プラスチックドレーン打設機を利用した電気式静的

全地連「技術 e-フォーラム 2004」福岡
プラスチックドレーン打設機を利用した電気式静的コーン貫入試験
【81】
日本地研(株)
錦城護謨(株)
1.はじめに
○山下
武志
野村
正二
永池
誠一
中原
英幸
山内
義文
しており,2cm貫入毎にサンプリングし,計測値は
電気式静的コーンは,センサーがついたコーンを地
直ちにパソコンでグラフ表示している。なお,マルチ
盤に貫入させ,電気的に直接,先端抵抗などが測定で
コーンとデータロガーをつなぐケーブルは打設機のケ
きる試験方法である。一般に,先端抵抗,間隙水圧,
ーシング内を通しておく必要があるが,一度ケーブル
周面摩擦の3つの情報を連続的に得ることができる試
を通せば,そのままで地点間移動が可能であるので,
験を三成分コーン試験と呼び,地盤調査のコスト縮減
地点毎の準備作業はパソコン等のシステムの準備だけ
と調査精度の向上に有効な手段として最近需要が高ま
となる。
っている。本稿は,沖合の埋立地等で,現場にあるプ
現場にあるドレーン打設機を利用する場合には,次
ラスチックドレーン打設機を利用した三成分コーン試
のような特徴とメリットがある。
験を行った結果を紹介するとともに,色柱状図による
・静的貫入が可能な機構
試験結果のわかりやすい表現方法を紹介するものであ
・試験に十分な反力の確保
る。
・輸送コストの削減
2.三成分コーン試験の特徴
しかしながら,打設機の
三成分コーン試験は,深さ方向に対して連続した測
ケーシングに対してマルチ
定値が得られ,且つ先端抵抗・間隙水圧・周面摩擦が
コーンは径が細く剛性が弱
同時に測定される。この特徴により,粘性土層に薄層
いため,先端付近に大きな
状の砂が介在している場合,他のサウンディングでは
力が負荷し折れやすいとい
確認することは難しいが,三成分コーン試験では容易
うリスクがある。これに対
に確認することができる。
して,写真-1に示す接続部
砂層と粘土層の判別は同時に測定される先端抵抗と
にはゴム板を利用して衝撃
間隙水圧の関係で明瞭に判別でき,これに周面摩擦を
と小さな変位を吸収する機
加えた土質判定チャートで大略の土質判別が可能であ
構を設けている。さらに羽
る。また,粘性土における先端抵抗により非排水強度
根付きの保護管(保護管と
Cuの推定が可能である。
マルチコーンの間は緩衝材
3.試験方法
としてゴム板を挟んでい
試験は,図-1の概略図に示すように,プラスチッ
る)を用いることによって
クドレーン打設機の先端にマルチコーンを取り付て実
水平方向の変位を拘束して
施する。貫入速さは1秒間に1~2cmで,静的に貫
いる。
入する。データの計測・取込みはパソコンで自動制御
写真-1
マルチコーンの保護管
ケーブル(マルチコーン~ケーシング内部~データロガー)
プラスチック
ドレーン打設機
計測制御・リアルタイム表示のシステム
(データロガー・パソコン)
ケーシング
マルチコーン
図-1
プラスチックドレーン打設機利用した三成分コーン試験方法の概略
全地連「技術 e-フォーラム 2004」福岡
4.ドレーン打設機と専用貫入機の試験結果の比較
5.色柱状図による試験結果の表現方法
プラスチックドレーン打設機と専用貫入機の比較試
これまで,Robertsonらの判別方法による土質判定結
験の結果を図-2に示す。覆土・サンドマット部分で
果は,ある深さの判別結果を判別図に点をプロットす
は,玉石の混入量のばらつきにより,専用貫入機によ
ることで示すことが多く,全体の結果を一目で把握す
る試験結果の方が大きな値を示したが,それ以深の軟
ることができなかった。
弱粘性土ではほぼ一致した値を示した。
先端抵抗 q
0
2000
4000
t
推定縦断図等では,粘性土を青色系,砂質土を黄色
系で示すことが多いが,Robertsonらの判別方法の結果
( k N / m 2)
6000
8000
10000
も色柱状図として示せば,よりよく結果の把握ができ
10
るのではないかと考えた。図-4に示す結果図に示すよ
9
8
うに,2cm毎に得られる結果がRobartsonの判別図でど
7
6
の土質に判別されるかを判定し,その土質に対応する
5
4
色(図-3に示す)の線として表現し,その線を集積する
3
2
ことで色柱状図とした。
深 さ (m)
1
0
6.あとがき
-1
-2
ドレーン打設機を利用
-3
専用貫入機を利用
-4
沖合の埋立地等で三成分コーン試験を実施するに当
たり,現場にあるプラスチックドレーン打設機を利用
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-6
することで,調査目的にあった試験結果を得るととも
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に,コスト縮減にもなった。当該方法は,同様の現場
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での調査に有効な手段であると考えられる。
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また,Robertsonらの判別図は,日本の土質にあって
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いない点も見受けられ,今後,データを集積し日本版
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図-2
比較試験結果(qt)
図-3
図-4
判別図の提案を行いたい。
Robertsonの判別法(色区分は日本地研版)
三成分コーン試験結果の表示例(結果グラフ・推定柱状図・色柱状図)(打設機を用いた時の試験結果)
《引用・参考文献》地盤工学会編:地盤調査法,pp.233~241,1995.9