序章 はじめに 序章 はじめに 1.都市計画マスタープランとは 都市計画マスタープラン(市町村の都市計画に関する基本的な方針)とは、住民 の意見を反映させつつ、まちづくりについて将来ビジョンを確立し、地域のあるべ き姿、地域の課題に応じた都市計画の方針、都市施設の計画、土地利用について定 めるものです。 近年、少子高齢化の著しい進行、人口減少時代の到来、産業構造の変化、地球環 境問題など、社会経済情勢が大きく変化してきています。まちづくり三法が改正さ れるなど、安定、成熟した都市型社会において、選択と集中による都市の再生が重 要な課題となってきています。 このような状況のなか、豊岡市(以下「本市」という。)では、人口の減少に伴 う地域コミュニティの維持をはじめ、「コウノトリ」の野生復帰と連動した環境共 生の取り組み、地域固有の景観の維持・向上等に対応したまちづくりが特に求めら れています。 このため、本市では、各地域の積み重ねてきたまちづくりの成果を継承しつつ、 豊岡らしさを目指した都市計画マスタープランの策定を行うものです。 2.位置づけ 豊岡市都市計画マスタープランは、都市計画法第18条の2に基づき、豊岡市総合計画基 本構想(以下「基本構想」という。 )並びに但馬広域都市計画圏の都市計画区域(城崎・ 豊岡・出石・日高都市計画区域)マスタープランに即して策定されるもので、この方針 を指針として、豊岡らしい都市計画を定め、市全体や地域別の計画的かつ総合的なまち づくりを市民とともに進めるものです。 豊岡市総合計画(基本構想) 21世紀兵庫長期ビジョン 但馬広域都市計画圏 都市計画区域マスタープラン 都市計画区域マスタープラン (城崎・豊岡・出石・日高都市計画区域 整備、開発及び保全の方針) 豊岡市都市計画 豊岡市都市計画マスタープラン (都市計画に関する基本的な方針) 分野別計画 ・地域防災計画 ・住宅マスタープラン ・環境経済戦略 等 用途地域等の地域地区、道路・公園等の都市施設、 土地区画整理事業等の市街地開発事業などの個別都市計画 1 序章 はじめに 3.計画対象区域 市域における一体的かつ総合的なまちづくりを推進するため、計画対象区域を本 市全域とします。 4.目標年次 目標年次は、概ね20年後のまちの姿を展望しつつ10年後の平成28年度とします。 5.計画の特徴と構成 本市の都市計画マスタープランの特徴は、次のとおりです。 ①市民と 市民と行政による 行政による協働 による協働のまちづくり 協働のまちづくり構想 のまちづくり構想により 構想により完成 により完成される 完成されるマスタープラン されるマスタープラン 都市計画マスタープランの「地域別構想」は、地域の実情、住民の合意形成の 熟度等に応じて策定されるものです。本市のマスタープランでは、地域のまちづ くり方針を「地域別構想」の指針として位置づけるとともに、これを踏まえた市 民と行政による協働のまちづくり構想案を順次作成していき、市民との合意形成 ができたものを地区構想に位置づけていく成長型のマスタープランです。 ②市民生活や 市民生活や環境の 環境の質を高めていく環境創造型 めていく環境創造型の 環境創造型のマスタープラン 人口減少、超高齢社会を迎え、これまでの量的拡大型で環境に大きな負荷を与 えるまちづくりの考え方を転換し、市民生活や環境の質を高めることを目指す環 境創造型のマスタープランです。 ③地域の 地域の特色を 特色を効果的に 効果的に発揮できる 発揮できる新 できる新しい枠組 しい枠組み 枠組みによるマスタープラン よるマスタープラン 本市は多彩な地域資源にあふれています。個性と魅力あるまちづくりを進めて いくためには、旧6市町が有していた地域資源を一体的かつ効果的に活用してい くことが必要です。このため、旧市町にとらわれない新しい地域の枠組みを設定 し、地域の特色を効果的に発揮できるマスタープランです。 このような本市独自の都市計画マスタープランの特徴に基づいて、まち全体の 将来ビジョンや土地利用及び都市施設のあり方を示す「全体構想」では、市域の まちづくり方針を明らかにします。 そして、 「地域別構想」では、 「全体構想」を踏まえた地域別のまちづくり方針 のもとに、順次市民との合意形成が図られたまちづくり構想を策定し、 「地区構想」 として位置づけていくものとします。 都市計画マスタープランの構成は以下のとおりです。 2 序章 はじめに 豊岡市都市計画 豊岡市都市計画マスタープラン 市都市計画マスタープランの マスタープランの構成 第1章 まちの現状 まちの現状と 現状と課題 1.まちの現状 2.まちづくりの課題 第2章 豊岡らしさを 豊岡らしさを目指 らしさを目指して 目指して 1.基本姿勢と将来像 4.まちづくりの目標 2.将来人口 5.まちづくりの基本的な方針 3.まちづくりの考え方と視点 第3章 全体構想 6.その他公共施設等の方針 1.土地利用の方針 2.防災の方針 3.道路・交通の方針 4.公園・レクリエーション施設等の方針 5.下水道・河川の方針 7.地域環境形成の方針 8.景観形成の方針 9.市街地・住宅地の方針 第4章 地域別構想 1.地域区分 3.地区構想の進め方 2.地域のまちづくり方針 4.地区構想 (1)中心地域 ・○○地区まちづくり構想 (2)東部地域 ・△△地区まちづくり構想 (3)西部地域 (4)北部地域 ★合意形成が図られた市民と行政による協働のまちづくり構想を地区構想に順次位置づける 第5章 プランの プランの実現に 実現に向けて 3 序章 はじめに 6.策定の流れ 本市都市計画マスタープランは、アドバイザー(学識者)の助言を得ながら、庁 内関係部局からなる「豊岡市都市計画基本方針策定作業部会」により案の作成を行 うとともに、「豊岡市都市計画基本方針策定委員会」や関係機関との調整等を踏ま えて素案を作成しました。 その後、素案について、市民説明会やパブリックコメント(意見公募)を実施し、 その意見を反映しつつ、豊岡市都市計画審議会への諮問と答申を経て策定しました。 作業部会 アドバイザー (学識者) 総合計画市民アンケート 助言 案の作成 (市民意向の反映) 提案 策定委員会 意見 アドバイザー (学識者) 市都市計画 審議会 助言 協議 素案の作成 関係機関 (県民局、土木事務所等) 意見 関係機関 協議 (県都市計画課等) 意見 原案の作成 アドバイザー (学識者) 市都市計画 審議会 市都市計画 審議会 パブリックコメント 助言 提案 意見 意見 原案の修正 市民説明会 策定委員会 協議 関係機関 諮問 答申 関係機関へ通知 策定 市民への周知 4 第1章 まちの現状と課題 第1章 まちの現状と課題 1.まちの現状 (1)概況 ・本市は、兵庫県の北東部に位置し、北は日本海、西は香美町、南は養父市と朝 来市、東は京都府に接しており、面積は697.66k㎡で県下最大規模です。 ・市域の約8割を山林が占め、中央部には一級河川円山川が日本海に注いでおり、 海岸部は山陰海岸国立公園に、山岳部の一部は氷ノ山後山那岐山国定公園に指 定され、四季を織りなす多彩な自然に恵まれています。 ・国の特別天然記念物であるコウノトリの野 生復帰への取り組みが進んでおり、オオサ ンショウウオやクマタカなど希少生物も生 息しています。 ・全国的に有名な城崎温泉や城下町出石、神 鍋高原スキー場、竹野浜海水浴場等の観光 地を有し、多くの観光客が訪れています。 (2)歴史 ・古くから旧国名である但馬国の中心部を形成し、奈良・平安時代には、国の役 所「国庁」や国ごとに官寺「国分寺」 「国分尼寺」が建立されました。 ・室町時代には、幕府の重鎮で「六分一殿」と呼ばれた山名氏の本拠地として出 石に此隅山城が築かれ、戦国時代には、有子山城に移されました。 ・江戸時代になると、出石には出石城が築かれ、また、豊岡にも京極藩の陣屋が 置かれ、ともに栄えました。 ・明治4年の廃藩置県、府県改置を経て、但馬、丹後及び丹波の一部を管轄する 豊岡県が設置されましたが、明治9年、豊岡県は廃止され、兵庫県に併合されま した(うち丹後全域と丹波1郡は京都府に併合)。その後、時代の進展とともに 市町村も合併等の変遷をたどりましたが、平成17年には、兵庫県の北東部の1 市5町(豊岡市、城崎町、竹野町、日高町、出石町、但東町)が合併して、現在 の豊岡市に至っています。 ・こうした歴史を背景に、本市は、国指定の文化財である中島神社本殿をはじめ、 但馬国分寺跡、旧大岡寺庭園など多彩で豊富な歴史文化遺産を有しており、平 成19年4月1日現在、国指定文化財26件、県指定文化財55件、市指定文化財244 件、合計325件の指定文化財があります。 5 第1章 まちの現状と課題 旧市町のあらまし 旧市町のあらまし ・江戸時代から明治の末期にかけ て西回りの「北前船」の寄港地 として栄えた。 ・旧竹野町は昭和30年に4村が合 併して誕生し、昭和32年に町制 が施行された。 ・但馬海岸は国立公園に指定され ており、遠浅の風光明媚な竹野 浜は「日本渚百選」 「快水浴場百 選」に選ばれている。犬専用ビ ー チが近畿 で初め て開設 され た。 ・川の源流部から河口までの全流 域が町域と一致する全国でも珍 しい「1町1川」のまちである。 ・城崎温泉は、温泉寺の開祖であ る道智上人という僧が衆生済 度の大願を発し、一千日の祈願 をしたことにより開かれた温 泉と伝えられている。 ・旧城崎町は昭和30年に1町1村 が合併して誕生した。 ・城崎温泉には日本一大きな駅舎 温泉を含む7つの外湯がある。 ・全国で城崎だけに伝わる歴史あ る民芸品「麦わら細工」が生産 されている。 旧城崎町 ・安土・桃山時代に秀吉の配下の宮部氏 が神武山に城を築き、城下町の形成に 着手したのが旧豊岡市の始まりといわ れている。その後領主は幾多の変遷を 経て、江戸時代、京極氏が豊岡に移っ て以降、人と物の集散地として経済基 盤が強められた。 ・旧豊岡市は昭和25年に1町3村が合併 して誕生し、その後周辺地区の編入、 境界変更を経ている。 ・日本で最も霧の発生率が高い。 ・国の特別天然記念物であるコウノトリ の野生復帰の取り組みが行われている。 ・市街地の中心には、近畿の国道で唯一 のロータリーがある。 ・かばん袋物の生産量は日本一である。 旧豊岡市 旧竹野町 豊岡市 旧但東町 旧日高町 旧出石町 ・奈良、平安時代には、但馬国の役 所である国分寺等が置かれ、但馬 の中心地として栄えた。 ・旧日高町は昭和30年に1町5村が 合併して誕生した。 ・スキー場で知られる神鍋高原が有 名で、日本初の屋根壁一体式の但 馬ドームがある。 ・全国で一箇所のアベサンショウウ オの生息地保護区に指定されてい る。 ・世界的な冒険家で国民栄誉章を受 賞した故植村直己氏の出身地である。 ・古代には但馬地方の中心地であっ たと伝えられ、袴狭遺跡から古代 の役所跡が見つかっている。 ・室町時代に山名氏が此隅山城、そ の後有子山城を構えたが滅ぼさ れ、後の小出氏により平城が築か れ城下町づくりが進められた。 ・旧出石町は昭和32年に1町3村が 合併して誕生した。 ・伝統工芸である出石焼は江戸中期 に始められ、特産の蕎麦は江戸時 代に出石藩を統治していた仙石 氏が信州から職人を連れてきた のが始まりとされている。 ・明治期の建物としては近畿唯一の 芝居小屋である永楽館がある。 6 ・古代においては丹後、丹波両国を 結ぶ交通の要所であった。 ・鎌倉時代になって荘園が置かれ、 但馬国守護太田氏は居城を木村 の亀ヶ城に定め南北朝時代の初 期まで支配していた。 ・旧但東町は昭和31年に3村が合併 して誕生した。 ・日本最大のモンゴルに関する博物 館や日本で最大規模の日時計が 子午線公園にある。 第1章 まちの現状と課題 まちの地域資源図 まちの地域資源図 7 第1章 まちの現状と課題 (3)人口・世帯 ・本市の人口は平成17年(国勢調査)で89,208人と昭和60年以降減少傾向が続い ています。特に、城崎地域、但東地域の減少率は昭和60年の約80%となってい ます。 ・世帯数は平成17年(国勢調査)で29,617世帯と増加傾向にあるものの、その伸 びは鈍化しています。また、我が国の世帯数は平成27年をピークに減少に転じ ることが予想されていますが、城崎地域、但東地域では既に減少しています。 ・平成11年から16年の人口動態は、概ね豊岡地域、城崎地域では社会減が多く、 竹野地域では自然減が多くなっています。その他の地域では自然減、社会減が ともに多い傾向にあります。 ・平成17年における年齢3階級別人口は、年少人口が14.5%、老年人口25.8%で、 県平均(それぞれ14.2%、19.8%)と比較すると、特に老年人口の割合が高く なっています。団塊の世代の占める割合が高いことから、今後も高齢化が進行 するものと想定されます。 ・平成12年から17年の5歳階級別人口移動状況をみると、15歳から24歳が3,021人 と大きく減少しており、進学、就職世代の転出傾向がうかがえます。 ・平成12年における流出入人口(通勤通学)比率は、流出人口が88.1%と流入人 口を下回り、昼間人口割合は102.1%となっています。しかし、流入率は徐々に 減少しつつあります。地域別では、竹野地域、日高地域、但東地域は流出率が 高く、これら地域の昼間人口割合は特に低くなっています。 人口の推移(指数) (指数) 110 105.2 105 102.4 102.3 98.0 97.7 105.9 兵庫県 6,590千人 100.0 100 97.4 95 96.5 96.3 93.9 92.8 豊岡市 89千人 90 89.4 但馬地域 191千人 85 S60年 H2年 兵庫県 H7年 H12年 但馬地 域 豊岡市 H17年 資料:国勢調査 (4)産業 ・平成17年における産業別就業者の構成比は、第3次産業就業者が62.2%と最も高 く、次いで、第2次産業就業者が29.9%、第1次産業就業者が7.9%となっていま す。昭和60年からの傾向をみると、第3次産業就業者は増加傾向、第2次産業就 業者は減少傾向、第1次産業就業者も減少傾向にありますが、平成12年からは概 ね横ばいの傾向にあります。 ・平成3年から平成16年において、本市の商店数、商品販売額は県全体と比べ減少 率が高くなっていますが、日高地域と出石地域は、本市の中では低い減少率と 8 第1章 まちの現状と課題 なっています。 ・昭和60年から平成18年において、本市の事業所、従業者、製造品出荷額ともに 大きく減少しています。 ・農業算出額は、県全体、但馬地域と同様に、昭和60年から平成17年にかけて減 少傾向にあります。 ・平成9年度から平成17年度における本市の主要観光地の入り込み観光客数は県全 体、但馬地域と比べ、減少率が高くなっていますが、日高地域と但東地域の入 り込み観光客数は増加傾向にあり、近年の屋外レクリエーションなどアウトド ア志向の傾向がうかがえます。 ・入り込み観光客は日帰客が多い一方、近年、県外客が増加傾向にあることから、 観光の広域化が進んでいることがうかがえます。 産業別就業者構成比の推移 第1次産業 兵庫県 S60年 4.5 第2次産業 35.2 H2年 3.4 60.3 34.9 H7年 3.1 61.7 33.7 H12年 2.5 63.2 30.9 H17年 2.5 66.6 27.7 69.8 17.4 但馬地域 S60年 H2年 13.3 H7年 12.3 H12年 9.4 H17年 9.8 35.1 H2年 11.0 H7年 9.7 7.6 H12年 H17年 7.9 0% 47.5 36.8 49.9 35.4 52.4 33.5 57.1 30.6 14.2 豊岡市 S60年 第3次産業 59.6 34.1 51.7 36.1 52.9 34.4 55.9 32.8 59.6 29.9 62.2 20% 40% 60% 80% 100% 資料:国勢調査(産業別就業者の合計に対する各産業別就業者の割合) (5)土地利用 ・平成17年(地目別総評価額)では山林が75.2%を占め、農地は18.0%、宅地は 4.7%となっています。平成12年からの変化をみると、田がわずかに減少してい ます。 ・農地には農業振興地域、農用地区域、森林には地域森林計画対象民有林、保安 林等が指定されています。 ・都市計画法による3,000㎡以上の開発許可は、平成12年からの5ヶ年で11件、 10.3haとなっています。 ・土地取引動向は平成12年からの5ヶ年で7,274件、528.3haとなっています。 ・農地転用は平成12年からの5ヶ年で1,167件、77.1haで、但東地域では宅地系の 農地転用が比較的多くみられます。 9 第1章 まちの現状と課題 土地利用の推移 田 畑 山 林 宅 地 雑 種 地 牧 場 ・ 原 野 H12年 15.2 3.5 4.7 74.6 0.7 1.4 H17年 14.5 3.5 4.7 75.2 0.7 1.3 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 資料:県市町振興課調(各年1月1日現在総評価額) (6)道路・交通 ・高速道路網は、広域南北軸として北近畿豊岡自動車道が、また、広域東西軸と して鳥取豊岡宮津自動車道が計画されています。 ・幹線道路は、東西軸として国道178号が北部に、国道482号が南部を通っており、 これらを国道312号と426号が南北につないでいます。 ・都市計画道路の改良率は、平成18年3月末において57.02%で県平均66.94%を下 回っています。地域別では、出石地域と日高地域の改良率が低くなっています。 ・JR豊岡駅とJR江原駅で駅前広場を都市計画決定しており、豊岡駅(西側)と江 原駅前では整備が完了し、豊岡駅(東側)は一部供用しています。 ・平成17年における交通事故は522件で、昭和60年の306件と比較すると大きく増 加しており、但馬全体の約5割を占めています。 ・平成6年5月に開港されたコウノトリ但馬空港では、大阪、東京間(大阪乗り継 ぎ)の定期便が運行しています。 ・鉄道はJR山陰本線とKTR宮津線が通っています。主要な鉄道駅の利用状況(平成 7年度~17年度)は減少傾向にあり、城崎温泉駅、竹野駅では定期客が著しく減 少しています。 ・バス交通は、市域全域で路線バスが運行されており、豊岡地域、竹野地域、但 東地域ではコミュニティバスを運行しています。 10 第1章 まちの現状と課題 都市計画道路の改良率(H17年度末) (%) 100 79.07 80 72.39 66.94 57.02 60 40 31.11 29.97 20 0 兵庫県 豊岡市 豊岡地域 城崎地域 出石地域 日高地域 資料:都市計画年報(平成18年3月末現在) (7)公共公益施設 ・平成18年度末における生活排水処理率は98.9%で、全国平均82.4%、兵庫県平 均97.3%を上回っています。また、下水道処理人口普及率は75.4%で全国平均 70.5%を上回っています。 ・河川事業は、6河川が継続事業、1河川が新規事業となっています。 ・各地域の市街地とその周辺には、市役所、総合支所、図書館、美術館、文化館、 歴史資料館、公立病院、特別養護老人ホーム等が立地しています。 ・平成17年度末現在、小学校30校、中学校11校(うち私立1校)があります。 ・平成2年から17年の児童・生徒数の推移は、児童数が2,161人(約28.5%減) 、生 徒数が1,253人(約30.2%減)減少しています。 ・衛生施設は、汚物処理場1箇所、ごみ焼却場1箇所が整備されています。 ・市場は、豊岡地方卸売市場と津居山港地方卸売市場の2箇所が整備されています。 (8)市街地・住宅地 ・DID地区(人口集中地区)は、人口、面積ともに減少傾向にあります。 ・平成17年度末現在、市街地再開発事業が1地区で施行済、土地区画整理事業が13 地区で施行済、2地区で施行中となっています。 ・大型小売店の郊外化が進んでいます。 ・平成19年地価公示商業地の対前年変動率において、本市は5.1%の減少を示して おり、隣接する香美町、朝来市(ともに▲5.8%)と同様に下落率が高くなって います。 ・中心市街地の活性化に関する法律(以後「中活法」という。 )の改正以前におい て、豊岡、出石、城崎、日高地域の4つの中心市街地を対象に中心市街地活性化 基本計画を策定しています。 ・持ち家率は、平成17年で75.2%と県平均63.6%を大きく上回っています。 ・持ち家の世帯当たり延べ床面積は、平成17年166.6㎡と県平均116.6㎡を大きく 上回っています。 ・一般世帯に対する公営住宅の管理戸数は、平成17年で4.6%と県平均の6.7%を わずかに下回っています。 11 第1章 まちの現状と課題 (9)公園緑地と景観 ・平成17年3月末現在、本市における都市公園の整備面積は行政区域人口一人当た り6.41㎡/人で、都市公園法の住民一人当たりの標準敷地面積(10㎡以上)を下 回っています。地域別では、竹野地域が12.67㎡/人で最も高く、逆に出石地域 は、1㎡/人以下となっています。 ・山間部には神鍋スキー場やゴルフ場等、市街地及びその周辺ではスポーツ施設、 海岸部では海水浴場等があり、多くの観光客や市民のレクリエーションの場と なっています。 ・景観は、山地景観、田園景観、河川景観、海岸景観、都市景観等で構成されて おり、 「兵庫県景観の形成等に関する条例」に基づき、但馬海岸地域及び円山川 下流地域が風景形成地域に、城崎温泉地区や出石城下町地区、国道312号沿道地 区が景観形成地区に指定されており、良好な景観の形成を図るために基準や助 成措置等が定められています。 ・出石城下町地区の一部は「豊岡市出石伝統的建造物群保存地区」に指定されて おり、平成19年12月には国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されていま す。 都市公園一人当たり整備面積(H17年) (㎡/人) 14.00 12.67 12.00 10.08 10.07 10.00 8.25 8.00 6.75 6.41 6.00 4.00 2.00 0.57 0.00 兵庫県 豊岡市 豊岡地域 城崎地域 竹野地域 日高地域 出石地域 資料:都市公園面積は平成17年3月末現在(県公園緑地課) 行政区域人口は平成17年10月1日現在(国勢調査) (10)災害と犯罪 ・平成17年における本市の出火件数は54件で、平成7年から減少傾向にあります。 ・昭和34年以降における浸水被害は概ね9回発生しています。特に、平成16年10 月の台風23号は、昭和34年の伊勢湾台風、昭和40年の台風23号に次ぐ、史上3 番目の浸水戸数(3,871戸)となっています。平成18年の豊岡市地域防災計画に おける避難所は、この台風23号の浸水レベルに基づき指定が行われています。 ・平成17年における刑法犯認知件数は981件で、昭和60年と比較とすると、横ばい となっています。 12 第1章 まちの現状と課題 2.まちづくりの課題 まちの現状を踏まえた本市のまちづくりの課題は以下のように整理されます。 (1)地域の魅力の維持・向上 ①歴史文化遺産の保全・活用 歴史文化遺産を豊富に有しており、これらをまちづくりに活用しながら、地域の 魅力を高めていく必要があります。 ②特色のある景観の創造 豊かな自然環境や歴史文化遺産等により豊岡らしい景観が形成されており、これ ら景観の保全とともに、これらと調和した新たな都市景観の創造に努める必要があ ります。 ③ゆとりある居住環境の維持・向上と定住化の促進 豊かな自然環境に囲まれたゆとりある住宅地が形成されており、これら良好な居 住環境の維持・向上とともに、良質な住宅地の確保等により、定住化の促進を図る 必要があります。 (2)地域の活性化と土地利用の適正管理 ①コウノトリと共生する持続可能な地域づくり コウノトリの野生復帰への取り組みが積極的に行われており、コウノトリが生息 する豊かな環境と多様な都市活動とが融合発展する地域づくりを推進する必要が あります。 ②市域全体の適正な土地利用の誘導 用途地域外や平成22年3月以前の都市計画区域外の一部の区域でも開発動向が見 られており、計画的に土地利用の誘導を図る必要があります。 ③高速道路、鉄道、空港のポテンシャルを活かした産業・交流の発展 但馬唯一の空港であるコウノトリ但馬空港があり、鉄道はJR山陰線、KTR宮津線 が通っています。また、高規格道路である北近畿豊岡自動車道、鳥取豊岡宮津自動 車道の計画もあり、こうした広域交通網を活かしながら、商工業や観光の振興、交 流の促進などを図る必要があります。 (3)安全で魅力ある生活基盤づくり ①賑わいのある都市拠点の形成と市街地整備の推進 既成市街地では、賑わいが低下しており、その改善や活性化に取り組むとともに、 秩序ある沿道土地利用の規制・誘導が必要です。 ②都市の魅力を創出する質の高い生活基盤施設の充実 道路、公園等の生活基盤施設の整備は比較的遅れており、既存ストックを活用し た施設の充実や交通の利便性の向上等を図る必要があります。 ③安全・安心な地域づくり 安全で安心な市民生活を確保するため、災害に強いまちづくりや防犯対策の充実 に取り組む必要があります。 13 第1章 まちの現状と課題 まちづくりの課題 まちづくりの課題 まちづくりの課題 まちづくりの課題 主な現状と 現状と問題点 ・山岳部では氷ノ山後山那岐山国定公園、 海岸部では山陰海岸国立公園が指定され ている。 ・多彩で豊富な歴史文化遺産を有している。 ・県景観条例に基づき、風景形成地域、景 観形成地区が指定されている。 ・7割以上が持ち家で世帯当りの延べ床面 積は高い水準にある。 ・多彩で豊富な歴史文化遺産 ・コウノトリ野生復帰への取り組みが行わ れている。 ・DID地区の人口や面積は減少している。 ・山林の割合が高く宅地面積は少ない。 ・平成22年3月以前の、都市計画区域外で の開発動向が比較的活発である。 ・北近畿豊岡自動車道、鳥取豊岡宮津自動 車道が計画されている。 ・経済が低迷している。 ・観光客は減少傾向で、日帰客が多い。 ・まちづくりと一体となったコウノトリも住め る環境づくりの取り組み ・中心市街地の空洞化が進んでいる。 ・昼間人口割合が低下しており都市の拠点 性が低下している。 ・鉄道利用者が低下している。 ・住民一人当たりの公園整備面積は都市公 園法の標準を下回っている。 ・火災の発生が比較的多い。 ・浸水により甚大な被害を受けている。 ・交通事故が増加している。 ・まちなかの賑わいの低下(空洞化) ・山地景観、里山景観、田園景観、まち並み 景観など多様な景観 ・ゆとりある居住環境 1 地域の 地域の魅力の 魅力の維持・ 維持・向上 ・都市計画区域外における開発の進行等 ・地域経済の低迷と高規格道路の計画 2 地域の 地域の活性化と 活性化と土地利用の 土地利用の適正管理 適正管理 ・道路、公園等の不足 ・火災・浸水被害の不安と交通事故の増加傾向 3 安全で 安全で魅力ある 魅力ある生活基盤 ある生活基盤づくり 生活基盤づくり 14 第2章 豊岡らしさを目指して 第2章 豊岡らしさを目指して 1.