葉の前に、人間は皆罪人である現実を照
第六戒.
第六戒.殺してはならない
らされます。だからこそ、神の御子キリ
第七戒.
第七戒.姦淫してはならない
姦淫してはならない
ストは代わりにその罪の罰を負って十字
第八戒.
第八戒.盗んではならない
架にかかり、私たちを赦し救われた・・・
第九戒.
第九戒.あなたの隣人
あなたの隣人に
隣人に対し、偽りの証言
りの証言をしてはならない
証言をしてはならない
十戒は罪への戒めだけでなく、十字架の
第十戒.
第十戒.あなたの隣人
あなたの隣人の
隣人の家を欲しがってはならない
救いの意味をも指し示しているのです。
エイズ in ウガンダ
ウガンダではもうエイズの働きはしないのか
と言いますと、多分そんなことはありません。
前回のようなエイズプログラムだけに関わる職
種ではありませんが、これからもエイズの問題
に何かと関わることでしょう。
ウガンダはエイズに関して意義深い国です。
1982年にウガンダ国内で初めてHIV感染者が
見つかって以来、爆発的な感染流行がおこり、
「エイズの発祥地はウガンダ」という説がある
ほどです。しかしそこで大統領がエイズの問題
への取り組みの緊急性を公言し、人々の行動変
革を含めた感染予防の訴え、自発的なカウンセ
リング・検査の実施など多様な政策を進めたこ
とによって、画期的に感染率を低下させた国で
もあります。1992年に30%だったHIV感染
率が、2005年には7%弱まで下がりました。
「問題があることをありのまま認める」という
のは当たり前のようですが、現実逃避してしま
う人間の愚かさなのか、これをできる国はなか
なかありません。でもウガンダは自らの悲惨な
現実に向き合ったからこそ、これほど良き実り
を得ることができたのです。
エイズが蔓延する地域には主に2つの特徴が
あり、1つは紛争地域です。戦争によって心が
すさみ、戦士や避難民生活者による強姦が増え
るのです。もう1つは都心近く、或いは通商が
盛んな地域です。行き来する人々が性的に放縦
になるのと、性商業で命をつなぐ貧しい女性た
ちが人の集まる都心で働くからです。
紛争が続く北部キトゥグムでは、住民の9%
がHIVに感染しており、全人的回復プロジェク
トの一環として、エイズプログラムも行なって
います。ジジガ同様、HIV/エイズの予防啓発
と孤児たちの支援をし、更にHIV/エイズと共
に生きる人々(HIV陽性者)も支えています。
有給専任スタッフはたった1人。でも各地域で
訓練されたボランティアが、担当の孤児・
HIV/エイズと共に生きる人々に、日々関わっ
ています。事務所でもボ
ランティアスタッフが事
務を助けています。キ
トゥグムは、住民のほと
んどがLRAの襲撃を免れ
るため国内避難民キャン
プで生活しており、国連
など数々の緊急援助部隊
が、キャンプ内で食料を
配布し、医療サービスを
行なってます。そこで私
たちは、彼らの物質的支
援では届ききれない全人
的ケアに集中し、自分に
キトゥグム事務所のボランティア
事務所のボランティア
与 え ら れ た 時 間 を 地 域 の キトゥグム事務所
人々のために最大活用してくれるボランティア
住民たちと協力しながらこのような働き方がで
きるのです。治安が回復してきて国連などが撤
退すると、人々の暮らす場所・社会的状況など
が激変し、私たちの働き方も随時修正していく
必要が出てきます。とはいえ、状況は変わって
も、このように地域のために心を尽くして関
わってくれる「人」がいるのは確か。過酷な状
況だからこそ、自分さえ生き延びれば他人から
搾取しても良いと考える人がいる反面、地域の
皆と協力して地域全体を建て直していこうとす
る人の存在が際立って輝きます。緊急支援区域
なのに、将来への明るい展望さえ感じさせる。
キトゥグムはそんな地です。
南部ムコノの政情は、安定して平和です。電
気や水道が通っていない貧しい家も多いこの村
も、首都カンパラが近いせいか、エイズの足音
が忍び寄っている気配です。でも、世界里親会
の働きで既に築かれた地域教会や学校との連携
体制は、エイズやその他の地域の問題解決に、
今後も力を発揮していけることでしょう。
ウガンダでも、エイズ対策に携わる人づくり
に、期待をもって関わっていきたいものです。
3
† 覚えて お祈
お祈り下さい †
