ポアソン分布の確率関数 第6回: ポアソン分布(2回目) と正規分布(1回目) p( x) = λx x! ⋅ e −λ , x = 0,1,2, L ただし、λは正の数。 ポアソン分布は、ただ1つのパラメータλで 表される。P(λ) ポアソン分布P(λ) 0.7 0.6 p(x) 0.5 λ=0.5 λ=1.0 λ=2.0 λ=3.0 λ=5.0 λ=10.0 0.4 0.3 0.2 分布のグラフ(続):さらに大きなλ値では… ポアソン分布 のグラフ ポアソン分布P(λ) 0.14 0.12 0.1 0.1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 x 9 10 11 12 13 14 15 16 λ=10 λ=50 λ=100 λ=150 p(x) 0 0.08 ポアソン分布P(λ) ポアソン分布のグラフ… 0.06 0.14 0.12 0.02 16 14 12 8 10 6 0 2 4 e 寄り道:自然対数の底 の 2つの展開公式について べき乗 階乗での展開公式 160 148 135 123 110 85 ⎛n⎞ λx − λ ⎯→ P (λ ) = ⋅e B (n, p) = ⎜⎜ ⎟⎟ p x (1 − p) n − x ⎯ x! ⎝ x⎠ べき乗での展開公式 n 199 177 188 155 166 133 144 122 111 P(λ )( x) = 100 29 23 25 27 19 21 13 15 17 7 0 9 11 0 1 1 0.5 3 1 0.5 5 np = λ(一定値) のままで、p → 0, n → ∞ を、実際に分布のグラフを書いて確認してみよう。 89 1.5 67 78 2 1.5 45 56 2.5 2 34 2.5 12 23 3 n n eの展開公式 1 階乗 97. 二項分布 → ポアソン分布 B(n , p) P(λ) 1⎞ ⎛ 1 1 ⎛ 1⎞ e = lim ⎜1 + + + L + ⎟ e = lim ⎜1 + ⎟ 1! 2! n! ⎠ n⎠ n →∞ ⎝ n→∞ ⎝ e = 2.718281828... 3 60 x x eの展開公式 72. 0 35 0 0 0.02 47. 0.04 22. 0.06 0.04 5 p(x) 0.1 0.08 10 λ=10 λ=20 λ=30 λ=40 λ=50 λ=60 λx x! ⋅ e −λ , x = 0,1,2, L λは正の数 1 ポアソン分布が二項分布のある極限 であることの証明 二項分布が、ポアソン分布に近づくか?例1 • サイコロ1個を4回振って、6の目が出る n = 4, p = 1 / 6, np = 2 / 3 B (4,1 / 6), • ある ⇔ • サイコロ2個を24回振って、6のゾロメが出る np = λ (一定値)のままで、 n = 24, p = 1 / 6 , np = 24 / 36 = 2 / 3 B(24,1 / 6 ), 2 2 • サイコロ3個を144回振って、3個全てが6の目が出る p → 0, n → ∞ n = 144, p = 1 / 63 , np = 144 / 63 = 2 / 3 B(144,1 / 63 ), • サイコロ4個を864回振って、4個全てが6の目が出る n = 864, p = 1 / 6 4 , np = 864 / 6 4 = 2 / 3 B(864,1 / 6 4 ), 教科書の第1の証明方法のみ(特性関数は 取り上げなかったので、第2の証明方法も 取り上げない) • … P(2 / 3) に近づくか? np = λ(一定値) のままで、p → 0, n → ∞ B (n, p )( x) = B (n, p )( x) n! p x (1 − p ) n − x x!