基本姿勢と将来像 「基本構想」では、まちづくりにのぞむ基本姿勢と将来像を以下のように定めて おり、都市計画マスタープランにおいても、これらを基軸に、豊岡らしいまちづく りの実現を目指します。 ≪まちづくりの基本姿勢 まちづくりの基本姿勢≫ 基本姿勢≫ ◆自然に 自然に抱かれて生 かれて生きる 私たちのまちには、変わらぬ姿の山々や恵みの田畑、おだやかで、ときとして荒れ狂 う川と海、そして、刻々と表情を変える空があります。 人もまた自然界の一員であり、私たちは、この豊かな自然に抱かれ、自然と折り合い ながら生きるまちづくりを進めます。 ◆いまを大切 いまを大切にし 大切にし、 にし、日々の暮らしを楽 らしを楽しむ 私たちは、限られた命をえて、いまここに生きています。 悠久の時の流れを感じつつ、私たちはかけがえのないいまを大切にし、お互いを認め 合いながら、日々の暮らしを楽しむまちづくりを進めます。 ◆未来への 未来への責任 への責任を 責任を果たす 私たちのまちがいまあるのは、過去における未来に向けた努力のおかげです。 先人の脈々とした営みに感謝し、私たちもまた受け継いだ財産をより良い姿に創造し、 次世代に引き継ぐという未来への責任を果たすまちづくりを進めます。 15 第2章 豊岡らしさを目指して ≪豊岡市の 豊岡市の将来像≫ 将来像≫ 私たちは、豊岡の空をコウノトリが悠然と舞う姿に人々が共感し、おおらかな気持ち で暮らせるまちをめざします。 コ ウ ノ ト リ 悠 然 と 舞 う ふ る さ と 日本の空から一度は姿を消したコウノトリが、再び豊岡 の空に羽ばたきました。 このとき、私たちは歓声とともに大空を見上げました。 この風景をこれからも守り育てるためには、豊かな環境の 創造を文化として暮らしのなかに融け込ますことが不可欠 であると確信しました。 私たちはコウノトリをシンボルとして戦略的なまちづく りを展開し、次のようなまちを創造します。 ○人々が四季の 四季の移り変わりのなかで、 わりのなかで、安心と 安心と懐かしさ、 かしさ、地域への 地域への深 への深い愛着を 愛着を感じること のできるまち。 のできるまち。 ○自然や 自然や歴史、 歴史、伝統や 伝統や文化を 文化を大切にし 大切にし、 にし、おだやかさと安 おだやかさと安らぎに満 らぎに満ちた持続可能 ちた持続可能なまち 持続可能なまち。 なまち。 ○人々が大いなる夢 いなる夢と希望を 希望を抱きながら活躍 きながら活躍し 活躍し、元気と 元気と賑わいがあふれるまち。 わいがあふれるまち。 このようなまちを私たちが創りあげたとき、“コウノトリ悠然と舞う ふるさと”が 実現するに違いありません。 私たちはふるさと豊岡が、地方の小さな都市(まち)であっても、世界の人々から 尊敬され、尊重される「小さな世界都市」になるものと信じます。 16 第2章 豊岡らしさを目指して 2.将来人口 (1)将来人口の考え方 将来人口については、基本構想の考え方に即し設定するものとします。なお、 今後の社会経済情勢の変化に応じて、著しく現状と乖離する場合は、必要に応じ て適正な人口規模の検討を行います。 ○本市の人口は緩やかな減少傾向にあり、平成17年(2005年)の国勢調査では89,208人とな っています。 すでに、集落機能の低下によるコミュニティの維持の困難に直面しつつあり、このまま 推移すると、まちの活力が低下するという課題が考えられます。 ○今後の人口減少に歯止めをかけるため、住宅政策や子どもを産み育てやすい環境づくり、 地場産業の活性化や新しい産業の創出による若い人の働く場の確保などに努め、まちの 魅力を高めていきます。 ○自然志向、ゆとり、自己実現を求める生き方などのスローライフの動向にも注目し、グ リーンツーリズムやエコツーリズムなどを通じた観光、学術、スポーツ、芸術・文化、 国際交流、産業、イベントにより人々の交流を促進し、住む人だけでなく、多くの人が 訪れるまちをめざします。 ○豊岡に住み、働き、学び、また、豊岡を訪れ、愛し、想うすべての人を「まちづくり人 口」としてとらえ、豊岡モデルの展開により、これらの人々が豊かに暮らし、楽しく過 ごすことができるまちづくりを進めます。 (2)将来人口の設定 本市では平成28年度を目標とする将来定住人口を90,000人とし、観光、学術、ス ポーツ、芸術・文化、国際交流、産業、イベントによる交流人口の増加を目指しま す。 17 第2章 豊岡らしさを目指して 3.まちづくりの考え方と視点 (1)まちづくりの考え方 本市には特色のあるまちの姿や多彩な資源が揃っていますが、まちの中心は衰退 傾向にあるとともに、公共交通の利用者の減少に伴い、そのサービスが低下傾向に あるなど、生活の利便性は必ずしも高くありません。 また、特色ある自然の風景も土地利用規制がないままに開発等により失われつつ ある地域もみられます。さらに、近年では近所づきあいも希薄になりつつあり、環 境保全に対して高い意識を持つ人と関心が低い人との間にも格差が拡がってきて います。 財政状況が厳しさを増すなか、こうした課題に対して、単に道路を整備したり、 公共施設を建設したりするのではなく、環境保全に対する市民と行政の協働の取り 組みにより地域の活力を持続的に発展させること、豊岡にしかない資源を守りつつ、 それを有効に活用していくこと、人のつながりや交通のつながりを密接にしながら、 安全・安心で利便性の高い生活環境を確保することを基本的視点として、環境創 造・活用型のまちづくりを推進していきます。 《豊岡らしいまちづくりの 豊岡らしいまちづくりの考 らしいまちづくりの考え方》 【従来のまちづくりの 従来のまちづくりの視点 のまちづくりの視点】 視点】 ○開発による活性化 ○箱モノ・インフラの整備 ○整備でつながりをつくる 開発整備型 視点の 視点の転換 【新たなまちづくりの視点 たなまちづくりの視点】 視点】 ①環境を創造するまちに ②地域資源を活かすまちに ③つながり・連携を深めるまちに 18 環境創造・活用型 第2章 豊岡らしさを目指して (2)新たなまちづくりの視点 ①環境を創造するまちに コウノトリも住める環境を創造することは、市民の健康を確保する観点からも大 きな意味があります。また、豊岡には山あいの景観、田園の景観、水辺の景観、歴 史的景観など多様な景観があります。これらの良好な景観は豊岡の魅力であり、後 世に伝えていく必要があります。 そのためには、単に土地利用を規制するのでなく、適正な誘導と管理を行うこと により、環境や景観を守り育てて地域の活性化に繋げていく視点が必要です。 ○海岸保全区域 海 岸や集落 等の保 全 に よる美し い景観 の 維持・向上とともに、 レ クリエー ション の 場 などとし ての活 用 を図る。 ○山林・里山保全区域 豊かな山林や里山を保全し、緑豊 かな景観など多面的機能を守ると ともに環境学習やレクリエーショ ンの場などとして活用する。 ○自然交流区域 自然環境の保全と活用により、自然と 人の交流を深める。 ○田園環境創造区域 農地の適正管理や環境にやさしい農 業の取り組みを通じて、農業の活性 化を図るとともに、快適な集落地環 境を創造する。 19 第2章 豊岡らしさを目指して ②地域資源を活かすまちに 本市は地域の風土に培われてきた多彩な地域資源にあふれています。こうした資 源は地域の個性と魅力を際立たせるものです。 また、各地域にはそれぞれ生活圏があり、その中心には市の核となる中心拠点と、 これを補完する地域拠点や身近な生活拠点があります。しかし近年は、これら拠点 の賑わいが低下しており、これまで培われてきたそれぞれのまちの「顔」が失われ つつあります。さらに、高齢者などにとって、日常の最寄品等を取り扱う生活利便 施設がまちの中心で不足することは日々の暮らしが送りにくくなります。 多くの人がまちなかに居住し、誰もが歩ける範囲で安心して買い物などができ、 観光客も訪れる個性と賑わいのある拠点を形成していくためには、地域資源を活か す視点が必要です。 ○城崎地域(地域拠点) いにしえより湧き出る温泉など を活かし、癒しが感じられる地 域拠点を形成する。 ○竹野地域(生活拠点) 森・川・海の恵みなどを活か し、ふるさとの自然が感じら れる生活拠点を形成する。 ○豊岡地域(中心拠点) 地域の特色を活かし、各 種都市機能を集積する中 心拠点を形成する。 ○日高地域(地域拠点) 高原や清流などを活かし、自 然にふれあう楽しみが感じら れる地域拠点を形成する。 ○出石地域(地域拠点) 城下町として積み重ねられてき た歴史などを活かし、歴史との ふれあいが感じられる地域拠点 を形成する。 20 ○但東地域(生活拠点) 川の源と谷あいがもつ自然・風土な どを活かし、人や自然との豊かな交 流が感じられる生活拠点を形成す る。 