平成23年度 病害虫発生予察情報 発生予報 第4号 発表日:平成23年6月30日 岩手県病害虫防除所 情報の要点 1 水 稲 ◎ いもち病の発生はやや少の予報ですが、今後の情報に注意し、ほ場観察と早期防除を最重点に万全の対策を 取りましょう。 ◎ 斑点米カメムシ類がやや多の予報です。カメムシ類の増殖を防ぐため、畦畔や転作牧草地等においてイネ科植 物が出穂しないように管理を徹底しましょう。また、本田内雑草も発生源となるので、本田内の除草も徹底しましょ う。 2 りんご ◎ りんごの病害は全般的にやや多の予報です。降雨が続くと斑点落葉病が急増するほか、他の病害虫の発生も心 配されます。不要な徒長枝を取り除いて薬剤の通りを良くしておくとともに、病害虫の発生状況に注意して、適切 な防除を行いましょう。 ◎ ハダニ類はやや多の予報です。ハダニ類は気象条件により急激に増加することがあるので園地をよく観察し、要 防除水準に達したら速やかに防除を実施して下さい。 3 野菜 ◎ きゅうりでは、炭そ病、褐斑病がやや多の予報です。7月は炭そ病、褐斑病、べと病及びうどんこ病の防除に重点 をおきましょう。また、7月中旬以降は斑点性病害(褐斑病、炭そ病、黒斑病)蔓延を防ぐため、疑わしい病斑が見 られたら摘葉しましょう。 ◎ ねぎではネギアザミウマがやや多の予報です。除草などの耕種的防除と併せて、効果の高い薬剤を選択し、防 除を徹底しましょう。 ◎ コナガの発生がやや多の予報です。定植時に薬剤処理した場合でも被害が見られるほ場では、効果の高い剤 を選択し、防除を実施しましょう。 4 花き ◎ りんどうでは、リンドウホソハマキがやや多の予報です。被害が多いほ場では今後も防除を継続しましょう。また、 7月は褐斑病・葉枯病の重点防除時期です。前年褐斑病が発生したほ場では本病に効果の高い薬剤を選択し、 葉枯病との同時防除を徹底しましょう。 5 農薬の安全使用 ◎ 現在、農薬危害防止運動月間中です(平成23年度は6月1日から8月31日まで)。 ◎ 農薬は使用前に必ずラベルを確認し、使用者が責任を持って使用しましょう。 ◎ 農薬使用の際には (1)使用基準の遵守 (2)飛散防止 (3)防除実績の記帳 を徹底しましょう。 ◎ 養蜂活動が行われている地域で殺虫剤を散布する場合は、養蜂家と協議の上、散布時期を事前に通知するな ど、ミツバチへの危害防止に努めましょう。 【利用上の注意】 予察情報第 4 号に掲載した農薬は、平成23年6月22日現在の農薬登録情報に基づいています。 【情報のお問い合わせは病害虫防除所まで】 TEL 0197(68)4427 FAX 0197(68)4316 ☆この情報は、いわてアグリベンチャーネットでもご覧いただけます。 アドレス http://i-agri.net/agri/ 気象予報(7 月~9 月、仙台管区気象台) (3 ヶ月予報:6 月23日発表) 7 月: 東北地方は平年に比べ曇りや雨の日が多いでしょう。 8 月: 東北地方は平年と同様に晴れの日が多いでしょう。雷雨の発生しやすい時期がある見込みです。 9 月: 天気は数日の周期で変わるでしょう。 (向こう1ヶ月の予報、6月25日~7月24日:6月24日発表) 東北地方では平年と同様に曇りや雨の日が多いでしょう。向こう1か月の平均気温は、平年並または高い確率 ともに40%です。日照時間は、平年並または少ない確率ともに40%です。 <6月25日~7月1日までの予報> 気圧の谷や前線の影響で曇りや雨の日が多いでしょう。気温は高い確率が70%です。 <7月2日~7月8日までの予報> 気圧の谷や前線の影響を受けやすいでしょう。東北地方では平年と同様に曇りや雨の日が多い見込みです。す。 <7月9日~7月22日までの予報> 前線の影響を受けやすいでしょう。東北地方では平年と同様に曇りや雨の日が多い見込みです。 水 稲 病 害 予報内容 病害虫名 発生時期 いもち病 (葉いもち) 全般発生 開始期 並 発生量 ・ 感染量 やや少 予 報 の 根 拠 (1) BLASTAMによる判定では、6月22日~27日にかけて全県的に感 染好適条件が出現している。 (2) 取置苗での発病は、平年より少なかった。(-) (平年:7月3日) (3) 葉いもち予防粒剤の施用率が高い。(-) (4) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(+) 紋枯病 並 やや多 (1) 前年の発生量は平年並だった。