† ウガンダの人々が 全人的に豊かに生き、日々の必要に満たされ 自活の将来を築いていくための、
良き 人づくりの働きが 進められますように
† ジジガの孤児・養育者・地域の人たち自身による歩みが
豊かに祝され 導かれますように。
ソマリア情勢の改善、イスラム教徒と キリスト教徒の 関係修復のため
† 私自身の 働きのための あらゆる必要が 整えられますように。特に全人的健康の支えのため
† 高 橋 ゆ か り エ チ オ ピ ア 駐 在 ス タ ッ フ、朝 夷 佳 光 ウ ガ ン ダ 駐 在 ス タ ッ フ、日 本 に い る 家 族 の
全人的健康が守られ、日々豊かに導かれますように
人づくりのため
人づくりのため 経済的にも
経済的にも ご支援下さい
支援下さい
私自身の働きにまつわる必要は、基本的にすべて、皆様からの指定献金によります。
人々の変革のため人を送り、その必要を支える形で現地の必要に届いていく、という趣旨を
ご理解下さり、経済的支援にて共に労して下さる方は、通信欄
通信欄に
通信欄 に 「 青山指定」
青山指定 」 とご明記
とご 明記の
明記 の 上 、
以下郵便口座へお願い致します。
なお、ご指定のない場合は、この働きではなく、一般献金扱いとなります。ご留意下さい。
お手持ちの郵便口座からの自動引
自動引き
自動引 き 落 としも可能
としも 可能です。ご希望の方は国際協力隊(下左記)まで
可能
ご連絡下さい。
郵便振替:
68590
郵便振替 : 00170-9
00170 9 -68590
加入者名:
加入者名 : 日本国際飢餓対策機構
エチオピアでの過酷な生活環境のしわ寄せは、私自身の体だけでなく、身の回りの電子機器にもき
ていました。まずデジタルカメラが壊れ、その後パソコンまで壊れ、多くの大切なデータを失ってし
まいました・・・体も身の回りのものも、他人だけでなく自分自身にきちんと気を配っていなければ、
結局他人を助ける働きもできないぞ、と身の痛みをもって自戒しています。
ひとまず、電子機器も自分の体もきちんと修復して、またアフリカに戻れることになり、大変感謝
です。ウガンダでは、もっと自分にも配慮しながら、今度は故障がないよう気をつけて働き続けたい
ものです。 ウガンダ派遣後も、またどうぞよろしくお願いいたします!
■
お 便 り・お問
り・お 問 い 合 わせ
■
■
日本国際飢餓対策機構では、月に一度、以下国際協
力隊へ送られた郵送物をウガンダの現場へ転送してお
ります。住所変更
住所変更の
お
住所変更 の 連絡(ご多忙とは思いますが、お
連絡
引越しの
引越 しの際
しの 際 は 必 ずお伝
ずお 伝 え 下 さい)、お問い合わせも、
さい
以下国際協力隊へお願い致します。
メール版
メール版・月間報告 案内とお
案内とお詫
とお詫び
〒 581-0032 八尾市弓削町3
八尾市弓削町 3 - 74-
74 - 1
日本国際飢餓対策機構 国際協力隊 気付 青山亜紀子
TEL/FAX: 072(
( 920)
) 2227/2155
メールアドレス(
メールアドレス(青山宛):
青山宛): [email protected]
■ ウガンダの連絡先
年6月
月~) ■
ウガンダの連絡先(青山宛:
青山宛 2008年
世界中どこでも 日本語で 送受信できます。
*インターネット未整備の地域ではメール開封ができないため、
返信が遅れることがあります。
住所:
住所: Akiko Aoyama,, c/o FHI/Uganda
P.O.Box 12167 Kampala, Uganda
このレターの発行は、上大岡聖書教会内・『青山亜紀子を支える会』の皆様に ご協力を頂いております。
日本同盟基督教団・上大岡聖書教会
牧師:菊池実
■
レターとは別に、電子メールでも月間報告をお送りして
おります。ご希望の方は青山(下記)のメールアドレス宛
にご連絡下さい。
ただ、パソコンが壊れ、これまで報告をお送りしていた
方々のメールアドレスデータがなくなってしまったため、
しばし報告をお送りできておりません。本紙をもってお詫
び申し上げます。続けて月間報告を希望される方も、大変
恐れ入りますが、改めてご連絡頂きたくお願い致します。
〒234-0052 横浜市港南区笹下7-13-2
4
TEL: 045(845)4536