第2章 豊岡らしさを目指して ③つながり・連携を深めるまちに これからのまちづくりには、観光や文化などさまざまな交流を通じた相互理解と、 地域の活性化が求められています。本市には四季を通じた多彩な観光資源があり、 年間530万人(平成17年)もの人が訪れていますが、近年は減少傾向にあり、観光 ネットワークの形成と観光地へのアクセス性の向上等が不可欠となっています。 また、日常の徒歩圏内においては、必ずしも必要な機能が揃っていない地域もあ り、自ら移動手段を持たない人にとっては生活しづらい状況にあります。 こうした状況に対して、自動車を使えない人にも生活しやすい徒歩、自転車、公 共交通等を中心としたまちづくりが必要であるとともに、鉄道駅、空港等の交通結 節点における機能性や各拠点・観光地等への公共交通によるアクセス性を向上させ るなど、つながり・連携を深める視点が必要です。 ○高規格道路 ICと公共交通との接続性の向上を促進 する。 ○鉄道駅 鉄道とバス交通との接続性の向上を 促進する。 ○鉄道 鉄道サービスの向上を促進する。 ○バス交通 生活圏や主要な観光地等へのアクセス性の向 上を促進する。 21 第2章 豊岡らしさを目指して 4.まちづくりの目標 豊岡らしいまちづくりの考え方と視点に基づき、目指すまちづくりの目標を次の ように設定し、その実現にあたっては、 「豊岡モデル」に基づき推進していきます。 「豊岡モデル」とは、さまざまな分野のさまざまな取り組みを有機的に連携させ、その連携 を拡大させながら、協働してまちづくりを進めるという、まちづくりのプログラムのあり方 をいいます。 ①特色のある自然や風景などに出会えるまちづくり 本市には山あいの景観をはじめ、里山の景観、川と田園の景観、海辺の景観とと もに、城下町や温泉街の景観などがあり、これら特色のある景観は、都会にはみら れない豊岡らしい魅力を代表するものです。 このような景観を後世に継承していくとともに、まちづくりと連携しつつ、多様 な景観に出会えるまちを目指します。 豊岡市の 岡市の特色ある 特色ある景観 ある景観 22 第2章 豊岡らしさを目指して ②多様な暮らし方、楽しみ方ができるまちづくり 人々のライフスタイルは多様化してきており、都心での暮らしを志向する人、郊 外での暮らしを志向する人など居住ニーズもさまざまです。また、「国民生活に関 する世論調査」 (内閣府)によれば、 「今後の生活の力点」として最も高くあげられ ているのは、常に「レジャー・余暇生活」であり、その潜在的ニーズが高くなって います。 本市は、都市的なまちから山あいのまち、高原のまち、海辺のまち、歴史のまち、 温泉のまちなど、特色のあるまちの姿や多彩な資源にふれることができるまちです。 多様化するライフスタイルに応えられる多様な暮らし方や楽しみ方ができるま ちを目指します。 豊岡市 豊岡市の多様なまちの 多様なまちの姿 なまちの姿・多彩な 多彩な資源 温泉の 温泉の まち 海の まち 多様な暮らし方、楽しみ方ができるまちづくり 山あいの まち 歴史の 歴史の まち 農の まち 高原の 高原の まち 都市的な 都市的な まち 23 第2章 豊岡らしさを目指して ③人や環境へのやさしさが豊かさをもたらすまちづくり 本市では、コウノトリの野生復帰への取り組みを積極的に推進しています。コウ ノトリも住める環境づくりについては、コウノトリ育む農法等の取り組みが定着し つつあるなど、市民の環境への意識の高まりとともに、「コウノトリ育むお米」の 需要が高まるなど、農業の活性化にも連動しています。 こうした人や環境にやさしい取り組みを通じて、まちの活力と豊かさにつながる まちを目指します。 コウノトリの コウノトリの取り組みと連動 みと連動した 連動した地域 した地域の 地域の持続的発展の 持続的発展の展開 24 第2章 豊岡らしさを目指して 5.まちづくりの基本的な方針 ①豊かな自然と景観の保全・創造 ●地域の魅力である豊かな自然と美しい景観の創出など、環境の保全と創造を基軸 としたまちづくりを推進します。 ・円山川などの川沿いに広がる農地や集落地は、田園環境創造区域として位置づけ、 農地の保全と適正な管理、集落地の生活環境の向上により、農地と一体となった 良好な集落地環境の形成やのどかな田園景観の保全に努めます。 ・緑豊かな山林や里山は、山林・里山保全区域として位置づけ、これらの適正な管 理により、特色ある景観を保全し、災害などから人々の暮らしを守ります。 ・スキー場や海水浴の場として親しまれている高原や海岸部は、それぞれ、自然交流区 域、海岸保全区域として位置づけ、これらの保全と活用により、観光交流などを促進 し、地域の活性化に努めます。 ②多核分散型の集約拠点の形成 ●各地域の特性に応じた拠点集約型の都市構造を形成します。 ・新たなまちづくりの視点に立ち、多様なまちでの快適な居住環境を確保するため、 自動車を使えない高齢者などが徒歩や自転車などを利用しながら身近に買い物な どができる利便性の高い個性と魅力ある拠点を形成します。 ・市や地域の核として、既存ストックを活用しながら、商業・業務、居住、文化、行政、 医療・福祉等の都市機能が集積した集約拠点を形成するとともに、賑わいの創出を図り ます。 ③公共交通等を軸とした交通ネットワークの形成 ●だれもが安全で快適に利用できる公共交通を中心とした道路・交通ネットワーク の形成を図ります。 ・道路・交通ネットワークは、鉄道やバスなどの公共交通を軸として、交通機関相互 の連携による乗り継ぎの円滑化など、利便性・快適性の向上を促進します。 ・北近畿豊岡自動車道、鳥取豊岡宮津自動車道を高規格道路軸として位置づけ、広域 的な観光振興や交流の促進、物流の効率化などを図るため、整備や事業化の促進に 努めます。 25 第2章 豊岡らしさを目指して 豊岡らしいまちづくり 豊岡らしいまちづくり方針図 らしいまちづくり方針図 26 第2章 豊岡らしさを目指して 《豊岡らしいまちづくり 豊岡らしいまちづくり》 らしいまちづくり》 【まちづくりの基本 まちづくりの基本姿勢 基本姿勢】 姿勢】 自然に抱かれて生きる いまを大切にし、日々の暮らしを楽しむ 未来への責任を果たす 【まちの将来像 まちの将来像】 将来像】 コ ウ ノ ト リ 悠 然 と 舞 う ふ る さ と ○人々が四季の移り変わりのなかで、安心と懐かしさ、地域への深い愛着を感じることのできるまち。 ○自然や歴史、伝統や文化を大切にし、おだやかさと安らぎに満ちた持続可能なまち。 ○人々が大いなる夢と希望を抱きながら、元気と賑わいがあふれるまち。 【まちづくりの考 まちづくりの考え方】 開発整備型 開発整備型 環境創造・ 環境創造・活用型 【新たなまちづくりの視点 たなまちづくりの視点】 視点】 ①環境を 環境を創造するまちに 創造するまちに ②地域資源を 地域資源を活かすまちに ③つながり・ つながり・連携を 連携を深めるまちに 【まちづくりの目標 まちづくりの目標】 目標】 ① 特色のある自然や風景などに出会えるまちづくり ② 多様な暮らし方、楽しみ方ができるまちづくり ③ 人や環境へのやさしさが豊かさをもたらすまちづくり 【まちづくりの基本的 まちづくりの基本的な 基本的な方針】 方針】 ①豊かな自然 かな自然と 自然と景観の 景観の保全・ 保全・創造 ②多核分散型の 多核分散型の集約拠点の 集約拠点の形成 ③公共交通等を 公共交通等を軸とした交通 とした交通ネットワーク 交通ネットワークの ネットワークの形成 27 第3章 全体構想 第3章 全体構想 1.土地利用の方針 (1)土地利用の基本的考え方 コウノトリも住める環境づくりを広域的に取り組むため、平成22年3月に本市全域 が都市計画区域となり、本市独自の開発条例(豊岡市良好な地域環境を確保するた めの開発行為の手続等に関する条例)に基づく適正な土地利用の規制・誘導により、 自然環境の保全・活用を図るとともに、山林や里山、海辺、河川、田園などの多様 な景観の維持・向上を図ります。 また、公共交通を活性化させるとともに、高速道路の開通に伴う交流の促進や物 流効率の向上などの波及効果が、無秩序な市街地の拡散につながらないよう適正な 土地利用を推進します。 さらに、用途地域の見直しを検討し、本市の中心拠点や地域拠点等において、商 業・業務、居住、文化等の都市機能を集約し、公共交通を軸とした拠点集約型のコ ンパクトなまちづくりを推進します。 なお、土地の適正な保全と合理的な利活用を図るため、計画的に地籍調査事業を 進めます。 (2)土地利用の方針 ①市街地区域の都市機能の強化 1)中心市街地 ・JR豊岡駅周辺の中心市街地は、中心拠点として、地域の特色を活かしながら、 商業・業務、居住、文化、行政、医療・福祉機能等の都市機能の集積を図りま す。 ・中心市街地活性化法の活用を視野に入れつつ、中心拠点の活性化とともに、多 様な世代が暮らすコミュニティ豊かなまちなか居住を推進します。 