猪渕遺跡他(広根遺跡・観音寺跡)の調査概要 1 調査の経緯 新名神高速道路箕面∼神戸間(兵庫県域)建設工事に伴って、川辺郡猪名川町広根に 所在する広根遺跡及び観音寺跡の調査を平成 25 年 12 月初旬から平成 26 年 3 月中旬の 予定で実施している。 広根遺跡は平成 23 年度から継続して発掘調査を行っている遺跡である。今回の地区 (I-6 区)は新名神高速道路建設に伴う最終の調査地点であり、観音寺跡と接する地点 である。 調査面積は 2,239 ㎡(広根遺跡 I-6 区 1272 ㎡、観音寺跡 5 区 967 ㎡) 2 調査の成果 ① 今回の調査では、窯跡 8 基以上、落ち込み 2 基・土坑 18 基、溝 8 条、井戸 2 基、、 旧河道・ピットなどを確認している。 ② 窯跡は円形で大形のものが多く、同一地点で作り直されており、長期間にわたっ て築かれている。最大のもので径 3.6m、残存高 0.8mを測る。底面は皿状と平 坦なものがあり、壁は垂直に構築されている。 ③ 遺物は中世末の土師器・瓦器・無釉陶器(丹波焼・備前焼)、近世陶磁器・銭貨 (寛永通寳など)が出土している。 調査区の広い範囲に炭・焼土が広がっており、生産施設と考えられる。時期は近 世から明治前半にかけての遺構群である。窯跡の用途は明確でないが、粗雑な構 造の炭窯か、鉱山関係の窯跡と思われる。
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