2013年介護施設 夜勤実態調査結果報告

2015年5月
日本医療労働組合連合会
2014年介護施設夜勤実態調査
 介護分野での夜勤実態調査の意義
介護施設の夜勤実態調査は、今回で2回目となります。今
回の調査結果は、残念ながら前回の傾向とほとんど変わって
おらず、夜勤実態の改善が一向に進んでいないことを示して
います。
日本医労連の介護施設夜勤実態調査は、介護分野の要求運
動を前進させるためにも重要な意義があります。
①長時間夜勤の過酷な労働実態をデータで明らかにしたこと
②夜勤改善を世論に訴えるときの根拠となること
介護施設夜勤実態調査を活用し、職場・地域で夜勤改善の
取り組みをすすめましょう。
2014年介護施設夜勤実態調査
今回の調査では、
118施設、156調査
(10)
単位から回答があり
(57)
ました。昨年よりも若
(18)
干回答数が増えてい
(13)
ます。
(2)
(12)
2014年介護施設夜勤実態調査
今回の調査では、31組織(2全国組合29県医労連)から回答が寄せられ、組織数でも昨
年(27組織)を上回っています。今回新たに回答が寄せられた組織は10組織になります。
2014年介護施設夜勤実態調査
介護施設では、利用者の生活リズムに合わせて勤務が組まれて
います。しかし、十分に人員を配置されていないために、食事や起
床の時間帯など、特に人員が必要な時間帯の勤務を厚くするため
に勤務シフト(早番・日勤・遅番など)が多く、職員の身体や生活へ
の負担も大きくなっています。全体では平均で4~5通りの勤務シフ
トがあり、6通り以上ある職場も3割近くありました。
2014年介護施設夜勤実態調査
夜勤の形態では、回答のあった106施設のうち90施設(84.9%)が2交替夜勤となっていま
す。
2交替夜勤の割合は医療施設
の12.9%(2014年医
療施設の夜勤実態調査)を大
きく上回る実態となっていま
す。
2014年介護施設夜勤実態調査
また、2交替夜勤を実施している施設の約7割が拘束時間16時間以上
と回答しています。今回、グループホームで3交替の施設が一施設ありま
した。
小規模多機能、複合型で
は100%、GHもほぼ全ての
事業所が2交替夜勤になっ
ています
2014年介護施設夜勤実態調査
3交替夜勤
夜勤配置はほとんどの職場で2人体制以下で、老健以外はほぼ1人体制でした。
2014年介護施設夜勤実態調査
3交替夜勤
老健では、職員一人あたりの利用者数は21~26人となっています。
2014年介護施設夜勤実態調査
3交替夜勤
GHでは準夜勤・深夜勤を通して一人体制となっています。短期入所では、2交替との
混合で、深夜勤の配置数を増やしている施設がありました。
30~
40未満
2014年介護施設夜勤実態調査
2交替夜勤
8割の職場が2人体制以下となっており、GH、小規模&複合型の職場では1人体制と
なっています(GHで複数体制となっているのは、全てユニットが複数ある施設)。
2014年介護施設夜勤実態調査
2交替夜勤
特養の夜勤配置
数は利用者数に応
じた要件となってい
るため、夜勤配置は
階段状になっていま
すが、同規模の施
設でも配置数には
若干のばらつきがあ
ります。
2014年介護施設夜勤実態調査
特養の夜勤配置の要件は下記のように規模別で決められています。
2014年介護施設夜勤実態調査
2交替夜勤
老健の夜勤配置
は2人以上という要
件のため、同規模の
施設間の配置数の
ばらつきが強くなっ
ています。また、8割
近くの施設で看護師
が夜勤に配置され
ており、利用者70人
以上の規模の施設
ではほとんどの施設
で配置されています。
2014年介護施設夜勤実態調査
老健の夜勤配置の要件は「2名以上」としかされておらず、施設の裁量が実際の配
置に大きく影響する仕組みになっています。
2014年介護施設夜勤実態調査
2交替夜勤
GH、小規模&複合型の職場では1人体制となっています(GHで複数体制となってい
るのは、全てユニットが複数ある施設)。
1ユニッ
ト
2ユニッ
ト
3ユニッ
ト
2014年介護施設夜勤実態調査
2交替夜勤
利用者が30人未満の施設では、1人体制と2人体制とで二分されています。
2014年介護施設夜勤実態調査
2交替夜勤
GHや小規模&複合型の夜勤の配置要件は、一人夜勤を容認しています。
2014年介護施設夜勤実態調査
介護事業では非正規労働者の割合が高いため、夜勤に入る非正規労働者の割合も高くなって
います。