2)商業・業務地 ・JR城崎温泉駅、JR江原駅、出石総合支所周辺では、地域の特性を活かしつつ、 本市の中心拠点を補完する地域拠点として、地域住民の日常生活に必要な商 業・業務、居住、文化、行政、医療・福祉機能等を充実します。 3)沿道サービス地 ・市街地内の幹線道路沿いは、大規模集客施設等の立地を抑制するとともに、良 好な沿道景観の形成や背後地における住環境の保全に配慮しつつ、交通の利便 性を活かした沿道サービス施設等を適切に誘導します。 4)工業地 ・かばんや焼物等の地場産業と住宅地が混在している区域では、区域の特性に応じ て、住工共存を活かした職住近接型の土地利用を図ります。 29 第3章 全体構想 5)一般住宅地 ・一般住宅地については、商業系用途や小規模な工場等との混在も許容しつつ、 良好な住環境を形成します。 6)専用住宅地 ・戸建住宅を中心とした低層住宅地や、周辺の自然環境と調和のとれた中低層住 宅地については、専用住宅地として良好な住環境の維持・向上を図ります。 ② 工業団地区域の機能増進 ・豊岡中核工業団地は、工場等の操業環境の維持・向上を図ります。 ・日高地域の北近畿豊岡自動車道インターチェンジ周辺では、地域の特性を踏ま え、多様な物流機能を担う流通産業や先端的産業等の集積を誘導します。 ・職住近接による就労者のアクセス条件を充実するため、周辺において住宅地の 確保に努めます。 ③ 田園環境創造区域の活力の維持・向上 ・市街地外の農地・集落地は、環境創造型農業の推進による農業の振興や優良農 地の保全等を図るとともに、既存集落地における快適な生活環境の形成を図ります。 ・周辺の営農環境等への影響や集落地との一体性に配慮しつつ、必要に応じて分 譲宅地の供給を図ります。 ・半数以上が65歳以上の人口で構成される限界集落や過疎集落においては、集落 コミュニティの維持や農地などの荒廃化に伴う景観・防災対策等に努めます。 ・国道312号、178号、426号、482号や主要地方道・県道等の主要な幹線道路沿道 については、良好な沿道景観の形成や背後地における住環境の保全に配慮しつ つ、交通の利便性を活かした沿道サービス施設等の適切な立地誘導を図ります。 ④ 自然交流区域の活用 ・山林としての土地利用を主体としつつ、自然との多様な交流の場として、コウ ノトリの郷公園やレクリエーション施設等が調和した緑豊かな環境の活用を図 ります。 ⑤ 山林・里山保全区域の保全と活用 ・自然公園等の山林で特に地域の骨格を形成し、ランドマーク等となる区域につ いては、優れた自然環境の保全を図ります。 ・山林・里山は豊かな自然や景観の宝庫であることから、秩序ある土地利用の規 制・誘導を図るとともに、観光や環境学習、レクリエーション等の場としての 活用を図ります。 ⑥ 海岸保全区域の保全や交流の促進 ・海岸と周辺の山林とが一体となった但馬海岸特有の風景と地域環境の保全・活 用を図ります。 ・海水浴場やキャンプ場などの充実を図り、多様な交流を促進します。 30 第3章 全体構想 凡 例 土地利用の 土地利用の方針図 市街地区域 工業団地区域 田園環境創造区域 山林・里山保全区域 海岸保全区域 自然交流区域 高規格道路(既計画決定区間) 高規格道路(計画区間) 広域幹線道路(整備済) 広域幹線道路(未整備) ○広域幹線道路 本市中心部と周辺市町等を 地域幹線道路(整備済) 広域的に結ぶ国道・県道等 地域幹線道路(未整備) 補助幹線道路(整備済) 補助幹線道路(未整備) 中心拠点 地域拠点 生活拠点 31 の道路 ○地域幹線道路 本市の各拠点を連携する国 道・県道等の道路 ○補助幹線道路 広域幹線道路、 地域幹線道路 を補完する道路 第3章 全体構想 2.防災の方針 (1)防災の基本的考え方 北但大震災や阪神・淡路大震災はもとより、本市における過去の風水害、雪害、 土砂災害等の教訓を活かし、防災・減災に対する市民意識の高揚やその対策を強化 するとともに、自助・共助による災害対応が行える仕組みづくりや災害に強いまち づくりを目指します。 (2)防災の方針 ① 安全な市街地の形成 ・災害に強いまちづくりを推進するため、代替性のある道路交通ネットワークの 形成を図るとともに、緊急輸送路の確保や防災機能、避難機能を有する公園の 計画的配置を図ります。 ・狭あい道路や密集住宅地等が残されている市街地では、市街地開発事業等によ り、適切な道路幅員や公園等のオープンスペースの確保に努めます。 ・地震に対する備えとして、 「簡易耐震診断推進事業」や「わが家の耐震改修促進 事業」を推進するとともに、耐震に関する市民への情報提供や啓発活動に努め ます。 ・市街地、集落地における建築物や歴史的まち並み地区の伝統的建築物等につい ては、歴史性など地域の特性に配慮しつつ、耐火性や耐震性の向上を促進しま す。 ② 防災施設等の充実 ・災害対策拠点や避難所となる学校や地区公民館等の公共施設や上下水道などの ライフラインの耐震化を図ります。 ・災害から市民の生命・財産を守るため、災害情報収集、情報伝達システムの構 築、避難所の整備、防災物品の備蓄を推進します。また、緊急時のライフライ ン確保など防災に関する協力体制を強化するため、関係自治体や企業との支 援・応援協定の締結を推進します。 ・避難路となる道路の確保を図るとともに、防火水槽・消火栓など消防水利の充 実に努めます。 ③ 地域の自主的な防災活動の推進 ・市と警察、消防が連携した防災体制の構築はもとより、地域コミュニティの強 化により、自主防災組織の育成強化に努め、大災害時には公助(行政)に依存 しない地域の共助に基づく防災体制づくりを進めます。 ・日頃から防災訓練や防災教育等を通じて、市民の防災・減災意識の高揚に努め るとともに、地区別防災マップの作成を支援します。 ④ 山地災害・風水害等の防止 ・山腹崩壊防止や地滑り防止等を図るため、緊急度等に応じて、治山事業や砂防 32 第3章 全体構想 事業を進めるとともに、山林や農地が有する多面的機能を保全するため、乱開 発や土取り等の防止に努めます。 ・土砂災害の恐れのある区域については、危険性の周知、警戒避難体制の整備に 加え、住宅等の新規立地の抑制などソフト面での対策の充実に努めます。 ・水害による被害の防止を図るため、円山川、出石川、六方川、竹野川などにお ける河川改修等の河川氾濫対策や内水対策の充実に努めます。 ・河川堤防用地等を確保するため、日高地域における稲葉川地区土地区画整理事 業を推進します。 33 第3章 全体構想 防災の 防災の方針図 34 第3章 全体構想 3.道路・交通の方針 (1)道路・交通の基本的考え方 北近畿の拠点都市として、快適で求心力のあるまちを創造するため、広域交通基 盤の整備により、観光の振興、交流の促進、物流効率の向上等に努めます。 また、超高齢社会や環境問題等に対応する「交通基本計画」の策定を視野に入れ つつ、公共交通を軸とした道路・交通ネットワークの形成を図るととともに、既存 ストックの活用など改良整備を中心とした道路の充実に努めます。 さらに、狭あい道路の解消や歩道のバリアフリー化、誰もが安心して快適に移動 しやすい空間の確保、道路における防犯対策に努めます。 (2)道路・交通の方針 ① 公共交通等の充実 ・鉄道、バス等の公共交通のあり方を総合的に検討し、利用者の利便性の向上を 図るとともに、市民に対し環境負荷軽減など公共交通の果たす役割や意義に対 する認識を深める取り組みを展開し、公共交通の利用を促進します。 ・市の玄関口として、魅力あるJR豊岡駅前広場の整備を推進します。 ・東京直行便の早期実現に向けた働きかけを強化し、コウノトリ但馬空港の利用 促進を図ります。 ・JR山陰本線の車両更新、乗り継ぎ改善など利便性向上施策の実施への働きかけ を強化します。 ・路線バスのない地域における公共交通については、日常生活における移動手段 の確保の観点から、地域の特性に応じたあり方を検討します。 ② 広域・地域交通基盤の整備 ・本市と阪神地域、播磨地域、丹後地域や鳥取方面等との観光・交流の強化や物 流効率等を高めるため、北近畿豊岡自動車道、鳥取豊岡宮津自動車道の整備を 促進します。 ・高速道路網と連携のとれた道路・交通ネットワークを形成するとともに、地域 間の交流を促進するため、本市の骨格的な道路である国道312号、国道482号等 の主要幹線道路の整備促進や、交通渋滞の原因となっているボトルネック箇所 の解消を図ります。 ・円滑な都市内交通を確保するため、今森高屋下陰線や大開一日市線等の都市計 画道路を整備します。 ③ 安全・安心な道路環境の確保 ・安全で快適な日常生活道路を確保するため、狭あい道路の解消に努めます。 ・誰もが安全・安心できる歩行空間を確保するため、段差の解消や傾斜の緩和な ど、歩道のバリアフリー化を図ります。 ・防災性に優れた道路を確保するため、防災対策や橋梁の耐震化補修等を推進し ます。 