平成 21 年 6 月22日 建設工学演習Ⅰ09(土の力学 第 4 回) ●目標 有効応力の考え方を理解する ●有効応力の原理 1.飽和した土で水の流れや外力の変化が無いとき σ ' σ = − uw (1) (有効応力) (全応力) (間隙水圧) *不飽和の土のとき σ ' = σ − χ (u w − u a ) (2) (有効応力) (全応力) (間隙圧) ここで、uw : 間隙水圧 , ua : 間隙空気圧 付図 2.1 水平地盤の鉛直応力(上載圧) 上のような図に示す水平な地盤において、地表面からの深さ z における鉛直応力を求め. 1) 鉛直方向の全応力 σv は、 σv = ( で表される. ) (3) 2) 一方、この位置における静水圧(間隙水圧) uw は uw = ( ) (4) となる. 以上から、土粒子に直接作用する鉛直方向の有効応力 σ’v は、 3) σ v ' = σ v − uw = ( ) (5) と表せることになる. 2.飽和した土で水の流れがあるとき 2.1 1) 定常流れのとき 水の流れが無いとき(つまり、h = 0 のとき) 砂層の表面から 深さ z の位置における有効応力は、1.と同様に、 σ ' = σ − uw (1) (有効応力) (全応 力) (間隙水圧) であるから、 σ’ = γsat z - γw z = (γsat – γw) x z = γ’ z (6) である。したがって、砂層の底面では、 z = L であるから、この面での有効応力 σ’z=L は、 σ’ ’z=L = γ’x L である。 (7) 2) 上向きの水の流れがあるとき(つまり、h > 0 のとき) 砂層の表面から 深さ z の位置における有効応力は σ’ = γ’ z – i γw z (8) である。このとき、上式の右辺の第 2 項は、流れによる圧力(透水圧あるいは浸透圧)で ある。砂層の底面では、やはり、z = L であるから h L σ ' = γ ' L − ( )γ w x L = γ ' L − γ w h (9) と表されるので、図 5.2 と一致する。(cf. h が -h のときはどうなるか?) 2.2 非定常流れのとき 付図1に示すような水平地盤(飽和粘土層とする)の表面にΔq なる載荷をうけているとき、 このΔq によって生じる間隙水圧とその消散を考える。 (1)載荷直後(t = 0 のとき) Δq = Δuw (2)圧密*中(0<t<tf, tf : 圧密終了時間) Δq = Δσ’v + Δuw (3)圧密終了時(t = tf) Δq = Δσ’v (*:粘土中の水が載荷重によって砂層へ流出して粘土の体積が減少する現象) 平成 21年6月22日 「建設工学演習Ⅰ」(土の力学―4) 学籍番号 氏名 【例題4.1】図のような飽和した粘土地盤 (両面透水層)がある。Z = 8m, zw = 2.0m である。このとき、 (1)P点(粘土層の中心面にある)の鉛直有効 応力を求めよ。 (2)地下水面が 3m下がったとき、有効応力は いくらになるか。 ただし、この土の湿潤密度と飽和密度は等しく、 ρt = ρsat =1.75t/m3 であるとする。 平成 21年 6 月22日 「建設工学演習Ⅰ」(土の力学―4) 学籍番号 氏名 【例題4.2】右図において、 (1)地中点 A における鉛直方向の全応力お よび有効応力を求めよ. (2)また、地下水位が低下していき、地表 面下 3m になった場合(つまり、地下水位が 2m だけ下がった場合)の鉛直有効応力 σ’v を求めよ.ここで、水の単位体積重量γw は、 9.81kN/m3 とする。 (3)地下水位の低下による鉛直有効応力の 変化によって地盤にどんな変化が起きると考 えられるか。 平成 21年 6 月22日 「建設工学演習Ⅰ」 (土の力学―4) 氏名 学籍番号 【演習4.2】 −4 図のような止水壁によって砂質地盤内(透水係数は, 2.54 × 10 cm / sec )に水位 差 ( h1 = 10.0m , h2 = 1.50m )が生じた.このとき,以下の問いに答えよ. (1) 底部の透水層(砂質地盤)を通過する1年間の透水量はいくらか.ただし、奥行きは 単位長さ1mとして考えよ. (2) 砂層の厚さ d = 12m とすると、砂層の表面から深さ 6m にある A 点における水圧 u w を求めよ. 平成 21年6月22日 「建設工学演習Ⅰ」(土の力学―4) 氏名 学籍番号 【演習4.1】図 2.5 において、L = 10cm, A = 20cm2 とする。以下の点に答えよ。 (1)h = 5cm のとき、砂層の表面から 6cm の深さ位置における鉛直有効応力を求めよ。 (2)また、h = - 5cm のときはどうか。 平成21年6月22日 「建設工学演習Ⅰ」(土の力学―4) <参考>単位重量の水が持つエネルギー 地盤中の流れの問題では、重力場で単位高さの水柱が持つポテンシャルを単位として、巣 中の高さで各ポテンシャルを水頭(head) という概念が用いられる。すなわち、それぞれの ポテンシャルを水の高さに換算して表示する。一般的に水頭は、位置水頭 hz、圧力水頭 hp および速度水頭 hv の和で表される。 ・重力のポテンシャル(位置水頭) hz = z1γ w = z1 γw : 位置水頭 ・ 圧力ポテンシャル(圧力水頭) ・ hp = p : γw 圧力水頭 ・ 速度ポテンシャル(速度水頭) hv = γ wv 2 v2 = 2g γ w 2g : 速度水頭 したがって、全水頭は、 h = z1 + p γw + v2 2g によって与えられる。ここで、通常、定常流れの水の移動速度は小さいのでこれを無視す ることによって、 h = z1 + p γw と表示される。これが通常用いられる土中水の水頭表示である。p = uw とおくとき、uw を 間隙水圧と言うことができる。 平成 21年 6 月22日 「建設工学演習Ⅰ」(第7回:土の力学―4) 氏名 学籍番号 【宿題 4.1】右図におけるような地盤 等分布荷重 q の表面に、q なる等分布荷重が作用する とき、粘土層内の有効応力はどうなるか。 また、地盤はどのような事が起きると考 えられるか。 砂層 γt,s 飽和粘土層 砂層 不透水層 地下水位 γt,s
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