(n − x)! = x個 64444744448 n(n − 1)(n − 2) L (n − x + 1) x = ⋅ p (1 − p ) n − x x! p x x n(n − 1)(n − 2) L (n − x + 1) = ⋅n × × (1 − p ) n − x x! nx (np ) x ⎛ 1⎞ ⎛ 2⎞ ⎛ x −1⎞ n− x = × 1 ⋅ ⎜1 − ⎟ ⋅ ⎜1 − ⎟ ⋅ L ⋅ ⎜1 − ⎟ × (1 − p ) x! n ⎠ ⎝ n⎠ ⎝ n⎠ ⎝ ⎯np ⎯=λ⎯ ⎯⎯ ⎯→ , p → 0, n →∞ np = λ(一定値) のままで、p → 0, n → ∞ λx x! (np ) x ⎛ 1⎞ ⎛ 2⎞ ⎛ x −1 ⎞ n− x × 1 ⋅ ⎜1 − ⎟ ⋅ ⎜1 − ⎟ ⋅ L ⋅ ⎜1 − ⎟ × (1 − p ) x! n ⎠ ⎝ n⎠ ⎝ n⎠ ⎝ ⎛ np ⎞ (1 − p) n − x = ⎜1 − ⎟ n ⎠ ⎝ ⎛ x⎞ n⋅⎜ 1− ⎟ ⎝ n⎠ ⎛ n⎞ ⎜ − ⎟ ⋅ (−λ ) λ⎠ ⎛ λ ⎞⎝ = lim ⎜1 − ⎟ n⎠ n→∞ ⎝ ⎛ λ⎞ ⎯np ⎯=λ⎯ ⎯⎯ ⎯→ lim ⎜1 − ⎟ , p →0 , n →∞ n⎠ n →∞ ⎝ ⎛ 1⎞ = lim ⎜1 + ⎟ n⎠ n →∞ ⎝ n n⋅( − λ ) =e −λ λx − λ ∴ B(n, p) ⎯⎯ ⎯ ⎯ ⎯ ⎯ ⎯ ⎯⎯→ ⋅ e = P(λ ) p → 0, n → ∞ 証明続く x! 証明終わり 例2:教科書の図4.3の分布 np = λ = 10 二項分布とポアソン分布 二項分布とポアソン分布:np=10の場合 0.45 0.25 0.4 B(4,1/6) B(24,1/36) B(144,1/6^3) B(864,1/6^4) P(2/3) 0.3 0.25 0.2 0.15 0.2 B(n,p)とP(λ) B(n,p)と P(λ) 0.35 n=15 n=20 n=30 n=50 n=100 n=500 P(λ=10) 0.15 0.1 0.1 0.05 0.05 0 1 2 3 4 5 6 x 7 8 9 10 0 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 x 2 二項分布と、その極限に対応する ポアソン分布のグラフ 指数分布の裏としてのポアソン分布 二項分布とポアソン分布:今日が誕生日 • • • • B(120, 1/365)とP(120/365) 0.8 0.7 0.6 0.5 B(120, 1/365) P(120/365) 0.4 0.3 0.2 0.1 0 0 1 2 3 4 5 6 x 7 8 9 10 ポアソン分布の方が、 計算がラク… 簡単なモデルで理解してみよう 単位時間(1 時間、日、秒、…) 時間の流れ t t +1 それを頭の中でN等分してみる。ここで、Nは十分大きな数 1/N :十分短い時間間隔 稀に、互いに独立に生起する事象 モデルで理解(続き2: 生起数はポアソン分布) ⇒全N個の (=単位時間)で x 個の が生じる 確率は、二項分布 B (N, p)で与えられる。 N p = λ, N は十分大きい、pは小さい ⇒ ポアソン分布 P (λ) つまり、単位時間当たりに事象 がx回生起する 確率は、ポアソン分布(λ)で与えられることがわ かった。 がら空きの銀行窓口へのお客さんの到着、 交通量の少ない道路での車の通過、 放射性元素の原子核の崩壊、 交通事故にあって死亡、 など、個々のお客さん、車両、原子、市民には 稀にしか起こらない事象があり、それぞれは 互いに独立に起きるとき⇒ その時間間隔 t は指数分布 その単位時間当たりの生起数 x はポアソン分布 モデルで理解(続き1:モデルの説明) • いま、単位時間当たりに平均λ回起こる事象だ とすると、1/N の間に起こる確率pは、 p =λ/N • ごく短い時間間隔1/N の間に起こる確率p は たいへん小さく、1つの に2つ以上の が同時に起こることはないとする(そのように、 Nを十分大きくとる)。 • このとき、1つの には、 が生じるか生じ ないか、のいずれかがpと1-pの確率で起きる。 N個の異なる では、互いに独立にそのいず れかが起きる。 ⇒これは… モデルで理解(続き3: 生起間隔は指数分布) ⇒また、時間間隔 t の確率密度分布f (t)は、 次のように考えればよい。x 個離れた で初 めて次の が生じる確率は p=λ/N による幾何分布 P幾何(x)=(1-p)x-1p で与えられる。