DE48

平成17年2月
海事局安全基準課
第48回 IMO 設計設備小委員会の結果概要
2月21日から25日までIMO本部(ロンドン)にて標記会合が開催されたところ、その結果概要
は以下のとおり。
1.燃料タンクの防護
一昨年、重油などの重質油を運ぶ600載貨重量トン以上のタンカーは原則二重船殻化して防
護するという海洋汚染防止条約の改正が行われたことを契機として、それより多くの燃料油を積
んでいる大型船の燃料油タンクに対し、タンカーと同様に、衝突・座礁などの事故時に油が漏れる
ことを防ぐための規則の検討が行われた。
本件規則案は、海洋汚染防止条約附属書Ⅰの改正案として7月の第53回海洋環境保護委員
会に提出され、順調に行けば、来年3月頃の同委員会で採択され、2007年8月以降契約した燃
料油タンク容積の総合計が600m3以上の船舶に適用される予定。
日本は、できるだけ設計の自由度を確保し、二重底に燃料油タンクを配置できるようにするた
め、確立論的な手法を基準に入れることを主張してきた。その中で、実質的に二重底に燃料油タ
ンクを配置することができるか否かが決まる座礁による仮想油流出量について、日本はタンク容
量の5%を主張し、アメリカはタンク内の高さ1m又は50%のいずれか小さい方を主張していた。
本会合において積極的な妥協案作成協議を行った結果、底部からの仮想油流出量は、中心部分
では、40cm又は船幅の50分の1のいずれか小さい方となった。(下図参照)
2.塗装基準
22日夕方及び23日の午前中に本件が審議され、船級協会連合(IACS)と海運関係団体との
合同作業グループ(JWG)が提案したバラ積み貨物船の二重船側部の塗装基準については、日
本提案と韓国提案を考慮しつつ、中国が調整役を務めるコレスポンデンスグループ(CG)で検討
して来年の本件小委員会にレポートを提出することとなった。
今回の審議では、目標塗装寿命を15年とすることで合意された。また、塗装基準の適用範囲
を全船種のバラストタンクとボイドスペースに拡大することが提案され、大勢が支持したことから、
このスコープの拡大について次回海上安全委員会に諮ることとなった。
CG に対する主な付託事項は以下のとおり。
(1)IACS 等から提出された案をベースに、日本及び韓国の提案も勘案しつつ塗装性能基準を策
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定すること。
(2)塗装基準に適合していることをいかにして効率的に確認するかについて検討すること。
(3)プライマーを除去しない塗装と70%除去した塗装が同等であることについて確認手法も含め
技術的に検討すること。
(4)日本が提案した、塗装に関する技術情報を船上に保管することを目的とするコーティングテク
ニカルファイルの詳細について検討すること。
3.バラスト水管理
バラスト処理システムの生物殺傷効果に関する船上での生物殺傷効果に関する試験の必要性
について審議され、型式承認試験の時は船上での試験を行うが、バラスト処理システムを船に設
置したときの検査としては生物殺傷効果に関する試験を行わないとの意見が多数を占め、この審
議結果を次回53回海洋環境保護委員会に提出することとされた。
バラスト処理システムの型式承認基準案について、我が国から一部変更を提案していたが、こ
の件も本小委員会から次回53回海洋環境保護委員会に報告することとされた。
3.その他
(1)
救命設備
救命胴衣などの個人用救命設備の性能試験と承認基準の改正案を作成した。再来年頃実施
の予定。
(2)
統合ビルジ処理システム(IBTS)
機関室で発生するビルジに関し、水と油が混じり合う前にできる限り分離して処理するシステム
(IBTS)の指針案を我が国が提案していたが、今次会合で寄せられた各国のコメントを考慮して再
ドラフトし、次回会合で最終化する予定。
(3)状態評価スキーム(CAS)の見直し
我が国から、デッキとデッキロンジの隅肉溶接部の検査等に関するガイドライン等を提案したが、
内容については次回 WG を設置して検討することとなった。
(4)旅客船の安全性
救命や脱出設備の代替設計・措置に関する承認基準指針案の作成など多岐にわたる事項を
審議。コレスポンデンスグループ(CG)で引き続き検討することとされた。
(5)船上排ガスクリーニングシステム
船上排ガスクリーニングシステム(脱硫装置のこと)承認基準の指針案を作成。次の第53回海
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洋環境保護委員会で承認、回章の予定。
議題には入っていなかったが、我が国から参考として提出した脱硝装置の基準案については、
次回会合の作業計画に入った。
(6)係船装置
オーストラリアが船舶の曳航中にロープが破断したり、船舶が破損したりして人身事故が起きて
いることを考慮して、係船・曳航装置の性能に関する指針を作成した。次の第80回海上安全委員
会で承認、回章の予定。
(7)高速船コードの見直し
次回会合で本件コード改正案を最終化する予定。
図:
船底損傷の時の仮想油流出範囲
B
B/5
B/5
1m
40cm又は B/50 のいずれか小さい方
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