2014年介護施設夜勤実態調査
3交替夜勤
3交替の施設では、8割以上の職員が8日以内の夜勤日数におさまっています。しかし、規模の
小さいGHでは、夜勤者の多数が10日以上となっています。職員の総数が夜勤日数に影響してい
るものと推察されます。職員が少ない事業所で3交替を実現するためには、増員とセットで行わな
ければ職員の働き方にしわ寄せが来てしまう可能性があります。
2014年介護施設夜勤実態調査
2交替夜勤
国のガイドラインを基準に考えると2交替夜勤は「月4回以内」となりますが、2交替の施設では4回
を超える職員が3割(486人)を超えています。 夜勤専従者は36人となっており、それを差し引いて
も3割が基準を超えて夜勤をしていることになります。
2014年介護施設夜勤実態調査
回答のあった99施設のうち、夜勤協定が「有」と回答した施設は6割以下にとどまり、前回よりも
少なくなっています。業態別では、とりわけ特養で低く、GHや短期入所でも5割
台となっています。
2014年介護施設夜勤実態調査
3交替を行っている11施設のうち夜勤協定がある施設は7施設となっています。協定回数はほとん
どの施設で8日以内に収まっています。
2014年介護施設夜勤実態調査
2交替を行っている81施設のうち夜勤協定がある施設は52施設となっています。協定回数は4回
以内(3交替の8日以内に相当)が約3割にとどまっており、大多数の施設で「看護師確保指針」水準
の4回以内が守られていない実態が明らかになっています。
2014年介護施設夜勤実態調査
夜勤加算の取得では、特養と老健、短期入所で高い取得率となっていますが、GHでは、加算
額が配置増のコストに見合っておらず、取得率は5割を切っています。
2014年介護施設夜勤実態調査
夜勤加算は、夜勤時間帯の配置数を一人以上増やせばよいので、夜勤者でなくても夜勤帯に
かかる遅番・早番の労働時間が常勤換算で1人分になれば要件はクリアすることになります。
一番大変な時間
帯の人員は増え
ていないのね!
夜勤配置を増やすとなれ
ば、夜勤の配置要件2名+
1名=3名の配置が必要で
は?
2014年介護施設夜勤実態調査
コストに見合った加
算額になっていな
い!
今回の報酬改定で、GHの
加算は当直でもよくなりました。
労働者は大変!
2014年介護施設夜勤実態調査
3交替の夜勤手
当の平均額は準夜
金で3100円、深夜
勤で4000円となっ
ています。老健では
最高額と最低額で2
~2.5倍もの開きが
あります。
2014年介護施設夜勤実態調査
2交替の夜勤手当の平均額は全体で
5900円となっていますが、老健と複合型
では2倍以上の開きとなるなど、業態間
での額に差があります。また、同じ業態
でも最高額と最低額に最大3倍以上(小
規模多機能)も開きがあります。
夜中に働くという
「負荷」はどこでも
同じなのに、手当に
こんなに差があるの
はおかしいよね!経
営状況に左右されな
い正当な手当を求め
ていく必要がるよ。
2014年介護施設夜勤実態調査
夜勤実施者は、体調への影響も踏まえ、夜勤明けの翌日は休日とすべきですが、4分の1の施設
で「勤務だった者がいる」と回答しています。業態別では、職員数が少ない小規模な事業所であるG
Hや小規模多機能、複合型施設で割合が高くなっています。
2014年介護施設夜勤実態調査
21
まとめ
1、16時間にも及ぶ長時間・夜勤労働の改善
ただでさえ身体的負荷の強い夜勤労働と、16時間という長時間労働という過酷
な2交替夜勤の改善が必要です。また、長時間夜勤の改善は、職員の増員と
セットで行わなければ労働者に負担がかかります。
日本医労連が掲げる1日8時間以内、勤務間隔12時間以上、週労働32時間
以内を実現しよう!
2、一人夜勤の禁止、月8日以内
看護師確保法では夜勤は「月8日以内、複数体制」とされています。しかし、介
護現場では回数に関する基準もなければ一人夜勤も制度的に認められていま
す。「月8日(4回)以内、一人夜勤禁止」を介護現場の水準にしていきましょう!
3、夜勤の配置要件の改善
介護施設の夜勤配置要件は、夜間時の利用者の安全を守る水準とは到底言
えません。要件の改善を求めていきましょう!
4、夜勤協定の締結
3割以上の組合で夜勤協定が結ばれていません。また、協定を結んでいる組
合でも、その多くが「月8日(4回)以内」の水準以下の内容となっています。
回数の制限、明けの翌日の勤務の禁止などの協定を結びましょう!