(幾何分布:テキストp.13) 時間に直すには、t =x/N とすればよく、 P幾何(x) Æ f (t) dt ( N p = λ, N→∞) Nt −1 λ ⎛ λ⎞ f (t ) = lim ⎜1 − ⎟ ⋅ N = λe −λt 指数分布 N⎠ N n →∞ ⎝ 3 復習:2回目(4/16) テキストp.20 例題2.4:[3]指数分布での平均と分散 指数分布 ⎧λe f (t ) = ⎨ ⎩0 − λt +∞ µ = ∫ x ⋅ f ( x)dx 2 と σ = (t ≥ 0) (t < 0) 正規分布(1回目) に対して、 +∞ ∫ (x − µ) 2 ⋅ f ( x)dx を計算する −∞ −∞ ⇒µ= 1 λ , σ2 = まず、どんな分布か… z正規分布 (Normal Distribution)、 ガウス分布(Gaussian distribution)、誤差関数 とも呼ばれる。 z確率変数x は実数値をとる、連続分布 1 z2つのパラメータ、平均μ、分散σ2 で 特徴付けられる。N (μ, σ2) λ2 時間間隔 t の平均は 1/λ 正規分布のグラフ 正規分布の確率密度関数 正規分布:分散σ2の違い − 2σ 2 , x∈R 0.8 0.7 標準正規分布 N(0,1)への標準化 一般に、正規分布N (μ,σ2)に従う確率変数x を、 以下のようにuに変数変換すると、確率変数u は μ=0.0, σ=1.0の標準正規分布N(0,1)に従う。 x−µ σ ⎛ x−µ ⎞ 1 E (u ) = E ⎜ ⎟ = (E ( x) − µ ) = 0, ⎝ σ ⎠ σ ⎛ ⎛ x − µ ⎞2 ⎞ 1 σ2 ⎟= E (u 2 ) = E ⎜ ⎜ ⋅ E ( x − µ )2 = 2 = 1 ⎜ ⎝ σ ⎟⎠ ⎟ σ 2 σ ⎝ ⎠ ( ) この変数変換によりN(0,1)になおすことを、 「正規分布の標準化、正規化」という。 μだけ左に平行移動し(それにより、x=0が分布の中央に)、 σ分の1に縮小する(それにより、分散で表される拡がりが1に) 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 5 4 3 2 1 0 -1 0 -2 ただし、μ,σは実数。 正規分布は、2つのパラメータμ,σで表される。 N(μ,σ2)。式より、直ちにわかること; •x=μに関して、左右対称(偶関数)。 •また、この平均値x=μで最大値をとる。 •x=μから左右にσだけ外れたところでは、最大 値のexp(-1/2)=0.606530…倍 x → u, u = σ2=0.5 σ2=1.0 σ2=2.0 σ2=3.0 σ2=5.0 σ2=10.0 0.6 -3 2πσ 2 ⋅e N(0,σ2) 1 0.9 -4 f ( x) = ( x−µ )2 x 標準正規分布に変換して計算 ⎧a − µ x − µ b − µ ⎫ Prob{a ≤ x ≤ b} = Prob ⎨ ≤ ≤ ⎬ σ σ ⎭ ⎩ σ b−µ b−µ⎫ ⎧a − µ = Prob ⎨ ≤u≤ ⎬ = N (0,1)(u ) du σ σ ⎭ a −∫µ ⎩ σ σ u は、標準正規分布N(0,1)に従うので、N(0,1)について 上記の確率を求めることができれば、任意の正規分布 N (μ, σ2)に従うxについて、確率を求めることができる。 そこで、 特にN(0,1)についてのみ、確率値を与える 確率密度関数N(0,1)の積分値を、正規分布表として 用意しておき、数値計算等の手間を省く。 4 KpとPの対応:グラフでみると… 正規分布表 0.5 を与える、Kp ⇔ P の対応表:正規分布表 積分値Pが、確率値を与える。 • テキスト61ページの例題5.1:「品質管理」 化粧品のボトル。工場でのボトル詰め工程により、実際 にボトル詰めされた製品の容量にはバラツキが生じて しまう。いま製品を多数抜き取って調べたところ、平均 125ml, 標準偏差2.0mlの正規分布に従っていることが わかった。ボトルは、「容量120ml」と表示して出荷して いるので、120ml以下で規格外である製品は、極力出 してはいけないが、現状では何%生じているか? また、0.1%以下にするには、標準偏差の値をどこまで 小さくすべきか?(平均を上げると損になるので、詰め 作業の精度を上げることで標準偏差を小さくしたい) ∫ +∞ −∞ e a − u2 2 du = 2π a 0.3 0.2 0.1 Kp > 0 の場合について求めておけば、十分。 ⇒ Kp < 0については、どうすれば良いか? Answer: 分布の対称性を利用せよ。 