(±) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(+) 稲こうじ病 - 並 (1) 前年の発生量は少なかった。(-) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(+) 記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -):重要な少発要因 防除対策 1 防除のポイント ◎ いもち病の全般発生開始期と発生状況については、今後の情報に注意すること。 【いもち病】 (1) いもち病は気象条件により急激にまん延するので、ほ場の観察と早期防除を最重点に万全の対策をとる。 (2) 発病した取置苗や本田持ち込み等の伝染源のあるほ場やその周辺では、病勢の進展が速く、ずりこみ等大きな 被害につながる事が多いので、取置苗、持ち込みの発病があった地域は特に注意する。 (3) 葉いもち予防粒剤(箱施用剤、水面施用剤、投げ込み施用剤)を施用した場合 予防粒剤を施用した場合でも、取置苗放置ほ場等では既に本田株で発病している場合がある。ほ場を観察し、 発生が目立ったら直ちに茎葉散布を行う。水面、投げ込み施用剤の施用が遅れたほ場は特に注意する。 (4) 葉いもち予防粒剤(箱施用剤、水面施用剤、投げ込み施用剤)を施用しない場合 今後、発表予定の予察情報に注意し、全般発生開始期の1週間後に茎葉散布による防除を開始する。 全般発生開始期前でもほ場をよく観察し、発生を確認したら直ちに茎葉散布を行う。 (5) 穂いもち予防粒剤を施用する場合 生育状況に注意し、防除時期を失しないようにする。葉いもちの発生が見られるところでは、粒剤施用前に茎 葉散布剤で防除を行う。なお、ストロビルリン系薬剤は耐性菌の発生リスクが高いので、嵐剤を箱施用した場合は、 オリブライト剤を本田で使用しない。 【紋枯病】 (1) 茎葉散布の場合:穂ばらみ末期の発病株率が、早生・中生種 15%、晩生種 20%以上の場合は防除を行う。 (2) 粒剤施用の場合(前年多発ほ場):防除適期 出穂 25~15 日前 モンカット粒剤 出穂 20~10 日前 モンガリット粒剤(稲こうじ病にも効果有) ※いもち病防除剤との混合剤を使用する場合は、剤によって散布適期幅が異なるので注意する。 【稲こうじ病】 (1) 前年多発したほ場を中心に防除する。特に、穂ばらみ期に雨天が続くと多発するので注意する。 (2) 銅剤およびこれの混合剤の効果が最も高い。 【ばか苗病】 (1) ほ場を観察し、発生を確認した場合は、株ごと抜き取って焼却または土中に埋めるなどして処理する。 水 稲害虫 予報内容 病害虫名 発生時期 斑点米 カメムシ類 第1世代 並 発生量 ・ 感染量 第1世代 やや多 予 報 の 根 拠 (1) 有効積算温度から算出されるアカスジ第1世代孵化盛期は平年並。 (2) 6月中旬のすくい取り調査では、発生ほ場率は平年並であるが、発 (アカスジカスミカメ・ 生程度はやや高い。(+) アカヒゲホソミドリカスミカメ) (3) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) イナゴ類 - やや多 (1) 6月中旬のすくい取り調査では、発生ほ場率は平年よりやや高い。 (コバネイナゴ) (+) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) フタオビコヤガ - 第2世代 (1) 6月中旬のすくい取り調査では、第1世代幼虫の発生ほ場率は平年 やや多 よりやや高い。(+) (平年:少発生) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) 記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -):重要な少発要因 防除対策 1 防除のポイント 【斑点米カメムシ類】 (1) カメムシ類の増殖を防ぐため、畦畔、水田周辺の牧草地、雑草地、農道などで、イネ科植物が出穂しないような管 理を徹底する。 また、水稲の出穂 15~10 日前までに畦畔や水田周辺の雑草などを地域一斉に刈り取る。 (2) 本田内にヒエ類・イヌホタルイ・シズイが発生しているほ場では、これらの雑草がカメムシ類の発生源となり、薬剤 防除の効果が十分に得られないので、本田内の除草を徹底する。 【イナゴ類】 (1) 一般には防除は不要である。 (2) 幼虫が多発している場合には、ふ化盛期から水田内部に侵入する前(7月中旬頃まで)に畦畔と畦畔際2~3mの 水田に薬剤を散布する。