茶病害虫防除情報 【第 5 号】 平成 27 年5月 12 日 鹿児島県経済連・肥料農薬課 夏茶の品質向上・安定生産のための 二番茶芽生育期の病害虫防除対策 新緑の輝く初夏らしい気候になりました。一番茶の生産は遅場産地でもほぼ終盤を迎え、 早場産地では二番茶芽の萌芽生育も始まりました。今回は夏茶の品質や収量に影響する二 番茶芽生育期の病害虫防除対策についてお知らせします。 ☆ 病害虫の発生概要 ◎ 炭疽病・・・ 炭疽病・・・「やや多 やや多」技術情報発表 黒葉腐病・・・「注意」 注意」 越冬病葉は多く、また一番茶芽生育期には曇雨天が続きました。このため伝染源として 活力の高い摘採残葉の新発病葉数が例年になく増加しています。また 二番茶芽の生育期 は梅雨入りも予想されますので、多発生になる恐れがあります。この様な状況のため、県 防除所から技術情報が出されました。黒葉腐病もこの時期から発生の恐れがあります。 ◎ チャノミドリヒメヨコバイ・・・ チャノミドリヒメヨコバイ・・・「やや多」 やや多」 チャノキイロアザミウマ・・・「並」 「並」 一番茶後気温が上がり、晴天が続いたためチャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマともやや増加 しています。また、これから発生が多くなる時期になります。梅雨入りが遅れ、晴天が続 と多発し、二番茶芽に被害が出る恐れもあります。 ◎ チャノホソガ ・・・「発生量 並」 「発生時期 並」 例年、二番茶以降に発生が多くなり、夏茶の水赤の原因にもなりますので注意しましょ う。一番茶残葉の巻葉発生状況や二番茶芽の1葉期頃に産卵、葉潜り状況を観察して発生 を判断します。発生時期と新芽生育期が合う園で発生が多くなります。 ☆ 基本的防除 基本的防除対策 防除対策 この時期は品種、芽の生育状態、病害虫の発生状況に対応した防除をします。いずれの 病害虫も萌芽から 1 葉期頃が散布適期です。 「やぶきた」園などは混用散布により同時防除 します。また、この時期は萌芽から摘採までの期間が短く、気温の上昇で芽の生育が早ま ることがありますので使用基準の摘採 7-10 日前に使用できる薬剤を選択し、散布します。 また、最近、一部薬剤では薬剤耐性菌や感受性低下が地域によって生じていますので、 地域の栽培暦に採用されている薬剤で防除します。 ◎ 炭疽病 黒葉腐病・・・・・ 黒葉腐病・・・・・降雨が多いときは注意 降雨が多いときは注意 降雨前に防除 降雨前に防除 炭疽病は「やぶきた」園では梅雨入りで多くなりますので防除が必要です。摘採残葉と して残る下位 1-2 葉を守るよう萌芽から1葉期の降雨前にダコニール 1000 で予防防除します。 特に伝染源病葉の多い園や、梅雨入り後に茶芽が生育する地域や園では注意しましょう。 黒葉腐病は樹勢が良く、芽のつまった「ゆたかみどり」など品種で、特に被覆園に発生 しやすいですので、萌芽期~1葉期頃にダコニール 1000 を予防散布します。 -1- ◎ チャノキイロアザミウマ チャノミドリヒメヨコバイ・・・・・雨が少ないと多くなる 梅雨入りが遅れ、天気が続くと多くなります。芽の生育初期に加害を受けると被害が大 きくなるので萌芽期頃の防除が最適です。チャノホソガ、炭疽病などと同時防除する場合は萌芽 ~1葉期に防除するとよいでしょう。ネオニコチノイド系薬剤など一部薬剤で感受性が低下してい ますのでウララ DF など地区栽培歴採用薬剤で防除します。 ◎ チャノホソガ・・・・・ チャノホソガ・・・・・品質への影響大 1葉期頃に産卵・幼虫の葉潜り状況をみて防除を判断します。多くみられる園では1葉 期頃に防除します。2-3 葉期以降に産卵がみられ、10 日以内に摘採予定の園では被害は回 避できますので防除の必要はありません。これまで使用されてきた IGR 系剤(ノーモルト乳剤、 カスケード乳剤)などで感受性が低下している地域ではサムコルフロアブルなど地域の栽培暦採用薬剤 で防除します。 ☆ 二番茶芽生育期の病害虫防除法 病害虫名 炭疽病 薬 剤 名 ダコニール 1000 希釈倍数(倍) 希釈倍数(倍) 使用時期・ 使用時期・回数 使用上の留意事項 10 日前 1 回 ①萌芽-1 葉期の降 700~1000 黒葉腐病 チャノキイロアザ 雨前に散布する。 ウララ DF ミウマ(スリツプス) スタークル顆粒水溶剤 チャノミドリヒメ コルト顆粒水和剤 1000~2000 7 日前 1 回 ①薬剤抵抗性を考慮 2000 7 日前 2 回 し、同一系統の薬剤 2000~3000 7 日前 2 回 使用は年 1 回が望 ヨコバイ ヨコバイ(ウンカ) ましい。 2000~4000 3 日前 1 回 スタークル顆粒水溶剤 2000 7 日前 2 回 バリアード顆粒水和剤 2000~4000 7 日前 1 回 ②葉裏への産卵・幼虫 ファルコンフロアブル 4000~8000 7 日前 2 回 の葉潜り状況を確 カスケード乳剤 4000 7 日前 2 回 認する。 ノーモルト乳剤 2000~4000 7 日前 1 回 チャノキイロアザ ウララ DF+サムコルフロアブル DF+サムコルフロアブル 1000+4000 7 日前 1 回 ①下記の 3 種混用は ミウマ スタークル顆粒水溶剤 2000 7 日前 2 回 可能です。(試験済) チャノミドリヒメ ウララ DF+ノーモルト乳剤 1000+4000 7 日前 1 回 ダコニール+ウララ+サムコル ヨコバイ ウララ DF+ファルコンフロアブル 1000+4000 7 日前 1 回 ダコニール+コルト+サムコル チャノホソガ コルト顆粒水和剤+サムコルフロアブル 2000+4000 7 日前 1 回 ダコニール+ウララ+ノーモルト 同時防除 コルト顆粒水和剤+ノーモルト乳剤 2000+4000 7 日前 1 回 ダコニール+コルト+ノーモルト チャノホソガ サムコルフロアブル 10 (サンカクハマキ) ①1 葉期頃が散布の 適期である。 ☆ 農薬の適正使用と生産履歴の記帳で安心・安全・クリーンな「かごしま茶」づくり。 農薬の適正使用と生産履歴の記帳で安心・安全・クリーンな「かごしま茶」づくり。 ☆ いろいろな農作物の生産時期です。隣接作物や収穫前の隣接園 いろいろな農作物の生産時期です。隣接作物や収穫前の隣接園に散布農薬が飛散しな 隣接作物や収穫前の隣接園に散布農薬が飛散しな いように十分注意しましょう。 -2-
© Copyright 2024 ExpyDoc