35 第3章 全体構想 ・冬季における円滑な道路交通を確保するため、市民や民間業者の協力を得て、 効率的に除雪作業を実施します。 ・幼児・高齢者等を交通事故から守り、安全なまちづくりを推進するため、交通 安全教育と啓発活動に積極的に取り組むとともに、交通安全施設の充実に努め ます。 ・道路環境における犯罪を防止するため、防犯灯の設置を促進するとともに、道 路の植栽や隣接する空き地等について、市民等と協力して周辺からの見通しの 確保に努めます。 36 第3章 全体構想 道路・ 道路・交通の 交通の方針図 37 第3章 全体構想 4.公園・レクリエーション施設等の方針 (1)公園・レクリエーション施設等の基本的考え方 地域のシンボルや、コミュニティの核となる公園緑地等については、地域の特性 を活かした整備を図ります。 また、豊かな歴史・文化資源を後世に継承するため、その保存とともに、歴史性 を活かした個性のある公園・緑地の整備を図ります。 観光資源等については、観光施設の充実とネットワーク化等により、多様な交流 機会を促進します。 (2)公園・レクリエーション施設等の方針 ① 歴史・文化資源と一体となった公園等の整備・充実 ・出石城公園など史跡、文化財等と一体となった公園・緑地の充実に努めます。 ・コウノトリの郷公園、玄武洞公園、日和山公園など地域の自然や歴史とともに、 社寺林など既存の緑地に配慮しつつ、公園施設の充実に努めます。 ・但馬国分寺跡周辺においては、国指定史跡用地の保全を図り、歴史的・文化的 資源の活用に努めます。 ② 地域の個性を活かした公園の整備・充実 ・まちの緑に関する総合的な計画である「緑の基本計画」を策定するとともに、 これに基づき体系的な都市公園等の配置と整備を推進します。 ・円山川や竹野川の河川敷等を活用した運動公園・親水公園等の整備を図ります。 ・多様な自然生態系の保全・再生、地域活動の活性化、新たな観光資源の創出、 環境教育・環境学習の場等としての活用を図るため、 「(仮称)ハチゴロウの戸 島湿地」の整備を推進します。 ・地域の身近なレクリエーション活動を促進するため、小中学校の体育館やグラ ウンドを開放するなど既存施設の活用に努めます。 ③ 安心な公園の整備 ・子どもから高齢者までの幅広い人たちが集い、憩い、利用しやすい公園・緑地 とするため、公園のユニバーサルデザイン化を進めます。 ・公園における犯罪を防止するため、防犯灯の確保とともに、広場、植裁、トイ レ等について、周辺からの見通しの確保に努めます。 ・地域ボランティアなどを活用し、安全な公園利用と適切な維持管理を進めます。 ④ 遊休農地の活用 ・農業・農村への理解と交流人口の増加を図るため、遊休農地等を活用し、滞在 型市民農園等の整備を図ります。 38 第3章 全体構想 ⑤ 観光施設の充実とネットワーク化 ・滞在性の高い観光の振興を図るため、地域の自然、環境、産業、文化にふれる グリーンツーリズム、ブルーツーリズム、コウノトリツーリズム等の推進に努 めます。 ・観光客の増加を図るため、豊富な観光資源を総合的、効果的にネットワークす る周遊ルートを形成します。 39 第3章 全体構想 公園・ 公園・レクリエーション施設等 レクリエーション施設等の 施設等の方針図 40 第3章 全体構想 5.下水道・河川の方針 (1)下水道・河川の基本的考え方 快適な生活環境の確保と公共用水域の水質保全を図るため、下水道施設の再編と 改築を推進するとともに、水洗化の普及に努めます。 安全で快適な市民生活を確保するため、必要な河川の改修と併せて、親しみのあ る水辺空間の確保を目指します。 (2)下水道・河川の方針 ① 下水道整備の推進と適正管理 ・快適な暮らしと良好な水環境を確保するため、未整備区域の整備促進と水洗化の 普及促進を図ります。 ・環境にやさしい水循環システムを確保するため、汚泥の有効利用と適正な維持管 理を推進します。 ・維持管理の効率化を図るため、汚水・汚泥の共同処理や施設の再編、老朽施設の 改築を推進します。 ② 雨水排水対策の推進 ・水に強いまちづくりを進めるため、雨水幹線を整備し、雨水排水対策を推進しま す。 ③ 親水空間の整備と適正な河川の管理 ・円山川、出石川沿い等で親水空間の整備を図ります。 ・河川愛護の意識の高揚とともに、コウノトリも住める環境を確保するため、不法 投棄防止のパトロール、水生生物調査等を実施します。 41 第3章 全体構想 下水道( ・河川の 下水道(汚水) 汚水) 河川の方針図 42 第3章 全体構想 6.その他公共施設等の方針 (1)その他公共施設等の基本的考え方 参画と協働のまちづくりを推進するため、市役所や総合支所を市民活動拠点とし て活用するとともに、教育施設や図書館など公共公益施設等の充実に努めます。 (2)その他公共施設等の方針 ① 教育施設の充実 ・子どもたちが快適な学校生活を送れるよう、教育施設・設備のユニバーサルデ ザイン化を推進します。 ・学校の防犯体制を強化するため、通学路の点検など学校内外における児童・生 徒の安全確保を推進します。 ② コミュニティ・文化施設等の充実 ・市民の多様化・高度化する学習ニーズに十分対応していくため、各地域に図書 館分館の設置とネットワーク化を図るとともに、地区公民館の充実に努めます。 ・青少年の健全育成に資する青少年センターの機能を充実します。 ③ 健康増進拠点の整備 ・市民に対し一体的な健康福祉サービスを提供するため、豊岡病院跡地について は、 「市民の積極的な健康づくりの実現」 、 「市民の憩いや癒しの空間としての整 備」、 「生涯を通じた健康づくり」を目指す総合健康ゾーンの整備を推進します。 ④ 火葬場及び霊園の整備 ・既存火葬場の改修や市営霊園の維持管理の充実に努めるとともに、新たに市民 の憩いやくつろぎの場ともなる緑豊かな第2次霊園を整備します。 ⑤ 広域ごみ・汚泥処理施設の整備 ・環境負荷の少ない処理システムの構築を図るため、北但1市2町の共同により、 ごみ処理施設の老朽化に対応した広域ごみ・汚泥処理施設の整備を推進します。 ⑥ 庁舎の整備 ・中心市街地の活性化や市民の参画と協働の拠点等として、その機能を効果的に 発揮できるよう、市民の意見を反映しながら、新庁舎の建設に努めます。 43 第3章 全体構想 その他公共公益施設 その他公共公益施設の 他公共公益施設の方針図 44 第3章 全体構想 7.地域環境形成の方針 (1)地域環境形成の基本的考え方 コウノトリも住める環境を保全・創造・再生し、将来の世代に引き継ぐため、市 民のつながりを深め、一人ひとりの英知と力を結集し、より広い視野、新たな発想、 持続可能な努力をもって、 「コウノトリと共に生きるまちづくり」を目指します。 (2)地域環境形成の方針 ① コウノトリと共生する人や自然にやさしい地域づくり ・コウノトリとともに生きるまちづくりを推進するため、環境基本条例、環境基 本計画等により、環境政策を計画的かつ総合的に推進します。 ・緑豊かな地域づくりを推進するため、 「緑豊かな地域環境の形成に関する条例(緑 条例) 」の地域環境形成基本方針に基づき自然環境の保全や自然環境と調和した 開発の誘導に努めます。 ・豊かな自然環境を保全するため、貴重な野生動植物の保護を図るとともに、野 生動物の生息空間の保全・創造、水源涵養など、多面的な機能を持つ森林・里 山・農地・水辺等の保全や水循環の再生等に努めます。 ・コウノトリの野生復帰を推進するため、コウノトリ野生復帰推進事業、里山林 整備事業、環境創造型農業の推進や河川自然再生事業等により、里山の保全や 農村環境の整備、水質の向上、河川・海岸等の環境整備を図ります。 ・道路等公共施設の整備にあたっては、コウノトリや自然環境等に配慮します。 ・市民に対して環境を大切する意識の醸成に努めます。 ② 環境への負荷を軽減する官民協働の一体的な取り組みの推進 ・地球温暖化、ヒートアイランド現象の緩和を図るため、公共施設等における緑 化を推進します。 ・コウノトリをシンボルとして、社会経済活動と自然環境の調和したまちづくり を推進するため、住宅への地場産材の活用や、太陽光発電など新エネルギーの 積極的な導入等を進め、資源・エネルギーの循環や効率的利用を促進します。 ・ごみの排出抑制、再使用、再生使用を推進するとともに、産業廃棄物やごみの 不法投棄のパトロール、不法投棄監視員の充実に努めます。 ・公害の発生を防止するため、関係機関との連携により指導を強化するとともに、 広報や社会教育を通じて公害防止意識の普及に努めます。 ・地盤沈下を防止するため、適切な地下水くみ上げの指導に努めます。 ③ 地域の持続的な発展を支える環境農業の推進 ・環境創造型農業のさらなる展開を図るため、 「アイガモ農法」「コウノトリ育む 農法」など無・減農薬栽培等の自然環境への負担の少ない農業の取り組みとと もに、安全・安心な農産物の安定供給を図るため、地産地消を推進します。 ・自然と共生する田園環境を創造するため、農地が持つ多面的な機能を利用し、 米や野菜の生産だけでなく、生きものを育て、グリーンツーリズムや研究・教 45 第3章 全体構想 育の場等としての活用を促進します。 ④ 環境と産業等が連携した地域づくりの推進 ・環境と調和した生産活動の展開を推進するため、豊岡の風土に培われた歴史・ 文化や産業等を保存・再生し、地域づくりへの活用を図ります。 ・「環境」と「経済」が刺激しあいながら、互いを高めあうまちを実現するため、 「豊岡市環境経済戦略」に基づき、環境保全への持続的な取り組みや環境と連 動して経済的に自立するまちづくりを推進します。 ・滞在型観光を促進するため、コウノトリや温泉とともに、海、川、山等の観光 資源をつないだコウノトリツーリズムを展開します。 46 第3章 全体構想 8.景観形成の方針 (1)景観形成の基本的考え方 総合的な景観行政を推進するため、景観法の活用を視野に入れつつ、豊かな山林 の緑や農山漁村の集落、河川など本市固有の自然・文化的景観の維持・保全に努め ます。 また、出石の城下町、城崎の温泉地など歴史的まち並みが残された地区や良好な 自然景観を有する円山川下流地域等においては、地区の特性に応じた景観を形成す るとともに、各拠点においては、自然環境との調和に配慮しつつ、賑わいと特色の ある景観の形成に努めます。 (2)景観形成の方針 ① 自然・文化的景観の保全 ・蘇武岳(氷ノ山後山那岐山国定公園)や神鍋山、床尾山(県立自然公園)等の 山々の豊かな緑や周辺の農山村集落の景観をはじめ、山陰海岸国立公園の風光 明媚な海岸線の景観、円山川、出石川、竹野川等の河川景観を本市の緑の骨格 及び代表的な自然・文化的景観として、その保全と活用を図ります。 ・兵庫県景観の形成等に関する条例(以下、 「県景観条例」という。 )の風景形成 地域に指定されている「円山川下流地域」では、円山川の風景と調和した市街 地景観の誘導により、良好な自然景観の創造を図ります。 ・「県景観条例」の風景形成地域に指定されている「但馬海岸地域」では、岩石海 岸とトンボロ(陸繋島)や砂浜海岸とで構成される海岸地域の保全を図るとと もに、これらの地形を巧みに利用してつくられた漁村集落等の特色のある文化 的景観の保全を図ります。 ② 歴史的まち並み景観の保全と創造 ・「県景観条例」の景観形成地区に指定されている「城崎温泉地区」では、“歴史 と文学といで湯のまち”城崎にふさわしい伝統的景観の継承と新たな市街地景 観の創造を図るため、 「和」のまち並みを基本とした景観の創造を図ります。 ・豊岡市伝統的建造物群保存地区保存条例に基づく「豊岡市出石伝統的建造物群 保存地区」及び「県景観条例」の景観形成地区に指定されている「出石城下町 地区」では、旧城下町の歴史的まち並みの保全と創造を図り、町家の保存と再 活用を図るため、 「伝統的建造物群保存地区保存計画」や「町家デザインマニュ アル」に基づいた建て替えや増改築を行ない、地区の歴史的な景観を維持し、 地域文化財としての価値を高めていきます。 ③ 市街地景観の形成 ・中心拠点や地域拠点等においては、地域の特色ある景観に配慮した公共施設の 整備等により、市や地域の玄関口にふさわしい拠点景観の形成を図ります。 ・ 「県民まちなみ緑化事業」等を活用し、周辺地域との調和に配慮した緑地やオー プンスペースを確保し、潤いある市街地景観の形成を図ります。 47 第3章 全体構想 ④ 沿道景観の形成 ・「県景観条例」の景観形成地区に指定されている「国道312号沿道地区」では、 “但馬の歴史・風土を活かした物語のある沿道景観づくり”を推進するため、 景観形成基準に基づき、個性と秩序ある沿道景観の形成を図ります。 ⑤ 田園景観の保全 ・集落地等においては、遊休農地や休耕田等の適切な管理を促進するとともに、 耕作放棄地の解消に努めるなど、のどかな田園景観の保全を図ります。 ⑥ 屋外広告物の規制・誘導 ・地域景観と調和した質の高い広告物の誘導を図るため、県屋外広告物条例に基 づき必要な規制を行うとともに、 「広告景観モデル地区制度」の活用により、地 域の良好な景観の形成を図ります。 ⑦ 身近な景観資源の保全と活用 ・地域固有の景観を有する社寺林等においては、景観計画区域や景観重要樹木の 指定等による保全・保護を図ります。 48 第3章 全体構想 地域環境・ 地域環境・景観形成の 景観形成の方針図 城崎温泉地区 出石城下町地区 49 第3章 全体構想 9.市街地・住宅地の方針 (1)市街地・住宅地の基本的考え方 地域の歴史・文化資源の活用や都市機能の更新等により、賑わいと活力のある中 心的市街地の形成を図ります。 また、地域の特性を活かしながら安全で魅力ある市街地整備を計画的に進めます。 インターチェンジ周辺や幹線道路の沿道では、その機能等を地域の特性に応じて 活用し、産業の活性化を図ります。 住宅地については、豊かな自然と調和した魅力ある住環境を確保します。 また、民間住宅開発を適正に誘導するとともに、土地区画整理事業等による良質 な住宅・宅地の供給などにより、若者や若いファミリー層の定住化を促進します。 多様なライフスタイルやライフステージにあわせた住み替えや住宅改善の支援を 図るため、若者の定住促進やUJIターンに対応した住まいづくり、高齢者や障害 者、子育て世帯、DV被害者など社会的弱者の居住安定確保に向けた住宅施策の展 開を図ります。 (2)市街地・住宅地の方針 ① 中心拠点の再生 ・豊岡地域の中心市街地を再生するため、商業・業務、居住、文化、行政機能等 の都市機能の集積を図ります。 ・中心市街地における賑わいと活力を取り戻すため、公立豊岡病院跡地の有効活 用を図り、健康増進施設を核とする総合健康ゾーンを整備します。 ・地域住民や観光客から親しみのもてる商店街に再生するため、商店街そのもの を観光資源とする「カバンストリート」や空き店舗の有効活用など、地域資源 を活用し回遊性を高めます。 ・改正中心市街地活性化法に基づく基本計画を策定し、中心市街地再生のための 各種施策を総合的に推進します。 ② 地域拠点の充実 ・城崎地域の中心部では、温泉を観光資源として活用しながら、商店街、旅館街 等の活性化を図ります。 ・出石地域の中心市街地では、城下町の歴史的なまち並みとの調和を図りながら、 既存商店街等の活性化を図ります。 ・日高地域のJR江原駅周辺では、地域の資源を活用しつつ、交通ターミナル機能 の充実に努めるなど、まちの顔にふさわしい市街地の形成を推進するとともに、 既存商店街等の活性化を図ります。 ③ 計画的な市街地整備の推進 ・良好な居住環境の形成を図るため、防災性の向上やバリアフリーのまちづくりな ど、きめ細かな市街地整備を推進します。 ・日高地域の総合支所、健康福祉センター等の公共施設や教育施設が集積するシ ビックゾーンについては、より利便性、安全性、快適性の高い地区の形成を図 50 第3章 全体構想 ります。 ④ 広域交通網を活用した産業用地の確保 ・北近畿豊岡自動車道インターチェンジの建設効果等を活用し、地域の特性を踏 まえつつ、京阪神・播磨地域、鳥取・丹後地域等を対象とした物流施設等用地 の確保に努めます。 ・地域経済の安定した発展を図るため、 「工場等企業誘致推進指針」に基づき、企 業の誘致を推進します。 ⑤ 質の高い宅地分譲の推進 ・若年層等の定住化の促進を図るため、出石地域の中川地区等において宅地分譲 を推進します。 ⑥ 魅力ある定住環境の維持・向上 ・地域の特性を活かした住まいづくりを推進するため、まちづくり協定、建築協 定、景観形成協定等のさまざまな住まい、まちづくりに関する制度の普及に努めま す。 ・歴史・文化的価値のある出石城下町地区では、 「豊岡市伝統的建造物群保存地区 保存条例」に基づき、歴史・文化を継承する住まいの保全等を推進します。 ・環境にやさしい住まいづくりを推進するため、省エネルギー化、太陽光等の新 エネルギーの活用、省資源(廃棄物の削減、リサイクル化) 、水資源の適切な利 用といった、自然環境と共生する住宅づくり・住まい方を関係団体等との連携に より取り組みます。 ⑦ 高齢者等にも安心できる住み心地の良い住宅の確保 ・高齢者、障害者をはじめ、子育て世帯等の多様化する住宅ニーズに対応するた め、民間賃貸住宅の活用を検討するとともに、住宅のバリアフリー化を促進しま す。 ・安全な住まいを確保するため、 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」による 住宅性能表示の推進や市民への情報提供を行うとともに、シックハウスやアス ベスト対策に配慮した住宅の普及啓発など、健康に配慮された良質な住宅づく りを推進します。 ・公営住宅を適正に維持するため、適正な公営住宅供給目標量を定めるとともに、 建替え、修繕等を計画的に進めます。 51 第3章 全体構想 市街地・ 市街地・住宅地の 住宅地の方針図 52
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