また、移動性が高いため、個々で防除すると他のほ場へ移入する場合があるので、地域 で一斉に防除するようにする。 【フタオビコヤガ】 (1) 一般には防除は不要である。 (2) 昨年発生量の多かった地域では、第2世代幼虫が発生する7月上旬以降にほ場内を観察し、被害葉率がおおむ ね5割を越える場合は、防除を検討する。 (3) 殺虫剤による防除効果は上がりやすいが、幼虫の発育は早く、発育が進むと摂食量は加速度的に増加するので、 加害初期に防除を実施する。 2 留意事項 養蜂活動が行われている地域で殺虫剤を散布する場合は、養蜂家と協議の上、散布時期を事前に通知するなど、ミツ バチへの危害防止につとめる。 り ん ご 病害 予報内容 病害虫名 発生時期 斑点落葉病 - 黒星病 - 褐斑病 - 輪紋病 - 発生量 ・ 感染量 やや多 予 (1) (2) 並 (1) (平年:少発生) (2) やや多 (1) やや多 報 の 根 拠 6月後半の巡回調査における発生園地率は平年並。(±) 7月の気温は平年並、降水量は平年並または多い予報。(+) 6月後半の発生量は極めて少ない。(- -) 7月の降水量は平年並または多い予報。(+) 7月の降水量は平年並または多い予報。(+) (1) 7月の気温は平年並、降水量は平年並または多い予報。(+) 記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -):重要な少発要因 防除対策 1 防除のポイント 【斑点落葉病】 (1) 7月は本病が急増しやすい時期である。高温(25~30℃)、多湿を好み、感染から発病までの潜伏期間は短く、夏 期のまん延はきわめて急性である。週間天気予報などに注意し、予防散布に努める。 (2) 本病は樹上部の徒長枝や枝の混み合った部位からまん延することが多いため、不要な徒長枝は取り除き、通風を よくし薬剤がかかりやすい樹形を維持する。 (3) 例年7月に発生が多い園地ではベフラン液剤 25 を用いる。多発の兆候が見えた場合には、ポリオキシン混合剤や ロブドー水和剤を散布する。なお、ポリオキシン剤やロブドー水和剤は耐性菌を生じやすい薬剤であるので注意す る。 【黒星病】 (1) 発生園では、斑点落葉病などとの同時防除を兼ねて予防剤を定期的に散布する。 【褐斑病】 (1) 定期散布の間隔を遵守し、発生を防止する。 前年発生園では、7月上旬にパスポート顆粒水和剤を散布する。 (2) SSの旋回場所や片側散布の場所など薬剤の散布むらが多発要因となるので、散布むらが生じないよう丁寧な薬 剤散布を行うとともに枝葉が過繁茂にならないように管理する。 (3) 褐色の病斑葉や黄変葉が坪状に観察される場合は、発病葉を観察し、褐斑病の特徴である分生子層(黒い粒々) の有無を確認すること。 (4) 発病を確認したら、トップジン M 水和剤又はベンレート水和剤を特別散布する。 【輪紋病】 (1) 7月は輪紋病の果実感染が多くなる時期である。特に夏期が高温多雨で経過すると多発が懸念されるので、散布 間隔が開かないよう注意する。 (2) 樹幹内部まで薬液が十分到達するよう栽培管理面にも配慮しながら、丁寧に薬剤散布を行う。 【炭そ病】 (1) 散布間隔が開かないように注意し、輪紋病などと同時防除を徹底する。 (2) 炭そ病の発病果は、二次伝染防止のため見つけ次第取り除き、埋没させるなどの処分を徹底する。 り ん ご 害虫 予報内容 病害虫名 発生時期 リンゴハダニ - 発生量 ・ 感染量 やや多 予 報 の 根 拠 (1) 6月後半の巡回調査では、発生園地率、程度とも平年より高かっ た。(+) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並または多い予報。(+) ナミハダニ - やや多 (1) 6月後半の巡回調査では、果そう葉での発生ほ場率は平年より やや低く(-)、新梢での発生ほ場率は平年より高かった。(+) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並または多い予報。(+) キンモンホソガ 第2世代 (1) フェロモントラップによる第1世代の誘引消長は、平年並~やや早か 羽化時期 った。 並~やや早 やや少~並 (2) 6月前半の巡回調査では、第1世代の発生ほ場率は平年より低かっ た(-) (3) フェロモントラップへの誘引数は県央で平年並(±)、県南及び沿岸 部で多い(+)。 (4) 7月の気温は平年並、降水量は平年並または多い予報。