正規分布表を用いた確率計算の例題 :製品の品質管理 0.4 3 6 9 3. 2. 3. 1 4 2. 3. 8 1. 7 5 1. 3 2 1. 2. 6 9 0. 0 0 3 Kp 0.6 0. Kp 下限値 Kp ⇒ 確率値 P 2 1 − u2 e du =P 2π 0. ∞ 確率値 P Prob{u ≥ K p } = ∫ N (0,1)(u )du = ∫ ∞ 下限値 Kp 確率分布が満たすべき2条件の確認 f ( x) = ● f ( x) ≥ 0 +∞ ● ∫ f ( x)dx = −∞ = 1 2π ∫ +∞ −∞ e − u2 2 1 2πσ 2 1 ⋅e 2πσ 2 ∫ +∞ −∞ e − − ( x−µ )2 2σ 2 ( x−µ )2 2σ 2 , x∈R dx 1 x−µ ⎛ ⎞ , du = ⋅ dx, u : −∞ → +∞ ⎟ du ⎜ x → u = σ σ ⎠ ⎝ =1 最後の等号は、もし次式が 成り立っているならば(a=1)⇒ ∫ の証明は次回 +∞ −∞ e a − u2 2 +∞ ∫e a − ⋅u 2 2 2π a du = du = −∞ 2π , for a > 0 a の証明 左辺 = I とおくと、 ⎛ + ∞ − a u 2 ⎞ ⎛ + ∞ − a v 2 ⎞ + ∞ + ∞ − a (u 2 + v 2 ) I 2 = ⎜⎜ ∫ e 2 du ⎟⎟ ⋅ ⎜⎜ ∫ e 2 dv ⎟⎟ = ∫ ∫ e 2 dudv −∞ −∞ −∞ −∞ ⎝ ⎠ ⎝ ⎠ ここで、変数変換:直交座標系(u, v)から極座標系(r , θ )へ v du v⎞ ⎛ (u, v) ⇒ (r ,θ ) : u = r cos θ,v = r sin θ , ⎜ r 2 = u 2 + v 2 , θ = tan −1 ⎟ u⎠ ⎝ u, v : −∞ → +∞ ⇒ r : 0 → +∞, θ : 0 → 2π dv u ⇒ du ⋅ dv = rdθ ⋅ dr rdθ dr θ r 5 ∫ +∞ −∞ e a − u2 2 2π a du = 正規分布の平均 の証明(続き) du ⋅ dv = rdθ ⋅ dr I2 = +∞ ∫ ∫ −∞ +∞ −∞ e − ( a 2 u +v2 2 ) dudv = ∫ ∞ 0 re − a 2 r 2 dr ∫ 2π 0 +∞ ⎡ 1 = 2π ⎢ − ⋅ e ⎣ a dθ +∞ =∫ = ∫ (x − µ) ⋅ 2 −∞ 2πσ 2 e − ( x−µ ) 2σ 2 パラメータσ2は分散 u e 2 − u2 2 2πσ 2 e − x '2 2σ 2 ( x−µ )2 2σ 2 dx +∞ dx'+ µ ⋅ ∫ f ( x)dx −∞ 2 ∫ +∞ −∞ u e 2 − u 2 ∫ du = 2π ∫ +∞ −∞ e a − u2 2 2π a du = ⎛ u 2 ⎞ − a2 u 2 2π ⎛ 1⎞1 ⎜⎜ − ⎟⎟ × e du = ⎜ − ⎟ × a ⎝ 2⎠ a ⎝ 2⎠ +∞ −∞ 証明方法2: ↑ } 2 の証明(2つの方法) du = 2π 証明方法1: 先に証明した dx 最後の等号は、もし次式が 成り立っているならば ⇒ +∞ −∞ 1 − u2 x−µ dx ⎛ ⎞ = σ 2 ⋅ ∫ u2 ⋅ e du ⎜ by x ⇒ u = , du = , u : −∞ → +∞ ⎟ −∞ σ σ 2π ⎝ ⎠ 2 =σ +∞ 1 x' − =µ ∫ +∞ 1 2πσ 2 e = 0+µ 正規分布の分散 +∞ +∞ −∞ 証明終わり 2 1 −∞ ⎤ 2π ⎥ = a ⎦0 −∞ ∫ {( x − µ ) + µ}⋅ = ∞ 分散 = ∫ ( x − µ ) 2 ⋅ f ( x)dx パラメータμは平均値 −∞ u, v : −∞ → + ⇒ r : 0 → ∞,θ : 0 → 2π a − r2 2 ∫ x ⋅ f ( x)dx 平均 = +∞ 2 ∫−∞ u{ e ↓ − 2 u 2 の両辺をa で微分すると、 これにa=1を代入して 得られる。 そのまま、部分積分 +∞ u ⎤ u ⎡ − +∞ − du = ⎢u ⋅ ( −1) ⋅ e 2 ⎥ + ∫ e 2 du = 0 + 2π = 2π −∞ ⎥⎦ −∞ ⎣⎢ 2 2 6
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