(±) シンクイムシ類 - やや少 (1) 昨年の発生量は、平年より少なかった。(-) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並または多い予報。(±) カメムシ類 - やや多 (1) 6月第5半旬現在、集合フェロモントラップにおける誘殺数は例年よ りやや多い。(+) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並または多い予報。(±) 記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -):重要な少発要因 防除対策 1 防除のポイント 【ハダニ類】 (1) ハダニ類の要防除水準は寄生葉率 30%である。主幹近くの新梢葉(普通樹では主幹や主枝の徒長枝葉)をよく 観察する。なお、樹上部で多発している場合もあるので、樹上部の徒長枝葉も観察し、要防除水準に達した場合 は直ちに防除を実施する。 (2) 薬剤の効果を高めるため、ダニ剤の散布7日前頃までには下草処理をしておく。 (3) 薬剤散布は樹上部までかかるよう十分量を丁寧におこなう。不要な徒長枝は散布ムラの原因となるので、早めに 剪除し薬剤のかかりやすい樹形を維持する。 (4) 薬剤抵抗性ハダニの発現回避のため、同一系統の薬剤は1シーズン1回使用に限る。また、複数年を単位とした 薬剤のローテーションを厳守する。 【キンモンホソガ】 (1) 7月上~中旬に新梢葉を観察し、発生が目立つ園地では、7月第4半旬~第5半旬にかけて防除を行う。 【シンクイムシ類】 (1) 発生園では、7月以降の防除間隔を厳守する。また、被害果は水漬けするなどの処理を徹底し、発生密度の低 下に努める。 (2) 交信攪乱剤設置園においてフェロモントラップへの誘殺や被害果が確認された場合には、ただちに薬剤防除を 実施する。 【カメムシ類】 (1) 園地内への飛来状況をよく観察し、大量の飛来が確認された場合は、有機リン剤や合成ピレスロイド剤等により速 やかに防除を実施する。ただし、ハダニ類の異常多発や薬剤抵抗性害虫の発現などが懸念されるので、合成ピ レスロイド剤は連用しない。 (2) カメムシ類の飛来観察は「さんさ」を中心に行い、同時に周辺部の樹木(ヤマザクラ、キリ、クワ)や防風ネット等も 観察する。 2 留意事項 養蜂活動が行われている地域で殺虫剤を散布する場合は、養蜂家と協議の上、散布時期を事前に通知するなど、ミ ツバチへの危害防止に努める。 き ゅ う り 予報内容 病害虫名 発生時期 べと病 並 発生量 ・ 感染量 並~やや多 うどんこ病 - やや少 予 報 の 根 拠 (1) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±~+) (1) 6月後半の巡回調査では、発生ほ場率は平年より低かった。(-) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) 黒星病 - やや少 (1) 6月後半の巡回調査では、発生は見られなかった。(-) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) 斑点細菌病 - 並 (1) 6月後半の巡回調査では、発生ほ場率は平年並だった。(±) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) 炭そ病 - やや多 (1) 6月後半の巡回調査では、発生は確認されていない。(±) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(+) 褐斑病 - やや多 (1) 6月後半の巡回調査では、発生は確認されていない。(±) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(+) ワタアブラムシ - やや少 (1) 6月後半の巡回調査では、発生ほ場率は平年より低かった。(-) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) 記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -)重要な少発要因 防除対策 1 防除のポイント ◎ 7月はべと病、うどんこ病、炭そ病及び褐斑病の防除に重点をおく。 ◎ 7月中旬以降は、斑点性病害(炭そ病、褐斑病、黒斑病)の初発生が見られる。蔓延を防ぐためには、疑わしい病 斑がみられたら摘葉を行い、速やかに薬剤散布を行う。 ◎ 定植時に施用した粒剤の効果が切れる頃なので、アブラムシの発生が見られたら防除を行う。 【斑点細菌病、べと病】 (1) 斑点細菌病は、降雨が続くと発生が助長されるので、発生初期に防除を徹底する。 (2) べと病は、下葉や古い葉に発生しやすいので、敷わらを行い雨滴による病原菌の飛散を防ぐ。また、発病を確認 してからは被害が大きくなるので予防散布に努める。 【うどんこ病】 (1) うどんこ病は葉裏や茎、側枝で蔓延するので注意して観察し、発生が見られたら早期に防除を行う。 (2) 特に、うどんこ病に抵抗性を持たない品種においては注意する。 【褐斑病・炭そ病】 (1) 発生を確認してからでは防除が困難なので、予防散布に努める。 (2) 初期の発病葉を摘葉後、両病害に効果の高いストロビルリン系剤もしくはゲッター水和剤を散布する。 【モザイク病、ワタアブラムシ】 (1) モザイク症状が激しい株は、早期に抜き取る。 (2) アブラムシ類に対して効果の劣る薬剤が見られるので、ローテーション散布を心がける。 【ハダニ類】 (1) 多発させると防除が困難になるので、下葉を定期的に観察し、発生初期に防除を行う。 (2) ほ場周辺の雑草は繁殖場所となるので除草する。 2 留意事項 (1) 7月中旬以降は、茎葉が繁茂してくるため、薬剤の散布ムラが生じやすいので、株全体の葉の裏表にムラなくか かるようにアーチの両側から散布する。 (2) 薬剤は、耐性菌や薬剤抵抗性害虫の出現を回避するために、連用せずに異系統の薬剤をローテーションする。 キ ャ ベ ツ 予報内容 病害虫名 発生時期 コナガ - 発生量 ・ 感染量 やや多 モンシロ チョウ - 並 予 報 の 根 拠 (1)6月後半の巡回調査では、産卵発生ほ場率は平年より高かった。(+) (2)7月の気温は平年並み、降水量は平年並か多い予報。(±) (1) 6月後半の巡回調査では、発生量は平年並みだった。(±) (2) 7月の気温は平年並み、降水量は平年並か多い予報。(±) 記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -):重要な少発要因 防除対策 1. 防除のポイント ◎定植時に薬剤処理を実施した場合でも、被害が見られるほ場では、効果の高い剤を選択し防除を実施する。 【コナガ】 (1) 7月以降、コナガの発生は断続的に見られ、寄生密度も高くなため、これから定植する作型では定植時に必ず薬 剤処理をする。 (2) 定植時に薬剤処理を実施した場合でも、気象条件によっては残効が短くなる場合もあるので、適宜ほ場をよく観察 し、発生状況に応じて防除を実施する。 (3) コナガは薬剤抵抗性が発達しやすいので、系統の異なる薬剤によるローテーション散布を行う。 【ウワバ類、モンシロチョウ】 (1) ウワバ類の成長した幼虫は食害量が多くなるので、若齢幼虫の発生が目立つ場合は、コナガ防除の際にウワバ類 にも効果のある剤を選択する。 (2) 7月以降はモンシロチョウの発生は断続的に見られ、寄生密度も高くなる。成長した幼虫は食害量が多くなるので、 若齢幼虫の発生が目立つ場合は、コナガと同時防除を行う。 【ヨトウガ】 ① 幼虫の発生が目立つ場合は、オルトラン水和剤やプレオフロアブルなど、中老齢幼虫にも効果の高い薬剤 を選択する。 ね ぎ 予報内容 病害虫名 発生時期 さび病 - 発生量 ・ 感染量 やや少 予 報 の 根 拠 (1) 6月後半の巡回調査では、発生量は平年より少なかった。(-) (2) 7月の気温は平年並み、降水量は平年並か多い予報。(±) べと病 並 (1) 6月後半の巡回調査では、発生量は平年より少なかった。(-) (2) 降水量は平年並か多い予報。(+) ネギコガ 第2世代 第2世代 (1) 有効積算温量から推定される第2世代羽化時期は平年並み 並 並 (2) 6月後半の巡回調査では、発生ほ場率は平年並だった。(±) (3) 7月の気温は平年並み、降水量は平年並か多い予報。(±) ネギハモグリ やや少 (1) 6月後半の巡回調査では、発生量は平年より少なかった。(-) バエ (2) 7月の気温は平年並み、降水量は平年並か多い予報。(±) ネギアザミウマ やや多 (1) 6月後半の巡回調査では、発生量は平年より多かった。(+) (2) 7月の気温は平年並み、降水量は平年並か多い予報。(±) 記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -):重要な少発要因 防除対策 1 防除のポイント 【べと病、さび病】 (1) 降雨が続くと両病害の発生が助長されるので、定期的な防除を行う。 (2) 肥料切れすると発病しやすいので、適切な肥培管理に努める。 【ネギコガ】 (1) 有効積算温度から推定される防除時期(第2世代羽化盛期)は、県中 南部では平年並みの7月第3半旬、県北部でも平年並みの7月第5半 旬である。 図1 ねぎさび病(左)とべと病(右)の病斑 【ネギハモグリバエ】 (1) ネオニコチノイド系殺虫剤を用いて防除する場合は、ネギアザミウマとの同時防除が 可能である。 【ネギアザミウマ】 (1)ほ場周辺、畦間の雑草除去に努める。 (2)発生が目立つ圃場では、効果の高いハチハチ乳剤やプレオフロアブルを散布し、 密度低下を図る。 (3)粒剤施用では効果発現まで数日要するので、早急に防除が必要な場合は茎葉散 布を行う。 (4) 茎葉散布は散布ムラが生じないように畦の両側から丁寧に行う。 2 防除上の注意事項 (1) 収穫期が近い作型では、使用基準に注意して薬剤を選択する。 図2 ネギアザミウマによ る葉の被害 り ん ど う 予報内容 病害虫名 発生時 期 葉枯病 - 発生量 ・ 感染量 並 褐斑病 - やや少 ハダニ類 - 並 リンドウ ホソハマキ アザミウマ類 - やや多 - 並 予 (1) (2) (1) (2) (1) (2) 報 の 根 拠 6月下旬の巡回調査では、全体の発生量は平年よりも少なかった。(-) 7月の降水量は平年並か多い予報。(+) 前年の発生量は平年より少なかった。(- -) 7月の降水量は平年並か多い予報。(+) 6月下旬の巡回調査では全体の発生量は平年並だった。(±) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) (1) 6月下旬の巡回調査では全体の発生量はやや多かった。(+) (2) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) (1) 7月の気温は平年並、降水量は平年並か多い予報。(±) 記号の説明 (++):重要な多発要因、(+):多発要因、(±):並発要因、(-):少発要因、(- -):重要な少発要因 防除対策 1 防除のポイント ◎ 7月は、葉枯病・褐斑病の重点防除時期にあたる。前年褐斑病が発生したほ場では、本病に効果の高い薬剤を選 択し、葉枯病との同時防除を行う。また、散布間隔が開かないように注意する。 ◎ リンドウホソハマキの被害が多いほ場では、今後も防除を継続する。 【葉枯病】 (1) 降雨後の散布は効果が劣るので、週間天気予報を参考にして、降雨日前の散布を心掛ける。 (2) 薬剤散布にあたっては、下葉や畦の内部にもよくかかるように散布する。 (3) 弱小茎やこぼれ種から生じた茎葉は伝染源となるので抜き取り、土中に埋めるなどして処分する。 【褐斑病】 (1) 前年発生が見られたほ場では、本年も必ず発生するので防除を徹底する。 (2) 間引きが不十分であったり、風通しが悪いほ場では発生が多くなるので、適正な茎数に管理する。 (3) 薬剤が到達しにくい下位葉や畦の内部、畦の北側など日当たりの悪い場所で発生が多く見られることから、 薬液が株全体に十分かかるように散布する。 (4) 被害の拡大と翌年の伝染源をなくすため、被害茎葉は取り除いてほ場外へ運び出し土中に埋めるなどして 処分する。 【ハダニ類】 (1) 多発してからでは防除が困難となるので、前年多発ほ場や常発ほ場では葉裏を観察し、発生初期に防除す る。なお、散布時は葉裏に薬液が十分かかるようにする。 (2) 赤色のカンザワハダニと体色の半透明なナミハダニが寄生するが、後者は特に見落としやすいので注意し て観察する。 (3) 薬剤抵抗性が発達しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。 (4) 雑草はハダニ類の発生源となるので除草し、ほ場外へ運び出す。 【アザミウマ類】 (1) りんどうの開花とともに成虫が飛来し増殖するので、蕾の着色が見られたら薬剤防除を行う。 (2) 周辺の開花雑草はアザミウマの増殖源となるので、除草しほ場外へ運び出す。 【リンドウホソハマキ】 (1) 被害が多いほ場では、今後も防除を継続する。 (2) 被害茎は見つけ次第折り取り処分する。 図1 被害茎 図2 被害茎の着色と羽化孔 図3 被害花蕾の着色
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